小池房枝 2011年12月29日0時34分から2012年9月12日19時44分まで ---------------------------- [散文(批評随筆小説等)]トワイライトエクスプレス/小池房枝[2011年12月29日0時34分]  小さな文章が書きたいので書いてみる。  以前、部屋から線路が見えるアパートに住んでいた。普通の各停や急行や貨物、それらに加え、トワイライトエクスプレスが走っていた。大阪から日本海側を北海道まで行く夜行寝台。いつも見ているうちにいつか乗ってみようと思うようになり、実行した。  寝台車には消灯時間というものがある。それを過ぎてからも、デッキから窓の外の夜など眺めていた。寝台車には車掌さんという人もいる。車掌は通りかかって開口一番、「ああ、びっくりした。」  ジーンズのベルト通し部分の、大きな安物フェイクファーの真っ白なしっぽ型キーホルダーが真っ先に目に入ったらしい。「切符見ますか?葉っぱだったりして。」「いえいえ。」そんなやりとりの後、彼はまた次の車両へと渡っていったが、出会いの最初のその瞬間、どうびっくりされたのかを考えたことを覚えている。  終点より先には青春十八切符を用意しての旅だった。  小さな文章一回目、おしまい。 ---------------------------- [自由詩]ドッグラン日和/小池房枝[2012年1月4日23時59分] 空いっぱいに 子犬 大犬 ワンチョラーズ さまざまな犬種の犬たち 水色 芝茶色 ボルゾイでぶちで白黒で マルチーズ 四角バターな犬たち 元気いっぱいな君たちの しっぽがくすぐって描かれる白い雲 空は広くてうれしいね 広々としていて 広いということはそれだけで喜び ほら 君たちのために 誰かが投げ上げたフリスビー 太陽 だけど 追いかけてるうちに どこまでも走っていけること それ自身がうれしくなってしまって 駆け巡り 駆け回る犬たち ワンチョラーズ ドッグラン日和 ---------------------------- [散文(批評随筆小説等)]ざりがには冬眠中です。/小池房枝[2012年1月15日0時09分]  ちいさな文章をずっと書きたかったので書いてみる試み二回目。前回リクエスト&コメントをいただきましたざりがには冬眠中です。トワイライトエクスプレスには豪華コンパートメントのほか慎ましやかなB寝台もありました。さて。  年がかわったのでもう一昨年の春、病気で全身麻酔の手術をしました。あれこれとコンセプトを説明するからインフォームドコンセプト、と思ってましたらインフォームドコンセントでした。手術の意味、意義、必要性、術前、術後、術中何をどうするのか、麻酔のリスク、主治医から様々説明されたり質問したり答えたり答えてもらったりそんな流れの中で、特にあらたまることもなくただただ坦々と相手が聞いてきたこと。  「××さんは、神様に輸血が駄目って言われてませんね?」 一瞬、頭が止まってしまいました。普段からそう動いている頭ではないのですが、  「・・・私まだ神様に会ったことないんですけど。」 一緒にいた家族から「宗教上の問題って意味だよ。」というフォローがなければ、しばらく医者と見つめ合ってしまう処だったでしょう。輸血を前提とする手術ではなかったのですが、何百人、何千人と患者さんを診ていくうちにはいろいろな人がいるのだそうです。あるはずのないところに血管が通っていたとか。  「かみさまそこにおらりましか」http://www.amazon.co.jp/dp/4840134294 気に入りのライトノベルの一つ、「あそびにいくヨ!」の14巻を思い出してしまう出来事でした。 ---------------------------- [自由詩]ピアノフォルテ/小池房枝[2012年2月8日19時53分] 自動ピアノは ひとの手がなくても 自分で鳴れる 黒曜の黒鍵 白亜の白鍵 八十八音の音の鍵 自動ピアノは ひとの手がなくても鳴れるけれど 弾かれたことがあるので ひとの手を覚えている 右手指 左手指 二つの腕と肩 息遣い ダンパー 自分で鳴っていると 思い出す ひととき ときおり ひとが来ては 触れられて様々に歌ったこと ピアノは打楽器だけど打楽器ではないので 弾かれたいし 奏でられたい ときどきは人の手も懐かしい だから必要もないのに 自分で鳴るときには ふたを開いて 椅子も引いて 透明人間の一人二人も座らせてみて ぽこぽこと 黒曜の黒鍵 白亜の白鍵 凹ませながら歌ってみていたりする 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[自由詩]碁石海岸と穴通船の歌/小池房枝[2012年3月29日19時35分] ころころ丸い石でした 玉砂利敷いた浜でした 黒い巌が砕かれて 波に洗われあやされて 碁石のようになりました 不思議と荒れた海でした 静かではない沖でした けれども船が穴通 する時だけは凪ぎました うねりが一瞬やみました 鮮やかに青い海でした びゅうびゅう吹いてる風でした 緑の松の島々を 波のまにまに白い船 くぐり抜けるのが見えました ---------------------------- [俳句]三月のマーチ/小池房枝[2012年4月8日19時21分] 彼岸桜優しげに咲く此岸かな 野に遊ぶさも値段高そうな猫 イヌノフグリ閉じてぽろんと今日でおしまい   産卵を済ませて二度寝のヒキガエル コーヒーの記憶 取っ手のとれたミル   手袋をし忘れた手に触れる夜気 イザナギは神、オルフェウスは人でした 春を待つ座敷わらしと赤いじょじょ たらちねの直黄(ひたき)ミモザは子沢山 白き指ひろげて風を梳く辛夷 トラのバター陽に溶ろけきって黄水仙 お彼岸に連翹 南無妙法蓮華経 緑なすヤナギ美容師に結われたかろ 咲く春はありおりはべりいまさかり   オオイヌノフグリは青いbuttercup 春に咲く椿と春に散る椿 銀色のアラザンひとつぶパブロンと 咲く前の桜に触りに行きたいな 粉雪が舞います明日はホワイトデー スミレたち初咲きてんでに一斉に 「種の起源」花の起源とその期限 桜貝いちごのジャムの空き瓶に 温かな夜風に滲むオリオン座 ヒヤシンス咲くとなんだか威張ってる 雪まぐれ一反木綿が飛んでった 静々と沈む三日月セッキ板 暮れる空アオまたアオと鳴く烏 金色のちいさき舟よ春の月 明星に舫う三日月揺れもせで やぁと言えばにゃぁとも言わぬ他所の猫 詩人です名乗ってみちゃってさぁ大変 詩人だなっ!