山田せばすちゃん 2004年11月17日9時24分から2007年6月21日18時39分まで ---------------------------- [短歌]最終バスの風景/山田せばすちゃん[2004年11月17日9時24分] 乗る人も降りる人もみな押し黙る小雨にけむる夜のバス停 終バスは寂しからずや乗客は恋人同士と老婆が三人 二人がけのシルバーシートに三人の老婆が肩を寄せ合って眠る 窓ガラス額をつけて若者が恋人に訊く「今度いつ会える?」 交差点の赤信号も滲んでる「会うのはきっと今夜が最後ね」 気の利いた別れの言葉も出ないまま「次降ります」のブザーを鳴らす 年月という名の鑢で磨かれて姉妹のような三人の老婆 雨の中どうぞお風邪を召さぬよう小さな傘を差し掛け合って 若者も老婆も降りて終バスに「次は終点」の案内が響く 終バスの無人の席に明々と「次止まります」のランプが光る ---------------------------- [短歌]「オトナになれない」(子供騙しのモンキービジネス!)/山田せばすちゃん[2004年12月29日1時54分] オトナにはなりきれなくてコーヒーも砂糖とミルク入れてしまうの オトナにはなりきれなくてお刺身もワサビをつけて食べられないの オトナにはなりきれなくてバーボンもコーラで割らなきゃ飲みきれないの オトナにはなりきれなくて十二時を過ぎるとママに電話しちゃうの オトナにはなりきれなくてお泊りのときも枕を持参しちゃうの オトナにはなりきれなくて君のユビくすぐったくって笑ってしまうの オトナにはなりきれなくてぴったりと君にくっついて眠っていたいの オトナにはなりきれなくて有線のチャンネル触ってたら眠れなかったの オトナにはなりきれなくてそんな嘘吐いておめめも真っ赤になったの オトナにはなりきれなくて寝言でも君の浮気が許せなかったの オトナにはなりきれなくて早朝に君を残して帰っちゃうんだから! ---------------------------- [短歌]雑詠12月30日まで/山田せばすちゃん[2004年12月30日9時49分] (絶望している女の子に) ☆物語の捏造までも企てて世界の意味を欲してやまぬか ☆がんばれ、と言いたくなくて、死ぬな、とも言えないけれど、君が好きだよ (ゴスロリファン談義の最中に) ☆ゴスロリに「葬式帰り?」と聞くときのひそかな悪意を否定しません (非難の書き込みを受けて) ☆「だめだわ」のワン・ツーパンチと「ひどーい。。(ぼそ」のボディブローに打ちひしがれる (風邪こじらせた自画像に) ☆革命の二文字に怯じし吾なれば閉じ籠るためだけのバリケード ☆机椅子針金コンクリ自己否定憎悪で組まれし吾がバリケード ---------------------------- [短歌]一月雑詠/山田せばすちゃん[2005年1月31日13時12分] 自爆するいきものだから喜んでスキップ踏みます地雷も踏みます 自爆してまた生き返って自爆してトムとジェリーの悪夢みたいです 自爆して地縛霊になってみたくって地雷を探す朝もあります 餡麺麭男哀しからずや胸の傷堪へて今日も空に彷徨う ---------------------------- [短歌]現代詩フォーラム短歌部創部記念第一回いちごつみ歌会/山田せばすちゃん[2005年2月10日1時00分] 妖精を やぶ蚊と思って 退治する あなたの手には 何が見えるの あっちょんぶりけ ハムサンドだと思ったらハムちゃんズかじってごめんいたかったでしょ(と思って) 最果タヒ ファイルする紙束のうけわたしにも手をひかえ 痛かったでもいたかったまだ(いたかった)  田代深子 紙束を燃やして遊ぶこどもらよ遠いあたしに告白をしろ(紙束)  ピッピ いつまでも遠く遠くにあこがれてわたしはいつの日溜りを乞う(遠)  ちはや 雪原に喪失したるあこがれよ姉より白いものが憎しい(あこがれ)  ちづさ守り まっくろな喪失だから牛乳を飲み干したのよだけどはいいろ(喪失) 本木はじめ はいいろのうさぎのみみをかみしめてひだまりの味がするよとスプーンが(はいいろ)  汐見ハル みみをそいだ画家がいました。自画像に包帯巻きたかったのね、きっと。(みみ) 山田せばすちゃん 青春の 怪我の包帯 取ったなら 死にぞこないの 浪人生が(包帯)  あっちょんぶりけ あかつきの 水に溺るるあばら身か 死にぞこのうて春を知るらん(死にぞこ) 田代深子 ☆つきの水にみぎくるぶしを浸らせる君の生まれる夢を見ていた(つきの水)  ピッピ あかつきは束縛の色潔さを右踝につきまとわせて (みぎくるぶし) ちはや 屋上を蹴った少女の潔さ臓腑飛び散る前の涼風(潔さ) ちづさ守り 屋上にぶらさがってる蝙蝠が見ていた相合傘のぼくらを(屋上) 本木はじめ 蝙蝠は黒、ぬくもりの闇。