みい 2004年12月25日16時28分から2020年3月10日2時20分まで ---------------------------- [自由詩]夜明けを束ねる、ろうそくをくぐる/みい[2004年12月25日16時28分] ヘッドフォンの耳の内側、ぐらりとゆれた電車では わたしはとっくにバランスをとれないで 一本の細っこいろうそくに似せて ずるり、とけていくふり とけたろうそくの 土台はやっぱりケーキでしょ もっととけていなくなれたら 今度はトウメイニンゲンになって ケーキおなかいっぱい食べる のね、 ゆめ つり輪を持ったまま わたしの視界のみんなはとけてゆく あのサラリーマンの人も 高校生のカップルも 子供のプレゼントをもつお母さんも ぼんやり みえなくなって ふっ と あかりが消える、みんなに なまえを つけてあげる、 夜、夜、夜、みんな おんなじ記号で メリークリスマス わたしのなまえは、サンタクロース。 スパゲッティのくるくるぐらいで しんどいなんて、そんな、待って! わたしの右手からぽおん と はなれて さくり あなたの頭で この子も あなたのことがすきだったのねえ なんて あっはっは ごめん もうしわけない フォークをとばしてしまったのはわたし え?おれのこときらい? そんなまさか! あ しゅうん だいま、しゅーん。 そんな ばかなことばっかりでつくった ケーキの中にグリンピースをみつけた あたりだというあなたと わたしはちがう だってわたしは グリンピースがしぬほどきらいだし どうして わたしより大きな体をもつあなたと おなじことを考えたいのかと わたしの体をじっとみていた たましいは ぜんぶ、おなじ重さなのかしら だからと理由をつけるのは 間違っているのかしら ふと 左のおっぱいが右よりちっちゃいことに気づく 1秒前に戻ったらわたしはそこで たぶん、バグってしまう むかし サンタクロースがくれた クリスマスのレコードの あああああああ、のおかしい のと たぶん、いっしょに ---------------------------- [未詩・独白]カルト/みい[2004年12月27日11時10分] かなしいところ では あなたは 体中のちからを ふりしぼります どこで 立ちどまっていても わたしは すべてのひとに 見えているのです わたしは まるで それがないと 生きられない かのように なにもかもの前ぶれ が にっこり であれば よかったと 思うのでしょうか ゆうべの消える月のことは あなたにやっと 話せるぐらいで ばかです かなしいところ では 目をとじて せかいごとなくなります それでも わたしは だれにでも見えていて わたしの言う あいしてる はいつまでも わたしのものにはならない あなたが わたしのかなしいところ では 消えてなくなるのが あたりまえで あるように ---------------------------- [未詩・独白]ねこに生まれた/みい[2004年12月30日13時22分] ねこーとよぶと ごはんをたべます さかなはいつまでも すっぱいまんまです よぶたんびにちいさくなるので ちゃんと、おぼえておこうと なきます ちんまりしたしっぽが はたはたとして かみさまとあそびます ぐるんぐるんのめだまで たいようをみると めが きれいになるのよー って じぶんがおしえてくれました ---------------------------- [未詩・独白]望まんでいたり/みい[2005年1月6日2時36分] ああ、となりに いないもんだな いまから おもってもいないことばかりで うそをつきます わたしのことは苦手だと しっています けして わたしの目にうつったりも しないということも あなたのことがわたしはすきです 追伸、 こいびとは旅にでて しまいます いつ いつ いつ ってそれは遠すぎて こわいです だいじなひとの こころから からだから、 わたしは消えたくないと もがきます だから だまるよりほかないのです 追伸2、 じぶんにとってわからないということは ちゃんと、いいことなのよ 脳がちがうの たくさんのひとがよりそってわらっていたとしても ふれなくてはわからないみたいに 脳が ちゃんと ふれてね、 よくきこえたら いえーい、ね だれかと 手を たたいて ---------------------------- [自由詩]ぬるっこいサンプル/みい[2005年1月19日21時05分] 