あおば 2014年8月8日7時36分から2015年6月16日9時05分まで ---------------------------- [自由詩]ギム/あおば[2014年8月8日7時36分] 『夏休みをとるのは権利ではなく ギムです 義務です 大麦でも小麦でもメリケン粉でもありません 精一杯日を浴びて 黒金色になるまで家に帰ってはいけません』 大統領府の前に太文字で鮮やかに記されている 儀式化した看板のようなものだねと 自民主党党員があざ笑う中を 僕たちの子供たちはうれしそうに眺めては 海に行ける日を指折り数えて待っている 気短な男たちは、特攻登山で顔だけを黒金色にする 本人は平然としているが 目ばかりギラギラさせて、街中でも異彩を放っている ---------------------------- [自由詩]空爆/あおば[2014年8月13日15時44分] 空爆と聞いて 耳を向けなおす 空からぱらぱら爆弾が降ってくるのかと思ったら 今では空から砲弾が狙いを定めて飛んでくるようだ お人好しの爆弾、意地の悪い砲弾 どちらが御気に召しますかの声が幽かに聞こえてきたような気がしたが 何度か繰り返された空爆のニュースを耳に留めながら腹が膨れるまでもぐもぐ飯を食い きわめて原始的な情緒だと思いながら消化薬を飲む ---------------------------- [自由詩]乱暴者/あおば[2014年8月24日11時00分]                140824 乱暴なのだよと言われた 狼藉を働いたわけではないが 乱暴に物を放り投げては 置きやすいように並べる 適当に積み重ねる 見た目も悪い 効率も悪いし やっつけ仕事の典型だね 古い記憶が忠告するが 物と化した習癖は直らない 電車に乗って甲子園に行く 準決勝なので、2試合しかないけど 決勝よりも気合が入っているから 楽しめますよと見てきたようなことを言う なんでも、決勝戦は、両校ともボロボロだから 最後は根性がしっかりしているほうが勝つ 技術的には、すこし乱暴だよ そんなことを言いたくなって 草臥れた自転車に乗る 電車に乗るには 未だ 根性が出来ていないのだと 自分に言い聞かせながら・・。 ---------------------------- [自由詩]昨日のかぼちゃ/あおば[2014年8月25日7時51分]              140825 かぼちゃがへんなになっちゃった 丸くなった父が寝言を言う 雨が降り続き天候不順だから育つ前に腐ってしまったのだろう よくあることといえばそれまでだが 丸まった父の背にカボチャも貴重だった食糧不足の時代背景が張り付いていてどうにも剥がせなくなっている すこしでも美味いものがたらふく食いたい子供たち 家庭菜園にも襲い掛かる無慈悲な長雨という名の天候不順 スーパーでは石焼芋が売られている この暑さにと怪訝な面持ちで覗き込むのは私だけかもしれないが 冬にトマトやスイカは食べないという律儀なお人も居て 遣唐使を迎えた頃の長安の都には 温室があり一年中どんな野菜も供給できたと聞くと 俺の意識は古すぎるのだろうか だとすると父はどうなのか 何度かぼちゃを植えても満足に育てたことの無い俺はなにもいう資格が無い 茹でたかぼちゃを美味いの不味いの言いながら 買いすぎたかぼちゃに責任を取らせようとしている ---------------------------- [自由詩]その日、風鈴の割れる音をきいた/あおば[2014年8月26日10時18分]             140826 ニイタカヤマノボレの暗号に 我勝ちに風鈴を粉々に砕いた 冬の最中にわざわざ探し出して割ることもないのにと思っていたら なにごとも徹頭徹尾完済しないでは置かない目に居竦まれ 風鈴を所持するのは軟弱な非戦主義者だ、非国民だと罵られ 向こう三軒両隣の恥とされ、下手すると村八分にもなりかねない それ以来、我が家にガラス製の風鈴が来ることはなかったが ある夏の日、青銅製の薄い風鈴が北の軒下に下げられ 可憐な澄んだ音を立てていたのを記憶する 煩がる隣人に遠慮したのかすぐに撤去された軒忍もない軒下には 暑い乾いた風が屯してざらざらした砂埃も堆積し目を向ける人もなく 居場所のない粗末な風鈴がどこに往ったか今では探す術も無く 耳の奥に微かに残るチンリンカラコロたおやかな音色だけが 彼の儚い存在証明となっている 短い夏の思い出に軒忍に下げられたくっきりとした絵柄の風鈴 爽やかにたおやかにはしゃぐ姿も記憶の底にだけ踊っている 風鈴が割れるのは犯罪者の仕業ですと刷り込まれたこぞの冬 初出「即興ゴルコンダ(仮)」   http://golconda.bbs.fc2.com/   タイトル提出は、ほしこさん。 ---------------------------- [自由詩]筋違い/あおば[2014年8月27日17時41分]             140827 その筋のものですと あいまいに返事したら 無視された 厳格な言葉以外は通用しない 某ですと名刺を通じたら 通用門が開いた 監視カメラは厳格なのだと 今更に思う 風林火山が爆発と 小声で呟いたところ 門は急に閉じた 危うく入り損ねるところだったわいと 呪文を忘れたカシムの悲劇を想起した 個人的な感情抜きで行動するのは 意外と疲れることを知る 妻はお疲れ様とも言わないで 済ました顔して家事に勤しんでいる 子供たちは塾に行ったのか誰も居ない 筋違いなことを考えても無駄と悟る ---------------------------- [自由詩]明日から学校/あおば[2014年8月29日8時34分]           140829 バケツをガンガン打ち鳴らし 村中の家から家へ いよいよ明日から学校だ! 昼間は勉強が出来るんだ! 祭り囃子より素早く届けられ どんがんどんがんやかましい そんな話、いつの時代、どこの話 厳しいつっこみ少々狼狽え そんな話があったら愉快だろうな 情報メディアの乏しい頃には どこでもいつでもよくあったのさと 頭を掻いた バケツをガンガンは我が非体験で デマも学校伝説も厳しい教育環境の 地元に発生するのさと自己弁護 寝惚け眼の宿題やらない子供らに 新学期へのモチベーションアップを 少しでも期待するのと学校教育に 非協力な地域住民へのアッピール テレビもない時代のささやかな楽しみ あの先生、今年も来るかなと 穴あきバケツを手に戸口で待ち構える 無邪気な子どもの期待に満ちた信頼性 バケツをガンガン行列練って憂さ晴らし あすは楽しい新学期! バケツ投げ捨てオッス! 初出「即興ゴルコンダ(仮)」   http://golconda.bbs.fc2.com/   タイトル提出は、クローバーさん。 ---------------------------- [自由詩]我が身/あおば[2014年8月31日18時58分]           140831 私のことですか 振り返ったが 誰も居ない いつもの幽霊か 亡霊だろうと 気にしないで進む 私以外に 私のことに気を使う暇が あるわけ無いジャンと 思うからだ 遮蔽された領域 アナタのことを いくら考えても 分からないのは 当然ですよねと 背後で囁く声が 届く訳もないね ---------------------------- [自由詩]たまご/あおば[2014年9月1日14時09分] 大型の 台風23号は 太っちょのトカゲ のっそりのっそりと 近づいてくる それなのに 生まれたばかりの 鉄人28号の子供たち 錆びることがない 超合金の裸ん坊 大雨が降りしきるのに きゃっきゃ きゃっきゃ はしゃいでる ぼうやたち 怖い台風が来るよ 早く家にお入り 大きな声で叫んでも お母さんはのんびりと 配給の卵を茹でている 天皇陛下万歳 大日本帝国万歳 勝ち誇った 鉄人28号の大声に どんな雨の音も届かない トタン屋根の穴を塞ぎ 軍管区司令部情報を聞いてから 今夜も みんながすぐに食べられるように たくさんのゆで卵の皮を剥く 旧作 太っちょのトカゲ 2004年発生した台風23号のこと ---------------------------- [自由詩]モビルスーツを試着中/あおば[2014年9月2日10時15分]         140902         秋のニューモデルを陳列中 流行色系統を中央に添えて 水玉模様も少しだけ 今年の流行はスリムでしなやか 最高速度より燃費と飛び心地 安全性はもとより保証つき お買い得価格に設定してあります 須磨穂でご注文の方には ポイント倍増サービスも どんな服でも着せてしまえば こちらのものと主任は恵比須顔 こんなものですよ それが当たり前なのです 違和感は最初の10秒だけで すぐに手離せなくなりますよ 殺し文句を反芻しながらの再就職 なにしろ 近頃は故障することはなくなったので 保守点検部門は閉鎖される一方で こちとら職人気質の仕事は 破壊テストに立ち会うくらいなもので 最速がマッハ0.8までに規制されてからは ゼザインとカラーコーディネイトに軽さ それに尽きるといっても良さそうです 価格を決めるのはブランド名だけですから 売るのも案外気が楽ですよ 試着中は黙って見守るのが当店の決まりです♪ 初出「即興ゴルコンダ(仮)」   http://golconda.bbs.fc2.com/ ---------------------------- [自由詩]インクを新しく買ったので印刷に熱中中/あおば[2014年9月5日19時59分]             140905 有事の際は 可及的速やかに応援に駆けつけます よく聞いた言葉だと思いながら 的とは何だ 適当だなと 敵の定義を 難燃化する インクジェットプリンターが現状では一番色彩表現範囲が広いようです へどもどしながら、前を見つめる 質問者が誰だかわからない もちろんインクの品質が同じ場合の話ですがと 感熱式へも愛想を尽くす なにしろ 今年39歳なのだから、たいしたものだと、テレビ解説がルルノベルのを 気にせずに プリンターは屈託ありげに水平移動を繰り返す