あおば 2011年12月30日19時25分から2012年8月8日9時18分まで ---------------------------- [自由詩]師走の包絡線/あおば[2011年12月30日19時25分]               111230 誰でもすぐ書けますと エッセイ教室のお誘い電話が鳴り響く時に 夾竹桃の花弁がほろりと落ちて 足下に赤い輪郭を記す ほろりと落ちる度に 輪郭は少しずつ重なってはズレて 次第に大きくうねる波状になって 揺蕩う小舟の行方を見守っているようだ ..... 夾竹桃がすっかり散って秋が来る 芸術の秋だ! うちの教室の先生は苦労人だから 自転車で転んでもただでは起きない ハンドルが曲がったか クランクが曲がったか サドルが横を向いていないか 気になるところを一通りチェックしては 服の埃を叩き 大丈夫と鷹揚な笑顔で右後方を確認し ゆっくりと漕ぎだすんだ その頃には異様な音に集まってきた人達も居なくなり 最後まで鵜の目で注目していた作者もなにも起こらないからつまんなくなり 結局、カラスの勘三郎を除くと周囲には誰もいなくなり 黄金の暮色に染まっていくんだ ゆうひのさしてやまのはいとちこうなりたるに、からすのねどこへいくとてみつよつ、 ふたつみつなどとびいそぐさえあわれなりと 呟くのは何処かのインチキ野郎だけとなり 月の出にはまだまだ時間があるから ちょっと一杯付き合ってくれないかという人も忙しいこの辺りには居ないのは無論のことである ....... かのようにですます調に飽きても 歳末投げ売り大会に立ち寄って 要らないものを買わないで! すぐに帰って!とメッセージが鳴った 「poenique」の「即興ゴルコンダ」投稿作 ---------------------------- [自由詩]竜言飛語/あおば[2012年1月2日22時56分]                120102 うれしかったことはなにもありません うまれなければよかったのにと 憎まれ口を叩く腹の上に360キログラムの石を載せる どすんと落とし押し潰されてしまえと願えども 頑丈な筋肉で覆われた憎まれっ子の腹はビクともしない うんと一声、石を跳ね上げ吹っ飛ばす 屋根を突き破り隣の町へ飛んでった 除夜の鐘を合図に一斉に飛び回る石が空中でぶっかっては夜空に火花を散らす 意気地のない軟弱な石は擦り傷に耐えられず元居た場所に落下して地面に潜るが 数多の衝突を繰り返し弾丸のようにスリムになって 町を跳び越え異国に辿り着くのもあり 黒竜と名乗り リッチマンの修行を終えて故国に凱旋したり そのまま異国に居ついたりして威力を増した 尊敬する人は居ませんが 尊敬に値する石は存在しますから これからも力を養い 石を弾き飛ばす修行に努めます 書き初めに竜言飛語 と認めて 今夜はぐっすりと好い夢をみるんだ 「poenique」の「即興ゴルコンダ」投稿作 タイトルは、クローバーさん ---------------------------- [自由詩]あおぞら/あおば[2012年1月15日17時02分]           120114 無自覚な試作品の顔を撫でながらも 失敗作だと悔やむ 青空の製作は難しくて 寒がりだから 何回作っても天井にへばり付いて なかなか降りようとしないのだ 部屋の温度が低すぎるのだから 寒いから当然だと識者は指摘するが 手を伸ばしても顔の仕上げが出来なくて ざらざらなままにしておくとすぐに駄目になる ガスストーブを点けると天井付近は温度が高まり 彼等の適温を超えて直ぐに痛んでしまうのだ 危ないから早く降りろと なんど注意しても聞いているふりして聞いていないから 今度も上手く仕上がらなかった いっそのこと寒がらない曇り空に仕様変更して 近くの空き地で入念に仕上げてみようと考えている もしかしたら春が来たと勘違いして そのまますっと空高く上昇して 顔を洗ってすべすべになり色も変えて 青空になって帰ってきてくれるかも知れない 夢みたいなことだけど実行しない限り実現しないのも確かだから 明日の日曜日には思い切って実行してみようと思う 「poenique」の「即興ゴルコンダ」投稿作 タイトルは、ひかりさん ---------------------------- [自由詩]手が汚れては本が読めない/あおば[2012年2月11日21時16分]               120211 手が汚れては本が読めない という愁訴にお悩みとのことで 念のために両手を画像診断したところ 左側の画像は正常で 右側が異常の場合ですがぁ あなたのは右にも左にも該当いたしません がぁ、 このまま放置しておくと症状が悪化する恐れがありますから 血の巡りの良くなる飲み薬を差しあげますから しばらくそれで様子を見ましょう どこかで耳にしたような文言を聞き流し 