1 あのお姫さまみたいにうそぶくあなたのその声の中では 死んでしまった方が、良いのですか 初めてそんなことを思いながら 今日もピンを刺します このピンでは、手のひらを 1センチだけ刺すことができます 荒い目の ツイードをぎゅうぎゅうにいせこんで 合わせるべきところと合わなくなりました もうすこしだけすかすかの、誰かに逢いたいの 咳く、あたしと 名前が同じだということを知っていますか 2 お兄ちゃん、あたしと一緒に行こう? ユーモレスクを誉めてくれたお兄ちゃんと仲良くしたいの はらわたを ちゃんと取り除いて食べさせてあげる 片面ずつ焼きながら、魚と 目が合って それでもなお 焼く ということが 今の世界で 3 層になる、 つないだ手、を、 層になる、 脳のその、つないだ、手、を ステレオで、しよう、いや、 唇なら、うまくいく、のでは、ないか、と だまる、 だまるところでは、 なくなる、 ふいうちで、ななめ、から、つまんないと似てると誰かが言った愛してるを 耳に、 つなげて、 きこえるというのはとてもあたたかく べつのところでべつのものがまた わたしのものになるかいかんと 層で 埋もれ その中で不安ですかと聞き 抱いてあげる と 言い 4 鉄、と呼ばれるお姫さまとファミリーコンピュータの中で あられもないピーチ姫の世界を奪い合う 鉄は 都合が悪くなるとパラフィンで世界を固め あたしは パラフィンでデザイン画を描き 今日がはじまります 今日とは どこからのことなのかというところだけが みんなばらばらのまま 5 腕時計が13を指します ユーモレスクを誉めてくれたお兄ちゃんと仲良くしたくて タランテラを誉めてくれたあなたと仲良くしたくて アラベスクを聴かせてくれたあなたと仲良くしたくて 五線を次から次へとぱらぱらと茹でながら 丁度良いアルデンテの頃、ぽこぽこと拍手が沸き上がるように ただ台所で突っ立っているあたしはたぶん とても冷たいのでしょう 隣の壁も冷たいのです 真っ白でまるでほら、雪が降ってきました 一晩中降り続けた雪で土も真っ白になり これが 世界の果てだと震えながら そこに立っています 時間がまるまってついに13を突き刺します あなたは割り切れないと言って泣き叫び 抱いてあげる、唐突にまるめて、 拍手がやみました 伸びきった五線は体温とおんなじ温度になり あたしは おんなじ13で割ってしまいたいのです 6 太陽の見過ぎで とけてしまった なんといっても 世界の果てだったのだから 返事が来なくてよかった 今も咳く、 あたしの名前を本当に知っていますか ---------------------------- [自由詩]バレンタイン/みい[2005年1月23日0時26分] バ・レ・ン・タ・イ・ン の主役は一体どの文字なのかしら? 「ん」の字を外して4つにしぼると 片手に収まる4人の候補 その手でわっかをくるり作って 片目はつむって覗いてみると どうやら「い」の字が有効なので あたしの本命は井上くん。 まずはココアを20グラム 直接彼の机にどさっ☆ 心もちおいしくできるような気配がするわ 隣の教室からも色んな音がする真夜中 バニラエッセンスを何滴加えるかによって 何ができるか変わってくるから要注意 そしてあらかじめ用意しておいた ピンクのリボンを最後に閉じ込めると 朝にはきちんとラッピングされて彼に見つけられるでしょう バ・レン・タ・イン バレ・ン・タイ・ン のリズムに合わせてスキップをしながらかえりみち おくりものの行方を気にしながらのかえりみち ほっぺと指先が真っ赤になってかんがえる りんごになっていたりして 高級ちょこれいとになっていたりして それともチロルちょこになっていたりして 明日には逢える気がしたりして それともからそれともまでのチョコレートは あたしの頭上から積み重なって神様にもとどく ---------------------------- [自由詩]残照、ハンドクラップ!