そのたびにプリンタを載せた小テーブルが揺れて 地震のような動きを示す PDFファイルのプリントは手間がかかる たった100ページなのに画像が多いためか 画質を最高にしてあるのが悪いのか 小刻みに揺れ動くようにプリントを繰り返す その間に連続ドラマを見るつもりが 突然の即興氏への接待に応じないといけません 一歩一歩歩くようにプリンターは紙を吐き出し 果てが無いようだ 紙の補充を怠らないように インク切れに注意 レーザープリンターにしたいのですが 重いので、小テーブルには載せられませんし 初期投資も大きいので当分インクとは縁が切れそうもありません コンビニに行ってレーザープリンターを使えばいいジャンと 金遣いの荒い知人が物知り顔で言い放つ 数々のファイルを処理した我が安物プリンター君 純正インクが高いのが困りものです 純正以外だとトラブルが多くて、安物なのに高級インクを欲しがる 甘えん坊だといつも思っております。 引用=初出「即興ゴルコンダ(仮)」   http://golconda.bbs.fc2.com/   タイトル提出は、ぎわらさん。} ---------------------------- [自由詩]毎日のこと/あおば[2014年9月6日19時41分]           140906 日々の営みを忘れ 食べることも 飲むことも そのうち眠ることも 忘れた 思考回路が断線したらしいと 修理工は慣れた手つきで チェッカーを近づけた チップごと交換するか 無言で頷いてから チップを交換する その間僅か数秒で 修理代は8万ゲラス 家が2軒建つ価格だが 本人は一向気にしない 日々の営みは平然として 過去からを拒絶した 修理工は酒が好きだから それだけが楽しみで稼ぐ 空を見ながらぐぃと1杯 それだけで好いのだった ---------------------------- [自由詩]硬度10の憂鬱/あおば[2014年9月9日11時21分]             140909 詳しくはこちらへのアイコンに 思わず指先に力が入る 1文字1文字写し込む案内文が 急に読みとり難い細かい英数字となった ペン先が微かに震え 文字が掠れるを意識する 諦めてクリックすると 瀟洒な佇まいの門構え 昔は本陣だっと誇らしげ 高価そうな雰囲気に今回も参加を諦めた 鉛筆書きの達人と自惚れていた日々 すらすらと3行分は一度に写していた 硬いペン先を濡らすブルーブラックの青が 早く早くと急きたてるのに 1文字1文字を確認しながら写してゆく 写経の筆だってもっと素早く走る そんな文句は納戸に押し込め 人造ダイヤのカッターで 虎の子の刻印ものの真空管を輪切りにしたい 身分保障の刻印の静謐を奪われたからといって どこにも文句を言えないを承知の狼藉だ 引用=初出「即興ゴルコンダ(仮)」   http://golconda.bbs.fc2.com/   タイトル提出は、クローバーさん。} ---------------------------- [自由詩]猫/あおば[2014年9月10日18時37分]                140910 不思議な国のアリスには、チャシャーキャットなる奇怪な猫が登場します。 独立心が強そうなので、誰かのペットとも思えず、かといって人を恐れず 野良猫のようにも思えず、不思議な猫として職業住所年齢性別なども不詳として扱われております。 本題に入りますが、彼の猫の他の猫との相違は笑うということに尽きます。他にも姿を隠したり空に浮かんだり、不可思議な特性も示しますが、それらは他の猫でもありうることとします。 作者はここである秘密を明記する誘惑に駆られて書き出したのだが、やはりまだ時期尚早、明記すべきではない、といわざるを得ない。笑う門には福来る、の意味をもう一度考え直してみようという程度に抑えておこうと思う。 猫が笑う、再度、それをイメージしながら♪ ---------------------------- [自由詩]PLANET NEWS LEVEL 7/あおば[2014年9月12日21時00分]            140912 先生! 謝罪公告読みましたかの声に こっそり安堵の息を漏らすハラスメント 今日も、 改竄された記録を書き写す児童たちは 退屈して鉛筆を嘗め回し窓の外を見る 愉快な楽団員募集に色めいてふらふらと 学童疎開中の細長い校舎裏、小川に墜ちる LEVEL 7 の文字が辛うじて読めたが 鈍色の魚影の中では漣に掻き消され・・ 作文はもう飽きた飽きたと叫ぶ引率教師の 艶を失った額にも汗が光り、書かせた作文を 絶対に読もうとしないで大掃除させる教頭 イモ洗い不動産の創立記念日に聞かされる逸話 ワープした時代が悪すぎたと反省の色も見せずに 静かに席を立つミサオ 敵の秘密兵器をこっそり分解して始末したとは 誰も作文には書かなかったが、古臭い黄色の丸い ボイスレコーダーがバッチリ記録していたが、放課後 中学生の一団がボール代わりにキックしたので 泥だらけになり色目も失い裏の小川に放り込まれた 50年に1度の集中豪雨で流され流れついた海の底 あっというまに10億年が過ぎたので一切が消えた 模様。 