1486 106 2008年6月7日21時17分から2008年6月25日22時49分まで ---------------------------- [自由詩]夢/1486 106[2008年6月7日21時17分] 泡沫のような時代の中で 大切なものを一つ見つけました 移ろいゆく景色の中で いつしかガラクタに変わっていました 夢 その輝きを 誰もが追い掛けて 誰もが掴みかけて 大事なところで見失っては 何度も同じ涙を流す 仮初めの恋をいくつも経験し 離さないよう強く抱き締めました やがて微睡みから目が覚めて 現実の虚しさを知りました 夢 その響きに 誰もが酔い痴れ 誰もが溺れて やがて夢から覚める頃には 夢見たことさえ忘れてしまう 黄昏のような顔付きで 行き交う人達は流れていきます まほろばを探し求めて どこへも行けずに彷徨うばかり 夢 夢が無いことに悩み苦しみ 夢を探そうと必死になる 夢を見る理由も分からぬまま 夢に押し潰されてゆく 語るためのものではなく 見せびらかすためのものではなく 貴方の本当の夢は何ですか? 夢 その言葉は 時に悲しく 時に残酷で その魅力に惑わされては 何度も同じ涙を流す そしてまた人は夢を見る ---------------------------- [自由詩]ホリゾント/1486 106[2008年6月8日18時40分] 突き抜けるほどのブルースカイ 爽やかだけど違和感がある そうか雲が無いからなんだ 快晴の空はこの町を飲み込んで 日常の景色から輪郭を奪う まるですべてが合成であるかのように ホリゾント 僕は退屈な日々は好きじゃないんだ 風を下さい雨を下さい 魂が熱くなる試練が欲しい 風凪のオーシャンブルー 爽やかだけど違和感がある そうか波が無いからなんだ 穏やかな海面は音も立てず 集まった光をせき止めている まるで人工の構造物のように ホリゾント 僕は傷付かないと気付かないんだ 嵐を下さい吹雪を下さい 堪え凌ぐだけの体温を感じたい 西の風が雲を運んで 背景がゆっくりと動きだす いつもの空が戻ってきた ホリゾント 本物かどうかなんて 偽物がないと分からないんだ 風を下さい雨を下さい 嵐を下さい吹雪を下さい 命を動かす理由が欲しい 心の強さを確かめていたい ---------------------------- [自由詩]壁紙/1486 106[2008年6月9日17時47分] 西日で赤く染まる部屋 山積みになった段ボール いつまでも整理できない気持ちを そのまま比喩しているみたい 壁紙だけは張り替えた 凹みも汚れもすべて塞いだ 傷の場所を覚えているのは 私以外この部屋にはいない 忘れようともがくのは 負けてるみたいで何だか悔しい 日付が明日に変わるように 自然にすべてが変わればいいのに いっそ引っ越し屋と恋に落ちて アイツに自慢してやろうかな だけど何かと比較してしまう 私はアイツを捨てきれていない 壁紙だけは張り替えた 凹みも汚れもすべて塞いだ 傷の場所を覚えているのは もう私以外誰もいない 忘れようともがくのは 溺れてるみたいで何だか悲しい 日付が昨日に戻せないように 失ったものは取り戻せない 壁紙は剥がしたくない まだ部屋は片付けたくない 凹みや汚れは塞いだだけ 傷跡が消えたわけじゃない 忘れようともがいてしまう 悔しいけど私の負けみたい 今頃アイツはどこかの綺麗な部屋で 誰かと幸せに暮らしているんだろう 忘れようともがくたび アイツのことを思い出す 朝日が部屋を包み込むように 自然に笑顔になれたらいいのに ---------------------------- [自由詩]BRIDGE/1486 106[2008年6月10日18時44分] 汚水の流れる川の上 工業団地と市街地を繋ぐ橋 毎日多くの通行人が行き交う 弁当箱を抱えた土木作業員 金色ネクタイの青年実業家 貧しい身なりの痩せた老人 手にした紙には“SPARE CHANGE” 様々な人が橋の上で生きている ある日欄干の穴の中から 小さな声が聞こえてきた 若い女性の声だろうか 小さすぎてはっきりとは分からない “G*V* M* S***TH*NG *O E*T” “G**E M* S*M*TH*** *O DR*N*” わずかな力を振り絞った その言葉に誰も気付かない “G*V* M* *AND” “G**E M* ***P” 