あおば 2013年8月30日21時37分から2014年3月10日22時52分まで ---------------------------- [自由詩]どこまでも続いていきそうな予感/あおば[2013年8月30日21時37分]                 130830 明日の気温は36度を超える予報です 夜間の最低気温も28度ですから 熱中症には充分お気をつけ下さい 丁寧な物言いを聞きながし 誰かの 命令を上意下達しているだけではないのではないか 人民の意志は完全に無視され続けているのではないか 現金は残っていないと言いながら 千分の一秒を争う投機筋が相場を左右しているのと同じだと 聞いたばかりの知識を披露する 怪我人はいないと まず報道してから 土砂崩れの無惨な映像を流す 行方不明の方が声を張り上げることも出来ずに 流されているかも知れないのにと 猛烈に熱いテレビの前でため息をつく 明日も暑いのが続くが 毒ガスよりはましだと思いたい ミサイル攻撃よりも楽だと思いたい 雨が少ないのが気がかりだが 地下街が水浸しになるような 土砂降りだけは願い下げと 虫の好いことを願っている どこまで続く泥濘に旱 少ない餌を奪い合い トノサマバッタの変色が完了するには 2世代必要とのことで 沃土への大飛行に間に合うことが出来るかは 誰も予想できないようで株価の変動が忙しく刻む ペースメーカーがぶっちぎりで優勝することもあるから 42.195キロメートルには一瞬も目を逸らしてはならない そのためにも白バイ警官の先導は必要なのだと バイク評論家は自説を曲げない 競技場内では先導しないのだから その説は受け入れられない 枝葉末節にこだわる隙に 小柄な選手が笑顔でテープを切った 予想外のハプニングだったが それに関しては誰も詳細を述べない データーがないとなにも喋れないのかと 視聴者は白い目を向けて リモコンを押し 座を立って ジョッギングに出かけた 次の勝者は誰だ 声なき声の期待に応えるのはいつもデーター不足の選手だと 筆者は言いたいように書き続けているが そろそろ諦めた方が身のためだとなんとなくわかっている 初出 「あなたにパイを投げる人たち」の即興ゴルコンダ(仮)   http://anapai.com/tanpatsu/goru/   タイトルは、クローバーさん ---------------------------- [自由詩]羽矢と霧矢/あおば[2013年9月3日0時18分]               130903 ほい! 無防備のままに 投げ出された女の主体を 無自覚に踵で踏んづける 宿命的に対立の朝 鈍い目をした顔だけの男は 足音も立てずに目を背ける ハイヒールの踵が踏んづける ローファーが跳び越えて スニーカーは蹴っ飛ばし 生み出された僅かな隙間を 半長靴がどかどかと音を立て 長靴の列が蹄を鳴らし 訓練は首尾よく終了したと 9月2日が暮れる 9月3日の約束は あっさりと無視されて お祭り広場には催涙瓦斯が漂い サリンのお迎えの準備を調える 存在をお迎えするのが怖い方々が 花束を解き 煌びやかに祭壇を盛り立て 存在世界を祝福しているみたいだ 日時を違えたそそっかしい者だけが 内幕をかいま見られるのだとしたら ハネヤとキリヤの乳姉妹が 両手を繋ぐようなものなのだろうか その様を上空から伺うと ○印に見える日と ×印に見える日とがあり 右手は右手 左手は左手とで手を繋ぐとしたら 双方互いに両手を交差させる必要があり その結果を俯瞰すると×印となる ○印にしようとしたらと 双方、差し出されて左右の手を繋げばよい 弁解しょうもない失態をしでかした宵は 鏡に映った顔を眺め 手を伸ばして握手する練習をする 都合のよいことに 姿見に映った本人とだと 右手と右手 左手と左手とを繋ぐと ○印になるのだと気がついた 詭弁だと知りながら もう一度姿見で確認する 初出 「あなたにパイを投げる人たち」の即興ゴルコンダ(仮)   http://anapai.com/tanpatsu/goru/ 少し書き直しました・・。130903 ---------------------------- [自由詩]ご自由にお取りください/あおば[2013年9月6日19時38分]                130906 五重にお取り下さい と聞こえたので 5枚頂いたところ 白い目で睨まれた 翌日は ご自由にお取り下さいと 白い紙に 達筆で認めてあった これは 私への当てつけなのかそれとも 達筆を世に知らしめたいのか 素直な心がだんだん歪んでゆくのを覚え なにも書いてなければ 好かったのにと思う 先日別の会場を訪れたところ 入り口ドア横にフライヤーが慎ましく置いてあり ここでのイベントの告知だろうと 帰り際だともらい忘れるから 入る前に一部頂いた カバンに入れる前に 瞥見して驚いた 本日の特別企画の告知で 只今将に公演中のようだ 加えていつもは無料なのに 本日は大勢のゲスト出演もあり 料金を払わなければならないらしい なにも知らないで入れば好かったのにと 手に取ったのを少しだけ後悔する 入るか入るのを諦めるか どちらかに決めなければならない 開催中の今入場すれば 熱演を疎外する邪魔者と 満員のお客様の冷たい眼と対峙しなくてはならないなとも思う 所詮こことは縁がなかったのだと 辺りには誰もいないのを幸い すごすごと退散する 蝉の声がやけに喧しく 揶揄しているのか それとも夏を謳歌しているのか知らないが バス停までの距離がやけに遠く感じたのは確かだった 知らぬが仏とはよく聞く諺だが 意味がイマイチよく分からない 初出 「あなたにパイを投げる人たち」の即興ゴルコンダ(仮)   http://anapai.com/tanpatsu/goru/   タイトルは、るるりらさん ---------------------------- [自由詩]青黄黒緑赤/あおば[2013年9月10日0時20分]                 130909 緊急ブレーキの軋む音 