以上、PLANET NEWS LEVEL 7 より要約いたしました 引用=初出「即興ゴルコンダ(仮)」   http://golconda.bbs.fc2.com/   タイトル提出は、阿ト理恵さん。} ---------------------------- [自由詩]カレーライス/あおば[2014年9月17日16時13分]           140917 メニューと聞くと カレー カレーと聞くと 平べったい魚だ ライスは何処に行ったのだと 3等兵に探させているが 今日中には見つかりそうもない ライス抜きのカレーをパンで拭う 緊張感の抜けた夕食 腹いせに全員射殺したが 脳内イメージでの出来事だから 実際はなにごとも起こらない 3等兵は射殺されたことも知らないで 隠し持った ピリリと辛いカレーライスを食べている 緊張感が戻ってきたので本日は解散 真っ暗な夜が世界を支配した ---------------------------- [自由詩]猫と信号機/あおば[2014年9月20日20時33分]             140919 運命的な出会いだったはずなのだが・・ 認識する間もなく信号が青になり 人々は一団となって渡り始めた 追いかけることなんて無理だ 見失ってしまったアメショーのX 暫くしてよく似た子猫のYがやって来た それから10年が経ち Xのことは忘れていたが 君は理想を追い とうとうそれを身に纏ったとのこと 僕はいつもの歩道をうろつきながら Yとつましく暮らしている 勤務先は信号機製造会社のZです 初出「即興ゴルコンダ(仮)」   http://golconda.bbs.fc2.com/   タイトルは、安藤紅一さん。 ---------------------------- [自由詩]新しい一日/あおば[2014年9月21日23時25分]        140921 空気が乾いた 鼻がむず痒い 花粉のせいだ 体調のせいだ 思想のせいだ 信仰のせいだ 方角のせいだ 地球温暖化が 糸を引いているのだ 賞味期限を過ぎたのに いつまでも大事に抱えているから 性根が腐ってくるのだ 雨が降る前に傘を広げるだ 心掛けを諭された 明日は今日より好転するだろう それを唯一の希望として生きてきたのね なんとも気楽な性格でございますわねの いやみを聞き流し 苦りきった妻子を無視し今日を歩く 初出「即興ゴルコンダ(仮)」   http://golconda.bbs.fc2.com/   タイトルは、こうだたけみさん。 ---------------------------- [自由詩]歌/あおば[2014年10月5日9時48分] ラジオから 古いコマーシャルソングが 聞こえてくる まだ製造販売されているのか リアルな感覚が違和を覚え 希望の持てない時事放談なんか これ以上聞きたくないの 逃避行動を待ち受けていた 落とし穴か 安易に 子供相談にチューニングされた古いラジオ 先日、凄い雑音を発し とうとう壊れたなと 諦めかけた古いラジオ 君 ラジオに調子を合わせるんじゃないよ まだ若いんだろう 中学生の話しっぷりを イライラしながら聞いていた コマーシャルソングが そろそろ時代感覚を変えろと 気の短い突っ込みを入れたのに マイペースを維持し続ける 朴訥な生徒さんの応答に 歌が音を合わせたのかもしれないねとも思う 朝は 妙な時代を引率して来ることもあるようだが 嵐の前兆的事象だとは思いたくない私が居る。 ---------------------------- [自由詩]円形/あおば[2014年11月11日19時39分]             141111 容疑は確信となり 起訴された円形の 古い闘技場の跡 重機が凹凸を均し 鎮魂するかのように 高層ビル群が完成した この古い街では 町という町が錯綜して 姿を隠している晴れの日 フラフープを片手に しなやかな一団が歩いてゆく 緑の幻想が風を吹かせ 町が蘇ったような気がしたが それは一瞬 目を開ければ円形の柵に沿って つむじ風のように気流は上り 攪拌された雲の素を成すと 信じ込まされている ---------------------------- [自由詩]磁石つき/あおば[2015年5月7日22時02分]              150507 からからになった台地を背負う 神話時代の住民たちが大型休日も作り上げた なかなか好い後輩が増えて増えて 今では曲紹介する可能性を ディスクジョキーに託して 空飛ぶ円盤を掃除機に換えて 整理整頓の匠を名乗り 辞書の類をにニソク山門にして 初心者の足を救う小粒の握り飯 磁石付だからどこへも転がらない手を 硬く握り締め バラバラに分解しないようにしてある。 ---------------------------- [自由詩]グッドモーニング トゥー オール/あおば[2015年5月18日21時46分]                   150516 おはようございます! みなさま♪ 何十年ぶりにお会いするのでしょうか 気の早い方は、もうお亡くなりになったりして 馬齢を重ねただけの先生は、少し気恥ずかしいのです だから、彼らの分だけでも長生きして 活きのよい魚の捌き方をご伝授しておこうと 今朝も、出刃包丁の手入れを入念にしてきました なんといっても、包丁は、出刃にかぎります 叩いても簡単には刃こぼれしないし、切れ味も鋭く 使い方次第では、刺身にも使えます しかし、稀に、人を傷つけたりするのにも使う方が 居られ、平和のイメージを損なっているのは なんとも遺憾なことです 粗悪な安物の鋼、では邪心も湧こうものですが 砂鉄と炭という純日本製のたたら吹き精錬法の玉鋼ならば大丈夫 本心から、私は皆様方にも、ぜひ玉鋼を鍛えた出刃包丁を使っていただきたいのですが ご承知のように、玉鋼は、観賞用日本刀の刀匠しか入手出来ないのです 台所用鋼には、もったいないというのが、今ままでの評価ですので ここで声を大にして、玉鋼を台所用にも使えるようにお上にお願いしたいと 願っておりますから、皆様にもぜひ、お力添いを願います それが私の、たっての願いで、それが叶えられれば、なにも言うことはありません 今まで、教師を続けてきた甲斐があるというものです 皆様の玉のような清い心で研いだ出刃の一点の曇りも無い平和な光 なんという美しい、長閑で平和な景色ではありませんか これからは、魂の無い切れない包丁で手を切ったりするのを恐れ 安売りの鯵の干物で我慢する必要は、無いのです 簡単ですが、以上で、来賓としてのご挨拶とお礼に代えさせていただきます。 初出「即興ゴルコンダ(仮)」   http://golconda.bbs.fc2.com/   タイトルは、さわ田マヨネさん。 ---------------------------- [散文(批評随筆小説等)]雨の日のお迎え/あおば[2015年5月23日9時59分]                     150522 表題を見て思い出した 小学生の頃、一度だけ、傘を持って迎えに来てもらったことがある。 当時は、雨傘も貴重品、一家全員自分の傘なんて持っていない お勤めに行く人、優先だったような気がする 子供なんか、雨が降ったら、濡れないところで雨宿りすればよい 誰かの傘に入れてもらったりして、帰る人も居て、友達の少ない私は 暫く、教室で小止みになるのを待つしかないなと、雨音を聞きながら 覚悟を決めていた。小雨の中を小走りで帰ればそんなに濡れやしない もうそのくらいの根性は生まれていた頃だ 授業が終わり、傘を持って何人かの若い母親が笑顔で迎えに来ている うらやましいと思うことも無く、我が家はそんなことは無理なのだ そんな幸せは、他の世界のことで私には無関係なのだと気にもせず 少し放心したように、帰ってゆく群れを注視していた。上手くすれば、同じ方行で 途中まで傘に入れてくれる子が現れるかもしれないないから、少なくなってゆく 同級生の動向を眺めていると、突然小声で名前を呼ばれて、若くはない母が教室の入り口に傘を持って遠慮がちに立っていた。それはとても現実のことには思えずなにも感情が湧かなかったが、やはり素直に嬉しかった。忙しい中を無理をしてきてくれたのだと思いながらもなにも発せず、雨の中を黙って傘を差し母と二人、会話も無しに下校した。 それは文字通り、ありえない空前絶後の出来事で、中学生以降は子供じゃないのだからと迎えに来る人が居るはずもなく、その後は折り畳み傘なども出回ってきて、突然の雨にも雨宿りの大木を探すこともなくなった。 そういえば、近年、退院時の持ち帰り荷物が増えて、一人では無理だといったら、黙って兄が車で雨の中を迎えに来てくれたのは嬉しかった。 {引用=初出「即興ゴルコンダ(仮)」   http://golconda.bbs.fc2.com/   タイトルは、梓ゆいさん。 ---------------------------- [自由詩]ポスト/ドラマがはじまる前に/あおば[2015年5月25日3時03分]                150524 過去問はすべて解くこと それが常識 それがここに居られる最低条件です 過去問が解けないようでは、これから先に進めるわけはないでしょう そんなことも分らないあなたは、もっと頭を鍛えて、知能の持久力を強めなければなりません 頭は頭だけで出来上がっているのでは有りません 腰椎の上には背骨が有り、首の骨が有り、それらの中を神経が通り、身体の各部を制御しているのです。頭を強くするには、まず首の筋肉、背中の筋肉、腰周りの筋肉、安定した骨盤、股関節、大腿骨、膝、脛、足首、それらを柔軟な筋肉で支え、良い姿勢を保つことが出来るのです。 良い姿勢を保てば、頭への血の巡りも良くなり、自ずから知能の持久力も増すわけです。 頭の思考回路のニューロンは使えば使うほど結合が密になり、信号が伝わりやすくなります。過去問を見た瞬間、解法が何種類も同時にイメージとして脳裏に浮かぶようになります。