/みい[2005年2月19日22時20分] 先生! わたしは、といいかけてうっかり チョークの粉でくしゃみ 冬を飛び越してしまった3回転半のジャンプで 着地、よろけて 目の前にひろがる もしくは なにもひろがってなんかいない 残照、それわたしの 足場ね 追ったのは 確かに見えたからで 決していなかったわけ では なかったと思う 踏んだかも わたし踏んだかもしれない あなたの影どころかせかいを * 春 カフェにてスカッシュを溜め込む しゅわわわっしゅか、のお腹は ちゃんとはらんでいる わたしごと わたしの季節ごと ケーキを食べた瞬間も 退屈なふりもできず かといって うまく踊れもしなかった夜も じゃあね、と手を振りながら 泣きわめいた朝も 愛してる人たちに笑いながら 愛してるよ!と叫んだ日も わたしはいつも 手を、つないでいたかったの 誰かと 誰か、誰か、誰か、 という思いを やっとのことで、にぎりしめて走るあし、 走るステップはなんで いつまでもわたしらしいのか、それが わたしにはもうずっとわからないで 泣いた、泣いた、涙が 流れてしまうのがもったいなくなって 上を向いて泣いた それでもあふれてしまったもので ぼんやり月がにじんでいく わたしはまた 誰か誰か誰か、と言い 声にならないうち 月が、消えていくのを みた 誰かなんてほんとうはひとりだ それがあなたでよかったあ、と気づいたのは 意外にもたった今で 影を 踏まずにはいられなかった あなたのわらったかお、残照。 * ハンドクラップがきこえる。 ねこが、あたまをよこぎった。 もう見ないようにしようと思った。 女の子に、信じいよ、とやさしく言った。 自分にも試しに言ってみた。 こんなに聞き分けのない自分ははじめてだった。 まどのそとはくらい。 何万回目の夜なのにはじめてこわいと思った。 ねこをもう一度思いだした。 今度はちゃんと飲み込んだ。 アメリカンなショートヘアならお父さんが捨てた。 ハンドクラップがきこえる。 あなたの大きなからだと わたしの小さなからだで 同じことを考えてみたい 追ったのは確かに見えたからで 決していなかったわけではなかったと思う 先生と見たゆうやけだけがちゃんとむらさきだったこと、 むらさきがきれいだとはじめておしえてくれたこと、 それからみんなでマフラーを巻き合ったこと、 あなたがわたしにわらってくれたこと。 ちゃんときこえる ぜんぶ手がまばたきする ハンドクラップがきこえる。 わたしの胸でねむるねこだって なにかを飛び越す3回転半のジャンプ。 ---------------------------- [自由詩]ママはたぶんこの先で/みい[2005年3月4日23時11分] だまになってしまったその、ゆうぐれをまとめながら 左手の指輪で料理を作っているママが 味見したものはすごく 寝ぼけた味でなまぬるかった あたしがママのすみっこで ため息をつきながら、ぱんぱんにはれた 思春期の顔で レモンバームみたいなにおいのする 肌色をかじると おいしそうな顔をして ママが、わらう ママはたぶんこの先で あたしの幼いキックを束ね すぐにぶらあんと宙づりにしたら 強い子に育つとでも言うのかしら 男の子、きらい ゆめがたくさんすぎて 手がつなげないなんてばかみたい ママはたぶんこの先で それはねえ、ファックよと言いながら こんなやさしいところにあったのかと あたしはびっくりして もう 強引に手をつなぐと 男の子が、わらう 逆さにつられたらその世界を正しく思う あたしの髪は結えず毛玉にして ねえこれも可愛いよー トウキョウコレクション! メロディアン、きらい 足でけんばんをひいているのが、歩くはやさ 紙のピアノ、口をおおきくあける ドを押すとドが鳴るのは ここではうそつき 思いっきり蹴りとばす テロリズム、 まだ舌の出し方もわからない 吐きちらす 色ばかりのせかいに酔っぱらったまま あたしのことを生みながら 忘れたなまえを思いだす ママはたぶんこの先で ---------------------------- [未詩・独白]世界の果てなんかなんにも知らなかったかもしれない/みい[2005年3月6日0時54分] ねえ、トモチャン、 と呼ばれ お茶の濃ゆいところの途中で ひょっ、と あばらの隙間に指を 埋められた もしかして こういうところでしか あたしは埋まらないのかもしれない わかるも、わからないもない世界で なんも触れられないあんたはすき かみさまは、 しょうもないことしか願わないあたしを やっぱぜいたく、と言って そりゃそうだな いやしかし寒すぎて もう、 どうでもいい トモチャン。 