なら私、染まれない白、冬の太陽。(蝙蝠) 汐見ハル 海風に一人で吹かれていたかった絞り染めのシャツ裾翻して(染) 山田せばすちゃん 仕事中狭い机に鍵掛けて一人で餅の名札をつける(一人) りっと(里都 潤弥) 野原から顔を出すなら目を突かれ あれれ草木に名札が見える(名札) 最果タヒ (☆印は参加者互選による秀歌) ---------------------------- [短歌]NHK衛星第二放送に高田渡が出たの巻/山田せばすちゃん[2005年2月12日22時34分] 「永遠のフォークソング」に一人だけ、場違いのような高田渡だ NHKで歌える歌があるのかと高田渡のLPを探す ブラブラもわからない節も歌わない高田渡は窮屈そうで 「自衛隊に入ろう」と一声おしまいに、叫んでおくれ、高田渡よ フィナーレは「あのすばらしい愛をもう一度」…高田渡が歌うわけもない ---------------------------- [短歌]念力短歌32/山田せばすちゃん[2005年2月15日3時12分] ターバンを卷いた「ミスター念力」の原作での名は「GURU」でしたとさ  (念力) 數々の呪文を覺えるそのための呪文を忘れた赤毛の少年 (呪文) 谷君の「謎の圓盤UFO]のプラモを壞して逃げた僕です (UFO) 童貞の天草四?時貞が先祖靈だと言はれましても・・・  (先祖靈) たはむれに念寫してみたフイルムに高橋貞子が笑つてゐたよ  (念寫) 覆面の占星術師G・ダビデ…Gつていつたひ何の略なの? (占星術) 黃昏のアトランティスこそかなしけれ「オリオナエとはプラトンである。」  (アトランティス) ヘリオ・セス・ベータ型開發の行方には滅びが待つのだ阿修羅王よ! (阿修羅) 前世がマリー・アントワネットだといはれた人は手を擧げなさい  (前世) ?川の埋藏金を探すため環境破壞を厭はぬ絲井だ (埋葬金)   死に?も鎌砥ぎに出す夜なればカルモチンとて修治は死なず (死に?) 守護靈に崇?上皇の怨靈を憑けてみたひなお願ひします  (守護靈) ピープロのタイガーセブンの怪人はムー大陸の生まれだつたよ  (ムー大陸) エレキテル囘して平賀源内が「天下御免」を歌ふ夕暮   (平賀源内) 誰もかも寢靜まりたる眞夜中に犬公方なる男が笑ふ  (犬公方) 太陽?知つてゐるなら?へてよ「王家の紋章」はいつまで續くの? (太陽?) 眠れない夜には退行催眠で天草四?の昔に戾るよ  (退行催眠) たつた今一六グラムの魂が輪廻轉生の旅にでました (輪廻轉生) 夕餉には尾崎豐に陰膳を供へて歌へ「15の夜」を  (陰膳) ナスカ市立第三小の子供らが卒業紀念に作りし地上繪  (地上繪) わが藩の守り?たる龜の背に家康の謎隱されてをり  (守り?) さあこれが人魚の木乃伊。大潮の夜には海を戀しがり、泣く (木乃伊) 少年の顏が二つに切り裂かれ中から地藏が現れたのです  (地藏) もし僕の未來を映し出すのなら投げつけてやる水晶玉め!  (水晶玉) 背の毛が最近薄くなつてきた…文殊菩薩の獅子がぼやいた  (文殊菩薩) キカイダー三兄弟なら00(ダブルオー)が一番人造人間ぽいです  (人造人間) この道はいつか來た道…既視感に襲はれしやがみこむ袋小路  (既視感) モアイ像を一人で一〇〇體建てなさい。イースター島一の罰ゲーム  (モアイ) 江戸川に金八先生投げ込んでディズニーシーでお會ひしませう  (金八先生) 苦行する佛陀の肋骨數へたら十二對より多い氣がする・・・   (佛陀) 理科室の骨骼標本よ安心しろもう腋臭など氣にしないでいひ  (腋臭) もう僕は死んだと思つて諦めてと、置手紙の日よりゾンビとなりぬ  (ゾンビ) ---------------------------- [短歌]桃色淑女短歌その1/山田せばすちゃん[2005年2月18日12時53分] ミーとケイの振りを峻別する妻は丙午にぞ生まれたりける それぞれに言えぬ事情もありつるを五十路になりても踊り続けよ ピンクレディーを踊る姉妹の姉ばかり恋人とした歴史ありけり 「やっちゃいな!やりたくなったらやっちゃいな!」民衆蜂起 の兆しほの見ゆ ---------------------------- [短歌]途中経過/山田せばすちゃん[2005年2月23日11時00分] 1 一  一つだけわがまま聞いてくれるなら曲馬団には売り飛ばさないで 2 二  二人ともそれぞれに夢を見て眠るとてもよく似た夢ではあるけど 3 四  鶴亀算宿題ならばよくお聞き、坊やよ亀の足は四本 4 七  小雪舞う伏見稲荷の沿道の七味唐辛子のような侘しさ 5 ぬいぐるみ  ぬいぐるみのほつれた背よりはみ出せるパンヤの黄色が燻んでゐるよ 6 柊  家々の軒先飾る柊と鰯の首より血のしたたりつ 7 一葉  この件にいつか質問する暇与えず死ねり伊藤一葉 8 横浜  赤い靴履いた少女は片っぽを横浜港に忘れています 9 六本木  六本木アマンド前を右折する車線がわからず泣き濡れてをり 10 教授  名画座で「個人教授」を見るような例えばそんなデートをしないか? 