中には気付いていた人もいた だけど誰も耳を傾けようとはしなかった “**LP M*” “H*LP…” 日増しに彼女の言葉は短く 声は小さくなっていった それでも通行人は何もしなかった 忙しさに周りが見えなくなっていた 痺れを切らしたのか髭面の男が パンの耳を乱暴に投げ入れた 乾いた音が穴の中に響いた それ以来声は聞こえなくなった 穴の中にいた彼女の行方を 知ろうとする人は誰一人いなかった ---------------------------- [自由詩]素直/1486 106[2008年6月11日7時33分] いつも適当な友人A お互いからかいあってばかり 真面目な話も軽く受け流すから たまに本気でイラっとくる そんなアイツが急に「悪かったね」 しまった胸を火傷してしまった いつも乱暴な友人B 僕の言動に逐一厳しくて ツッコミも加減を知らないから たまに本気でイラっとくる そんなアイツが急に「仕事頑張れ」 しまった目から水が零れ落ちた 僕は素直すぎるのか 嘘を吐くとすぐにバレる そのくせ好きだとかありがとうとか 肝心なことはいつも言えず仕舞 素直じゃないのもたまにはいいね ギャップになんだか嬉しくなる 大切なことは一度しか言わない 一度言えば伝わるはずだから いつも悪いね。 これからも仲良くやろう。 ---------------------------- [自由詩]お子様ランチ/1486 106[2008年6月11日20時13分] 子どもの頃夢中で集めた 爪楊枝でできた小さな旗 戸棚の奥から急に出てきて 捨てようか一瞬悩んだ デパートに行く日は隠そうとするから 着いていきたくてだだをこねた 5Fのエレベーター降りると駆け足で 窓際のテーブルに走り込んだ 上下に動くパンダの乗り物よりも 月に一回買ってもらえる玩具よりも 僕が楽しみにしていたものは クリームソーダとお子様ランチ ケチャップライスの山を崩して スプーンで勢い良く平らげる 人参をちゃんと食べられた時は 優しく頭を撫でてくれた あの頃は出来ないことが多すぎて 早く大人になりたいと思っていた だけど成長していくにつれて 出来ないことが増えた気がする お子様ランチを食べたいな メニューを見てるとたまにそう思う 恥ずかしくて聞けやしないこと 僕は大人に見えますか? ---------------------------- [自由詩]AMBULANCE/1486 106[2008年6月12日2時46分] How many times did you call 119? Neighborhoods no longer care about you. They say;hey you got sick as usual. You'd better see a psychiatrist. Do you think it's same as taxy? Do you wanna go to hospital without any fare? Rescues rush and take long time, but doctor never shows a karte, because it's just a fatigue. Why don't you rest on the bed? There are people suffering from unavoidable disease. If you have energy to drive a car, be more patient for another patient. ---------------------------- [自由詩]雷/1486 106[2008年6月12日17時50分] 曇り空は迷子の心 今にも泣きだしてしまいそう こんな日は気分まで憂欝になるから 誰かのそばにいたいと思う 遠くの空から雷が鳴ると 怒られたみたいでお腹が痛くなる 私は音が聞こえないように 貴方のシャツに顔を埋める ねぇ、今夜だけは帰らないで。雨が止むまでは… いつからだろう? こんなに素直になれたのは 普段は強がっている私でも 貴方にだけはわがままを言える ねぇ、今夜だけは帰らないで。