雛アラレを炒っている 保存療法は時として危険であると経験的には知っているが お金がないから名医のセカンドオピニオンを求めることも困難で これからは医師の診断書が無い限り初診料は全額負担になると聞く 心配性の軽症患者には高度医療の場所は似つかわしくないからという理由らしい 手が汚れては本が読めないというのならば、手首から先を切断したら良かろう 痛いから嫌ならば手袋するか 腕組みして手を伸ばさなければ良かろう いっそのこと 水洗いできる用紙を用いた本を購入するのが良かろう 或いは本から電子書籍に移行する良い機会かも知れないぞ 恐れていたセリフが跳び跳ねて 呪いのセリフを浴びせられたような気がして 新宿2丁目から地下鉄に乗って逃げるように帰宅した 本来ならば 本屋に2軒立ちより 気に入った本を見つけ出し 始発の新宿駅から坐ってゆける電車に乗るつもりであったのだが・・ わずか10秒から30秒間のストレッチに耐えられず エスカレーターに乗せられて 地下鉄のホームに辿り着き 発車間際に飛び乗れて 満員の肩越しに新宿駅通過を恨めしげに眺め 西へ向かって疾走する電車に身を竦め 手探りでバックの隅から雛アラレを摘み出し 音を立てないようにもぐもぐしながら午後6時の指針を確認し 過敏という言葉を噛み殺し 平成から平静、平安から平常というようなデーター圧縮する際の 量子化雑音を黙視する危険性をも検知するセンサーを一気に呑み込んだ また太るねというセリフにも聞き飽きたので・・ 「poenique」の「即興ゴルコンダ」投稿作 タイトルは、クローバーさん ---------------------------- [自由詩]動物園/あおば[2012年2月20日15時54分]                  120218 博物館に向かう途中 遠くに動物園が見えると聞き そのつもりで左方向を眺めたが 生憎、整備工事が行われていて 遠目が利かない それどころか 絶え間なく狭められた通路を往来する人々の群れが 攻め寄せて来る障害物に感じられてならない 遠くに見えるはずの動物園が見えないだけで こんなに不安を覚え いっそのこと もう一度駅前に戻り 真っ直ぐに動物園に向かおうかと思ったが 今日は博物館に行かなくてはならない 動物園は何時でも訪れることが出来る その証拠にパンダもいるだろう リンリン、ランラン以来40年、代々住みついて 今では主のようになっている 主は何処にいるか分からなくても 確かな存在感を感じさせるものだ この森の奥にパンダが住みついて 揺るぎない主となって 近くを通り過ぎるものは無視できない存在となっている 例え工事中で 煩くて遠目が利かなくも 主の目はこちらの背中を見据えているだと感じ 大きなタメイキと共に駆け出したくなるのを我慢した ---------------------------- [自由詩]2/あおば[2012年2月22日13時31分] 2                  120222 すべての動物は静物園からやって来たのだと二人の男が決めつけた 男は一人いれば充分なのだから 一人は男のふりした紛い物であろうと冷静な観察者には自明なことも 喧噪の巷で今日を生きる物には分からない 二人がやって来たのは静物園の手前のがらんとした街の外れにある古ぼけたビルの地下室 そこで朝から夕方までを眠り ビルの作業場で働く人々が帰宅するのを待って起き出しては この街にはろくな若者が居ない 夕方になると誰も働こうとはしないと決めつけている 今でも眠っている二人の寝息が交互に規則正しく聞こえてくるようだが 紛い物も本物もどちらも見ただけではだれも判別できないのに 冷静な観察者には自明なことが理解できないままに深夜の星は瞬き続け 疲れを覚え眠くなる頃に暁時を迎える 「poenique」の「即興ゴルコンダ」投稿作 タイトルは、斎藤さん ---------------------------- [自由詩]グーチョキパー/あおば[2012年2月29日13時12分]                          120229 ぐちゃぐちゃな画面をワイプするようにバスの轍が汚れた雪を掻き集めては押し広げて長靴の歩行者を呼び集めては轢き倒すスニーカーの中年を忌避しているような昼食は少しだけ腹に凭れ これからもう一膳のノルマを果たせるか否かが本日の吉凶を占うのだと 識者の唱える美しいニッポンの虚像を想起出来るか否かは閏年に任せ 人口減少期の文字に過度に反応する放射線半減期のコンプレックスをあざ笑う暇があったら 除雪にも協力して欲しいのだが 通行止めの標識を押し倒して走り去る車のナンバープレートの文字が牡丹雪に滲んで読み取れないのは想定内のことと拳骨を拡げチョキを出したところ グーを突きつけられたので、ぐちゃぐちゃな雪を踏みしめながら電車の見えるところまで行く羽目になった 残雪という文字を頭に描き牡丹雪を仄かに染め スランプ街道(道幅僅か90センチ)を辿る ---------------------------- [自由詩]ずっと待ち合わせ/あおば[2012年3月13日19時40分]                  120312 ありのままの人生を 赤裸々に語る初老の男 これ以上嘘を付きたくないのではなくて ありのままを語ることに優越感を覚えたように 笑顔混じりにいつまでも語る そろそろ嘘の季節に入ったようだと 薄ら寒い綿の抜けたかい巻きを抱き 広い廊下を歩いて行くと そこではない! 