そうなれば、細かく考えることなく、何種かのイメージから姿の良いのを選択するだけでよくなり、どんな過去問も一瞬で解けるようになります。過去問が一瞬で解ければ、はじめて見る問題だって、ある程度まではイメージできますから、イメージできないところだけを精密に検討すればよいわけです。たとえれば将棋の名人が、とても人間業と思えない能力で最新のコンピューターソフトを打ち破るのと似ております。 過去問は、調べれば必ず解法が、どこかに載っております。解けない過去問の解法は、すべて独力で解くのが基本ですが、それをやっていると、時間が不足して、年を取り、頭の老化とも戦わなければならなくなります。そのように物事にはすべて採り入れの時期が有ります。時期に遅れないように知識も得なければいけません。一瞬足りといえど、のんびりしていては、時期を失います。詩を読むのはともかく、書いたりするのも殆どは時間の浪費で終わります。それはなぜかというと、頭を現実世界から、何もない想像中の世界に移して、そこでの出来事を、独創的に見えるだけの意味は同じ言葉で、記す必要が有るからです。過去の詩は、すべて同じ世界のことが、少しだけ違う角度で解析し表現してあるに過ぎません。過去の詩をいくら覚えても、すべては、予定調和に過ぎなくなるからです。一人で表現している限り、すべては過去からの引継ぎとなるのです。ですからドラマは複数の人間が、安定するかしないかの、アンバランスにすら見える、各人の想像上の世界をレイヤーのように重ねてはずらすしながら時間の枠を超えるように見えるように表現する、それが、新しい演劇の基本なのです。数学の過去問が、一瞬で解けないあなたには、とても参加するのは無理でしょう、独創力は、生まれつき備わっているものに、たゆまない修練と否定の繰り返しで養われるのですから、過去問が解けないと、ぼやいているあなたには、このドラマを見る資格さえないような気もしますが、三階の隅にまだ空席が有るようですから、私が今言ったことが本当かどうか、一度体験してみてください。過去問が解けるようになったら、もう一度、いらして下さい。入団者は、年に二人分しか定員が有りませんから、相当の難関だということが分ると思います。姿勢を正して、毎日を健康に過ごすこと、それが基本です。 基本のきの字は宇宙の始まり、音楽の始まり、楽符の非既存時を気にするようでは、この世でも軽く扱われます。勇気を持って、早寝早起きを致しましょう、自律神経の中枢は脳ではなく、胃の神経が、脳に知らせて作用を確保するのですから、美味しいものを適度に召し上がり、歯磨きも入念にして虫歯を防ぎましょう。虫歯は、神経を痛めついでに、虫歯菌を体内に巡らせて、病気の原因を作ります。患部からの痛みの神経信号はすべて脳に通じストレスとなり、乏しい知能をますます弱めます。 ですから、身体も健康でなくては良い芝居は出来ないのです。頭が良くて、身体が良くて、若い活力と意欲のある、そんな団員が、演じるというより、奏でる、通奏低音にも似た、心地良いリズムから、なにを感じるかはアナタの現在までの知的履歴を評価するのです。居眠りしたとしたらアナタの知能は、子の世界には適性が無いことの、一つの証拠です。意味の無い声を発して椅子を揺らしたりしたらそれは、現実のモラルの理解不十分の証拠です。あっ、ブザー鳴りましたね。三界の右の隅の席です。失礼致しました、この世界では三階と言うのですね。三界に住むところなしとはほんとによく言ったものと改めて寒心いたしますが、それでは、ごゆるりとご覧ください。「家無き子の歌が聞こえる」の夕べはまだ少し薄ら寒いですがね、 過去問は過去問、問わず、語らずが、原則なのですが・・、料金徴収しなければなりませんので、毎度おなじみのでたらめな台詞を述べるのも、役者修行のうちだと先輩は言うけれど、信じられません。 初出「即興ゴルコンダ(仮)」   http://golconda.bbs.fc2.com/   タイトルは、さわ田マヨネさん。 ---------------------------- [自由詩]奥の堂、風の堂/あおば[2015年5月30日20時19分]            150528 二者択一の条理を尽くす侍の目が光る もうすぐ壊されるお堂の屋根を通して 月の光が見えた 寂しさも無常も感じなくなって数年間 獣に近い感覚と感性を懐に何も考えず 横になるやすぐに眠る 眠りながらも敵性の音は感知できるから 今まで生き抜いてこられたのだ。 風の強い夜は光も冴えて、敵性の物音も 優しく溶かしてくれる そんな優しい光が彼は好きだった 風の強い時だって、不安は無い 達人の域に達した彼の感覚は 常住坐臥穏やかに居られる 数年後には、どこかの住職となり 屋根の穴を塞いだりして村人に慕われているかもし れない 風の無い夜に湿気を感じながらも起きている私の 皮膚は乾いていて、まだ未練を募らせているようだ。 初出「即興ゴルコンダ(仮)」   http://golconda.bbs.fc2.com/   タイトルは、洗剤イヤ子さん。 ---------------------------- [散文(批評随筆小説等)]マグニチュード8.5/あおば[2015年6月3日0時05分]                      150530 今晩、8時半頃、ベートーベンの交響曲をかなり音量を上げて聞きながら、メールチェックなどしていたら、部屋の隅から何か音がした、なんでだろうと思いながらPC操作していたら、そのうち部屋がゆさゆさ揺れだす。かなり遠くの地震だからと余り気にせずPC操作していた。しかし、揺れが大きいので震源地が気になりラジオに変えて地震情報を聞いたりしているうちに、寒気とともに身体のあちこちが妙に痛くなる、自分では気にしていなかったが、かなりな精神的ストレスだったようで、ドーパミンが不足して、僅かな痛みを異常に強く感じたらしい。それから1時間以上たち、痛みが薄れてきた。こんな経験は初めてだ。マグネチュード8.5の地震の威力を再認識した。 ---------------------------- [自由詩]眼鏡。/あおば[2015年6月8日9時20分] 150606 めがねの度が合わなくなってきた またお金がかかるわね 本を買うお金がこうして消えて めがねをかける必要の無い 兄弟姉妹が羨ましいと思う そんな青春を終えて 請われて出かけた満州国 めがねを掛けていて良かったと 思う 少し卑劣な感覚だけど 日本人でよかったと思う それと同じようなものだ 帰国の夜汽車の中 夢も見ないでうとうと眠る 故郷の東京に帰る 東京の田舎に帰る 冬でも集中暖房で 蛇口を捻れば いつでもお湯が使えた満州のお屋敷から 床暖房でほかほかの自分の部屋から 井戸で水を汲み釜に入れ 土間の窯で沸かす 暖房は囲炉裏だけ 火鉢を使ったことあったかしら 雪は余り降らないけれど 寒い冬の冷たい水仕事にも耐えねばならない そんな日本の東京の田舎に帰るのだ 夢みがちの満州国での生活と厳しい現実的な日本国と 比較するのは無理なのだ 無理を承知で生き抜いても めがねの無い生活に戻れないように めがねに合った顔になっていた 初出「即興ゴルコンダ(仮)」   http://golconda.bbs.fc2.com/   タイトルは、梓ゆいさん。 ---------------------------- [自由詩]うつけもののささえ/あおば[2015年6月9日21時54分]                 150609 死刑廃止の署名にサインして いつも僕をリードする勝子が A4用紙を突きつけた 住所氏名を手書きで書くのだ 署名の目標は100万名だと 少し、大き過ぎるのではと言ったら なに国民のたった1パーセント以下よ できれば1000万名なんだけど 流石にそこまでの自信は持てないわ とりあえずはこの町内の良識ありそうな人から 考えることの苦手な人 死刑制度を認める人も含めて8割くらいは 署名させるつもりよ 死刑を認めるのは弱虫なのよ 弱虫の虚け者よ、勇気も覇気もなにもかも どこかのヒーローに預けて利息を貰いたがる けちな人よ 勝子の論理はいつも正しく一直線に人の心を打つ だから僕は素直な気持ちですぐに署名に応じたのだけど 素直になれない人も居るだろうなとは考えている 最愛の人を惨殺されたりしたら、その犯人を素直に許す そんな心境にすぐに成れるだろうか 無理して許しても無理が破綻して違うところに怒りが向く ことになるのではないか 勝子が酒酔い運転の車に轢かれても、署名活動を僕は 続けられるだろうか 縁起でもないことを考えた途端 戦場で敵兵を撃つのは犯罪ではない 無論、死刑にはならない しかし、撃たれて殺された敵兵にしてみたら 裁判無しに銃殺されたことと同じだ 双方が相手を殺す平等の機会を与えられているから 死刑と同じではない 死刑とは反撃を許されずに一方的に殺されるのだとも人は言う しかし、そんな、平等に機会を与えられていることなんて 滅多にあるまい 殆どは、隠れている射撃手に知らない間に撃たれるのだ 空からの爆撃だって、反撃のチャンスなんて、少ない 国家の認める戦争と個人の犯罪を同じに考えるなと言われそうなので 此の辺で考えを中止するが、虚け者を撃つ獣と先に変換する 僕のPCは案外本質を突いているような気がして 勝子の親はなんで、勝子なんて勇ましい名前を与えたのだろう それは、気が弱くて、苛められる子にはしたくないとの親心か 負けるより勝つほうが気分が良いから、気分の良い名を与えたのかもしれない 負子、なんて名を聞いたことは無いから、勝子は案外、良い名なのかもしれない。 