大災害でも大活躍した 気の好い エアーポンプの劣情を促す 黄緑色の青春VS赤黒の想念も 形を得て 型を得て 速さと力に揚力 飛ぶように自在に 青の回り舞台で決闘を演じ続けているが 曇り空から重たい雫がときたま風を呼ぶように 降り下り 取り巻きの観衆達の襟首に入りたがるのは 発熱して一刻も早く元居たところに戻りたがっているのかも知れないね いい歳をして夜の11時までお邪魔して無駄話をした後の食事は 義務的に済ますしかないと観念して 小惑星の直系500メートルの儚い重力に願いを託す いまでは 物もお金もないけど 玩具だけど 大きく拡大すれば立派に空を突き抜けていけるのだ 青年の胸に育つ信念が いまここを豊かに耕して 地球温暖化をもきっと克服するだろう 5色の大陸に榮あれ プロペラ機の古くさい星形エンジンも 腹の底から願っているだろうと 話半分の忠告を黙って受け入れながら 深夜も受け入れる 黄緑色の青春時代には 想像外の平たい生活が点滅することなく表示されるのも 趣味だと言い張りながら全身を突っ張るように腕を振り回す 初出 「あなたにパイを投げる人たち」の即興ゴルコンダ(仮)   http://anapai.com/tanpatsu/goru/   タイトルは、クローバーさん 一部追加訂正しました。9/10 ---------------------------- [自由詩]それからはこぐまのサーカスばかり見て暮らした/あおば[2013年9月17日21時51分]                   130917 雨戸があったから 被害は少しだけで済みました 無かったら 瓦や小石が飛び込んできて ガラス窓も割れて 悲惨なことになっていたはずと 夢の中でもほっとしていると 後片付けが済みせんから さっさと御飯を召し上がれ 採れたばかりの新米ですよと ほかほか御飯が目の前を通り過ぎる 回転するテーブルを 回転する私の家族達の目が追う 直ちに避難してくださいの声は 暗闇のなかでは遠くまでは届かない 防災無線のスピーカーが 悲鳴のように繰り返していたが 突然呼びかけを中止した 私が眠くなったので窓を閉め それ以上聞くのを止めたのだ 二重ガラスの窓は音を遮断する たとえすぐ外を 雨に濡れ疲れ果てた ツキノワグマの子供連れ 後生ですから 家の中に入れてくださいな どんなに大声で叫んでも 防災無線の不明瞭な声ほどにも 私の耳には届かないのです そんな情けない 半分意識が遠退く寝床に中へも 並四ラジオの 臨時ニュースの緊張した声が 「環状七号線付近の神田川地下貯水池が満杯に近付きましたので 区は急遽、2ヵ所の避難所を開設しました」 これは危ない このまま雨が続いたならば 必ず神田川が氾濫して 周辺地域が水浸しになるのは必定 そうなったらもうどうすることも出来ません どんなに泳ぎが達者な人たちだって 闇夜の濁流の中で流されたら どうしようもありません 天に祈るしかない我が身の至らなさをつくづくと痛感する 諦めて黙って眠る ふかふかベットの上では こんばんわと 夜更かし上手の こぐまたちが騒ぎ 環境設備を整えて 解体することに意義ありと 建設費用を気に掛けない 初出 「あなたにパイを投げる人たち」の即興ゴルコンダ(仮)   http://anapai.com/tanpatsu/goru/   タイトルは、ナナ・クマスキーさん。   2カ所に”たち”を加えました。 ---------------------------- [自由詩]昼下がりの意地っ張り/あおば[2013年9月20日17時39分]                    130920 先輩の意地が後輩を外側に吹っ飛ばすのだと 評論家は結論づけた ひ弱な先輩が 頑健な後輩と対峙したら どんなに意地があっても どんなに卑怯な手を使っても そのうち外側に吹っ飛ばされてしまうだろう 吹っ飛ばされてからが人生さと 何処かで聞いた文句を連ね 各駅停車が急行に抜かれていく その後にも 特急が2本続き やっと走り出した途端に 下車駅に着いた バスは発車した後で 30分待たねばならぬ 雨が降ってきたし 何処かで一服したいと思ったが 電池切れ 道行く人は他人のことなんか気にもしないでスマホ画面に住んでいるかのようだ この辺りで休憩の出来るお店はありませんかと 尋ねられる人が居ないので 困ってしまう タクシーに乗り 目的地に行くという考えは除外する 救急車に乗るのとタクシーに乗るのとどちらが精神的に負担になるかといえば もちろん其れは救急車 しからばどちらが懐に厳しく応えるかと言えば其れはタクシー 社会的な負担はあれど 個人的な負担のない救急車が走って行くピーポーの警報音を 少しだけ羨ましく感じる先輩も後輩も居ない電池切れの昼下がり 訪れた病院のカフェテリアの食事がとても美味しかったと言ったら 美食家からは笑われたけど 負け惜しみではなく事実です ---------------------------- [自由詩]それでも/あおば[2013年9月21日0時23分]                 130920 素直に非を認めないのは 家の躾が悪いのだと 親まで叱られている 其れには大いに腹が立つが 全知全能の先生には 返す言葉が無くて 黙って唇を噛んだまま俯いている 場面が変わり 駐禁の反則切符を切られ なんとか免れようと もみ手をしたが 全く効果が無く 自分だけが槍玉に挙げられた 不平不満がこみ上げてきた もちろんお金が掛かることも不満を倍加した 感無量といいながら 新型機を操作する 人よりも少しだけでも早く使いたい 一番乗りの快感は 一度経験すると 断ち切るのはなかなか困難だと 敢えて断言してみる これでもかと 反省することがない 初出 「あなたにパイを投げる人たち」の即興ゴルコンダ(仮)   http://anapai.com/tanpatsu/goru/   タイトルは、ABさん。 ---------------------------- [自由詩]Tシャツでは すこし寒い/あおば[2013年9月24日22時43分]                      130924 ケミカルシューズの紐が解けるまでが勝負だ! 見得を切った連合軍対枢軸軍の狡猾な切り崩しが続く 非戦闘員も参加するから 前線も後方も霧散しているのだ 激しい戦闘が続き イスカンダルまで使いを出す余力もなくなったので 片道切符の燃料を積み込み 特攻作戦に従事する 支援戦闘機がないのだから 子供たちも戦闘に巻き込まれてしまう 横断歩道で横断誘導していた老人も 特攻に参戦しているのだろうか 孤軍奮闘の末に 無条件降伏になった例もあるから 少しでも戦闘に光明を見いだしたら 停戦の糸口をたぐり寄せるのが良かろう 言いたいことを言うだけ言って 無線バイクに跨って 国連ビルの改修に向かう手品師 Tシャツでは すこし寒い よと 安保理にも伝えようか 本音とも思える軽口を吐いて ケミカルシューズ 無線機の通信範囲を超えて つっばしってゆく虹色ケミカルシューズ 国連総会では各国首脳による一般討論演説が今開催中です 初出 「あなたにパイを投げる人たち」の即興ゴルコンダ(仮)   http://anapai.com/tanpatsu/goru/   タイトルは、るるりらさん。 ---------------------------- [自由詩]ピオーネ/あおば[2013年9月28日23時41分]                     130928 「ピオーネと探偵たち」を50分で読破しろ 担任教師の檄が飛び 授業が始まった パラパラとページを捲ること60秒 ハイ! 読み終わりましたと 手を挙げて 一目散に校庭に駆けだした 実のところ 1ヶ月前に借り出して読んでいたのさ 読む振りしてページを捲るだけだったけど 3回読んでいるから どこに何が書いてあるかは完全に暗記してる テストされたって大丈夫と思っていた これ以上の詮索は無用 1000メートル以上掘削すれば 自然に噴き出すのだ 探偵どころか 少年は無用ですぞ 海底油田の開発なら任せてチョーと 古くさい奇声を発して校長が大きく手を振っている もうじき定年退職し 教育委員会へと向かうのだと噂されている 50分以内で読み終わった君も同行するかね そっと耳打ちされたのは事実だけど 行くわけないジャン お大師様じゃあるまいし まだ11歳だぜ! 初出 「あなたにパイを投げる人たち」の即興ゴルコンダ(仮)   http://anapai.com/tanpatsu/goru/   タイトルは、クローバーさん。 ---------------------------- [自由詩]きこえない、ふり/あおば[2013年10月1日22時47分]                  131001 きこえますか きこえません 両耳塞がれていて 聞こえません 両手も塞がってますから 外界の様子はうっすらと目に見えるだけ それならばと 怪力振るって邪魔な巨岩を取り除く 根っ子からバンという音がして まっぷたつ 醜くも厳しく断面を晒してる。 自動延長手続きがなされておりませんから 今までのことは無かったことになります 僅かな保険金に嬉しがり うちょうてんになっていたすぐあとでのならくのそこのきびしさに こえにならない わたしのひめいがきこえますか 聞こえません きびしいげんじつにとりすがって 鳴いた。 初出 「あなたにパイを投げる人たち」の即興ゴルコンダ(仮)   http://anapai.com/tanpatsu/goru/   タイトルは、かいぶつさん。 ---------------------------- [自由詩]怪物くん/あおば[2013年10月4日23時19分]                     131004 懐かしいなぁと思いながらも 作者は今頃どうしているのだろう フランケンと一緒に遊んでいるのだろうか それとも締め切りを気にしながら PCのニュースを検索しているのだろうか 妖怪とも言えるかも知れないメンバーの頭領だから 偉いんだよと バリアフリーの街を作ろうとしたが 満員電車は相変わらず狭い鉄路に犇めいていて いつまで経っても戦時体制から抜け出せないで居る。 戦時規格貨物用電気機関車EF13型は戦争に勝つまで保てばよいとの方針で 必要最低限の機器しか持たない ボディーも必要な機器を覆うだけの凸ボンネット型で乗務員の居住性などは考えていなかったかも知れない 狭い車内には絶対に必要な機器が犇めいていて夏場は暑くて堪らなかっただろうが、蒸気機関車よりは暑くないのひとことで片付けられていたのかもしれない 必要最低限の装備だったので機関車としては軽くなり過ぎて、16トン余りのコンクリートブロックを積み込んで 重たい軍用貨物列車を引っ張った 戦争が終わって 任務が解かれたはずなのに 引き続き戦後復興にも酷使され 戦後生まれの新鋭機EF58型旅客用機関車が流線型に格好良く改装された際の余り品の箱形ボディーに換装され ケートルを巻いた兵士から作業着の市民に戻されたような格好で機器も追加され列島改造の1970年代まで働いた。 15日から運行の応募者殺到の豪華寝台列車「ななつ星」の来年度から販売の乗車料金が最高20万円値上げのニュースを読む ダースべーダーに似た面構えの牽引機も得意そうに見得を切る 彼のパワーは戦時規格のEF13とそんなに違わないんだよねと思いながら 1960年代、鉄道雑誌の中央本線EF13立ち往生の短い記事を思いだす 週末、登山客満載の普通夜行列車が登り切れずに立ち往生してしまうのだ 夏だから モーターには暑過ぎたのかも知れない 人が多すぎて重すぎたのは確かだ 短い夏を 短い週末を 夜行で往って夜行で帰る 文字通りの強行軍 それでもリクレーションになったのかしらと 残暑の満員電車でうろうろしながら空席を探す。 初出 「あなたにパイを投げる人たち」の即興ゴルコンダ(仮)   http://anapai.com/tanpatsu/goru/   タイトルは、ぎわらさん。   