11 ラムネ  汽車を追いプラットホームを駆けた後の火照りし頬に冷えたラムネを 12 ライブ  酔っ払いの戯言を聞く車座をトークライブと言われたる夜 13 閣  内閣は総辞職します!火星人の行方を見失った責任で 14 ゴミ  捨てればゴミ拾ってもゴミ貯めこんで何年たってもゴミだってばよ! 15 バカ  気がつけばバカボンのパパと同い年になっていたのだ四十一歳 16 痛  痛いのが好きではないの痛いことをされてるときのあたしが好きなの 17 痒  傷跡が痒くなるのはもう一度掻き毟られて傷となるため 18 麻酔  五つより先を数えたこともなし「君はほんとに麻酔が効くねえ(笑)」 19 覚醒  覚醒剤やめますかそれとも人間をやめられるならやめてもいいですか? 20 薬  薬師丸ひろ子よ唄へ高らかに「セーラー服と一晩中」を 21 陽  ポケットにサイコロそっと忍ばせてかそけき声で唄ふ「落陽」 22 真  美しき真空管を見に行かむ秋葉原駅そばラジオ会館 23 食  ちくわぶを食べる女がどこかしら幸薄そうに見えるのはなぜ? 24 古着  制服とブルマを古着屋に売ったお金で海に出かける二人 25 マジ  クリスタルマジック三宮店の美樹ちゃんは父の顔を知らない 26 雪女  団欒の鍋つつきたる窓の外静かに笑ってゐる雪女 27 翼  失いし翼の名残とどめたる肩甲骨にくちづけをする 28 影  君が泣くまでの様子を高速度カメラで撮影する僕である 29 宿  花形と星と左門と伴宙太宿命のライバルの例として 30 幻  君だけに教えてあげる本当は僕は幻なんかじゃないんだ 31 漉  今の僕の欲望を具体化するために漉し餡一キロ買いに出かける 32 祈  寝る前に娘は神に祈ります「明日あのこが死にますように」 ---------------------------- [短歌]途中経過その2/山田せばすちゃん[2005年2月25日1時55分] 33. 墨  靴墨で顔を染めたるシャネルズの日々懐かしむ田代まさしよ 34. 家族  輝ける春を吾等に!明日7時「北の家族」で合コンします! 35. みじん切り  玉葱も香奈もセロリも由紀ちゃんもみじん切りにて鍋で炒める 36. 禁煙  「山田さんの禁煙成功率は3割ですあなたはタバコに恋してゐます」 37. 老人社会  年上の女が好きです憧れの老人社会はもうすぐそこに 38. 不安  将来の不安はあとで考えよトイレに閉じ込められた身なれば 39. 未来  内側に未来と書いて遠くまで紙飛行機を飛ばしに行くよ 40. 教育  キスのとき両目をつぶってくれません・・・性教育が必要ですか? 41. 手ぶら  切り取った死体の両手胸に当てて「手ぶら〜♪」はきっと趣味がよくない 42. 液体  感情が液体ならば上澄みを掬って残りを捨ててしまおう 43. シュプール  シュプールのごとく交わらざりしまま雪の山にてお別れを言う 44. 焼酎  六四にお湯で割りたる焼酎の梅干潰す圧殺の森 45. 爆  丸善の本棚ついに爆発せず後片付けして帰れ基次郎 46. 刀  手刀よりむしろ張り手に近いかも映像で見る空手チョップは 47. 剣  ダモクレスの剣が王座に落ちるとき座っているのは多分僕だね 48. 槍  槍投げの選手はどうして投げてから気合を入れてゐるのだろうか 49. 棍  ゴム製の双節棍(ヌンチャク)なれば安全にドラゴンへの道歩みゆかなむ 50. かさぶた  かさぶたがお湯で潤びてふにゃふにゃになった感じが一番好きよ 51. 先生  墓場から出できしゾンビ・・・いや金八・・・笹先生を本歌にとらむ 52. 手ぬぐい  忘れてはゐないが赤い手ぬぐいはマフラーにしては短かったね 53. 縄文  博物館の時は凝れり水槽に縄文土器などひっそりとして 54. 菫  星菫派と呼ばれてみたし星菫派がいかなるものか知らずあれども 55. ダイビング  2DKのDはダイビングにあらず飛び降り自殺はお断りします 56. 弄  多分君の哀しき玩弄物になるために生まれて来たのだ僕は 57. 泣  泣き女雇ひし母の弔ひはまなこも開かぬ吹雪となりぬ 58. 応  反応を確かめるべくあちこちと君をまさぐる僕は科学者 59. 演出  レッスン1名演出家となるための灰皿投げの基本と応用 60. 