norif 2008年7月15日6時11分から2008年10月18日9時33分まで ---------------------------- [自由詩]レタス/norif[2008年7月15日6時11分] ばたん―― ドアがしまるような 収穫の音がして、巻きあがる 走り去ったランナーの 一陣の風 よみがえる まなざしの白さ、 青い息 ゆらぐ光彩に ぼっ と一点とどまる 夏の畑 の朝 とおく林の配置が きれいな姿勢をたもち そよぎ交わすのが見える ゆっくり陽がのぼる ガリッ 畑のレタスを 一枚齧る 朝露が 飛んだ ---------------------------- [自由詩]キッチン/norif[2008年9月29日8時02分] するとすべて こうして、秋が呑む飴色の庭に流れ入る日々 立ち尽くすことはできないから倚りかかると ステンレスの台がたわむ 窓の 外 暗く黄昏れる湖 刷毛の肩に金のほつれ毛          月の 抛物線にかかる 秋 風 … 強火の中、 黒マントの奥で 後ずさりするフライパン に 粘る履歴書を溜めて 涙色に一気に絡める ---------------------------- [自由詩]アケビ/norif[2008年10月18日9時33分] 縦に瞼をひらく半円形の港 回転扉を転がす いくつもの歳月 このひっかかり具合に画さ れカサコソ枯葉が散るから 浴槽のなかで手 拭を頭にのせ、石柱はすこしいい気分になる てんでばらばらに転がるのだから水府への道 は彩々さ(もうこれはとてもいい風…だから ゆっくり裏表紙を閉じようとする天蓋 ビル の各階を仕切るまで肋骨がぎしぎし痛む角を まわる …と磐のアケビが沖へからだを拓く 翻ってしろく染め抜かれた海風は笑うと帰る ---------------------------- (ファイルの終わり)