突き当たりを開けてその奥に布団部屋がある そのへんに屯しているはずだから はやくしょっ引いてこい! わめき声が背中をどやすので こんちくしょういまに見てろと 拳を固め かい巻きを楯に振り返るが 姿は見えない 空耳にしては腹に響くのが妙だ 云われたままに布団部屋に着くと 薄汚れた布団がだらしない格好で敷かれており 少し前までは誰かが寝ていたようにも見える ここで待っていれば 誰かが来て 屯してくれるのかと かい巻きに腕を通して横になる 日当たりがイマイチの布団部屋は正午になっても冷え冷えとして 目が冴えて眠くならない 一眠りしないと誰も訪れて来ないのだと知っているのでこのまま夜になったらどうしょう 明日は早起きして町内を一周し、そのうえ県庁所在地までも集金に行かなくてはならない 今どき銀行振り込みに応じないような唐変木相手だから取り立ては厳しい 夕方までに何件集金できるのだろうか些か心許ないが ありのままの人生を語るようになって以来、語気も強く、自在に抑揚も付けられるようになり 役者崩れだと云うと誰もが信じるようになった 現役の役者さんと異なり、目付きが濁っているが、正視する相手は居らず、 声だけで判断されるのでまだその嘘がばれたことはない すっと背筋を伸ばし、待ち合わせの人生ですと悟ったように語り出すと相づちを打つから、 淡々と相手の気に入る物語を縷々述べることにしているので 果たして、ありのままの人生をありのままに語るのが妥当かどうかは判断できない。 「poenique」の「即興ゴルコンダ」投稿作 タイトルは、カンノユウヤさん ---------------------------- [自由詩]ジャ〜ん/あおば[2012年3月19日19時52分]                         120319 プーブカ鳴るラッパの音で目を覚ます 漁獲規制の銅鑼が鳴り 天ぷら長屋で眼を覚ます 騒がしい朝の訪れに 着流しの身が恥ずかしく 詰め襟に着替えたが 隣家の兄さん冷たい眼をして無愛想 ありがとうございましたのマニアルセリフを身に着けた真夏の登校日 今日も天気は良さそうで 石ころ蹴飛ばし駈けだそう ぼんやりと思いだせ 幾重にも閉鎖された崖沿いの道からは終電車へと急ぎ歩く人達の靴音が乾いて響き 白夜を周回する都バス従業員は過熱した動力用バッテリーを手慣れた手つきで停留所脇の冷却装置に繋ぎ 時間つぶしのタバコ代わりに傍らで見守る人達にも愛嬌をふりまき、慌てる様子は微塵も見せない。 「poenique」の「即興ゴルコンダ」投稿作 ---------------------------- [自由詩]こわれた護岸をなおしています/あおば[2012年3月22日11時12分]                        120322 uytqkdhuZq94ugt@djr ....___ ? なんか楽しくなったような気がしますね 春になると 忙しくなるから ソノマエニカタヅケテオカナケレバナラナイコトガオオクテ 往来の交通も激しくなって 国道橋の上での渋滞も長く続き、イライラしているところにバイオリズムも崩すゆっくり揺れ続くなにが原因か分からない微震動に気持ちが良くなるどころか、次第に不安が募ってきて、果たしてこの橋は大丈夫なのだろうか? こんなにたくさんの車両を支え続けているのに、案外丈夫なものだ、今日は落ちることはあるまいと車たちは懸命に走っていくが、果てしのない流れの果てにあるものは、矛盾の解消?、人畜無害の殺虫剤?、健康食品?、自由化の波に洗われ続ける護岸は、眼に見えないゆっくりした速度で浸食を続け、しまいには橋からの衝撃にも耐えられなくなってしまう。それはいつのことか予測は付くのだが、補修予算案の成立のめどが立たない現在、知らないふりをして居るばかり。財務省から国土交通省へと視線を走らせ、外反母趾の予防には窮屈な靴は避けた方が無難との揉め事を嫌う健康メモを聞き流し、コワレタゴガンヲナオシテイマスと何回か口の中で呟いて、少しだけ安心感を得ようとする。 