あんたのカタカナには、なんか 参る と言うと だってきみのなまえは世界の果てで 呼べない と言う ---------------------------- [未詩・独白]醗酵する、リリィ/みい[2005年3月7日23時36分] 軽んでいく、 とてもすごいはやさで僕には 回転してる気がしていて 地球が、もしも 女の子だったらなあ と思う リリィ、 あたし痛いねん。 とか 言ってみろや なんて ほんとごめん きみから 教えてもらった友情って リップとか塗りっこして、 わらってんの 確かになんか 守られたかも って 思えば思うほど すこし、黙って。 と 言われてしまう 黒い髪はすっぱくて 指はやたら甘くて、 リリィ、きみはなぜか毎日 僕の 発音を食べて ---------------------------- [未詩・独白]女、春にて/みい[2005年4月18日21時30分] ネジ巻く、ねこの 足で びっこひきながらつくる、 足跡は君に ひとつ残らず 食べられ 慣れ、 パステルカラー、死んじゃえ と つぶやきながら 背中の巻き毛も、 くるるり じんじりと 巻く音っていつも だるそう ね はい、では 死にます と 言うわたしはうすいきみどりで うすすぎるももいろの ひと月3000万円の女と 交差しながら かみさまのいない夜で バリリバリ、 噛みながら 歯が折れても血しか出ない 日々の ネジは飽きない 君の抱く、ねこの 味 だった ---------------------------- [未詩・独白]抱擁A/みい[2005年5月30日20時18分] 黒砂糖をつかむきみの手で いきのねがとまるゆめをみた きみとは一生せっくすなどできず それでもしぬほどおんなじになりたいせいで あたしはどんどんきみになり なぜ、あたしの話がふしぎなせかいで きみが生きているのか ただ 食べたい、ざりざりの まくでおおわれるせかいを ほっぺの中では丸くなるよう なめてとかしたの コップに落とす 水ではとけないんだよ、って言って そういうので抱くだけの きみは ゆらあり、 あたしのしぬのを いちばんの、 あったかいので抱いた ---------------------------- [自由詩]パプリカ/みい[2005年6月13日17時20分] 自転車のペダル踏み、学校を出てすぐに いつもの、知らないおじさんに携帯で写真を撮られる 足下には、夕焼けが落ちてきて ああ 影がもしもこのままなくなれば 世界は終わるのではないかと 思いながら 食卓にて、 死んでも可愛い魚に嫉妬しながら ちゃんとその目を見て、いただきます。 目はつぶらで、口は少し開いていて、 授業中にあの人とキスしたいと思うのと一緒のところで なんか気になるあたしはきっと 人間で言えばやっぱり、あなたが好きですと 言いたい、言いたい、 言いたいよう と だだをこねながら 食べる可愛い魚は暗澹の味がして どうにも参る たとえば、このサラダに入ってる パプリカみたいな女の子になれたらどうだ あたしはこれを、 夕焼けよりもきれいなものだと思いながら 人さし指でつまみ 食べる 今日、 いつものおじさんに、こら、と言ってみたら こんにちは、と返ってきた ナイフ飛んできた? みたいに衝撃の挨拶に首を横に振って いいえ、 あたしはあの人に殺されるまで死ぬ事ができないのです。 と答える 柔らかい朝を目の前にして あの パプリカみたいな感触の夢を見た。 少しだけ間違ったように、 指まで食べてしまいたかった。 ---------------------------- [自由詩]ピラニア/みい[2005年7月18日18時07分] 通りすがりの人に頭を殴られたときに どこかでしあわせになったあたしが 鼻血を流し、ぐらんぐらんの脳みそで 汚れる制服とアスファルトを きれいに混ぜた 人を殺してばかりのきみの 本当は殺されたいというところで あたしは生きているかのように きみのただれたノクターンの中では 誰の指先も探せず、 そういうので泣いちゃうような よくわかんない味のするので お腹がいっぱいになったらいいのにね ゆめで2人のピアニストに会い そのうちの1人がきみだと言う きみは一体どれがあたしだかわからずに ひとりずつ 順番に食べてみればいいと 言いながら 死んだら可愛がってくれる? と聞いたあたしを食べた 音楽室ではショパンが 素晴らしいノクターンを弾いていた 誰の指先も探せなくても良かった きみの どっか世界の欠けたような あのノクターンを食べて ひきちぎりあうので、 いっぱいいっぱいのあたしたちが 