砂かけばばぁ問答無用 ハナアルキ日本の春を見においで 黒潮にのってハイアイアイ諸島 布団から耳だけ出して猫涅槃 いつまでもとっておきたい林檎たち 地球へと落ちたがるリンゴ遮る手 烏羽玉の姉妹が抱くグロビュール 八雲立つ創造の指ワシ星雲 幼虫が五匹やわらかな薪を割る 消えていく熾き火の星座ゆらめきつつ 水面滑るカモは二つの影法師 雲は月を沸石にまたオパールに 焼け石に水黙すまで幾たびも 眼差しがつらぬく鈍器のようなもの   川沿いに下りてくる春ほーほけきょ カワセミがこっちを向いてて青くない ヒトのフグリも野に遊べ春の青き花 二叉の風タキシード来たつばくらめ 夕まずめぱっくり開く鯉の口 宵闇がいっそう濃くなる沈丁花 夕日浴びて爆ぜてる柳とジョウビタキ 夜に深く昏く濃く甘く匂う梅   ひとんちの蕗摘まれず花盛り 落ち椿小学生の群れのあと 春の仔ウサギ上手に土手を掘りすぎだ 印象派日本の春を点描しなさい 三日月の蒼ざめた目蓋 地球照 雨を重み深く枝垂れてミモザたわわ 三椏がどこかでどっさり咲いている シジュウカラ葦には目立つ白と黒 コガモ水面を流されながらくーるくる コガモ遊んでないでそろそろお帰りな 小枝折りつつ祈りつつ道を行く ---------------------------- [散文(批評随筆小説等)]久しぶりに短い文章。/小池房枝[2012年4月26日14時06分]  バンペイユという果物がある。確か晩白柚と書いたと思う。最近ではスーパーでも売られている。要はでっかいザボンである。因みにザボンはでっかい蜜柑で、つまりはザボン、バンペイユともに柑橘である。食する機会には未だ恵まれていない。  さてそのバンペイユだが、最近、近所のスーパーの見切り品コーナーで見かけ、感慨深いものがあった。そうか、これも普通のものになったか。しかして、それは「バンペイユ」ではなかったのである。なんとそれは「バンペイコ」であった。  過去に沖縄で、紅玉というリンゴが「紅玉」ではなく「ベニタマ」として売られているのを見たことがある。それはそれでいい。そういうこともあろう。あったわけだし。だがそうか、バンペイコか。笑ってしまったが、話は続く。  後日、同じスーパーで見切り品としてではなく普通にバーコード付きで売られていた晩白柚。バンペイコと打たれていたのでそうかやはりそういうことになってしまったかと思いきや、バンペイユもあったのである。バンペイユとバンペイコ混在、共存。グレープフルーツのように色が違いでもするものか、食する機会には未だ恵まれていない。 ---------------------------- [俳句]さくらさくら/小池房枝[2012年6月5日19時55分] 花体にもさくら一片(ひとひら)にもさくら 一人にもさくら大勢にもさくら 木末にもさくら手のひらにもさくら 都会にもさくら陸奥にもさくら 野山にもさくら街ごとにもさくら 小川にもさくら側溝にもさくら 亡者にもさくら生者にもさくら 泉下にもさくら天上にもさくら 心にもさくら眼前にもさくら 頭上にもさくら足元にもさくら ---------------------------- [散文(批評随筆小説等)]短い文章、久しぶりに。/小池房枝[2012年6月28日0時33分] 短い文章を書いてみる。時間も遅いしなったけ速攻で書いてみることにする。 所用で、久しぶりに都心に出た。すると、アレンジメントやコールドフラワーだらけの小洒落た花屋に昔ながらの七夕飾り。笹には既にいくつか手書きの短冊が吊るされていて和んだ。 「ともだちといつでもなかよくできますように。」 「家族みんなが健康でいられますように。」 「かめんらいだー???(読めなかったというか単語を覚えられなかった)になりたい。」 しかして、それらの中に、私を思わず立ち止まらせたものがあった。 「はやくおしょうがつになりますように。」 わかる。わかるよ。わかるけど、これは七夕に対する挑戦ととられても仕方がないのではないか。クリスマスプレゼントもないし、お年玉もないし、学校が休みでさえない七夕。 帰路の暇つぶしにと手に取ったメトロニュースでも、これからやってみたいアウトドアアクティビティアンケートの第一位がなんともはや「天体観測」だったのには笑った。大騒ぎが幾つか続いたけど、アウトドアアクティビティだったのか、天体観測。 せめて光害を見直すためのチャンスでもあった一年間のはずなのに、街の夜の明るさだけがすっかり復興している。 ---------------------------- [俳句]遠花火/小池房枝[2012年7月9日1時35分] 南南西この夏の初遠花火 風の中こちらへも来よ遠花火 風の中ビルの狭間に遠花火 風の中少し歪んで遠花火 いついつか今際の際にも遠花火 頑張って高く上がれよ遠花火 背伸びして踊り場からの遠花火 ---------------------------- [自由詩]羽化するものを/小池房枝[2012年7月15日14時27分] 羽化するものを 手渡されたことがありますか 「これ、今日の午前中ね」 生物部の男の子がくれた一本の小枝には 冷蔵庫から出したてのサナギキアゲハ 「羽化する瞬間は見たことがない」 いつだったか確かに私はそう言ったのでした 化学の実験の最中に サナギの割れた背中から背中を現し 試験管立ての枝を這い上がり 這い上がり損ね あたりを這い回り始めたぬれぬれ虫 あわててパニックしてしまった私に 教師は 正しい教師で 「生死にかかわること以外でおろおろするなっ」 「こっ、こっ、これはこれで命なんですけどっ」 昼休み、ぬれぬれ虫は 窓の外で美しく羽根を乾かしておりました 羽化するもの、這い回るもの 飛び立ち、いつかは自分以外の糧となるものを 手渡されたことがありますか ---------------------------- [自由詩]あなたの為に書きました/小池房枝[2012年7月27日18時17分] あなたの為に書きました 読んで欲しくて書きました あなたの為に書きました 聞いて欲しくて書きました あなたが故に書きました ひとこと言わずにいられずに あなたの為に書きました タメになるよう書きました あなたの為に書きました あなたたちのうちまだ誰でもなく あなたの為に書きました 慰めるため書きました ---------------------------- [俳句]不自由な十月/小池房枝[2012年7月27日18時18分] カタツムリ首すくめさせて白き風 虫の音の海ルルイエは秋の季語 サイドワインドする猫どこかかゆいのか サイドワインドする猫どこがかゆいのか セミがまだ鳴いてる秋の松林 満面の笑み甲羅干しアカミミー カメの爪確かに君は爬虫類 秋深み猫が布団を楽しんでいる コメントを更新しました行進曲 ガトゴットン屋内散歩中のカメ コメントをついいれちゃって阿鼻共感 天を衝くテイオウダリア秋の季語 葉を毛虫食べつくすから咲いちゃった 五月より尚深き赤の秋の薔薇 チャンプルにしてからのタネが咲きました 知ることのどんどんぱんぱんドーパミン カラスウリまだ緑色のしま模様 東京湾対岸の千葉に灯がともる 陽が沈むあらゆる果実の赤い色 