「poenique」の「即興ゴルコンダ」投稿作 タイトルは、澤田爽さん ---------------------------- [自由詩]キャスケット病/あおば[2012年4月13日22時23分] 古ぼけた桐箪笥の奥に潜んでいたウール地のハンチングを被っていて厳しく叱られた 銀ねず色に自転車で風を切り格好好いと友達にも煽てられ 些か得意になっていたので意表を突かれた思いでいたら ハンチングは丁稚が被るものだ、学校の生徒が被るものではないと元士官からとどめを刺された 職業にも貴賎があったのか 装束がまだその機能を果たしていた最後の頃かと思いだす。 そういえば兄貴の結婚式にも学生服で参列したなあ、当時は標準服等という持って回った言い方はしなかったのに 女子は標準服を着なくても好いのに男子はなんで標準服を着なくてはならないのだと不満を漏らす声もなく 服装に気を掛けることもなく過ごせるので都合がよいといえば都合はよいが標準服を脱ぐ時期にいたると センスが悪く着こなしがなっていないのとで敵を取られることになるのだが先のことはとりあえず考えない主義に冒され 黙ってハンチングを元居た箪笥の奥にしまい込む それから幾星霜、今では、 若者がハンチングを被り 老人がキャップを被るのも許されるようになり 男女差別も少しは減ったのか かっこよくハンチングを被る女性も現れ あれあれと思っていたら あれはハンチングではなくキャスケットだと叱られた 似ているようで両者には明確な差違があるそうで 単に英国と仏国との言葉の違いではないようで 若い女性詩人のAさんが朗読しながら深々と被っていたのがキャスケットなのだなと今にして思う。 「poenique」の「即興ゴルコンダ」投稿作。タイトルは、流川透明さん。 ---------------------------- [散文(批評随筆小説等)]4月1日から遡上/あおば[2012年4月22日21時49分]                       2012年04月22日  表題はゴルのタイトルですが、いつの間にか4月も下旬に入り些か慌てております。 月初めに遡上できるものならば遡上したい気分ですが、現実はそうもいかず、呆然と佇むのみです。  昨日は、「千葉詩亭 第十五回」に「並四ラジオ6号」を持参する。 主催 イタズカマコト・大島健夫のお二方 (50音順) 場所 TREASURE RIVER BOOK CAFE (JR千葉駅から徒歩7分程度) http://treasureriverbook.web.fc2.com/ ゲストは、朗読ユニット「しずくろん」(晴居彗星、もこもこのお二方) http://shizukuron.blog112.fc2.com/  少し早めに出かけ開場時刻直後には入場できたので、時間に余裕があり新たにフェルトの服を纏った6号もいつもよりは落ち着いていたようで、NHKの第一放送がよい感じで受信できる。(しかし、他の局は明瞭には受信できない。) ラジオ放送は受信しない予定だったが、急遽方針を変え、挨拶してから朗読を開始するまでの短い自己紹介の間中をNHKの第一放送を鳴らし続け、ラジオも普通に受信できることのPRに努めたが、気分的に放送の音では朗読開始する気分にはなれず、ソニー・ウォークマンに用意したBGM音源で鳴らし、「ボタンを押したら」を読み始めたが、予想以上に会場は広く、かなり大きな音量にしないと伝わらず、少しづつ音量を高めていったところ、突然、爆音のような共鳴音を発し不安定きわまりない受信状態に陥る。自宅ではその現象はまず発生しないので、対処法が判らないままにそのまま漠然と読み続けていたら、爆音の負担に耐えきれず電源が参ったようで、6号内部のブレーカーが落ちてしまい、当然のことながら電源を断たれた6号は沈黙を開始し温和しくなった。急に無音となり自分の声だけが響くマイクの前で我に返り、あたかも木に登ったままハシゴを外されたような感じの不安な気持ちで朗読は続けたが、BGMが無いのだと意識したあまり、いかにも詩を朗読しておりますといったもったいぶった口調になり、それを聞くと我ながら退屈し嫌になり、最後の数行は無心となるべく超然と読んだ。  予想とは全く違う終わり方になり、吹っ切れないので、音源を無機的な音に変え、気を取り直して短い「メモ帳」をぶっきらぼうに読み始めたが、考えるとこの作品はもっと深刻に真面目に読むべきだと思いだしたが、揚げたての牡蠣揚げ定食を食べたばかりで満腹の幸福感に浸りきっていては、急に深刻になれる環境にはなく、おもわず逆に妙な軽い節を付け戯けて読んでしまった。シリアルとコミカルは心の中では表裏一体になっているのかも知れない。 今後への課題1 大音量時に突発する爆音、大音量でのラジオ受信時のみに発生するので、総計5段という多すぎる増幅段数にも関係する大入力時の寄生発振のようだ。周波数によりインピーダンスが変動するスピーカー負荷時でのみ発生し周波数依存性のない抵抗負荷の場合は発生しないので、全体の動的安定性がやや低いようだ。 