K.SATO 2009年3月21日23時14分から2009年8月22日23時47分まで ---------------------------- [自由詩]女に香られ/K.SATO[2009年3月21日23時14分] ひどい虚しさへ向かって流れていく通り コーナーはグラスで緑に輝き 液晶テレビのスタジアムは 辺りで沸き立つ季節を問うように 選手たちがスタジアムに吹きすさんでいた 半袖に北風を眺めていると 熱狂の渦を走り回り カウンターのウイスキーに女の子が浮かんだ 現実を押して会社へ戻りなさい、というその声は 消えそうで どうでもよかったが 未来がドアーにゆらめいて 逃れていく心に 忘れかけた楽しさが柔らかな彩りでやってくる 泥酔したこの手は瞳にあるべきではない 錯覚の気もする けれど変わらない 僕の涙そのものとして サッカーボールに街を流れ出ていった ---------------------------- [自由詩]雨に立ちたい!/K.SATO[2009年3月21日23時14分] 僕は知った この心のあの方に目はやってきたのだと だけどこれからはカブト虫にも向かっていこう 何か でも 降られる  浮浪者はうろつかないままたたずまれていく 外に全ては 見させられていった 僕がいるけれど大切さにも違う遠距離にもされず   なんだか なかった  でもないのだろうかと口が そのままの 人の方から見ると野にいさせられて大暴れ 光へ そんな 方からそして この僕自身は知らされた ---------------------------- [自由詩]親父がデビュー/K.SATO[2009年3月21日23時15分] 僕は解った 解っていない原に 桑田佳祐をパビリオンにされていく それは いる その僕に根深いが 街では でも 長渕剛へいった そうさせられた自分自身だ ファンも退く 感覚からどんどん溶きほぐされていく ドラッグで警備員より 僕はファンではないが どんどんキロロだ ほぐれないでくれ 頑固親父にオリコンナンバーワン モーニング娘だろう 圏外で苦しむ演歌歌手より ---------------------------- [自由詩]魚/K.SATO[2009年3月28日18時17分] 東京の空は曇る でも今日は土曜日、誰だって浮かれ気分の土曜日だ 秋葉原、歩行者天国 アメ横上野も大賑わい 僕は岸へやってきた 河原の向こうに街を見つめる そんな気がする 誰も岸にはいないから 数はいくつ?何デシベル? パレードは今どこだろう ここにのぼってきたのは錆びた僕ぐらい 歓声のボリュームは、風船の、 バシーーンと ブラックバス飛び跳ねた 僕は釣ったことがある 50センチのやつを僕は釣ったことがある。 ---------------------------- [自由詩]DAM/K.SATO[2009年3月28日18時18分] 桑田佳祐から長渕、 そして原由子 自分に流していく それへ、なにもかもに 精密採点 でもいいじゃないか 怒鳴り散らすマイクの カラオケボックス 音楽にかまけ 忘れて歌謡曲を ヘタでもかまわぬ 文学にしちゃえ それいいよ それでいいんだって? 俺は元気だ 何だっていい。 ---------------------------- [自由詩]人間は休んでいる/K.SATO[2009年3月28日18時18分] 人間ではなくなっていくようにのんでいく酒に 何かにされていくように 人間であることを、だから 主張できる プリンターは紙を刷る 営業車は車として街を走り回る 刷らないのはスキャナだ しかし なぜロボットは頑張るのだろう ロボットは動く 動く、ロボットは動き続ける プリンターも走り、刷る 人間は休んでいる ---------------------------- [自由詩]ミスターチルドレン/K.SATO[2009年4月4日23時54分] 歌い放題のために 近くのコンビニで割引チケットを手にする 歌い放題のために 電話予約を事前に入れる じたばたと、 逃げてはいかないが歌い放題の 羽はしっかりと握りしめ 「君の手をしっかり握りしめた」 というふうな歌を 分厚い冊子になんだったかと めくる テーブルの水色の割引チケットは 歌い放題のために手に入れた あの歌が 黒電話で事前予約、 歌い放題のため イノセントワールドに解き放たれていくー なにもかもが もういい 松屋から 叙々苑に、連れて行ってくれ オリコンワールド、ナンバーワン、 オリコンワールド、ナンバーワンよ! ---------------------------- [自由詩]ムチ/K.SATO[2009年4月4日23時55分] 拷問室の中 小さな窓に見上げた 水色は 僕を水色として照らした 瞳に その 小さな窓を 嫉妬させた  ハワイにも トップレスにも水色はあった だが 微かな笑みで 拷問室は 君を ヒタリ、と音をたてて こぼれさせる だけど アラモアナショッピングセンターで、 僕ははめ込まれた手錠の内側にて探す! 