呑む海と呑まれる夕陽と同じ色 ツキミソウ荒地一面逢魔が刻 リゲルは右ベティ婆は道の果て左 でもそれは今日じゃないよね金木犀 カンブリア以前の海にコモノート 薄野に狐の嫁入り水の音 黄金の林檎実ってアルゴノート   渋いのに甘やかなふり姫林檎 クリスマス待ってる赤い実ハナミズキ 実ったり咲いたり枯れたり忙しい   朝顔と流れ星待つ流れない オリオンのわき腹を射る群流星 三ツ星の下に小さな帯飾り 双子座の足元に火星這い登る 東天に金星ちょっと明るすぎ 金のしずく降る降るまわりに金木犀 銀のしずく降る降るまわりに銀木犀 サックルが閉じるよシャケンベ遡れ ピリカレラ神は大地を神の手に ミーニシが吹いても南の島は夏 風もすべて水洗いして掛けておく 星は空気を空でしっかり洗濯ばさみ 空は誰かの透明なコインランドリー 金星は金色 before the daylight 船が出る図書館に行く秋が来てる 寝なさいね煮干は明日ネコもカメも 涼しくてうれしいマリモくるくるりん 平らかな地球の海が全て零れた ラングミュア・サーキュレーション砂漠にも 風盾の矛盾 風だけが永遠に吹く   ジンルイはまさしく宇宙の電波系 歌ってよ電脳世界のラプンツェル 夕映えを浴びて薔薇色雲くじら 月影の甍の波は夢の海 風をはらみ満腹転覆そら鯨 大丈夫いつでも海に帰れるよ 日を受けて夢に遊ぶ水が雲になる   カタバミとシジミ小さきもの同士   朝顔に釣瓶とられてラプンツェル アルフ・ライラ・ワ・ライラ語れよラプンツェル ハジ、君は、セロをそんなにしちゃいかん 青年と何か大きな黒いもの 木漏れ日をあやすゴーシュの弓捌き セロ弾きのゴーシュはザムザ氏と散歩 空一杯夜を満たして今日の月 星影をかき消し虚空に今日の月 山茶花がもう咲いている散っている 南中のオリオン南の風の中 綺羅星を見上げているのに寒くない ウサギ座の赤い目私の目には見えない 双子座で土星が三つ子のふりしてる シリウスをくわえて大犬駆け上がる ぽっかりとあかるい林に椅子ひとつ ---------------------------- [俳句]十一月の位置に/小池房枝[2012年7月29日18時10分] 虹も蛇小雪(しょうせつ)以降は冬篭もり 開かれず流れず閉塞する天地 あるならば旋毛見せてよカタツムリ 無理じゃないそれはリムだよ端っこだ カマイタチ北風小さなカタツムリ 今日よりも後は名のれよ冬薔薇 今日よりはどのポイントも寒施行 何もかも置き去りにしてオキザリス 何もかも置き去りにされてオキザリス 霜月に今夏実生の夕化粧 どっどどどう月影まっすぐ電柱に ギンナンも葉も降らば降れ銀杏並木 桜の葉かさこそくすぐるアスファルト オイヌノフグリ青いねまだ十一月だよ シーラスのコーラス重なる秋の空 宮家専用ホームにドングリ敷きつめた 木枯らしを聞く夏の花の種の夢 シジュウカラ メジロ 今のはどちらのチチチ おじさんは腰をいためた菊も飛べ 早朝の木枯らしにりんと白き月 シザーハンズきみが降らせる紙の雪これは スノウフレークコーンフレークペーパーフレーク 珪藻の valve face のシルエット 滄海の一粟秋水河豚戴天   オリオンの首の小さな三角形 青信号シリウス遠くへ招いてる 天蓋はゲレンデ流星直滑降 彗星は空の幽霊 半透明 フローレス冬空でこそのインクルージョン 星はすばる千数百年前も今も 人影のまばらな海に桜貝 のど飴を分け合う季節になりました 咲いていたはず咲いているはずの薔薇   息継ぎに一瞬の虹イルカジャンプ ウミガメの胸は広いな分厚いな クリスマスツリーの電気元気ウナギ イルカジャンプ弓なりの背を陽が走る 炉開きもせず日々焚き火そんな日々 霜月の立礼華麗に走りつつ どんぐりの一粒つむじを狙ってた この茸、赤いんですけど・・・。茶菓ですか? 傘の裏 菌糸輝く萬草庵 熱々のみかんの缶詰おいしそう データベースチェック「矛盾はありません」 目を覚ませ耳を澄ませ我はSETIの一基 チョコみたいMとかベイビーユニバースとか 射手、オリオン、ペルセウスの腕、みな豪腕 落ちドングリ最多記録の秋台風 まぶしくはなくただただ明るく彼岸此岸 ざっくりと割れたざくろの季節です とろとろの熟柿を小鳥が啄ばみます さざんかは散りたい放題散っています ウサギ座は今年も狩られかけたまま 現代詩読んだだろうか長門悠希 コスモスが可憐なふりして揺れている 売られても買うな喧嘩はその場では あまりにも思い切ったことしてくれる 「タフでなければ」ってタフだろうヴェロキラプトルは ひとでなしあやかしではなくろくでなし   たんぽぽの湯たんぽ地球を温めて SFを読まない人が多すぎる たりらりらん、足りない learn だったとは! 海鳴りは空耳、耳鳴り、貝の殻 風ひとつポプラ全ての葉が揺れる カラス座が南十字を指し示す 夜の果て東(ひむがし)の空に地球照 曙は上げ潮 月の船もやう 曙の上げ潮 春から星をさらう サソリお前 お日様と一緒に上がって来 夕日梳く雲の指を梳く空の風 いたずらな風に落ち葉をくらわされた 来月は冬至 落ちきる砂時計   山に山 紅葉に紅葉の夕日影 青い花は竜胆枯れた茎もまた 稜線の日時計を誰が読むだろう 窓の風ガタピシ出たがる猫のよう 風も猫も入りたければニャーと鳴け 温かい風が夜空をかけあがる 予兆など見せずに寒気が来るのだろう 土に還る落ちた花梨の香りいつまで ねずみ一匹 大山無鳴動大地震(サイレント アースクェイク) キャットフィッシュ スロースリップ クイックターン 列島は島弧 環大洋の花綵 サルビアの蜜の甘さがまだ夏だ 冬水仙アサツキのような浅緑 ツワブキの蕾でっかいタンポポだ 銀木犀咲いていたのかいないのか 白い十字はやっぱり柊だった間違えた  ---------------------------- [俳句]クリスマス師走にはします私だって/小池房枝[2012年7月29日18時44分] 大晦日湯船ゆらりと船出する 月光もモザイク師走の露天風呂 女湯の体形の千差万別さ 年寄りが煮える源泉掛け流し 会社の灯年末週末クリスマス 靴下の中に手袋クリスマス 半額はまだかまだかのクリスマス 鳥骨の髄、猫にやるクリスマス 日没とともに半額パネトーネ シュトーレンは賞味期限が正月までで 金色に一陽来復銀杏並木   ありったけお日さまを浴びてアリッサム 珍品のパンジーつまり珍パンジー 勿忘草忘れてないから咲かないで 百合根掘り起こしそこねてまた来年   何もかも地上はびしょ濡れ空に星 双子座を頂点に月は重心に 枕元カチコチ風邪の脳には五月蠅い 随分と火星にしても赤い星   この冬もでかい茄子だな帝王ダリア ギョエテとは誰のことだと公孫樹 電線に同じ角度でヒヨが二羽 逢魔ヶ時チュッパチャップス自転車(チャリ)を駆る   校庭の皇帝ダリアの冬休み 北からの歓喜ごうごう雲津波 