図書  図書館に住み着いてゐるアリクイに名前をつけて可愛がる司書 ---------------------------- [短歌]途中経過その3/山田せばすちゃん[2005年2月26日1時54分] 61. 櫛  ジーンズの尻ポケットに櫛を挿す少年好みしクリームソーダ 62. マスカラ  フライングクロスチョップで翔ぶ距離が年々落ちるミルマスカラス 63. タクト  真夜中に少女はホンダタクトにて見知らぬ街を探しに行きます 64. 眠  連日の睡眠不足はしんくわよ、♪君のせいかもしれないんだぜ 65. 電  終電を逃したことを言い訳に僕らは「空」のネオンを潜る 66. 脱  年上の彼女の最初のレッスンは「脱がせたパンツは枕の下へ」 67. 当たり  当たり前みたいに二人手をつなぎスタバで遅い朝食を摂る 68. 平凡  君たちは知らないだろうその昔「平凡パンチ」があったことなど 69. プレイ  プレイボール!遊べ白球青空の下にて子等は歓声をあぐ 70. 朧月夜  寝台に腰掛け祖母はくりかえし「朧月夜」を口ずさみけり 71. 梅雨月夜  傘を差す梅雨月夜なれば二人ではシングルベッドで眠られもせず 72. 初月夜  雪雲を別けて出できし初月夜露天の風呂に湯気は満ちたり 73. 十五夜  十五夜に若い狸の勘違い「十五の夜」を熱唱したり 74. 冴  冴子もしこの歌をどこかで読んだなら一度でいいから連絡をくれ 75. 芽  何かしら楽しい気分何を見ても笑えてしまう木の芽時です 76. 重  重力の定数gと言う時に地学教師は唇震わす 77. 背骨  なだらかに背骨が描く曲線の戯れうつくし後背位かな 78. かたち  かたちなきものがほしくてかたちあるきみをのなかみをまさぐってゐる 79. バランス  バランスの崩れた瞬間!君はもう僕を見捨てて歩き出すのだ 80. 波  波一つ立たぬ夏の日生まれたる長女に凪沙と名づけたりしか 81. 並  牛丼は並盛つゆだくねぎ抜きにて卵に醤油少したらせよ 82. 忠  マツケンの内蔵助はちょっと軽すぎない?テレビ朝日の「忠臣蔵」 83. 含羞  鉢植えの含羞草(ねむりぐさ)一つなぐさめに眠れぬ君にお贈りします 84. 尿  検尿が足りない気がして手洗いの水を足したらすげえ怒られた・・・ 85. 鳩尾  鳩尾がどこだか自分でもわからない・・・ダイエット茶を買いに行きます ---------------------------- [短歌]ゾンビ社長のとりとめもなく過ぎていく日々/山田せばすちゃん[2005年4月9日0時14分] もう僕は死んだと思つて諦めてと置手紙の日よりゾンビとなりぬ  親元に連れ帰されたる若ゾンビ腐肉を隠して社長になれり 若ゾンビ社長となりて夏の日の銀行回りに蝿もたかれり ゾンビとて妻娶りたるタキシードの奥に腐肉を押し込めつつも 新郎のゾンビに漂う腐臭をばオーデコロンにて塗りこめたりし ゾンビにも子は生まれたり嬰児は美しかりき腐肉にあらず 母親をなくせしゾンビの眼窩より零れ落ちたる蛆虫の白 むき出しの肋骨指で辿りつつ寝物語をせがむ愛人 腐肉だと知りつつ胸にくちづけを降らしたりける愛人かなし 愛人を抱く腕も嬰児を抱く腕も尺骨の見ゆ ゾンビにも妻子を持って愛人と暮らす権利を認めてください 放蕩の挙句ゾンビは跡を継ぎインターネットで短歌詠む日々 ---------------------------- [散文(批評随筆小説等)]いつの日か船越英二が  自転車三昧の日々/山田せばすちゃん[2005年8月12日1時07分] 最近妻のご機嫌がよろしくない 夜毎夫がパソコンで やれDAHONのシートポストの軽量化だの スギムラRCB-1の後輪のインチアップ計画だのと 自転車三昧なのを横目に見ながら 「今年のお盆は子供たちを  どこにも連れて行ってあげられないのよねー、可哀想に」 などと 末娘のななちゃん(生後五ヶ月)のオムツを取り替えながら 聞こえよがしにひとりごちてみせたりなんかして 大体ななちゃんがいるからお父さん、今年は遠出は無理ですよね、と 言ったのは君のほうではなかったか(苦笑) 「お父さんはななちゃんより自転車が好きみたいでしゅよー」 などと いったいインターネットで愛娘について なにを検索しろというのだ(苦笑) そりゃ父親に似たのか五ヶ月にしては図体が大きくて 母子手帳の成長曲線では五ヶ月としてはぎりぎりの身長体重の ななちゃんではあったりするのだが まさかななちゃんのこれ以上のインチアップとか はたまた洒落にならない軽量化とか ましてや ななちゃんのボトムブラケットの交換などという事態が あるわけでもあるまいし しかしながらこの状況下で 自宅の納屋兼俺の作業部屋に 隠匿という言葉も気恥ずかしいほどに堂々と 