鍵盤の黒に光を見た ---------------------------- [自由詩]綴じる、サイレント/みい[2006年2月26日23時42分] ねぇ、そもそも、 からだの中心ってどこに あるのかしら? ただ、 丸くなって眠るきみは ドーナッツのなかま、みたいねぇ まんなかの空白のふしぎがやがて きみの中心のような気がして わたしはやっと きみを 好きだ、と思う わたしのなみだの とてもあてにならないせかいで 昼間見た あざやかな蟻の黒の連続に 葬列、という名前をひとりでつけて お前のねこなら死んでたよ、という夢を しんしんと埋めてゆく せっくす はいつも どうして、というきもちでだけおなかがいっぱいになって それでもほら、はだかでなら わたしはきみの汗やなみだと一緒に きみのまんなかにすこしずつ、 とけて いなくなることができる そういうわたしは いつも ほんとうに急ぐみたいにして服を着ながら わたしのねこなら死なないよ、と ドアを閉めた しん、とした空気って ほんとうは割れるんじゃないかしら と ふと飛び跳ねて蹴り上げたせかいは 壊れたかどうかも わからないほどのサイレントで、 着地、暗んで ふと きみもわたしのまんなかを知っているのかなあ と思う わたしは きみの泣き顔に だまる うつくしさが ただ、 とても好きで ---------------------------- [自由詩]滲んでいった夜について/みい[2006年4月9日19時51分] くらむ、あしもとでひとり、 すうじをかぞえていました たったままねむったりして そのまま どっかのおとこのひとにだきしめられるなんて ゆめ、のようですね にじんでゆく、 というこたえを あなたにだけおしえました。 わたしの、 わたしのぜんぶだったようにおもえたよるです。 それから、 どっかのおとこのひとは てんめつ、したりして ぶうわぁ、 どこからかのゆれを わたし、 うけとめるだけなのかしら と どっかのおとこのひととは はなしすら せずに いち、にぃ、 の せかいがすきですと そして おやすみなさいとさようなら、が おなじだというあいだで さぁ、 わたしのひざまくらのいごこちは あまりよくないでしょう こつりこつり したまくらで でも すこし、 ねむるまえにわらってくれるあなたの にじんでゆくよるがすきで はるしおんの くちもとから、 あふれるあおの キスで きえちゃえ、って わらった よるのことでした ---------------------------- [自由詩]あたしの脳を食べて/みい[2006年4月12日19時01分] アルコールのキッスじゃあ、 このせかいもしびれたまんま、 しちゃうよ そろそろ終わろうよう、 ねえ、 そろそろあんたは終わりだよ って、 言ったでしょ あれもこれもぜーんぶいっしょに とってあるの、 とろうり。 ぐらあり。 もけい、それがただひとつの しんじつ。 もしも、もしも、もしも、のれんぞくで、 あたしくるしいの。わーい。なんちゃて。 ただ、きみ が、 しぬほどのうみそにしみこんで がらくたのよるにきえてゆく、あた し、ふぇーど、あうと。す んの?はやくない?ねぇ、もしもきみがしん だ ら 食べたいなあ、 らいおんだもん。 ぺろりだよ?ところで、 きみの脳って ちょっと あたしの味とか、 すんのかなぁ ---------------------------- [自由詩]その、平穏、/みい[2006年4月19日20時29分] 破って、あげるよ。 きみのたまごのいいとこ、みたいなその声で、 わたしは目隠しされているのです。日々、わた しはわたしが嫌いで、でもきみのことは好きで わたしは目隠しされているのです。何も見えな いと言う、真剣な嘘をつきました。わたしはわ たしが嫌いです。「破ってあげるよ、きみの」 ああ こうこつのひかり は、 しぬこと に ちかいのでしょうね ゆっくり、ゆっくりと押し流されてゆきます。 早く目だけでなく、全てを隠してくれる事を祈りながら、 わたし、わたしを嫌いながら、 あなたのその、 その、すてきなこえ へいおん。 好き。好きです。 音もなくなる程に。 耳も隠される程に。 わたしのすべてをかくせるあなたの、 その、平穏、 破って、あげるよ。 ああ こうこつで しんでしまわないとしたら、 わたしは どうやって、 しぬのでしょうね。 ---------------------------- [自由詩]ダリア/みい[2006年11月2日1時52分] あたし、くちびるが花びらで いつも ちょっとしょっぱい くるしい感情はおっぱいがつくってて って言ったら すぐわらうきみです あたしの おっぱいはまるい 人並みにまるい って すぐおなじだと変なかんじがするの ねえ キスはたべられるよ って ぺろり、 そういうのでできてる (夢味) 咲く、 乱れる、 抱く、 きしむこころと、 (ぜんぶいやになって) わらう ことなんて すごく簡単すぎて だいきらい でも だいすきって言ったら すぐわらうきみです   ---------------------------- [自由詩]裸体/みい[2007年1月28日23時53分] 1、 きみの気付かないところを 気付かれるどっかの男に 震えて 2、 スーツと言う名前の健康体です 私はそういうのでできているのです かちゃりかちゃり、キーを叩いて あったかいコーヒーは 苦くて 慣れないところで月を見て 泣くのです ひとすじだけ。 涙なんて、 ってなんだかせかいが恨めしくなった 夜でした 3、 何も感じない ただゆっくりと押し倒されて、 キスをされてゆきます。 味あうことのない、キス。 ただただ 震え、 止まらずに ぎゅう、と抱いて。 と 言い 4、 寒い。 ここはとても寒い。 サラダなんかより冷たくて、 鮮やかで食べたくなる。 鮮やかな部分を指ですくったら、 わたし 半分消えてなくなったの なんでかな 5、 もういいよ、と言って、 途中で服を着た そんなわたしを見つめて 何故震えてるのか問うあなたに 誰も気付かないのに、って あは、ってわらった。 服なんて着ていても仕方がないと思った。 帰り道でわんわん泣いた。 しょうもないことばかりで泣くので少し困った。 裸体のわたしはちゃんと正直だったかなぁ。 思い直してまたわんわん泣いた。 6、 なんにもないの。 はたかんぼのわたしで なんでもかんじられるように なって、 かみさま。 わたしからでてきたのは、 ふにゃふにゃのはなうたで うぶごえ、 きこえたみたい。 うまれたの。 かみさま。 ---------------------------- [自由詩]パパへ/みい[2007年2月7日4時46分] わたしのこと、どれくらいすき? ってきいたときの これくらぁい、の両手で だきしめられるせかいで パパ、知らないでしょ? わたしのくすりゆびにつながってる糸、 教えてくれたの、パパだもんね 今でも、 たくさんのことを信じていて それはもうはちきれそう ただ、パパはどっかにいってしまって、 わたしは途方にくれることもなく 毎日、まいにちをきちんとすごすのでした。 パパ、知らないでしょ? ママの代わりに少しだけ 一緒に眠ったあのよるに、 パパの頬を涙がつたったこと。 わたしはそれを汲んで、 せかいじゅうでつつみこんで だいじょうぶだよ、と 言い ほら、 似てる。 どれくらいセックスがしたい? と聞いて これくらい、と両手を広げて 抱きしめられるせかいと ---------------------------- [自由詩]光がもどってこない/みい[2007年2月8日20時07分] 「いいの、わたし、ここで暮らすの。」 おんなのこの言い分って、すごくわからない。 こんな真っ暗でなんにもないせかいで 放っておいて、と言うように。 ぼくは、 耐えきれずきみの 葉脈を食べた。 はらり、 かじられたせかいで きみの生活のしてる音だけが聞こえる。 ぼく、 安定しないんだ。 きみの鼓動がないと調子があわなくて。 どれも正解じゃなかった。 ぼくはあわてて何かに目をむけた。 きみの喉を潰そうとした。 きみは、 ぼくの目を潰した。 どれも正解じゃなかった。 これが正解じゃなくても、 どれでもいいやと思うぼくがいて、 だた、ざりざりの舌で ころがすこのせかいは、 目はなくても、甘いとだけ感じる。   ---------------------------- [自由詩]からだに絵を描く/みい[2007年4月16日21時21分] 空の青にぽとり 鮮血でした ゆっくりと赤だけの虹をわたって 足の指の少しのつめたさで 春は訪れ きみとの どうしようもない部分をぽくぽくと 桜を食べて埋めた おなかからの魔法、わたし桜色なの わたしのきもちのすぐそばにある、 ちっちゃなからだで ただただ きみと一つも違わない、クローンをつくりだすの だけど からだに絵を描く その過程で 重たい、色鮮やかな絵の具が きみとはちいとも合ってない、わたしをつくり出して 悲しかったの そんなありふれたことばが わたしを紡ぎ出して きみに伝わってゆくなんてなぁ 皮肉の鱗がいちまいいちまい、 ちがう形をしていて とてもきれい ここだけ、上手く描けたねって きらきらひかる あとはなんだかとてもへたくそな ばらばらの感情がからだを覆っているのに ああ、柔らかい、 おひさまにあたれば わたしはこんなにかやさしい。   ---------------------------- [未詩・独白]ぼくのすきな子/みい[2007年4月17日10時14分] ぼくのすきな子はほくろがいっぱい からだのあちこちに てんてん とした なかなかのネットワークをもっている ゆうべ食べたごはんを報告するのが日課で ごはんを食べるたびにまたほくろが増えるのを夢みてる ごはんもほくろも あかし なんだって ぼくにはよくわからないせかいを生きる なんだかかっこいいかもしれない ぼくの好きな子 先日、 そのぼくのすきな子が焦げた おうちが火事になったって言った じゃあ、それも あかし だね って ぼくが言うと ばかあ、 と 泣いた すきな子が泣くと 悲しくなるのは あたりまえの話、 なの? ぼくはどうにもきれいだと思う 焦げて見えなくなったほくろはたぶん きみがいっぱい食べるのを隠したかっただけで ああ ちょっと照れてきた ぼくはやっぱり、 と 言いかけたところですきな子は おしまい。 と言った 何がおしまいなのか、でも、 せかいに、なんとなくとかいう嘘があふれてしまう前に ぼくのすきな子 ぼくのすきな子 探すよ それはもう、いっしょうけんめいになって でもかみさま、 なんで見えないんだろ きみの、痛いの ---------------------------- [自由詩]グリンピース・ミュージック/みい[2008年9月26日10時44分] ピアノ、ばらばらに弾いて、分解 あたしのものにはならない音が 誰かの耳に聴こえる ばらばら、ってきもちいい? 部屋にはぱらぱらと散ってゆく音なのに あたしの指は一生ばらばらにならない 今日、 夕食と一緒にきみがかみ砕いても グリンピース・ミュージック ほら、たとえば この音 きらいなの、そのみどりが ごはんにまぜるともっときらいで でもきみのかみ砕いたのなら それだけで ぽぽん おなかのなかからはじけ出す グリンピース・ミュージック そういう名前の セックスをした 子供の頃のきらいな感触と 今の好きな味と、混ざるの で くるしいの、 あたしひとりじゃない? ここで踊り狂ったところで 脳みそかちわっちゃうみたいな きみのことばが聴きたい ただ 舌を噛んで、 血の味がする そんなのどうにでも許せるせかいだよ   ---------------------------- [自由詩]ロイド/みい[2011年5月6日22時54分] くるしいと のみこむくすりみたいなことばが あたしと あなたを掬おうとする あたしには もうずっととれないいたみが きみの手にかかれば 3秒でとれるはずなんだ いましてる恋なんてそんなもんなのに 境界線のあるせかいじゃ ねぇ うまくいかない だけど あたしも あなたも なかったことにはきっとならなくて そんなとき たったあたしぽっちのいのちを なかったことになるまえに ぼくにちょうだいと 言う あなたのことをすきで すきで すごくきらい 傷なら えぐるためにある えぐったあとに キスをするためにいまはある なんで そのキスが いつもとてもつよいのか あたしは 気付かない かたちのないくちびるが おおきく あたしをのみこんで 日々 よごれていくあたしが どこかで どうしてかまっしろなように あなたのことが だいきらいなきもちは あなたがあたしを 生かしている 副作用だと キスは ふれるだけでは とけてくれない このせかいだけがのこる あとあじ、なの ---------------------------- [自由詩]強くなる/みい[2011年7月15日0時32分] ごくり、 わたしは きみのたましいをなぞった朝に 虚無感と目が合った アスファルトがおひさまで埋まり おもむろに 手のひらでくしゃっとした夏を あつくて溶けてしまうと言う言葉は ただただあまくてやさしい そんなやつは アイスでも食ってろよ と わたしはかたっぱしから 人の口にアイスを突っ込んで かたっぱしからひんやりしたところで わたしにはなんにもなくなってしまった。 