年の瀬をはやみ惑星、砂時計 tenohirano nakanimauyuki suno-do-mu   戦跡のさとうきび畑のクリスマス 陸奥の猫魔ヶ岳もクリスマス サックルを閉じてニ風谷クリスマス 冬薔薇 遊園地跡のクリスマス 博物館マリンスノー舞うクリスマス 詩の中のかわず深さを自慢する ぞんざいな存在であれラフレシア ゴーストと訳したハーンも押井も正しい 使い捨て持てばカイロの日和アリ 離島にはサンタは船で訪れよう 疾駆するピザ屋のバイクがサンタクロース   粧いを落とすや山は笑い含み くるくると舞い上がるイチョウまた落ちる クリスマス梅のつぼみも膨らんで 逢魔が刻ゆえか凛々しき散歩犬 崩れかけて崩れぬクイーンエリザベス 半円を描いてサザンカ散っている ひこ生えの枯れ田のあるじ百舌が啼く 河原一面くっつきむしのキングダム 何の不思議もないことの奇跡キセキレイ   バリウムを呑んでエナガに会った道 ゲーテなるは堕ちてなお比翼の銀杏かな クリスマス1ミリほどのヒヤシンス 閉店後暗闇の中のシクラメン   お茶の水渓谷今日も翡翠色 カンダタも学べよ書物は蜘蛛の糸 BOOKOFF来るなら来てみろ神保町 ハロウィンのカボチャも冬至の湯に柚子と カラスウリ十ほど花壇にそっと置く なお目から落ちぬ心のうろこがきらきら クリスマス電飾ただびとこぞり合う   真っ青な空図書館にやって来た 何借りて帰ろう図書館夕焼け小焼け 散りきるや否や笑ってる冬木立 ビロードを脱がずに咲くか冬木蓮 特赦の日「蔵」のフィルターどっとはらい   新春に咲いてこそ梅 クリスマス    海のソラスズメは青いよ ふくら雀 つわぶきがタンポポのようだ冬至前 大根がずらりと浜のワカメ棚   一々が一期一会の海の波   そうめんと流れる言葉のようなもの ことことと煮詰める言葉のようなもの 我とともに来たり我と滅べ我が言葉 引き出しに一つ鈍器のようなもの 窓際に一体 鈍器のようなもの ありがたや雪に血塗れの傘地蔵 おそろしやこの札束は・・・傘地蔵 去年今年貫く鈍器のようなもの 冬の飢餓小鳥イラガの繭を喰む つごもりの梅 白さだけ匂わせて   辛くとも/幸いにもって見えました 一画の有無の辛さと幸せと   矢の如くでなくていいのだ光陰よ   すえぞうも君の眷属サンダーバード 空と雲フラッシュするまでシェイクする 励起する蛍光灯の内側にいる 風と海さざなみ以下の震え走る 冬などは祓って北野の梅が咲く シオマネキ詩など真似るな海を呼べ 玻璃の街 瑠璃の空 メリークリスマス パンドラの薔薇 いつの日か咲きなさい 正月のようにミサゴが高く飛ぶ カワセミの縄張りバトル翡々翠々 一粒の雫を小鳥は丸飲みに 鵜は鵜呑み頸より口より太き鯉 ふゆざくら三浦だいこん直売店 海苔の春いそぎんちゃくとアメフラシ 東(ひむがし)に千葉ふりかえれば西に富士 レンブラントライト冬枯れた山肌に   一個体、一属一種ゴン太くん   身の丈の王国 我はここにあり 言葉たち服せよ我に生かされよ 木々に冬よ星辰を以って戴冠せよ 恐竜もクマムシも我が胸のうち 見えている景色にそっと手を当てる はぁ、一句。溜息、俳句にならないか 秋も冬もお座りここにはその椅子がある   夏の形見どっさり入れてグラタンに 降る雪で空が全然見えません ライトグレー重ねて空と雪と屋根 よく冷えた雪で部屋までついてきます 隣り合いふと溶けあってぼたん雪 ぼたん雪ユキダルマには向きません 急いでも急がなくてもあと少し 百様の羽様々な舞を舞う フィクションも自己紹介ですプロフィール ミモザ萌え馬酔木鳴り出す師走小春 街中の四季に花など枯れぬもの 冬が来て並木も人も露わになる 枯らせたいか嬉々と絡まる藤あけび ---------------------------- [自由詩]風を浴びて暮らそうよ/小池房枝[2012年8月1日22時30分] 風を浴びて暮らそうよ 室外機の熱風ではなくてさ 木々が日差しをさえぎって しっとりと冷ややかな土が冷ました風 暗渠ではない川の水面を きらきらと輝かせながら吹いてきた風 蓄熱するアスファルトで地面を覆い 冷めないコンクリートで住処を作り 電気とガスでがんがんクーラーを焚いて 涼しい側だけで暮らそうたって無理だよ 北半球の熱波と南半球の寒波 ラ・ニーニャとエル・ニーニョ 高気圧も 高気団も 特別暑いこの夏も 地球が温暖化してようとしてまいと 今はまだ 涼しい風の中で暮らそうよ 雨のしみこむアスファルトや 息をするコンクリート 何より木々 地面 せめて打ち水 大いなる日陰、夜 反射鏡式オーブンの その焦点にいるような都会の炎天は 本当はただの晴天   レイリーブルーの青空 ---------------------------- [自由詩]ポケットの中に/小池房枝[2012年8月2日19時57分] 患者相談室の看護師さんは 物品を受け取らない 公立病院だからね 規則上も実際もそれは厳しく守られている けれどあまりにもいつも何でもないことを どうしようもないことを よしなしごともありごとも 何もかも聞いてもらってるので 今日はお礼に貝殻を二つ持って出た ポケットの中にぽいっと入れておいて 帰り際 右手か左手か 握りしめた中身 ちっちゃな巻貝か白い二枚貝 選んでもらおうと思って でもそれさえも 最初は受け付けてくれなくて 金品でなく 品物という程のものでもなく のど飴以下のものですから と言ったにもかかわらず その中は空気じゃないんですよね?と どちらとも言ってくれなかったので それじゃぁ 私が勝手に忘れて行ったことにしましょうかと 両手を開いて貝を見せると 尚も困った表情 でも案外意外だったらしく 笑顔 受け取ってくれたかどうかは秘密 南の海の話をした まったくもって 患者相談室の看護師さんは大変だ 南の海の話まで聞かされる さておき相談室帰り 敷地内のアサガオに水をやってると ベンチで泣いてる人がいた 小さなペットボトルに 何度も何度も水を汲んでは往復してると ぽろぽろぽろぽろと ハンカチ片手に ずいぶんと涙を流してた ひとはひとをかまうし かばうものだよね時には それにその時 わたしのポケットには貝殻があったので 小さな貝を渡して そのひとの片手にぽとんと置いて ご自身ですか?ご家族ですか?