今後への課題2 食後は、緊張感が失せて、眠くなり、詩の朗読には気持ちの集中が不足し、どうしてもいい加減な読みになってしまうようだ。血液が脳から消化器官に移る結果であろうか。 空腹感を感じても終了してから食事を取るべきと痛感する。もしくはごく軽いものを少し摂って緊張感を維持するようにする。 「メモ帳」 http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=56448 「ボタンを押したら」 http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=240998 ---------------------------- [自由詩]5月22日/あおば[2012年5月22日8時18分]                 120522   7月22日はポエケット 忘れないように認めた ポケットのメモ帳は 今日もがら空きで 予約定員を満たさない 6月も22日が来たから 今日はお休みにしようと 5月の下旬に決めたことが 6月まで有効なのかどうか 判例集を満載した 薄汚れたカーキ色の車が バックファイヤーの紅蓮の炎を噴き出しては 角を大回りしてゆく 定員乗車を守っていても 騒々しい車もあると脳裏に刻み 薄荷アイスを囓り階段を上る 武蔵の国が一望できると聞いていたが 今日のように視界が曇っていては 当てにならないのは 小さい的に的中させる度胸が不足するからだと 映画シーンが語るのを思いだし 5月22日のメモ帳を閉じる ---------------------------- [自由詩]空のひだまり/あおば[2012年6月5日20時00分]                    120428 ムンクの本当の叫びを60億円で落札した 個人蔵だったから始めて見る人も多く 予想外にオークションは落ち着いていて 競合者も少なく すんなりと落札できた 人々は本当は楽しいおもいでに耽りたいのだと 僕は思う あの歌手も今は活動中止してニューヨークに行っている マンションの窓の灯も消えていて ときどき管理のために見回るけれど ここでは意味もなく叫ぶ人もなく やたらにドアを開けようとするものもいないから 毎日が気楽なものです 大都会の日だまりのような一角に にょきりと突っ立っているが 本当は気の良い巨人のように実直で素直なのです 管理会社の役員はそれを知っていて 人生に疲れたお金持ちを捜し出し 高層階に送り込む そこでは鳥になったように明るく自由に過ごせます ガラス越しに見える空は暖かく明るく雨を遮り 風を防ぎ酷暑の夏も厳寒の冬も変わることなく 生まれたばかりの赤ん坊も 末期を悟ったお年寄りも 健やかに笑って過ごせます 無理に顔を顰めて叫ぶことは止めましょう 顔つきが貧相になるし声も潰れます それに60億円で売れるのはあなたではなく 2次元に描かれた昔の絵画です 名画かどうか判りませんが この一角を占有するオーナーのたっての願いで落札しました 「poenique」の「即興ゴルコンダ」投稿作。タイトルは、なるみさん。 ---------------------------- [自由詩]花柄のおしめ/あおば[2012年7月3日6時57分] 花柄のおしめ               120703 予報1時間雨量65ミリもなんのその がらがらとかーちゃんが洗濯機を回す音がして 束の間の休戦が破られたと知り たちまち575の作戦命令を下すガキ大将のもと 機敏な長女と次女は姿を隠し 手助けする者がいなくなった井戸端は しんとして例会も開かれる様子がありません (まもなく予報に違わず雨が降り出し豪雨となりそうな雲行き) 一人乗りのシティーコミューターが音もなく通り過ぎ 流行端末を詰まらせてはネット接続出来ませんを繰り返すゴムのへたった洗濯機付属の搾り機がかあちゃんの命令に素直に従って 綺麗に染まった花柄をキリキリと締め上げては 最後の一滴まで絞り取ろうとしております それに対抗する手段はあるものかと 息を飲んで見守る十ちゃんは ひゃやっこも喉を通らない程の疲労困憊 なれない肉体労働にばてばてのありさま これでは明日が思いやられますと花柄のおしめは臍を噛み 成長軌道に乗って何度でも往復できますとシティーコミューターは扇子のようなワイパーを振り翳す ---------------------------- [自由詩]虹の色は七色/あおば[2012年7月6日20時00分]                             2011年08月04日 そのように昔から決められている。だからそれに異を唱えるのは、確とした証拠がないと動かせない。判決が確定したのだから、もう諦めろと気の弱いものは呟いて・・、七色信仰に突き進む。 