ねぇ、なんにも。 はじめからない、ものを ひとりで見てたのかとずっと不安で だけどつくり出したのがきみである以上 わたしはひとりではなかった のね ふしぎふしぎふしぎ、 何回でもいいよ ふしぎふしぎふしぎ、 疲れるまで 呟いたり叫んだりすれば 気がすむのか ねぇ そんなかんたんに できてないんだよねぇ そんなわけで きみにはいつか あいたい、と 言うだろう それだけのことで そんなちっぽけなことで だけど もっと大きくはみだしたいわたしは きみに抱かれて おとなしくなりたいだけだ ねこ。 わたしのことをそう呼んで。 それだけでくすぐったくて強くなる ---------------------------- [自由詩]ふれる、ことすら/みい[2012年10月20日22時44分] その 夏でも長袖のシャツの中身にきょうみしんしんの あたし だれにエッチ!とののしられても そんなことでは、めげないんだもん きみはどこまでいっても 世界一かわいいおんなのこ きみがおんなのこで 心底よかった 愛って なんだろな もろい もろすぎてびっくりする すぐ、くずれそうになる だけど 意外とくずれたりしない なるほど愛って すごく耐える ちょっと強いのかもしれない ただ、 すごくこたえる あいしてる、は からだにつまる すきだよ、がせいいっぱいで ふわふわのきみをぐちゃぐちゃにしたいと つねづね、おもってるんだ 笑顔で ああ きみのねこになりたい あまえてもゆるされる きみだけのために存在するねこに なりたいのに ああ きみがあたしの手を自分の手でおおって あたしは10秒もそこにいられなかった あたしは泣きながら言う 頑張れ、って言って。 きみは言う ぼくも、がんばるから。 あした、きみのいないせかいで。 明日には目を閉じて ただ、抱かれるのだ どっかの男に かみさま、 ねこになることくらい たやすいでしょう? どうして未だに 叶わないのかしら   ---------------------------- [自由詩]春、ある冷える足跡/みい[2018年5月24日23時49分] からんころん 汗のかいたグラスから、人差し指はねて 眩んだ足元にこぼれた梅のお酒 冷たい床は、春の忘れものさえ 冷やしてゆく 外は雨だった ぽくぽく と こころが桜の花びらで埋まる わたしのきもちはここに置き去りにされ また巡り会うことはもう ない 「少し酔ったの」 そんな言い訳がぴったり似合うだけの ふわりとした水色のワンピースの中身は いつも透明のわたしがいた あの時触れた指でさえ すべては憶えていないのね そんな気持ちで歌う帰り道の歌が きみの居ない明日を 強く想った ---------------------------- [自由詩]甘いバターと春、或いは/みい[2020年3月10日2時20分] 今日もひとりでいたわたしが死んでゆく 春になろうとしていることを目で捉え そして触ろうとしたあなたの髪を さらり、簡単すぎるほど軽くすり抜ける ねえ、どうしてこんなにたったわたしのひとつの命が こんなにも重たくてつらく鮮やかなのですか あなたの指はいつも絡まったピアノを解くような 優しい温度をしていて 苦しみとか 痛みとか なんでもなかったかのように笑うの もう、よして キスだとか抱擁の リズムがあるものは全部壊してしまいたい 絶対に必要なのに要らないと思ったの コップの中の指輪はきっと サイダーに溺れて言葉も出ない 泡が ただのぼるだけの呼吸は つまる 月に浮かぶ少しのたましい 絶対に必要なのに要らないと思ったの わたしの不規則な幸せに あまりにも似合わない あなたの笑った顔 あまりにも 綺麗で つくられた、苦しみで良かった ずっとそれで絡めた手と手の隙間を埋めて そしてキスして わたしはその苦しみを食べて ずっとずっと死んだノクターンを求めてる 「死んだ、なんて語弊があるよ」 あなたは確かにそう言った その優しい声はわたしの焼いたパンケーキを ひょいと食べて そこにはわたしが望んでいた 窓の光が、溶けたバターと消えていった ただそれが いちばん春に近かった ---------------------------- (ファイルの終わり)