王将が逃れるルートを! けれど飛車の頭に見いだしたのは 桂馬の飛ばれる先だった ピシャリ、と僕を叩く 君は、ー固い床でまた人間を屍にする。 ---------------------------- [自由詩]ディズニー耳/K.SATO[2009年4月4日23時55分] 今日は土曜日だということで ぼんやりと近くの河原に出かけた ニュースでは お台場特集でみなとみらいはとてもにぎわっていた 土手に上がると一面に白く 河原 広がった 中学生が必死でランニング 青春とは空気のようなものなのよ カップラーメンを食べたくなった あのお湯から溶かし出された ところで 麺の柔らかさ。 名を このモラトリアム生活につけるとすると 赤、青、黄に、緑、ディズニー耳、? 白い雲の中をゆらいでいく あれは風船 僕は、風船を見ていた。。 ---------------------------- [短歌]日曜日を暮れられ/K.SATO[2009年4月5日18時36分] 日曜を舞い落ちてくる花びらに眺めた桜明け方の部屋 三角州川の向こうにやってきたすぐに行き過ぎ背に田舎知る 目黒駅路上ライブにはち合わせ一人ときめく友だちの影聴衆の群れ 僕の姿流されていくネット上誰も知らない月曜日へと ---------------------------- [短歌]俺が行く/K.SATO[2009年4月6日6時54分] 行く場所のホームの目にはなんだろう冷たい視線俺の人生 逃げられず去った場所に俺新しい場所雲の向こうに手に入れるのだ 俺は俺行く窓の車窓睨みつけ誰も止めるなまっすぐな玉 どこだろう何があるのか空っぽの部屋にたずねる返事をくれよ ---------------------------- [短歌]寝床を探し/K.SATO[2009年4月25日22時00分] 窓の中胸をつんざくアナウンスコンクリートの日本に響く モニタ上飛行機が行くこの縁はロシアの夜明け誰も知らない 金もなく白いページに書き付けるノートブックに古い手帳を 人に聞き警察回りホテルへと10ユーロかよ憤怒す少女 地下鉄はもう来ないぞに改札を人たちは過ぎ2ユーロ250円 ---------------------------- [短歌]空に地を、行く/K.SATO[2009年4月25日22時01分] 王様だ枠にゆらめく赤ワインいくつもたのむ雲の上に目 眠くなる行き先の道たどっていくモニタの光閉じた目にある この空のどこにあるのかスプライト呼び止めたのむ地球の上で 教会の溶かされていく声かわし向けるカメラに無数の祈り フランスの湖水の瞳なすがままカヌーが流れる機知の見事さ ---------------------------- [短歌]南仏回りを、動く/K.SATO[2009年5月7日0時00分] 暗やみの響きを見つめ行くのかとエンジンに文字ターミナルのバス 浮かんでは食べる料理の店の海必死な景色の席は絶壁 ブランドの赤いフェラーリにゴミもなくピンクにマダムがモナコの壁を シャンデリア闇に数字の消えていたカジノに下がって瞬いている 南仏の数え切れない窓の青出ていく外の電車に乗って ---------------------------- [短歌]たそがれ免許更新/K.SATO[2009年5月11日18時28分] バスを降り歩いていくといつだろう赤錆た白きたことのある 窓は春文字にぐらつきたえているゆかしき肌に講習ビデオ 免許証ほしいときには言ってほしい渡されるとき使い終わった 少しだけ金を払って間違えた帰りのルートなれていなくて ぼんやりともういないとき思い出す暮れていく日の過去に僕 ---------------------------- [俳句]おじさんと僕と、夕暮れと/K.SATO[2009年5月14日0時50分] 退職を言う前の口煙草吸う 書類の手 音つかんでは整理する おじさんの上司は永遠さようなら 全部俺消しちまったよフォルダーを 消えたドア草むらの虫二十年間 