鎮座ましましている ヤフオクでへそくりの5万円はたいて手に入れた リカンベントタイプ自転車の梨花ちゃん(仮称)なんぞを 何かの拍子に妻に見つけられては 何をまた言われるやらわかったものではないので 妻の外出を見計らって仕事中にも拘らず 自宅に戻り 納屋兼作業部屋にてせっかく組み立て途上であった梨花ちゃん(仮称)を もう一度解体して隠匿の名にふさわしく あちこちに分散させて片付けてしまうことにする 真夏日の昼下がり 空調なぞを望むべくもない納屋兼作業部屋にて 静かに横たわる梨花ちゃん(仮称)を黙々と解体する俺は Tシャツが絞れるほどにぐっしょりと汗をかいて 時々汗をぬぐうその額は 掌にべったりとまとわりついた梨花ちゃん(仮称)の チェーンオイルで ところどころ黒光りしているに違いなく アーレンキーの番手を間違えてあやうく ねじ山をなめそうになったりしながらも シートをはずし タイヤをはずし ペダルをはずして さながらそのときの俺の姿は 妻に内緒の愛人を殺害して 死体をバラして隠匿する火曜サスペンス劇場の 犯人のごとく ごめんねごめんねとつぶやきながら やってることは愛人にも妻にも裏切りでしかないのは 明白なのだけれど 謝りながらやろうとも 泣きながらやろうとも 罪は決して軽くなるべくもないのだけれど それでも善良なるがゆえに 犯した罪を糊塗すべく 更なる罪を重ねるのであろうなあ、などと そんなことふと 思ったりなんかしながら いつの日か船越英二が はたまた山村紅葉が 夕暮迫る俺の納屋兼作業部屋に 「犯行はここで行われたんですね」などと 今更ながらの謎解きをするエンディングなんかを ちょっと夢見たりする 蝉の声は今日もかしましい ---------------------------- [短歌]太宰治歌集(になるといいなあ)/山田せばすちゃん[2005年10月9日2時47分] 死?も鎌砥ぎに出す夜なればカルモチンとて修治は死ねず 私の名を呼ばずして荒波に沈みし女給はシメ子なりしか 紅の扱きをもちて枯れ松に縊死企てし鎌倉の夜 ---------------------------- [散文(批評随筆小説等)]短歌と言う形式へのリスペクト/山田せばすちゃん[2005年11月17日18時47分] 俺は文化ってのは畢竟のところ「屈折」だと思い込んでいて、たとえば手づかみで物を食い散らかすよりは箸やフォークやナイフを使う方が幾分「文化」的だと考える。 もちろん手づかみであったとしても、左手は使わないで、右手のみを使い、米や麦粉を一口大に手でまとめてカレー付けてから口に運ぶとかいう「お作法」がきちんとしてれば言うまでもなくそれは「文化」的だ。(ついでに言っとけば素手で飯を食う「文化」と手具を使って飯を食う「文化」のどっちがより高次の文化であるかなどという問題は、この際考えるに値しない、どちらも「文化」としては「等価」であることは言うまでもないからだ。) 街歩いてるお姉ちゃんをいきなり拉致って車で山林へ連れ込んで無理やり一発やっちゃうのはもちろん「文化」的ではなくむしろそれは完全に犯罪だけれども、外装だとか内装だとか巨大なスピーカーだとか電飾だとか、車にいろいろと金をかけてそれで街を流しながら「彼女乗っていきなよ」と声かけてドライブに誘ったお姉ちゃんを、センスのいい音楽だとか、かっこいい決め台詞だとかの手練手管を駆使した上で、山林に連れ込んでカーセックスで一発決めれば、それは「文化」の名に値する。 要は飯を食うだとか、一発やるだとかの欲望を充足するために、ある種の決められた段取りを踏むこと、段取りに拘束されることこそが「屈折」としての文化の本質なわけだ。 しかしながら、飴と鞭で訓練すれば、あるいはお猿の次郎君でもバナナ食うのにフォークとナイフくらいは使うかもしれないし、すべてのレイプ犯罪は死刑に処すとでも刑法を改正すれば、巷の若い衆はこぞってお姉ちゃんと和姦に持ち込む手練手管を駆使するようになることは間違いない。それでもそれは決して「文化」的な事例ではない、と俺は思う。 なぜならそこには「段取り」へのリスペクトが全く無く、あるのは「段取り」を踏まなかったことへの罰則に対する怖れだけなのだから。 すべての「文化」としての「段取り」には強烈な罰則規定は無い。そこにあるのは、行為の主体がともかくも自らの欲望を充足するのにある種の「段取り」を踏もうという意思、であり、その「段取り」以外の方法では欲望を充足し得ない、という強烈な「段取り」へのリスペクトなのだ。この「屈折」こそが真に文化の名に値するのだ、と俺は信じる。 そういう意味で俺は、飯はやはり茶碗と箸使って食わないと食った気がしないし、お姉ちゃんとは和姦じゃなきゃやった気がしない…非常に「文化人」だという自負がありますが(笑) さて、ではこの「欲望の充足」に「自己表現」を、「段取り」に「短歌」を代入してみよう。 