初出「即興ゴルコンダ(仮)」   http://golconda.bbs.fc2.com/ ---------------------------- [自由詩]石ころを、たべる/あおば[2015年6月12日22時35分]             150612 カニバリズムを連想する社会 兵士は食料を持たない 現地で調達するのだ 後方支援の乏しい旧日本軍兵士は さぞかし、苦労をしただろう 現地調達て言ったって 金を払って農民から買うならまだしも 相手の無力をいいことに、略奪した兵も いただろう 確かに、昔の武士は盗賊とほとんど同じで 武力集団を作り村々を襲った 武力集団の中でも力のあるものが、配下を増して 大将として支配して、支配地域を増し、国を作った 異国へ遠征する時は 食料を持たない兵士は食べるものが無くなると 殺した敵を食べた 食べられた者も死後のことだから不平は言わない 食料を持たない身軽な兵士は強かったのかもしれな い 人が人を食べなくなった、最近の戦では、敵兵を食 べることはしなくなった なぜしなくなったかというと 兵のふだんの生活水準が上がり、人の肉を食らう習 慣がなくなったのが一番大きな原因かもしれない 猿の肉もあまり食べなくなった 秋猿は嫁に食わすなという俚言がまだ伝わっている のだから 栄養たっぷりの秋のニホンザルは美味しいらしいの だが、なぜか、最近は食べないようだ 鹿が増えすぎて山の木を枯らすようになり、生態系 のバランスを乱し災害を引き起こすようになった最 近では、鹿を食べようと動きもあり 学校給食にも取り入れられるかもしれない 増えすぎた野生の鹿を食べるのには余り抵抗は無い ようだ 石ころに過ぎない身では何を言っても建前だけのお 上品なお上には馬耳東風と身に沁みた今晩 横柄な敵兵をやっつけてむしゃむしゃ食らう夢でも 見るかと、ちょっぴり考えているが 夢でも味を感じることがあるから止めたほうがいい な 初出「即興ゴルコンダ(仮)」   http://golconda.bbs.fc2.com/   タイトルは、待子あかねさん。 ---------------------------- [自由詩]How you doing!? /あおば[2015年6月16日9時05分]             150616 省略して説明されたから 根本原理は皆目わからず ただ、製法が分かっただけ 説明どおりにすれば それなりのものが出来た 競争相手も同じものを作り 価格競争を仕掛けてくる 規模の小さいわれわれは いつまで、耐えられるか 材料の仕入れ原価からして 割高なのだから 元々、利益が少ない 競争に負けるのは必然的だ 社長は、ノウハウを聞いてきた われわれを知恵の足りない連中だと 苦虫を潰したような顔でいう かといって、打開する方法も無く 商売換えでもしようか それとも、もう一度銀行を説得して 製造設備を改善して、無駄を無くし 儚い抵抗をしようか、迷っているようだ 根本原理を気にせずに製品を作ったわれわれは なんと言うばか者と思うけど 今から、根本原理を学ぶ時間も頭も無い できることならば、優秀な若い技術者を雇い 根本原理から理解させて、コペルニクス的転回を 図ってもらいたいものと思うのだけど わが社には、理論に秀でた優秀な若い技術者など、入社するわけが無い、年老いた学者を顧問に来てもらうのが精々で、新しい技術にはなかなか対応できないのが現実です。それを良く分かっている社長は 日に日に食欲が失せ、痩せて貧弱な顔つきになってしまった これで、もうおしまいかなと、誰もが、諦めかけた時に 某国の債務破綻で、世界的な株価低下、恐慌の恐れさえ感じられ、生産規模の大きな競争相手は、需要低下で操業率を落とすしかなく、人件費負担に耐えられなくなり、その上に、気の緩んだスタッフの考案した新製品が、まったく売れず、株価は低迷するばかりで、経営陣は、株主からの攻撃に耐えられず、この分野から撤退を決め、工場設備、工場敷地も売却して経営のスリム化を決定、リストラ策も断行し単年度利益率をなんとか黒字にしようと図る。 元々たいして需要の大きくない分野に参入したのがいけないのだと経済評論家もスリム化を評価したので、株主たちもなんとか納得したようだ。 わが社は、競争相手の撤退で供給が減ったこともあり、自転車操業ながら、今日もなんとか操業している。社長の顔はまだ痩せたままだけど、そのうちまた自信を取り戻し、運も実力のうちとか自慢することであろう。待望の、理論に優れた優秀な技術者の入社の見込みは無いから、各自が、経験の積み重ねで、製品の品質向上を図るしか現在は手段が無い。抜本的改良の手段は、基礎的理論の理解無しには不可能だから、定年退職した理論に強い技術者を顧問に雇い、意欲的な連中に基礎から学ばしたらどうかと、会議で発案したが、自転車操業にも慣れて、スリルを快感にも感じるようになった社長や部長は、そんな予算どこにあるのか、何年で目的達成できるか、そもそも、来てもらう人物に当てがあるのか、鋭い質問を投げかける。ボランティアできてくれる物好きな人物でも探そうかと夢想する会議の後の虚無的な時間はあっという間に過ぎた。遅刻常習犯の自分は、なにかあったら、勤務態度が生ぬるいと真っ先に、リストラされそうな気もして、慌てて電気を消し、今現在、眠ろうと努力している。 初出「即興ゴルコンダ(仮)」   http://golconda.bbs.fc2.com/   タイトルは、阿ト理恵さん。 ---------------------------- (ファイルの終わり)