誤字脱字等は訂正しました 写真追加 2013年10月11日 1970年代初め、中央本線多摩川橋梁を行くスマートになったEF13型電気機関車。2両目の暖房車が2120型蒸気機関車改造のマヌ34型なのかは判別できませんが、恐らくそうではないだろうかと思っております。。 ---------------------------- [自由詩]バタフライエフェクト/あおば[2013年10月8日0時06分]              131008 満員のスタジアムからはみ出した歓声が ここまで聞こえてくる 敗者の立場がないと思うのだけど 彼処では誰もそんなことを気に掛けちゃいないんだよと 拗ねた熱気が冷めるまでの宿題を片付けている 熱気があるうちに処理をしないと 冷めてしまえばどんな材料でも硬くなってしまって なかなか簡単には再処理できなくなるんだよ どこだって誰だってどんな材料を使ったって同じようなことさ いつまでも続けられると思ったら大間違いだぞと 隣町の鍛冶屋に言われるまでもなく 鋼鉄は熱いうちに打つのだとは知っていた 台風24号の接近に浮き足立っている それから25年が過ぎ猛烈な砂嵐が襲い 火星基地が半ば埋もれてしまったようだとの周回衛星撮影映像が目に入る あれくらい埋もれたって大丈夫だとは知っているけど 水が貴重な火星の地表で大量の砂を取り除くのは大変だな カウチポテト族の一員の僕に蝶ネクタイの似合う先々代のきつい小言が飛んできた 何度も知ったかぶりを吐くなを繰り返すので 父はいつも寡黙だったなと今更に思いだす 勝ち負けを超越し 海峡を飛ぶのを眺めていたかったのかもしれない 爆発するものが無かったわけでも無さそうだ 気にする僕と気にしない君 飛んでいるときは同じだよと ラジオが語っているが・・。 初出 「あなたにパイを投げる人たち」の即興ゴルコンダ(仮)   http://anapai.com/tanpatsu/goru/   タイトルは、赤司さん。 ---------------------------- [自由詩]波打際の人魚のために/あおば[2013年10月12日19時42分]             131012 メタボ検査をします 看護師が 恭しい手つきで巻き尺を取りだし 臍の周囲を丁寧に計測した 見るからにやせっぽちなのに なぜ計るのだの野暮なセリフは吐かない 計るのが義務で規則になっている 簡単に云えば行政からの要請なので 喩え、波打ち際の人魚だって計測から逃れるわけにはいかないのです 先導のパトカーに乗せられた鹿の角きりが丁寧に施行され 明後日まで暑さが続く模様との報道を聞きながら 夏を惜しむ人魚の心がすべての人に伝わり 午後5時には薄暗くなるのにと 狷介な輩のセリフを蹴散らしスポーツの秋も出走を開始する 初出 「あなたにパイを投げる人たち」の即興ゴルコンダ(仮)   http://anapai.com/tanpatsu/goru/   タイトルは、みずけーさん。 ---------------------------- [自由詩]まわり道/あおば[2013年10月15日15時02分]                   131015 弾み車の振動を枕に 愉快な楽団員は眠る ガラパゴス号に乗り込んだまま 帰ってこなかった男もいたが 射殺されなかったのだから 昔は良かった 老人が繰り言をルル述べて 生まれ変わって 水車小屋便りを読んでいる ドーデーは機械仕掛けのオレンジ暗合を解読し 一粒で42.195キロメートル走り抜き ハイブリッドカーの顔色を無くすクロレラ軍団を 一蹴りで20間走る弾み車が音もなく抜いてゆく 和賀郡勝利と叫ぶ声を聴き取った歴史に疎い対象は 笑顔のバクダンに酔いつぶれ もう一杯と叫び続け 飲み過ぎて 目が回る 道路が 地球が 空が 自己責任を感じないまま暗転する太陽圏を抜け出した探査衛星ボイジャーは 束縛されたまま燃え尽きたヴァンガード人口衛星を羨んで 散文的な 余りにも散文的な下書屋をクビにして 退屈をもてあます弾み車を増産しては 仮想敵国に威力を見せつけている いかなるミサイルにも耐えられる弾み車のアミダッポネ(阿弥陀骨、スポークのこと)を調整しては長靴で思いきり鉄製タイヤを蹴っ飛ばす軽量コンクリート設計に忙しい24階ビルの倒壊は 馥郁とした焼きたての ローストビーフは調理室から回り道することなく工事現場に直行し 炭素繊維を束にして鉄筋を追い出したくてたまらないが 声なき声が結束する薄っぺらなハンドブックに阻まれて 勤勉な発泡スチロールの暗躍を阻止できず 和賀郡勝利疑い無しと甦った対象は 多目的ミサイル増産を明治 蹴り出された弾み車にぶつかって アキレス腱切断 しばらくの車椅子生活を嫌い 愉快な楽団の音程を替えたがり ガラパゴス号に乗り込んだままとなるが その後のことは分からない 弾み車はどこまでも わぅわうともいわないで 青空を切り裂いて 回り道もなんのその 太陽圏を脱けてった 初出 「あなたにパイを投げる人たち」の即興ゴルコンダ(仮)   http://anapai.com/tanpatsu/goru/   タイトルは、みみずくさん ---------------------------- [自由詩]ひとめ あなたに/あおば[2013年10月26日19時39分]                 131026 ひとめ あなたに会いたいと 地獄の底から這い上がり やって来ました娑婆の街 変化はありませんとスタッフ 役場は綺麗になったのに 変化がないとは訳が分からない 木造の掘っ立て小屋に生まれたので 鉄骨立ての高層ビルには馴染めない あんなもの 小型ミサイル一発で倒壊すると 分かっているはずなのに 戦争になったら 真っ先に逃げ出さないと命に関わる 地獄の底から這い出るのは 幸運のみに託されているのを知った私としても あなたの現住所が分からない 個人情報保護法の施行以来 行方の分からない人物を捜し出すのはお金が掛かる 無一物の私にはお金がありません 身体を売って金に換え 一瞬だけでも会えれば良いかと考えたが 