行為の主体がともかくも「自己表現」の手段として「短歌」を選択しようとする意思、「短歌」以外の手段では「自己表現」をし得ないという、強烈な「短歌」へのリスペクト…そういうものを感じ得ない「短歌」は全部まがいもんです。 を、なんかかっこいいテーゼになったじゃないか(笑) ---------------------------- [短歌]題詠会より/山田せばすちゃん[2006年1月7日1時56分] 噴水になった孔雀の面持ちでブルースハープ吹きをり吾は (詠題「水」) この度は離婚おめでとう! 御祝いに純白マシュマロぶつけ合おうよ (詠題「マシュマロ」) 神様に添い寝してます 神様の見る夢がまだ覚めないように (詠題「神様」) おれたちは眠る 初めておれたちが番いとなりし七月の浜辺 (詠題「初」) ---------------------------- [短歌]小歌集「no-rio!」/山田せばすちゃん[2006年1月7日1時57分] 寒村に捨てられし子の働ける新宿西口ビレッジバンガード 美しくも豊かでもなき19のノリオが聴きしアルバート・アイラー 「遠くまで行くんだアイラー!」 拳銃が世界と繋がるカギだったノリオ アイラーが斬り裂いたもの 俺、お前、偽善、暴力、世界、アメリカ! 貧しさは罪にはあらず無知さえも罪ならずしてノリオ括らる 「奇妙な果実(すとれんじふるーつ)」揺れる 造物主(かみ)は今不在につき伝言をどうぞ ---------------------------- [短歌]ハローCQ/山田せばすちゃん[2006年1月10日1時58分] ハローCQ 誰かいる? 僕だけを残して世界は滅亡します 片隅に隠れていましょう おせっかいな神が僕らを見つけないよう 蒸留酒(ラム)で胃に明々と灯を点す夜 「そんな飲み方してると死ぬよ」 僕よりも先に死んだらそれで負け! ・・・生きてる僕も負けだけれども 砂糖黍絞った滓の酒を 絞り滓の詩人が飲み干す 夜 誰かさんの短歌を読んで「ああ、あるある!」 共感が詩を扼殺します 扼殺者の今朝のメールは 「昨夜また黒革手袋忘れてきました。」 レシーバー壊れた無線機に向かい ハローCQ誰もいませんね? ---------------------------- [短歌]また題詠会より/山田せばすちゃん[2006年1月17日2時01分] 「ニートこそが革命の先駆!」とマルクスは云うのだろうか云わないだろうか (題詠「ニート」) きみにだけおしえてあげる(ないしょだよ) 「ここからここが象の足首」 (題詠「足首」) ○●●○が○○○○になる! …現実はオセロみたいに行かないものです (題詠「○」) レター型寝袋(シュラフ)とマミー型とでの夢の相違を詳述しなさい (題詠「寝袋」) ---------------------------- [短歌]「MIX&REMIX」  二月のうた/山田せばすちゃん[2006年1月30日1時26分] 鱗粉を撒く蝶々を姉が追い 便りもとうに絶え果てて、二月 珈琲の苦さも世界のおしまいも二月の書棚に封印されて 死してなほ国歌と定めし 売女(ばいた)をば二月の空に弔う君が代 隅のほうまで日夜赤虫の夢ばかり 二月の部屋においでませ カッターをカチカチさせて保健室 二月のシーツ冷え冷えとして 圏外のサービスエリア出る頃にメールが届く 「二月だよ、来て」 抗菌のボールペン握り立ち尽くす二月の朝の受験会場 引き出しの中で小さな人が読むための手紙は二月の消印 爪を噛み吐き出してみたそのかたち! (二月十日の月に似ている) 蜂蜜をかけて闇夜に置き去りにされて泣いてた二月の記憶 追いかけた音符につまづく舌のこと覚えていますか? あれも二月です ---------------------------- [短歌]またもや題詠会より/山田せばすちゃん[2006年1月30日1時53分] リンス・イン・シャンプーにする(一刻も早くあなたに抱きしめて欲しい) (詠題「シャンプー」) 「生きながらロックンロールに葬られ」 墨痕淋漓なる祖父の墓碑銘 (詠題「ロックンロール」) 真夜中に二階の窓から抜け出して少年は帰らぬ旅に出たのだ (詠題「旅」) 筋トレと腹式呼吸に燃えている楽譜が読めない合唱部員である  (詠題「合唱」) ---------------------------- [短歌]不良少女白書/山田せばすちゃん[2006年2月9日19時36分] 無理をして煙草をすつてむせてゐる不良少女の涙は?し 先輩が先輩の先輩と住む部屋の隅つこで膝抱へてゐたり 頰骨に沿つて濃い目のチーク入れアイシャドーは?