そんなザレを吐くまでもなく、虹の色は七色と決まっている、と考える。 確かに分光光度計で測定すれば可視光すべて含まれているのだから、その数は無限と言うほど多くなる。色を識別する能力には個人差があって、この色とあの色は少し異なると気がついたときは、同じ色でなくなって、別の色と数える。かのように区別していくと、虹の色は星の数ほどにもなって・・、数えるのも大変だ。 昨夕、思いがけなく虹を見た。しかし、ぼんやり虹を見て、きれいだなと時間を空費する人は居ない。背中に虹を負い、目を▽にして小走りで往来を闊歩する。自転車が虹を背負って走る、新聞配達のバイクも背負う、ミニカーが背負う、宅配の小型トラックが背負う、大通りでは背負い手が多すぎるのか虹は辟易としてどこかに消えた。 写真 マニュアルモードで絞りを2絞り下げて撮したが、1絞りくらいでよかったようだ。絞り過ぎて、微妙なハイライトの輝きが失われた感じもする。液晶デスプレイが暗いので判然とせず、安全策をとったのが裏目に出たかも知れない。ハイライトが飛んで見えなくなるよりはましと諦める。 ---------------------------- [自由詩]摩周湖/あおば[2012年7月8日5時19分]                          2011年07月31日  ずいぶん昔に観光旅行で訪れたことがあり、晴れていてコバルト色の湖面が美しく、ガイドさんには幸運だと言われたが、暑くて、景色をしみじみと鑑賞する余裕が持てなかった。薄いミルク色の屈斜路湖にも立ち寄ったが、そこも簡単に辿り着いた記憶があり、それ以来、札幌から2時間程の位置にあるものとずっと信じていたが、地図を拡げると国後島の近くにあるのに驚く。そんな遥か遠い摩周湖にわざわざ出かけていったのが今では信じられない。旅程の関係で帯広で途中下車し宿を取ったのも記憶しているが、それは摩周湖の帰りだったのだとやっと気づく。無論この旅行は私が計画し列車やバス、旅館の予約等をしたのだから、当時は位置関係などをはっきりと把握していたのは確かだが、旅行の後では地理的な知識は霧のように消えてしまい、最近では札幌からほど近い山地にあり、誰でも手軽に行ける神秘な湖となっている。 ---------------------------- [自由詩]休載/あおば[2012年7月25日20時22分]                120725 あすは夏のお祭りで 子供御輿もデルという 蝉が鳴くから夏なのさ 腹巻き鉢巻きピチリと巻いて 金色の鳥も空を舞う 笛の音ピーヒャラ後を追い サッカー場で追いついた 一人の踊り子にこやかに 二人で踊るラプソディー 普通に生きる仕合わせを 旋風が吹き飛ばす 風の行方を目で追って 加害者が決める休載の 被害者ゼロに判を押す ---------------------------- [自由詩]筋金入り/あおば[2012年7月27日9時16分]               120727 物語る歴史の闇を明るく照らすのがLED照明 友好関係を維持しようととして気の弱い君主たちが平和な国を造りあげたのさと 仄かにちらつく行灯の灯り気障な蝋燭の灯りとアーク灯にガス灯 稲光にマグネシウムの閃光を突き抜けるへなちょこのレーザービームと 灯りの歴史から気の弱い君主たちの影を消す照明弾が輝いている今 節電のためとはいえ臨時休業してまでもLED照明に交換させられるのだから 君の気の弱さも筋金入りさ だけど君の好きだった温かい古強者の筋金入りの電球も滅ぼされたのだから僕はしばらく安泰かもね ---------------------------- [自由詩]へなちょこ/あおば[2012年7月27日20時05分]                        120727 絶対に負けたくないと勝ちたいとが交差して鉢合わせ 火花を散らすガチンコ勝負の結果は如何にと 昨日の新聞拡げたところ カラー画像も麗しく へなちょこ戦士の勇姿が踊る 熟練した者の持つ無駄のない姿勢を習う へなちょこ戦士の握る機関銃は 自動姿勢制御装置付き 姿勢が無くても撃てますと 無の境地から囁いている おぉ! 