一瞬では物足りない 一年くらいは一緒に暮らしたいと思うので 健康を損ねるわけにも参りません お金を払っても 探してもらえる補償もありません その筋の強いコネがなければ 車エビの料金で ブラックタイガーが食べられれば まだましと思えるのですが その業界で生き残るのも辛そうです 返金してもらえた人もいるようなので 心当たりのある人はすぐに手を打ってください 地獄には自由がない 娑婆には自由がある どちらが暮らしやすいかというと 自由意志を押さえることに馴れていれば地獄の方が楽かも知れません なにしろ 自分の意志での行動が全く許されていないのですから 会いたいあなたに会うなんてことも考える余地もありません しからば私がなぜ娑婆に舞い戻れたのかというと それは単なる偶然か 誰かの意志なのか 全く分かりません あなたの居場所も分かりません 分かったとしても 忘れられていたり 嫌われたりしていてストーカー扱いされるかも知れません この不明の中で行動を続けなければならないのに 変化はありませんとはとても理解できないのです 自分に直接関係ないことは知る必要もないからと 等閑視しているうちに娑婆が地獄となるのを危惧しながら書きました。 国際宇宙ステーションから眺めた台風28号の大きな渦を見ながら 気象情報は軍事機密だった時代を想起する 定型化していくのを意識するから自由詩を書くのだとも言いたそうなあなたに会えるかな 初出 「あなたにパイを投げる人たち」の即興ゴルコンダ(仮)   http://anapai.com/tanpatsu/goru/   タイトルは、るるりらさん ---------------------------- [自由詩]どんどこ/あおば[2013年10月29日10時48分]             131029 破綻を恐れず どんどこ行こう ぽかんと開いたクレーター ビスケットのカケラ 利口なトマトに 間抜けな空が 冬が近いと 笑ってる にこにこするのは簡単だ どんどこ歩けば どこかに行ける ぽかんと開いたクレーター 獲物を待っているのかな 落ちないように覗き込め ---------------------------- [自由詩]夢に関する権利(朗読用)/あおば[2013年11月11日13時41分]                  131111 すぃーとん  すぃーとん 穏やかな季節 こころからの祝祭日の いわれなき嫌疑を指弾する指と指の間に巣くう白癬菌を指摘する皮膚科医師の笑顔 すぃーとんと崩れ落ちた自信家の意志を尊重しながら掲げる国旗が翻る時 ピラミッド、万里の長城、ナスカの地上絵、バスコダガマの辿った道筋がだらしなく半旗を垂らすのだと 自堕落な禁止帯を狭める株価の動きが ショウジョウバエの自主性を尊重しながら 亜炭、褐炭、瀝青炭、泥炭の誇りを貶し遺伝子感染させる円高差益は 還元触媒と酸化触媒の相克に悶えるコークスの真っ赤に燃える焔 美しすぎる若人の群れが 雛あられを啄むようにもごもご語る予言を呑み込みながら 100均の店内をジクザクに引き回される我が身の不甲斐なさと 中産階級の購買力に頼る猫またぎの無停電電源装置の父母達が テンプラ蕎麦が食いたいと 脇目もふらずに歩いた末に 辿り着いた場末のダンスホールは熱気満々で 床を這う隙間もないくらいだと 古くさい鉛管から漏れる水道水の 訥々と語り出す ブブという声を聴き 寒天養殖のノウハウを無給の熟年労働者が説く条件等色(メタメリズム)を信じながらも 波長依存性に縋る5寸釘の打たれた神社の奥の鬱蒼とした杉木立には 栄枯盛衰毀誉褒貶と あくまでも4文字熟語に拘るつもりの福々しい太陽光発電された常夜灯の光りは届かないと ここまでの洞察力と直感を信じ バランス感覚を保持しながら崩れ落ちる運命的な諦観が 二足歩行ロボットを介護しなければならないのだと 咳と鼻水を垂らしながら旋回するミミズクの大きく見開いた眼に映る 野鼠、モグラ、地虫を弄ぶ3D映像が 2次元の古巣を捨てて 形の無い世界に一宿一飯の仁義を切る気迫のこもった長脇差しは 山犬をぶった切り根絶やしにした昭和の御代の悪代官達の根性曲がりを砥石にして 口すすぐ参拝客の草履をそろえながら片足立ちで踏み込むふいごの音は ふぃーふぅーと心地よいリズムを奏で 研ぎ過ぎて地金が露出したなまくら同然の和包丁と切れ味を競うのは 痛々しいと決めつける砂鉄の願いが 一袋500グラム100円の馬鈴薯の芽をえぐり取る無慈悲で残忍な刃先が 感じたままの図形を脳裏に刻み 蒸しタオルで火傷する過ちを奥歯で噛み締め 栄養満点のバター焼きに挑戦する場面を何度でも再生できる圧縮されたコバンザメのような吸着力を放棄する瞬間を焼き増しし 無料配布するか 100円で売るか 迷いながらも決して迷子にならないハモニカ横町の看板の裏に巣くった来年生まれるはずの小雀の同胞が ひぃーと啼くかふゅーと啼くかで決められる 10銭銅貨を放りながら群青色の道程を選択した愉快な同位体が歩き疲れることなくモーニングセットを注文するので マイドアリと条件反射したがるベーコンエッグのハハハとヒヒヒとフフフとクククが連発する等音記号の韜晦なアイロニーが隠匿する脱税も許さない正義感溢れる道化役者の無心な横顔を子育て辞典に夾み込み 根性のないムラサキイガイ(ムール貝)の初夢が街道を歩いているよと幼い人の寝顔に告げる寝起きのいい楽譜を便りに旅行するつもりのなけなしのエコポイントが生み出した倫理規定が縋りつく生態系と呼ぶべきか否か断定できない優柔不断なエコノミー即席培養液を断固拒否すると握りしめた拳を反らし欠伸する人の姿にそっくりだと なんかいもなんかいも飽きるまで繰り返す遺伝子情報が増幅するガンマー線をも遮蔽できない無鉛細胞の無自覚な再生過程を含む 初出 「poenique」の「即興ゴルコンダ」投稿作(2011年1月29日)、タイトルは、ミチヨさんを朗読用に修正。 ---------------------------- [自由詩]消えるには少し速い/あおば[2013年11月24日21時27分]               131124 ひぃーふぅーみぃー ひとさし なかゆび くすりゆび 3本指を押っ立てた 一刺し100円 消えいりそうな声漏らし 黒板塀に溶け込んで   がらんどうに駆け寄ると 龕灯が煌めいて 闇色の男たち  おまえは誰だと怖い顔 人差し指が立ち上がる くすりゆびがくすんと笑い 中指にしなだれる 忍び返しは知らん顔 早い話が長くなり  おまえはおれだと言い張った 初出 「あなたにパイを投げる人たち」の即興ゴルコンダ(仮)   http://anapai.com/tanpatsu/goru/ を大幅に修正書き直し   タイトルは、クローバーさん ---------------------------- [自由詩]車窓から見える赤い風船は、まるで祝福のしるしみたいに/あおば[2013年12月3日0時21分]                    131202 仕合わせならばいつでも 一直線に揚がってゆくよ 風のない日は温かいから 誰だって気分が解れる 喩え解れすぎたって 解れたら縫い解れたら縫えばの精神で 一直線に邁進すればよいのさ 真っ直ぐに揚がるのを嫌い 風が吹くのを期待するのは唐変木 欲張りな真っ黄色な葉も重たそう 枝毎に意見が異なるのかどうかも分からない天の邪鬼の集団 ワンコインショップに立ち寄っていきませんかと俄課長 昨日までは少しだけ寄り道をする余裕があったのに今日からは真っ直ぐに帰宅しなければならなくなりました 羽根の生えた天の邪鬼たちが 天女に化けて飛んで行くのが見える午後になると 招き猫の欠伸を合図に 20パーセント引きのシールを貼る ワンコインショップの隣のスーパーでは 黄金色のご神木が夕日に輝いている いつまでもあると思うなよの声が聞こえるから 襟を正して帰らなくてはならないと反省するが 来年の干支は午だと知ると 我が世の春を覚えるのだろうか 今は晩秋 早くも冬用タイヤに履き替えた車たちには覚悟が出来ているから 今日はとても温かいのです だから、ゆっくりと風船は登ってゆけるのです 色は 陽に照らされた黄金色から やがて本来の真っ赤に変わりますが 驚かないでください 寒くなると赤く色づくのはあたりまえなのですよと ご託を並べる天の邪鬼を有無を言わさずギューと踏みつけている 仁王様 初出 「あなたにパイを投げる人たち」の即興ゴルコンダ(仮)   http://anapai.com/tanpatsu/goru/   タイトルは、星子アヤノさん ---------------------------- [自由詩]あめさけるてまえにきみがいて/あおば[2013年12月8日19時02分]                      131208 ファシスト消えろの大合唱が耳許にへばり付く 蛙のような声がしてもう限界だと新党結成を決意する 蛙の声は案外遠くまで届くものだと 子どもの頃を思いだす 10年ほど前に蛙の合唱は録音して残しておかねばと 買ったばかりのMD式携帯録音機を片手に畦道を彷徨いた 遠くからは良く聞こえるのにいざ録音しようとするとあんまり迫力がない なんども通勤帰りに寄り道して訪れた田圃にも どんどん稲が育ち、いつの間にか蛙の声は消えていた 折角録音したのに、良いところにクルマの走行音が混じったりして なんか雰囲気がそのままは取り戻せないので 寝る前に耳に付いた蛙の声にはほど遠い騒がしい環境になったのだと落胆したのを思いだす だから古里を失った蛙たちの合唱が今日も耳について離れない あめさけるてまえにきみがいて大合唱の指揮を執る 槍でも鉄砲でも持ってこいと勇気を奮い起こすその声が 地球温暖化を阻止してくれるならばそれに越したことはないのですが 二条城に設置された京都府庁に足繁く陳情に通う山本八重のように一発百中の腕前ならばそれなりに効果があるかも知れませんが 訓練不足の新兵達が厄介な旧式銃に手こずっては古参兵に殴られる あのころカラシニコフ自動小銃があったならばと回想するのは自由ですが 兵器の進歩にも後れを取っていたようでは 勝つことどころか 防衛も難しく 戦うことは絶対に避けねばならないのは自明と思っていたのですが あのころは鎌首をもたげる蛇の群れに恐れをなして 蛙たちは合唱する勇気もなくなって 呑み込まれるのをうろうろと待ち続けていたようにも見える 世の中には小蛇を食べる蛙もいるのですがと、茶々を入れる隙間もない午後 看病に疲れた手をそっとさしのべてくれる君に厳しく自分を見つめるのです 初出「あなたにパイを投げる人たち」の即興ゴルコンダ(仮)   http://anapai.com/tanpatsu/goru/   タイトル提出は、洗剤イヤ子さん。   サマーという方が書かれた詩のタイトルよりとのこと。 ---------------------------- [自由詩]和包丁鉛焼入疑惑/あおば[2013年12月14日17時46分]                 131214 ごるじたいってなぁに ロスマン博士に聞いてみたい僕たち 生きたままのゴルジ体を観察したらどうでしょう ”ゴルジ体の袋の中からタンパク質が出でまして その名も苦労判官”、膜の出現は不思議です まだ分からないことも多いのですと先生 生物の授業が終わり次は板金工作の時間です みなさん準備が出来次第工作室に移動してください 言われなくても移動する僕たちは ふいごを動かし 真っ黒な炭をおこし待ちに待った焼き入れの準備をした 先代からの和包丁 このごろ切れ味が悪いのよとおかあさん おとうさんは面倒くさがってなかなか研いでくれません おまえ試しに研いでみてよと渡された 見よう見まねで研いでみたがなかなか綺麗に光りません 鈍い銀色が鉄の頑固さを伝えるようで おまえなんかには研がせるものかと白い目を向けるんだ 鉛焼きの和包丁、もうとっくに切れる刃先が磨り減って無くなって なまくらで横柄な地金だけが権力を振るっているのかも知れないねと ネットで調べた俄知識を実地で実証してみたい 