、特攻少女 ラメ入りのミュールはサイズが小さくて踵が少しはみ出してをり 金刺繡「全國制覇」と氣合入れ四國の縣を四つ言へない 手の甲に根性燒きの瘡蓋(かさぶた)を七つ竝べる特攻少女 絞りハン段付シートのスクーターどこかピザ屋のそれに似てゐて ぱられろと三連ホーン勇ましや「誰もアタイを止められないぜ」 戀愛は嚴禁アタイら硬派だと夜空見上げる凜々しい少女 集會の夜に出會ひし運命の少年の仕事は鳶の見習ひ アンパンで前齒が溶けた少年の笑顏眩(まばゆ)し戀の始まり 特攻服(とっぷく)が二つ竝んでハンガーで搖れてゐました初めての夜 あの頃はバカやつててと嬰兒(みどりご)を抱いてあやせる十九の若母(ヤンママ) ---------------------------- [短歌]さらに題詠会より/山田せばすちゃん[2006年2月11日12時54分] 長閑(のどか)なりあくび交じりに標的を定めてボタン押す米軍兵 (詠題「あくび」) この街は棲み辛かろう臆病なウサギおいでよ手の鳴るほうに (詠題「臆病」) 殺意とは注射器の筒に紛れたる僅かな泡に似たるものらし (詠題「注射」) 「わたくしをなんだと思っているざましょ!?」 「・・・猫より自分勝手なおばはん。」 (詠題「自分勝手」) 闇に仄白(ほのじろ)く浮かんだ君の桃尻が最後の希望だったよ (詠題「桃」) 君達がいて僕がいるリング上ドロップキックの雨を降らせて (詠題「ドロップキック」) ---------------------------- [短歌]Alligator!/山田せばすちゃん[2006年3月4日22時04分] Alligator Refrigerator Alligator Refrigerator Alli・・・ (ワニが棲む冷蔵庫を呑むワニが棲む冷蔵庫を呑むワニが棲む冷…) ---------------------------- [短歌]See you later, Refrigerator/山田せばすちゃん[2006年6月28日23時28分] 死期を知る傷病兵の夜が来て台所にて冷蔵庫唸る 瓶詰の白アスパラガス身を寄せて標本のごとひっそりとあり 乾きつつあれど鯖の眼の色は捕らまえられた日の空のあを 家々の軒先飾るべく斬らる鰯の首より血のしたたりつ 孤児院の大部屋なりやしらす干し白きトレイに折り重なりぬ れいあん所にて保管さる鶏肉はグラム78円の特売 遙けくも来つるものかなデンマーク産の豚バラスライス(解凍) 閉ざされし蓋が再び開けられる日を希う海苔の佃煮 主なき薬あるいは金印山葵、ウナギのたれに穢さる 力なきものの怒りを現わして深夜に放熱する冷蔵庫 半切れの檸檬は遂に破裂せず干からびしそを基次郎に捧ぐ 冷凍のさぬきうどんにしんしんと霜降り積もる夜半もありけり 冷凍の海老ドリアらに挟まれし「寺山修司青春歌集」 約束を守れたことはないけれど See you later, Refrigerator 「蟹入り」と書かれし文字が蟹足でない事を告ぐカニカマボコよ 睦みあうしか術もなく絡まれり近親相姦納豆パック 小雪舞う伏見稲荷の沿道の七味唐辛子のような侘しさ 玉葱のスライス水に晒されて解剖学教室の水槽 芽吹くことなきじゃがいもが澱粉の骸になって転がってゐる ノンフロン冷却回路よ観覧車よ阿蘭陀風車よ地球よまわれ 萎れたる春菊一把佇んで小さき声で唄う賛美歌 一億の希望も夢も唐辛子色に染めらる明太子なり 人知れず怒りに満ちた牛乳は紙パックの内荒れ狂いたる 艶やかなデスマスクなりピーマンの眉間に深き皺刻まれて かつてこれは茄子でありしか、ビニールの袋の中に濁りたる液 土産にと買い求めたる祖父すでに三回忌なり野沢菜茶漬け 奇妙な果実(すとれんじふるーつ)」揺れる造物主(かみ)は今不在につき伝言をどうぞ 待ちくたびれた無精卵の哀しみ賞味期限の切れた哀しみ 椎茸の木乃伊静かに眠りゐる野菜の部屋に封印をする 明日などないのは知っているけれどSee you later, Refrigerator ---------------------------- [短歌]朝からゆうべのカレーを食べる時点で私たちは人生の敗残者である/山田せばすちゃん[2006年9月18日19時11分] ●「なべ底のカレー焦がしたらばっ金300円!」