と 私は私が患者です、と おせっかいだったかなと思ったら 泣き崩れられた 手を握りしめられて うん、うん、わかるよ、わかります などとは言えない話がある とてもじゃないけどそんなこと言えない だけどこちらも同じこと 互いに互いの話をして やっぱり私は最後には南の海の話 ちいさな貝殻 転院先の枕元に置いてお守りにしますだなんて そのへんにポイしちゃって下さってもと答えた 土の栄養の足しになりますから それはそれでまた何かの巡りの一つですからと ほんとうは貝殻は 貝が生きていたことの証 貝の形見 でも、きれいでしょう? いつもポケットには 何かをいれて持っておこうかと思った 冬ならのど飴 夏なら小さな白い貝殻 何もなくても 何か ---------------------------- [自由詩]小石の中の声を聴く/小池房枝[2012年8月13日1時12分] 風信子鉱 ジルコン ヒヤシンス色ってたくさんある 電気石 トルマリン スパークしてる パチパチ拍手 トパーズ シェリー酒越しの曙光 黄玉 ルチルは 金紅石 ちるちるみちる 柘榴石 明るいオレンジ色の花からは 想像出来ないほどスカーレットな果実 ガーネット 天然の×印 スタウロライト 十字石 聖なるクロス 小石の中の声を聴く 固溶体の中の固溶体の中の 同位体の声を聴く 静かにしていて ナマズが目覚める モナザイト モナズ石 アパタイト  燐灰石 燃える 揺れる 人魂 ---------------------------- [俳句]八月の小石/小池房枝[2012年8月13日12時23分] 人恋し妖かし恋しカラスウリ 流れてく雲の先にも夏の空 炎天下無人の公園カンナ燃ゆ 土星環消失まっすぐ地球見てる   涼しさや蔑称幾つか引き受けて スコールにはしゃいでる子らはプール帰り うろこぐも空深く怪魚見え隠れ   新涼やしゃりりしゃりりとあずき研ぐ 星々にまつろわぬ果ての地球人 駅弁の輪ゴム水色夏仕様 紀の国はみかんの国とアゲハチョウ あの山を越えれば海か本当か 伏流水今涸れてても川は川 ミヤマカラスアゲハの羽は黒翠り 道の駅さくさくハムかつ雨宿り 彫り出され漆黒の走るカメレオン ツユクサに紺碧の海のふたかけら 蝙蝠は幸福ぱたぱた飛んで来い 夜のチドリ怪我してるふりで鳴かないで 廃屋の薔薇カラムシにのまれてる 雪州も長崎県下 黙祷す 銅鏡の伊都国 風りん南部鉄 アスファルト色の猫の目静かな夜 黒猫が呼ばれてニャーと去る月夜 水面のさざ波はみな夜の仔ボラ フナムシもプロムナードで夕涼み グラジオラス ネジバナみたいにしてごらん エンジュ散る風に順じて逆らって ようそろと風にひとひら蓮の花 深夜には海鳴り聞いてる水族館 息継ぎのたびにウミガメ夢あらた   紅花を揉みながら染めた西の空   オトウサンモドキのような百合の群れ 人に化けそこねて百合に咲いている ぽっかりと月手放してサルスベリ 瞬かぬ月は妖かし一つの目 サルスベリ百日の火花咲き継いで 月仰ぎ雲湧くがごと百日紅 空あります海もあります駐車場   幸くあれと風の手のひら田を渡る   向日葵とダリア互いのように咲く アカマンマあの夏からの御ままごと 秋立ちてキツネノカミソリつっと立つ 何のために生まれてきたのか知っている さしのべる手を受け止められるはずがなくても   井の中に蛙飛び込む水の音 ニンゲンが星に願いをかけるの禁止 彗星の軌道と今年も交叉する 風は風 空は空そして ひとはひと  ---------------------------- [自由詩]棚機月生まれの題名たち/小池房枝[2012年8月17日19時56分] 題名だけの詩のスレッドより、 七月生まれの題名たち六年分から取捨選択を重ねて抜粋。 題名だけの「詩」として投稿していたものであるがゆえ、 自由詩のカテゴリーに。 もしもお使いになりたい方は、基本的にはご自由にどうぞ。 言葉たち、ここに囲い込んでいるつもりはないので、 題名としてではなくても。 「ぴよどり日和」 「ほしはじろ、つきはじろ」 「コイサギ」   「胸の窓辺のムネーモシュネー」    「カモニカ渓谷のハーモニカ」    「コスモスの硬度計」   「番町いまさら屋敷」   「稠密なバウムクーヘン」 「GPS/全地球測詩システム」   「木漏れ日の森を探しておこう」 「水平線とコーラスライン」   「虹についての次元数」   「測詩線ドーム」   「SQUID/イカ型超伝導量子干渉計」   「深更に深く耕す」   「優しいひとが踊る」   「削除の作法」   「ひとり分のプリン」 一/六 二○○九 「夏の過酸化水素水」   「冷ややかな比喩」   「センチメンタル L-メントール」   「イデアとしてのジェンダー」   「めめんと森の歌」 「帆翔台風」   「泣くための目薬」   「宇宙のトマソン」   「伝えることが絶えて」   「一フェムト秒のファントム」   「寂寥の水脈」   「色彩たちの絶対零度」   「その音のノート」   「なかったことになにもならない」   「るりら、るりたち」 「うすみどり色の指でいいから」   「宇宙天気やっほー」 二/六 二○○八 「虹専門チャンネル」 「風冷クレープ」   「月の埋火」 「透明なラーメン」 「きつねつりふね」 「駄文爆弾」   「ナス野菜」   「言妖」   「致詩量に足りない」   「書くための規矩」   「海の粘度」 「八月のカレンダーガール」 「いるか銀河」   「無知と飴」   「食材の山羊」 「かっぱカルパッチョ」   「幼虫の中の宇宙」   「ワイワイ」  #ワオキツネザルとアイアイの雑種。新しい童謡?の題名。  #交雑可能かどうか、遺伝子云々以前に互いの体長差が。   「一滴の中のアクアリウム」   「トケイソウ時計」   「願いごとエキシビション」   「咲き誇らないで」   「詩の中のひと」   「確率の風が吹いている」 三/六 二○○七 「リングワ・フランカ・2チャンネル」 「ありんこリリー」   「胸の方舟の作り方その5/船外機」   「救急箱には何を入れとく?」   「桃かぐや姫」   「葉っぱ天辺のしずく」   「あのね、コスモス、もしもし、コスモス」 「かぼ茶」   「梅雨が明ける前に」   「ひまわれ」   「百合に星をくれたひと」   「途轍の果て」   「お昼寝のフェスタ」   「七夕ぼたもち」 「夏のジルベスター」   「かきわりのようなかかわりのなかで」   「あたたかなヒエラルキー」   「空白というニッチ」   「得心術入門」   「湖のゼリー」   「パンク、ロック、パンクロニック」   「銀河ながしそうめん」   「雷雲マドラー」   「小鳥たちのウソとツミ」   「巡る季節のメルクマールを」   「さまざまな嵐の神」 四/六 二○○六 「非律俳句」 「雪の十三花結晶」   「蝶道センサス」   「水蒸気の世界樹」    「月の白夜」   「海原に羽根を広げて」   「ジュリエット一人遊び」   「言挙(げんきょ)」   「あるまじろまん」 「星のバイエル」 「削除の魔女」   「朝顔の夜店」   「グロビュール・カクテル」   「河童化考」   「言葉たちのファン・デル・ワールス力」 「疑喩」   「ネビュラ・エミュレーションM42」   「微睡みのマーマレード」   「星踏み月の雨たち」 五/六 二○○五 「ささやくためのさしすせそ」   「夏野菜のカレーとスズムシ」   「在り方の在り処/擬人化することで見えなくなるもの」   「もう一度 森を見るために」   「きょうはきゅうなきょうりゅうび」   「発句開闢(ほっくかいびゃく)」   「最低2万マイル」   「深層の令嬢アニマ」   「月と太陽のゼータ爆睡」   「雑談分類学/NDC応用における利点と問題点」   「天象航路」   「あふれてありふれるべきもの」   「合歓(ねむ)の花 揺れやむとき」   「アース・アタック!」   