電話待ち カラオケボックスのスーパースター ---------------------------- [俳句]晴れ色で/K.SATO[2009年5月16日1時34分] 何かすらひとつですらもそのままに 音の指弦をはじいてついてくる この空に青い瞳が石畳 ---------------------------- [俳句]五反田ホリデイ/K.SATO[2009年5月17日2時10分] 過去と今つなぐIP二年越し ヒザゆれるテクノのリズムはユザゆすり この光渋谷に続く恵比寿へと ---------------------------- [俳句]光彩な異国/K.SATO[2009年5月21日2時12分] 飛ぶ海へ震える青年立つ四月 トランプの架けられた指に望む数 南仏の色彩シートの窓過ぎる ---------------------------- [俳句]年月の、こだま/K.SATO[2009年5月22日2時49分] 会社出るなくしたスーツにぬるむ風 五輪山望むあいつの古傷に 詩の声をノートにペンを握りしめ  ---------------------------- [俳句]電話虫/K.SATO[2009年5月25日0時14分] 月曜を刻むシンバル雷鳴の闇 オリコンにロックンローラーザ・ピローズ 日曜のケンカする夜電話虫 ---------------------------- [俳句]明日なら晴れ/K.SATO[2009年5月26日1時32分] 思う誰星は僕にない夜に街 胃の生姜鶏を腐敗に押し込んで ミルクからズラミートなる夜明け黒 ---------------------------- [俳句]登山で/K.SATO[2009年5月27日3時54分] 何か苦を死んでいないが君はいて ゆく鳥は徹夜を眠る夜明けだがと俺 山に落ちしかし水の波紋が汚濁 ---------------------------- [短歌]雨街トリップ/K.SATO[2009年5月30日1時50分] 青年のヤンキー少女へすがりつく異国の街角金髪な闇 履歴書の渡す自分に行き交いに車の窓に束ねられた雨 いるホテルウミネコのいるベランダのいろいろに犬隅にて眠る ---------------------------- [俳句]友よ、また/K.SATO[2009年6月1日2時25分] 新調な音の新しいスピーカー 友仕事心なく道を向かう果て 死なないと温水日本の月曜日 ---------------------------- [俳句]余韻響/K.SATO[2009年6月4日2時36分] タバコに火ひととき針を消え見てた マルガリーテバイオリン指示弾け暗く 黒い死が風呂ミルク中にフーガする ---------------------------- [俳句]月曜へ/K.SATO[2009年6月8日3時19分] いない人また向かいゆく夢の道 油分揚げぬ粉ゼロビスケット オリコンにピローズ並び雨を待つ ---------------------------- [短歌]日の夏の夜/K.SATO[2009年8月10日19時00分] 鳥が鳴く蝉が鳴く声何かでもいいつかみたいひとつこの手に ずいぶんと立ったままいると本当のまあ大変だなるよ眠くも 誰にでも眠っている外に全員言葉もないとひとりだ俺は キーボードの前を吹き消す僕たちの今ため息で立っているような 魚いる 手の鱗取り 竿を流して 取った手は 虹の一色 鳥もなく 消した言葉 寝る空を 淀んだ壁は 倒れた緑 ---------------------------- [俳句]夏はここに/K.SATO[2009年8月22日21時55分] この雪色の氷に散りある 風の側イソギンチャクとたわむ潮 緑なるサッカーコートRGB 死んだらああ空命ある ---------------------------- [短歌]夏を戻る/K.SATO[2009年8月22日23時47分] 誰も来ぬ道へたっても止まってる歩いた風の走った自分を 球場は斜めの光開始せず寝ころんだ床の行かずに死んだ 革命的この歌い手のふりはせずネック押さえて壊した夢を 尾崎豊を林の中座りつくしたハッカの枝葉僕は来ず 俺のいる世界に俺はいぬ俺はインターネットに俺だ叫んだ 誰もいる道の上には葉をつむぎ僕の心の何もいないよ 言葉へと自分の心は追いかけた木の葉の数へ指折り数える 石の数を青に赤に数えてる道の上にと誰かの心が ---------------------------- (ファイルの終わり)