と貼り紙されて ●あなたは焦がすから、絶対焦がすから、あたためるならチンにしてよね ●チンじゃなくてむしろピッピーと鳴るでしょうゆうべのカレーをあたためる音 ●インドじんだって朝からカレーには生たまごなんてのせないとおもう ●太田胃散はいい薬ですいまいちのカレーに混ぜるとおいしくなります ---------------------------- [短歌]ハッシュドポテト/山田せばすちゃん[2006年10月21日13時58分] 日曜の朝の家族に紛れつつ朝マックする二人はだあれ? べたべたで手に負えなくなれパンケーキ シロップ掛けてあげる、好きだよ 砂糖抜きの薄いコーヒー冷めるまでよその子供を眺めるのやめて 朝マック嫌いハッシュドポテト嫌い食べたらじゃあねになるのが嫌い ---------------------------- [散文(批評随筆小説等)]どうせ私をだますなら/山田せばすちゃん[2007年3月26日20時44分] だまし続けて欲しかった、というのはバーブ佐竹の「女心の唄」(作詩:山北由希夫 作曲:吉田矢健治 )の一節だけれども現代詩フォーラムの参加者の中でこんな歌を知ってる奴のほうが少ないことはいかな世情に疎い俺といえども容易に想像が付くというものだ(せいぜいがあおばさんくらいかしらん)。 もとより、作品=作者ではなく、しかも作品において作者と作中主体とはまったく無関係であり、さらに言うならば作者としての人格と実生活を営むものとしての人格すらも分けて考えるべきであることをかねがね主張してきた俺としては、とある作品中で作中主体がいかに自分が金持ちであると吹聴しようとも、いかに女にもてまくっているとほざこうとも作中主体の人格をどうこう言うことはあっても作者そのものの人格を攻撃することは厳に慎んできたつもりではあるし、それはこれからも変わることはない。 なんとならばそういうもの一切を同一視されることは、愛人にかまけて家庭を顧みない男であるとか、その愛人すらも都合が悪くなればあっさりと切り捨てて人でなし呼ばわりされる男であるとかの詩を書いてきた俺自身が、実生活でもそうであるかのように世間に取沙汰されることがはなはだ迷惑であったりするからでもある。つか余計なお世話だ(笑) さてこちらにも投稿しているこれらの歌http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=90676を、某所に投稿する際に、「やべぇ、半分マジじゃん(笑)」とかなんとか「詞書き」付けておいたら「リアルですね。」などと御感想を寄せて下さった方がいたのだけれど、果たして件の「詞書き」なかりせば、彼は俺の歌を「リアル」だと受け取ったのかしらん? 書いてる俺自身は読者にそれがリアルなこととして受け取られようがそんなことはどうでもいいのだけれども。 ここで改めて明言しておくが、俺は休日の朝のマクドナルドで朝マック食いながら不倫相手と後朝の別れなんぞついぞしたことはないぜ? (ミスタードーナッツとドトールとスターバックスカフェではやったことあるけど。) 俺はリアリティというのは読む側に何らかの情動を引き起こすことの一部だと考えていて、しかも情動を引き起こすのは総力戦(つまりなんでもあり)だと思っているので、作中主体が作品によって立場を変えることも、作者自身が何らかの役割を詐称するのも、みんなみんな「あり」だと信じている。だまされた奴が悪いのだ。つかだますところまで君の情動を突き動かした俺の手腕を褒めやがれとか、そういうことも嘯いてみたくもある。 人様の書いたものを読ませていただくときにも、できれば俺は上手にだまされたいとは思うし、だまされることで俺が何らかの情動を引き起こすのだとしたらそれ自体が読書の快楽だと思っている。 だから御願いだから、嘘をつくなら最後まで上手についてくれ。敬愛する中島みゆきの歌のタイトルではないがどうか「永遠の嘘」をついてくれ。 ---------------------------- [短歌]/山田せばすちゃん[2007年4月4日4時58分] 加護亜依と愛し合っても構わない私にはその価値があるから by斉藤斎藤 加護亜依と温泉旅館に行ける日を願つて明日こそ禁煙をせめ 加護亜依と愛し合ひたるオヤジより年嵩である事実もあらむ ぽつねんと取り残されしののたんはシングルUとなるも叶はず ---------------------------- [短歌]詠題「踏切」あれこれ/山田せばすちゃん[2007年6月21日18時39分] ●赤旗が挙がりて暫し少女は踏切見詰む砂も払わず あかはたがあがりてしばしをとめごはふみきりみつむすなもはらわず ●廃線となりて久しき踏切に草笛を吹く嬰女のあり はいせんとなりてひさしきふみきりにくさぶえをふくわらはめのあり ●真夜中の貨物列車が踏切を行き過ぎるまでキスをしやうぜ まよなかのかもつれっしゃがふみきりをいきすぎるまできすをしやうぜ ●警報機喧しくも踏切の軌条を枕に生涯を閉づ けいほうきかまびすしくもふみきりのれーるをまくらにしやうがいをとづ ---------------------------- (ファイルの終わり)