「魍魎(もうりょう)盆踊り大会」   「ローレンツの聞き耳ずきん」   「語覚だけを研ぎ澄ませて」   「Cry for the moon, その月をとって」   「ストーンサークル・オルゴール」   「六曲一双モネの睡蓮」   「もぬけのからより羽化はたせしもの」   「示準化石としてのアスファルト、 示相化石としてのコンクリートについて」   「昔、日本があった場所」   「スーパーストリングスの鳴らし方」 六/六 二○○四 ---------------------------- [短歌]八月は風の葉月/小池房枝[2012年8月17日20時02分] 鱗めく細波 疾風がひゅんひゅんと川よりも速く駆け下るので ひゅんと風がたちカーテンがふわりとし夕立が来ました 雨と屋根との    いかづちで空をこつこつ叩き割り孵化せんとしてるものは何かな 大丈夫、世界はちゃんと美しい ときにどんなに理不尽でもね この雨は水脈のとぎれた水溜りに間に合わなかったそうです合掌 洗っても磨いても落ちない瑕ひとつ青天高く白い三日月 白いガーゼを千切らずそっと出来るだけほぐして広げたような絹雲   久しくて初めて見聞きするような雨の風景 遠近(おちこち)の音 越してきたアパートここは秋立ちて後に夕日が部屋を訪なう 半そでの腕に1ミリないような細やかな雨 夜のベランダ 木星が一番星だね三日月と水色の空で見つめ合ってる 二番星は真西に鈍く光ってるアークトゥールスそう、赤い星 王ハデス蛇遣い座にやって来てアスクレピオスと何話してる? 忘れてた流星群の輻射点 流れる星に在り処思いだす 夜明け間近半月火星を従えて東の地平の向こうを見ている 今ここに吹いている風なぜ夜の遠くの方から聞こえて来るのか   車なのに虫の音がずっとついて来る立秋過ぎの川沿いの道 オリオンといえばオリオンビールでしょう夏は朝まで冬は夜もすがら 土星の輪 地球に内緒で今のうちそっと外して裏返しちゃおう ヒグラシは夜明けも告げる一日の始まりドーンピンクの朝焼け ---------------------------- [短歌]八月は歌の葉月 人と人外の巻/小池房枝[2012年8月20日19時48分] 五月蝿(さばえ)なす少女らは街を飛び回り制服だけが九月を待ってる   椅子の名はサヤカとソヨコ 練馬区の下赤塚にて少年の部屋 アルジャーノン、ネズミの名前は覚えてる。青年の名は忘れてしまった   ポンと蹴られニャンと鳴くなら猫だろう囀りたいなら歌わせてやる   プリズムのヘキサグラムの残像は緑 刑事は家路につきぬ   満天の初見の宇宙(そら)にも迷わない 無知と未知とを受け止めて立つ 無人売店「ヤサイ良心販売所」売ってしまっていいのかほんとに   空にまた覚束なげな若ツバメついつい両手をさしのべてしまう ねぇピート夏への扉が欲しいなら何処でもドアでここへおいでよ 空も星も可哀想なんて、ああなんて、なんて大きなお世話なんだろ ラプンツェル窓ではなくてドアの鍵をあげるよ自分で歩いておゆき まっくら森シュバルツバルトの梢遥か高みにも星の空があるだろう 夏は部屋に水を張りたい足元に波音ジャブジャブさせて歩くよ 奈良の夏つぶらな瞳の猛獣のシカ煎餅への意志衰えず   初物の梨スズムシとコオロギも喜び勇んで皮をしょりしょり 一生に足る恋はもうしたのかな したけど鳴いているのかなセミ 大騒ぎされてたハエトリグモ一匹 手に受け止めてオフィスの外に 鉄道の廃材造りの飲み屋にて見つけた枕木 耳当ててみた   寝そべってヒトとおんなじかっこしてあんたも一冊貸したら読むにゃ? ワンコinドリンクセールの自販機のかげでは小犬がお昼寝中です ---------------------------- [短歌]八月は花の葉月/小池房枝[2012年8月21日15時33分] 彼岸花 今年も此処に出でますと細き緑の指を以て告ぐ   人の手が触れた花 まだ触れぬ花 被子植物の性器偏愛   台風の朝にも咲くべき朝顔は咲かねばならぬ咲くことは出来る ほろほろの萩の葉 紅い萩の花 風を集めて揺り零している 君たちにまさか花屋で会うとはね 吾亦紅 今、我も山を恋う 四季咲きの盛夏のミニ薔薇ミニマムな花を結んでひらいて結んで   夏草に紛れて細く金色のつやつやつんつんススキにキスする 真横からの夕日を浴びて森の中 キツネノカミソリ 夕べの灯し火 ひまわりが電信柱につながれて重たい実りの首かたむけてた 烏瓜や槐や狐の剃刀の道から外れて住んでてさびしい   七草の撫子小さな鉢植えが花屋にたくさん並んでいました 天神のビルの谷間でクスノキはロープで大事に支えられてた 夕刻のアスファルト赤い百日紅ばたばた落ちてる暑かったんだね 夏枯れのアジサイのかげの紫はクズかな処暑をすぎて咲いたか    秋されば金木犀のにわたずみ夏にはエンジュを踏みしだき行く   ムクゲ、ユリ、アサガオ今日は真っ白な花ばかり目に飛び込んでくる 一昨日と昨日たくさん咲き過ぎたアサガオ今朝は力を溜めてる 田を渡る風をよしと思う水稲の生育つつがなきゆえにこそ 仄暗く光る緑の星数多落ち転がってる山栗の小道 葛の花 日ごとに落ちて色あたらし 翁のゆきし道はどの道 九州は玄界灘の壱岐の島を訪ねた際、裏道の山道を登りつめた先に、思いがけず釈迢空/折口信夫の歌碑を見つけて驚いたことがありました。ややこしい農道を辿って洞窟に蝙蝠を見に行った先の出来事でした。 葛の花踏みしだかれて色あたらしこの山道をゆきし人あり ---------------------------- [自由詩]たかさごゆり/小池房枝[2012年8月21日22時50分] テッポウユリではないのです 今頃の季節 花期をたがえて咲く白い花 例えばアカザやブタクサ 夏草でいっぱいの四角い空き地の真ん中に 丈高く唐突にすくっと一本だけ 細葉の形と付き方が テッポウユリのそれとは違いますでしょう? 筒長く純白で清楚な花も つぼみによっては 臙脂を帯びていますでしょう? 