叩いたばかりの板金の隣に置いて火で焼いた てめえなにをしやがるんだと 真っ赤になって怒っても飛び出す威力はありません 全体がうっすらとオレンジ色に近付いたので そろそろ引き上げて焼きを入れてみようかな 今までよりもよく切れればよいけれど 切れなくなったらどうしよう お父さんには苦笑いされるだけだから いいけれどおかあさんには申し訳ないな 古典と伝統と個人との関係はすぱりと割り切れるものではありません そう簡単に切れ味鋭くなるものかとは思うけれど やってみる価値はありそうなのでジューとの大きな音に期待をこめる 初出「あなたにパイを投げる人たち」の即興ゴルコンダ(仮)   http://anapai.com/tanpatsu/goru/ ---------------------------- [自由詩]断続的/あおば[2013年12月27日23時08分]            131227 今朝も断続的に雪が降る 大動脈を絶たれない訓練が 湿り気を帯びた雪を降らすんだ 知ったかぶりを披露する乗客たちを スコップでいっぺんに運んでゆく 線路脇には深い溝が掘られていて 捨てられた雪が浮いたり沈んだりして 濁った塊になっていつまでも見えている もう少し明るい内容にするつもりなのに 環境が明るくないのですなと隣のご隠居 元教師というだけにすぐに環境論に走る わたしは年賀状書きに忙しいふりをして 愛想笑いを残してあたふたと逃げ去る 公共性のあるテーマを探し 一切の私欲を捨て去る霙交じりの雪は 地面の色を変化させることはしないが 確実に環境を冷たくするのだが その支離滅裂な魂は冬の準備を促すように 少しでも温かいセンテンスを探すように 音もなく断続的に経過観察しているのだ ---------------------------- [自由詩]新緑/あおば[2014年1月10日23時15分]                  140110 新緑の町から湧き挙がるパワートレイン ドリブンされた満腹感を味わえ 指令の下にひた走る亀裂だらけのハイウエイ 国税庁の管理の下に地下深く浸透する新緑の きな臭い期待はずれの肥満 小次郎に負けるな 武蔵を倒せ 子孫に刷り込まれたスローガンを照射し続けるガンマー線 キミドリミドリの歓声を聞くことなく萎れた新緑の町 雪の降り積もる雲底の前で佇んでいるなよ パワートレインが叱咤激励するのにうんざりしながら 書き初めをする ---------------------------- [自由詩]なにか/あおば[2014年1月16日14時35分]              140116 なんというのでしょうか 外は快晴 北国の方には嫉まれるような青空 それなのに 寒いだの風が冷たいだの 喉が痛むのだと言いたい放題 マスクが飛ぶように売れます そんなことを書きながら もうじき晴れることも少なくなり 天候も不順になり 陰気な2月を迎えるのだぞと 私の中の意地悪鬼が脅かすから よく晴れた日は寒くても外に出ましょう 長旅は辛い年齢になりましたと 誰かがラジオで喋っているけど なにかが唆すうちは旅は続くのだと 早知恵の小学生に教わった ---------------------------- [自由詩]のの/あおば[2014年1月23日0時34分]      140122 本日はお仕舞いですすす 自働初期ののののののめ かろりんころくろまりん みまいせまいはらりこん んころりんならけむりん よめないすうじにひそむ ころがるゆうきのにじが 本日はと叫ぶ日の丸富士 ヤンキースと契約したと 見たこともないくせにと 音声仕様に難癖付けたり 焼きだましと 焼き入れと 焼き直しと 変換機能を追加しながら 日の出の時刻を踏みしめ からりんころくろまろん 自己暗示ではない降臨時 雪玉が飛んできて当たる 巧みののののののののと 怪鳥のように叫び出すと 茶碗に似た乗物が坂をと 店先を席巻しながらのの ---------------------------- [自由詩]話題/あおば[2014年1月23日19時26分]             140123 少しずつ物価が挙がって参ります。 しずしずとおどおどと堂々と 横柄な態度を取るものも居て 警笛を鳴らしたり街宣車を走らせたり 選挙カーを走らせたりして 街は少しずつ落ち着きを無くし 年度末の狂乱に馴染んでゆくのだ 屋根が漏れ出す エアコンが壊れる ガスバーナーが壊れる 洗濯機が壊れる 電話機が誤動作を繰り返す XPのメンテナンスが無くなる パソコンも使えなくなる そろそろ交代しなければならないと覚悟していたら スマホは維持費が高いから買えないなら方向を変えろと 転進命令を出したものがいて 焼け石に水だと思ったが 派手にジューと音を立てるから 耳目をそばだてることだけは確かだと 大袈裟に演説を開始する もしかしたら誰かが詳細に記録していて 歴史にも誇張して記載されるかも知れないねと 楽観的な記述を楽しんでいる君は 明日の仕合わせを諦めているようにも見える 日本列島入場禁止の文字が大きく踊る なにやら物騒だと思ったら 寒波襲来のことだった カンパは大歓迎ですが 寒波はなにかと物いりなので 私的には困ります。 寒波で困る困らないの個人的事情には一切関係なく もうじき次年度を迎え 拍子木を打ちながら 消費税率も上がるので 不満を募らせ頬を膨らまし続けているのも草臥れるからそのうち口をすぼめるのを期待する面々が 溶けた溶岩流のように堅固に波から新島を守るつもりで 防災対策にも活かしていきたいと増税政策を擁護する なにやら希望が湧いてくるような温い声に マスクを外しても好いかなと思って居る束の間の陽気に 油断すると風邪をひく 週末は桜の花が咲くほどの陽気ですと 呑気な声が天気予報を告げる 先日の寒波襲来の文字は来週のために保存してあるのは知っているが 週末は温かくなるから 少しだけ期待してもよいかも知れませんの その声に見たこともない小笠原諸島を巡る旅を夢想した。 