素晴らしいと歓声をあげた皆さまが 酷暑の生き地獄の中で右往左往して回転を高め 童話のようにドロドロのバターとなって溶けてから形あるものに作り直される このような単純な作業が造りあげる混沌とした造形が抽象化するか具象化するかは作業担当者の主体性に懸かっているのさとガチンコ勝負の勝者は告げる へなちょこ 変なチョコ 南国のカカオ豆から生まれたチョコレート戦士たちは なにを言われようが気にせずに頬ばってお菓子の世界を制覇したのさ ---------------------------- [自由詩]ピーク/あおば[2012年7月29日23時38分]                  120729 ピークチト ジッコウチの違いを知らぬ中学生は 壊れてしまったメーターの指針を眺めたままため息をつく 無酸素も極めたし いくつものピークに達したから先が無くなったと 体力が有り余っている青年登山家は空を見る 青空に分け入ってその身を空の高みに置きたい そう決心したので登山靴を脱ぎヘルメットも投げ捨てて ピッケルだけを握りしめ ピークからジャンプした 次々と現れる凍った雲のハジッコにピッケルを突き刺しては登って行くと 白い塊のような氷が浮かんでいるのが見えた このように重力場に於いても氷は空に浮かぶことができる 氷とほぼ同じ密度の我が身だって空に浮かぶはずだと ピッケルも放し 集合する雲の峰に飛び移り 姿を消した 一部始終を見守った仲間たちは 眼をぱちくりして再び仰いだが 空はいっそう青みを増して高度を高め もうジャンプしてもピッケルで突き刺せるような柔な球体はどこからも現れない 気象状態が急変したからだと信じられていたが 憲法草案を握りつぶした者たちの邪念が空を硬直化させたのだということは 当時はまだ知られていなかった 彼岸から此岸への徒歩連絡も可能となった現在でも オリンピック中継を好きなだけ堪能するのは地上波だけでは難しく 権利と権威の浮遊する空間では青い空も硬直化を進め もはや、軽装になっても飛び移れなくなっていると感じた 近代化の歩みの中で硬直化が進みながら 落下するほどに比重を増した空の構造体がまだ浮かんでいられるのはなぜなのか 表彰式の片手を上げる勝者の笑顔を見ながら考えている。 ---------------------------- [自由詩]バン/あおば[2012年7月30日12時05分]                       120730 音がして目覚める 不倫の後の目覚めは健やかで 配達人も遠慮する静かな午前 ギタリストのピアスを付けて 往来に立つのです 古風な旋律と 騒がしいリズムが 風を停滞させる午後になると バンという音だけが屹立して 素直な色彩を形象化してテキストに変換してくれるから ローマ数字に似た入り口を潜り 古ぼけた一室を通過し 扇状地に出ると 展開されたばかりのマーケットとが破産して 古着ばかりがメチャクチャに畳まれてうずたかく 目を塞ぎ向こう側も見えなくなっている 混乱はバンの合図で解散しなかったからだとわかる 不老不死の薬を求めて旅立った老人たちが 偽薬と知らずに買い求めては飲みつづけ 一文無しになって飢え死にするのを尻目に 深呼吸しようと今朝も往来に立つ ---------------------------- [自由詩]そ/あおば[2012年7月31日15時47分]               120731 そはそら そらしど そそらし そのリズム そのリズム2は乗れない 庭には2波のカラス 群れになって啄む そは乳製品 その甘酸っぱさが なつの味覚 そそそそそらし どれもその日の素因数 その日暮らしのヒグラシ ---------------------------- [自由詩]追いかける/あおば[2012年7月31日21時19分]                 120731 形状記憶合金の哀しみをトイレに流し ミズノさんはネクタイを締め直し 夜会に出かける 夜会というのは某歌手の定期公演で 筆者も行ってみたいと思っていたが チケット入手の手段もなくて 今では想像の世界となっている 追いかける形状はスリムとなって速度を増す 逃げる姿は流線型、ブースターを付けなくても速いのさ 可愛い後輩の面倒は見るが 憎たらしい後輩は無視して踏みつぶす 無意識の形状はなんど洗濯しても無くならない 襟にアイロンが熱い吐息を吹きかけるから 今日もよい気分で堪能できそうだ ミズノさんはなにも言わずに足音だけを残す 邪推するのは偽善者の常と形状記憶合金が呟いた 畳の上でハイジャンプして天井に身体毎ぶつかって 大家さんに叱られたあなたは優れた素質がおありなのですから 諦めずにこれからも精進なさるように祈念いたします。 知らない方から嬉しい便りを読むあなたは、 前髪は無理でも後ろ姿だけは見失わないように願います。 ---------------------------- [自由詩]の/あおば[2012年8月1日9時06分]                     120801 根抵当権を掘り出しては日に曝し乾かして燃料とするのだとよく分からないことをおっしゃるあなたはのの字を掌に書き飲むふりをする 同じことをしますかとテレビのインタビュアーが囁くのでうっかり頷くと増税が裏口で待っていて身ぐるみ剥がそうとするから 自由民権運動の発端はなんだったのか思いだそうとして苦し紛れに言い訳を考えた そもそも発端は解れないように堅く結んであるから解きほぐすのは面倒であります ピンチヒッターにすべてを託して勝利を願う心根がのの字を解体するのです スペシャリストに憧れるのも自由です 食事が覚めるので掘り出し物を漁るのは止めてください 最後通牒が通告されたが抵抗する力も無いのでのの字の如くに固まったまま動かなくなる ---------------------------- [自由詩]縮む/あおば[2012年8月1日19時08分]                          120801 勝利の女神が微笑んだから余は満足だと時間軸を傾けて引っこんでしまって90年 パワースポーツがプロ化して絶え間ない新陳代謝を促すのだと縮んだままの時間軸が4年ごとに味噌を擂り 10年を経た家電は買い換えた方がお得ですと何枚ものチラシが舞い込んでくるが買い換える費用がない 我が家では壊れるまで使い込む 故障は直す 汚れは洗ったり擦ったりして磨く まっ白になった古くさい家電を慈しむような気持ちでいたら急に轟音を立ててコントロール不能となる 補修部品がありませんから修理はできません 買い換えてください サービスマンの無表情な顔を憎む お金があればそうしたいのですが・・と口を濁すと 10ヶ月ローンの申込用紙を呉れた 借金は嫌だからと丁重に断ると冷ややかな蔑むような目付きで睨む 借金漬けの家電に支配された空間に留まるのは嫌だと思うが他に手段がないのに気がつきどうしたものか思案投げ首で居たところ、ケータイが鳴りサービスマンは無表情のまま引き上げた 以来、寄る辺を無くした故障した家電は一切の支配力を失い白っぽい顔をしたまま黙っているのでなんだか哀れにも見えたから 名を付けて慰めてあげたくなったので試しに○○○と呼びかけた 縮みきったバネの押さえを外したら飛び跳ねるか縮んだままかは見ただけでは分かりにくいから たくさんのバネが使われている機械はいつも賑やかな音を立てて互いに声を掛けて元気だよと知らせあっているのだと気がついた しかし故障して動かない家電はなにも言おうとしないからどうしてよいか分からない 縮む地球の自転軸を少しだけ引っ張って伸ばしてみよう 一日が長くなり労働時間が無表情に延ばせるという考えは却下してファンデーションも整えて ---------------------------- [自由詩]時速15キロ/あおば[2012年8月1日23時50分]                120801 走る速さは梅の花 なんじゃこりゃと 頭を上げてモモンガーが叫ぶから 蝙蝠の喩えだよと抗弁するのんびり屋の台風 ラジオからは彼等はまだ発達段階だから走るのも遅いのだよと分かったような声がする 力の方向が分散していて無駄になっているんだ 分かったふりして自転車に乗る 自転車は合理性が高く力の無駄が少なくて すいすい走れるんですよねと 一輪車が懸命に話しかけるが 突き放して我が道を急ぐ のんびりしていると梅が散ってしまうのでねと 適当な理屈を載せ 人車一体突っ走る ---------------------------- [自由詩]伯楽確認済み/あおば[2012年8月2日9時27分]                120802 走り過ぎ症候群に陥る砂丘郡を彷徨いながら 草の繁ったところを探す 丘の上にはいつも上向きの風が吹いていて ハンググライダーで空から眺めるが 2種類の喬木が遠方に傾いて伸びていたが 乾燥した大地には草むらの姿はなく もはや雨期の訪れを期待するしかない 閉塞した感情を抑えつつ 平行棒のような日々を過ごすうちに 栗毛たちの世話を怠り 飼い葉の蓄えも不足した 今から飼料を注文したくても 資金の都合がつかないのだ どこかに口当たりのよい草むらが拡がっていないものかと期待を込めて空に揚がってみたが不毛な砂漠は拡がるばかりである ---------------------------- [自由詩]ハイザラ/あおば[2012年8月6日18時27分]             120807 デクニンギョウノタメイキヲ ユウジンニタクシタ サワルト ザラットシタカンショクノハイザラ フルクテサビテヨゴレタママニナッテルガ ゴチソウサマノコエハキイテイル チャンスが無くなった今でも 忘れ物のマッチとスイガラ 吉備団子に鳳仙花 花火帰りのお客様は ひと休みして 居眠りをするのだが・・ ---------------------------- [自由詩]灰皿(縦書き)/あおば[2012年8月8日9時18分]             120808 木偶人形のため息を 有人に託した 触ると ざらっとした感触の灰皿 古くて錆びて汚れたままになってるが ご馳走様の声は聞いている 出番が無くなった今でも 忘れ物の燐寸と吸い殻 吉備団子に鳳仙花 花火帰りのお客様は ひと休みして 居眠りをするのだが・・ ---------------------------- (ファイルの終わり)