他のどんなユリより華奢な茎のくせして ひどく真っ直ぐに立ち上がって咲く ユリゆえか贔屓され 間引かれないのをいいことに つつじの植え込みや グランドカバーの草花や ひとんちの芝生にまで入り込んでる 定年退職後の町内会長をしてさえ 「この百合は、飛ぶんだ」 と、詩人たらしめるほど 尊称としての雑草に値する雑草 彼らを 彼女らを テッポウユリと呼んで欲しくないのです テッポウユリではないのですから あれはタカサゴユリで どこからか飛んで来たユリなのだと やがてまた去っていってしまうユリたちなのだと 知っていて欲しい 招いたからといって 生えて来てくれるようなユリではないことも タカサゴユリ わたしなら君の名前を呼ぶのに ---------------------------- [自由詩]颱風月生まれの題名たち/小池房枝[2012年8月24日19時05分] 題名だけの詩のスレッドより、 八月生まれの題名たち六年分から取捨選択を重ねて抜粋。 題名だけの「詩」として投稿していたものであるがゆえ、 自由詩のカテゴリーに。 もしもお使いになりたい方は、基本的にはご自由にどうぞ。 言葉たち、ここに囲い込んでいるつもりはないので、 題名としてではなくても。 「ひとにつくキノコ」 「もののけだもの」   「鶏頭時計」   「蜩の錬金術師」   「たちさりぎわにざりがにが」    「最大の素数ゼミ」   「一茎の大樹」   「準結晶(アモルファス)としてのパロール」   「プラズマの湖」 「海藻のプティング」   「テレパ西瓜」 「朝顔のダイアメーター」   「太陽の羽衣」   「エスメラルダ色のエスペランサ」   「メイクミー、リスミー/私に大きなしっぽをちょうだい」   「パイは切り分けられない」   「おつむのむつき」   「バッタ・バレッタ」 一/六 二○○九 「"何とは何か"とは何か」   「誰がために問う」   「微笑みのスタイル」   「 from R'lyeh with love 」 「ペパーミント・アイズ」   「身のうちの水脈」 「フォンウォンとファンフォン」 「夏のミルククラウン」 「クシクラゲ/海のウリ坊たち」 二/六 二○○八 「インゴットの中の神様」   「さよならの廃墟」   「蒼海の神槍」   「バラのヴォイド」 「線香花火は嘘発見器」   「題名のレシピ」   「真・都市計画/美しい遺跡になるために」   「みんなの名前係さん」 「呼気と吸気の五十音」   「ささやくためのさしすせそ」 「縮尺の地図」 「猫と尻尾のウロボロス」 「植物は咲くために生きてはない」 「フレッシュ・フラッシュ・マリンスノー」 「夜更かしな小鳥たち」   「パイオニアリリーズ」   「新しい太陽系ラジオ体操の歌」 「アボガド色のアマガエル」   「藤原効果とラプラスの悪魔」 「月光ドレッシング」 「風のアーカイブ」   「シーツの中の白い月」   「リアルに対するイマジネーション」 三/六 二○○七 「夏の馬鹿と挽歌」   「葉月解纜」   「時を計る計都」   「知ることの補償深度」   「EKBO/微笑をぜんぶ君にあげる」   「太陽系ウィンドハープ」   「ドリトル先生三畳紀」   「黎明のエデン」   「もものみ」   「毎日の道ラインセンサス」   「水筒の中の宇宙」   「風のテルミン」   「マインドマップレスポエジー」   「睡蓮の瞳」   「猫のマタギ」   「あんたっちゃ文学」   「鳴き砂の渚」   「レテのほとりに勿忘草が」   「ポエジャルゴン」   「水の中の螺旋」   「詩(うた)のリンネ」   「蜃気楼の中の寶霞」 「アフロディーテのシルク」   「嵐胎」   「ミス・ミスカトニック・コンテスト」   「みずうみの泉」   「ピーチサンダル」   「フォトンの布団」 「眼差しとコペンハーゲン解釈」   「船幽霊音頭」   「コップ一杯の海/アルテミア始めました」 四/六 二○○六 「淡蒼球、シナプスの星座たち」   「記憶の海の海馬」   「詩を書く海星、いたい?」 「夢のイナガキタルボサウルス」 「マドモアゼル・ドゥモワゼル/秋津乙女」   「良いキップル、悪いキップル」   「ぐれてやるとくれてやるはとても似ている」 「キップルの岸辺」 「ターメリックな素肌に」   「ジュールの薔薇」   「ムーンストーン、ウォーターオパール」   「カレーズのオンディーヌ」   「彼方からのカナート」   「ぶっしつばしら」   「時間蜜柑」  #ときじくのかぐのこのみ   「引き潮の森」   「セミ浴び」   「人肌のプ−ル」   「タオルケット洗濯日和」   「ヤゴあご」   「流星/天空のエフェメラル」   「 紅 房 酸 塊(べにふさすぐり)」   「からんコロン」   「 the in cloud, on the road 」   「ことばか」   「究極超人あーるマ次郎」 「札束と花束」   「昼下がりの宇宙」   「やかんカルピス」   「シンチレーション・シティ」   「虹の手足」 「コーラルとコラール」   「 夏づと 」   「ロマンスカーの幽霊」   「ムネーモシュネーの睡蓮」 五/六 二○○五 「クロッカス・グロッサリー」   「まだ」がつく「愛してる」   「とげとげ峠にて」   「ことりかぶと」   「麦角ビール」   「川の歌う声を聞こう」   「宇宙から地球に深く」   「 Shambleau's meteor shower/A.D.2004」   「一時的月面現象観察日記の余白」   「月の消息」   「トーラス風ドーナッツみっつとクラインのティーポット」   「授業中の少女たち」   「資源としての台風」   「フラワークラスターズ・スコールライン」   「何もないことの地図」   「ラインの黄金と宇宙飛行士」   「水底のダゴン茶屋にて」   「いつか手放すために」   「饒舌な16bit」   「SSNにおける巡回セールスマン問題」 「マジックメンブランスM&M」   「どんどろ洞窟と畑の黒曜石」  #壱州にて。   「わたしたちのアルフ・ライラ・ワ・ライラ/一つずつの和平のために」   「思議の仕業と不思議の配剤」 六/六 二○○四 ---------------------------- [散文(批評随筆小説等)]久しぶりに短い文章。/小池房枝[2012年8月29日3時42分] 久しぶりに短い文章を書きたくなったので書いてみる。短い文章を書いてみると何だかいつも久しぶりだ。嘘だけど。 先日、乗換駅のホームでセミを拾った。まだ生きていた。木のない駅で、人に踏まれるよりは草地に放してやろうと思ったが手の甲から離れない。仕方がないので一緒に急行に乗った。気味悪く思い迷惑がる人もいるかと思ったが、誰も一瞥さえ寄越さなかった。空席を探して一息つくと、やがてセミも、もぞもぞし始めた。タガメではないし血を吸われることもあるまいよとたかをくくってあやしていたら、アイタタタ。口吻を突き刺して来た。血迷うな。私に樹液はない。 やがて終点。改札を通ろうとするとスイカは残高不足。