今頃は寒いか温いか暖かいかは分かりませんが、 頑張れニッポン ソチ(措置)オリンピックを迎え 俄愛国者になってテレビの前で固まる そのままの姿勢で硬い石になって保存されたら 後世の学者はなんと説明するであろうか デジタル記録媒体の長期保存性向上を切に希望しているが 現実的にはまだまだの感じである。 石英板にレーザ加工してデジタル記録すれば数億年の保存が可能とのことだが 日常的に安価に使用できるのはいつのことなのだ 都知事選挙候補者は一切そのことには触れないが 一人くらいは気にして欲しいと思う私は記憶力が極めて弱いのだと諦めた 人権ということばも実感的には響かない バリアフリーも無関係に膨張したがる世の中に極めて微かに聞こえる君の囁きだけが声なき声とも言えるのだと 自説を主張して 黒子に甘んずるのだと 誰かが言う 負けるわけにはいきませんと 誰もが言うが 勝者は一人だ 頑張れニッポン 赤い日の丸が揚がる しかし、 黒い日の丸が揚がったら 私はのけぞる そのまま絶命してしまいかねない衝撃を受けるだろう しかし、ほんとに揚がったらどうなるのだろう 考え出したら怖くなったので思考を中止する それが賢明かも知れない とにかく基本協議が成立したのだから マー君の活躍を期待するしかないと思いながら 話題を次々と変えてゆく時間という立ち止まることを知らない奴と付き合うのも忙しい ---------------------------- [自由詩]ドライアイ/あおば[2014年2月19日12時58分]               140219 今朝も眼が痛い 眼科医処方点眼薬を差す 日に4度差すんだよ 方形の空からは 青空さえのぞき込み 眼の中に乾いた粉を振り込むんだ 部屋代を2ヶ月分貯め込んだから 誰かに催促されているのかも知れない 郵貯銀行ATMから慌てて振り込んだ 少しは眼が痛くなくなるといいんだけど・・、 雨降って地固まるとはいつ頃のことだろう 三寒四温の季節を待ちわびる今日この頃である。 ---------------------------- [自由詩]眼から涙が/あおば[2014年2月21日20時27分]             140221 目からではなく 眼から なんでだようと神様が口を尖らせる 漢字変換機能が眼を選んだのです 私の恣意的な意図ではありません 神様の思し召しと思っております 恭しく応える私に向かい 神様はなんにも言わずに気配を残す 涙が出るのは目あるいは眼からに決まっているのだから 省略してもいいのだよと優等生 奴には母親が必要ないくらいに論理的に生きているのだから 私には対峙することが出来ません グローブのような手が飛んできて顔面を一張り 父の夢を見過ぎたのかも知れない 父は子どもには手を挙げる人ではなかった ましてや母にも誰にも手を挙げたりしなかったと信じたい めからなみだがでて夕暮れが滲んでゆく 衣替えの季節を迎えたというのに 傍若無人に自転車を乗り回す人達に悩まされている 滲んだ景色に色が付いて虹のようにも見えることがある 回転する方が抵抗が少ないとボールベアリングを使う ボールが割れることなんてあるものかと思っていたら 今でも割れる粗悪品が使われている自転車もあり 修理代(交換ベアリング部品代も含む)が1万6千円かかるから 止めた方がよいでしょうと自転車店の主 ベアリングの価格だけならいくらも掛からないからと言い張る私に いっても無駄ねと笑顔を向ける 眼から涙が出る人種には何を言っても無駄だと思っているのかも知れない 神様の顕現だと言い張る人も居て衣替えの季節は鮮やかになってゆく ---------------------------- [自由詩]翼/あおば[2014年3月6日10時02分]                   140306 ただの変態だよ! (;gdwgd@d@zifuoue9) 歴史的事実にはならないよ コレクション作家が来ていないもの 700万円のソフトビニール製怪獣モデルを隠し持つ君は コンビニ弁当を日に2個購入しては半分食べる 後の半分は夜食にする 起きがけに食べることもある 必要カロリーはギリギリだなと僕は思うのだが 氷河期に適応した君は痩せもせずに大らかな顔をして 今朝も楽しげに飛ぶように歩いている 羽根は見えないが何処かに付いているのだろうと 力学的考察を加える僕は 消化不良気味で毎食後漢方の消化剤を欠かさない ただの変態だよと言われたこともないが 歴史的事実にならないことも間違いない 子育て費用はゼロにするくらいのことをしないと それどころか報奨金を与え 勲章も年金も加増する政策を続けないといつかは絶滅種になるのが分かっているのに ただの変態だよとくささないから いつまで経っても歴史的事実だけが大きな顔してのさばって居るんだよ 第三者機関を作って無駄な経費を重ねては責任逃れを計る 誰かと誰かと誰かの大きな顔を思い浮かべながらソチパラリンピックの開幕を待っている ---------------------------- [自由詩]郵便局/あおば[2014年3月10日22時52分]               140310 絶対である!!!! !!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! 絶対に最強である 寄らば切るぞとコテツがニラム 睨むという行為には 勝つという文字も 負けるという文字も知らない 絶対的なアナーキズムも知らない 小学校に入学したのに めそめそするなんてと べそかいているのを笑われている君 僕はコテツだ 2行に書き分けたのはポーズだ 分け前は対等に分けるという行為の振りをする そこで郵便局がやって来て 振込用紙を2枚渡してから足早に立ち去る 絶対と言うからにはボストごと消えるのである 月の魔法に掛かったままの君は 呆れてものも言えない アナーキズムに浸りきった僕は ふふんと笑う振りして ブランコを解体してコテツの材料にする ---------------------------- (ファイルの終わり)