この状態のまま片手でチャージは出来ず、駅員のいる出口で不足料金を払って出たが、駅員も私の手の甲のもぞもぞについてはノーコメント。セミなんか可でも不可でもなく、きっともっと具体的にあれこれやらかす客が毎日絶えないに違いないのだろう。 駅前ロータリーはケヤキの広場だ。タクシー乗り場近くの木の一本に今度こそ手からはがして止まらせようとすると、風の匂いがわかったのか、じじじっと飛び立ち飛行距離約1m未満。その木の幹のすぐ裏側、目の高さにとまった。逃げたおおせたつもりなのか、口吻突き刺して来たり飛んだりその程度の余力はあったくせに、何故こいつは乗換駅にいたのだろうか。急行に乗りたかったのか。 乗り込んだタクシーの運ちゃんに初めて声をかけられた。さっきのセミは良かったね。それでなくても寿命短いんだろうから。セミとひとときをともに過ごして、初めてセミについて話しかけて来たひとだった。 ---------------------------- [自由詩]夜ドライブ/小池房枝[2012年8月30日2時30分] 元々無口だった相方が 緘黙症を始めたので 普段は週末にしか行かない川までドライブ 口は利かないが運転はしてくれるので 平日の深更に夜ドライブ 昼間の言葉の行き場がなくて 叫ぶ場所とて街にはなくて ガラス瓶を叩き割りたい気分 缶の炭酸を火であぶりたい気分 川べりに行って 何を叫ぼう 何と叫ぼうと思いきや ゴイサギに先に叫ばれてしまった グェッ あとはもう ゴイサギごめんねー ウシガエルごめんねー コチだかシギだかわかんないけどごめんねー 大声で叫びながら どぼんべぼんと石を投げ込み続けた 投げた小石が島になるまで続けたかったが 手の届く範囲で手頃なのがなくなってきて 探る手も掘る手も疲れてきて それでも 遠くを終電車が通れば でんしゃー 飛行機が飛べば ひこーきー 対岸のウシガエルは平気で鳴き続け うーしーがーえーるー ぼしゃらーん それでも相方は緘黙症を止めない それでも月夜にただつきあって そこにだけはいてくれる 星が動くのがわかる時間ほどいてくれる いてくれることしかしない 川の音 月明かり 虫の声 おんなじ どぼーん 引き起こしてもらって また運転してもらって部屋へ帰った やっぱりずっと 何も話さなかった ---------------------------- [自由詩]小田刈月生まれの題名たち/小池房枝[2012年9月12日19時44分] 題名だけの詩のスレッド、 九月生まれの題名たち二○○四年〜二○○九年分より、 今回は取捨選択厳選を重ねまして百二十弱。 もし何かお心に適うものがありましたなら、 基本的にはご自由にどうぞ。    「青く染められた物語」   「夏の名残りのナッツのケーキ」   「こぶたイヤホン」   「ほんとポイント」   「宇宙ののしり大百科」   「ペーパーパーペチュアルローズ」   「金色の奇貨」   「錦斗雲的タイフーン」 「湖の深海魚」   「うたかたつむりの夢の歌」   「ムーミン谷のハナアルキ」   「プラナリ屋さん」   「どたどたとたどたどしい」   「検証可能の哲学」   「ちょうちょが来る花屋さん」   「空のマッチ」 「海華登熟」 「茸取りの翁」 「九月の靴」   「ちびねこじゃらし」 一/六 二○○九 「風力の薔薇」   「トイレタリー・レターズ」   「総素数数」   「ジュリア集合のティアラ」   「いつか最後の現代詩が」   「鞭打つ海」 「上っ面の器」   「詩障あります」   「シャノンの猫」   「 Poem from Bit.」 「禹歩のステップでワルツを」   「詩とは何かなのか」   「万象のシンラコウ」 「既知と詩知」  組曲「惑星以外」 二/六 二○○八 「群れない青」 「走れちゃぶ台」 「わだつみの聖母」   「ミニマムなプリンアラモード」   「西を向いてアップルパイ」   「ことりかえっこ」   「ぼうたかとびばこ」   「土木のひとの日曜日」 「地下湖の薔薇」   「月面バニーガールズ」   「触れて、震えて、ふえるもの」   「コン・ポン的に、キツネとタヌキは・・・」 「確率の天使が羽を震わせるとき」   「カオスのカルス」   「誰も誰かではないこと」   「コスモス、花であることのノモス」 三/六 二○○七 「フォーラムに寄与する100の方法」   「専守宣誓/美しい日本を防衛したくてうずうずしている」   「秋のゲシュタルト」   「ポニーテールのラプンツェル」   「茶髪人魚姫」   「金木犀ラインセンサス」 「午後のレシピ」   「りんご語のレシピ」   「グラッセ/栗色の猫」   「秋津島瑞穂の岸辺」   「メメント・モーリエ/死ではなく海を思え」   「ことばカタパルト」   「ボラ、ブラボー!」   「燦燦小姐颱風」   「はるか、はなのか」   「空走距離を走り終わって」 「うたかたの彼方」   「み・いずうみ」   「ふれる、ふれる、ふれる、ふれるフルール」 四/六 二○○六 「柳絮たる竜女」   「メアリーとアメリア」 「アセチレンランプ灯して」   「秋の秋沙(アイサ)」   「ウラル・アルタイ語賊」   「何かを書き込むその前に、一度ぐぐってごらんなさい」   「愛される権利。全ての言語が誰か人間の母語であること」   「シーシュポスの秋」   「紅葉のジッポ」   「最後から二番目の彼女」   「根の国の金魚」   「クリックで救えるという命は、たったクリックで救われたり救われなかったりしてるのだろうか」   「動物たちのガス室」   「たてんたい探偵ハヤブサ!」   「東京ゾーリンゲン」   「ディックの星、ディラックの海」   「R指定プラネ」 「駄洒落プラネタリウム」 「月からの天象儀」   「星凝り」 「ヒアデスに耳を澄ませば」   「街中のセイレーン」   「リュウグウノツカイとテンクウノツカイ」   「天涯の瑕/永続流星痕」   「星も、すばる。」 五/六 二○○五 「パンドラの箱船」   「手遅れでもいい」   「88鍵のワルツ」   「イヌキクイモ ネコミルイモ」   「やまびこの回向」   「Entanglement Entertainment/絡み合いの快味」   「蝶々のハチミツ寄せ」   「三者択三」   「うそのおむすび」   「手毬藻」   「脳天海馬落とし」   「夜半球満ちて」   「ひとで梨」   「常夜灯の半月」   「Read me not.txt」   「レインバード/風師の鳥」   「歌禍(かか)」   「ネット詩海における人工漁礁(プラットホーム)としての現代詩フォーラム」 「杏否(あんずあらず)」 「祈りの秋」   「クロッカス・グロッサリー」 六/六 二○○四 ---------------------------- (ファイルの終わり)