雨が止むまでは… 幼い頃は両親が忙しくて 一人でお留守番する日も多かった 雷が鳴る日は布団に包まって 帰ってくるのをずっと待っていた 二人を心配させたくないから 泣き付いたりなんてしなかった 甘えを知らない子どもだったんだ ずっと色んなことを我慢してきた ずっと気持ちを押し込めてきた だから貴方に初めて抱き締められた時 涙が自然と零れ落ちたんだ ねぇ、今夜だけは帰らないで。雨が止むまでは… ねぇ… 今夜だけは… 今夜だけはそばにいて… ---------------------------- [自由詩]回転寿司/1486 106[2008年6月13日19時44分] 何から食べる? 何でもいいよ とりあえず流れているやつ取って 次は何食べる? 何でもいいよ 君の食べてるやつ美味しそうだから それと同じのが来たら取って 中々流れてこないね 注文してみる? 面倒臭いからこっちのでいいや それ小さくない? 雑に作った感じがするよ? 交換してもらう? 取っちゃったんだから仕方ないよ 美味しい? 普通。 まだ何か食べる? 何でもいいよ 実際そんなにお腹空いてないし ---------------------------- [自由詩]喉仏/1486 106[2008年6月14日11時13分] ねぇ、命ってどこにあると思う? ねぇ、心ってどこにあると思う? ほとんどの人は胸の辺りを指す 中には頭を指す人もいる ランナーが指すのは足 料理人が指すのは腕 鑑定士が指すのは目 政治家が指すのは口 僕が指すのは喉仏 歌うことが僕の命 歌うことが僕のすべて ---------------------------- [自由詩]リボン/1486 106[2008年6月14日20時02分] 誕生日 クリスマス 結婚記念日 何かとお金がかかるけれど 贈り物をするには便利でいい イベントがそのまま口実になる アンティークのレスポール ゴールデンレトリバー 高級中華の満漢全席 ヨットの世界一周旅行 君が欲しいものは何かな? 僕があげたいものは何かな? 道端に咲いているただの花も リボンを巻いてあげるだけで 立派なプレゼントになる コンビニで買える板チョコも  包装紙で巻いてあげるだけで  綺麗なプレゼントに変わる 多分僕が本当にあげたいものは お店には売ってないものなんだ 代わりと言っちゃなんだけど 欲しいと言ってたアクセサリーを贈るよ 綺麗なリボンを巻いて 短い大切な言葉を添えて ---------------------------- [自由詩]砂文字/1486 106[2008年6月16日0時01分] 零れ落ちる砂を拾い集めて 4文字の言葉を呪文のように 何度も何度も繰り返す 砕けた砂時計 戻せない時間 後悔だけが積もってゆく 季節外れの海に来て 浜辺をひたすら歩いたって 探し物は波にさらわれて 痕跡一つ残っていないね もう一度手紙を書いて 瓶詰めにして海に流したら ちゃんと君の元に届くかな? 返事がなければそれはそれでいい 泣くだけ泣いて忘れてみせるから 今度こそきっと 遠くへ消えていくボトルを見つめて 言えなかった5文字の言葉を ひっそりとつぶやいてみた さようなら… ---------------------------- [自由詩]GO TO HELL/1486 106[2008年6月16日17時50分] 天国には行きたくないな 規則が厳しそうだから 天国には行きたくないな 真面目なだけで面白くなさそう 良い行いをした人だけが 天国に行けるという 心の中身はどうなのか そこは審査されないらしい 死んだら地獄に行きたいな 天国に行く資格なんてないから 死んだら地獄に行きたいな 自分の罪はきちんと償いたい 悪い行いをした人は 地獄に連れていかれるらしい 一度の人生ですべてが決まる やり直すことは出来ないらしい 永遠に続く苦業と拷問 そろそろ許してあげないか? 天国の奴らは笑って見てるだけ そういう所が気に喰わないんだ どうせ死ぬなら地獄へ行きたい 報われない魂達と革命を起こしたい どうせ死ぬなら地獄へ行きたい 天国のドアを打ち破ってやりたい ---------------------------- [自由詩]中毒/1486 106[2008年6月17日0時20分] あれは確か午前四時ぐらいだっただろうか 明け方急に目が覚めたせいか 喉が渇いていたので冷蔵庫へ直行した しかし半分寝呆けていたので ペットボトルと焼肉のタレを間違えて 思いきり飲み込んでしまった そこに人生の教訓を感じるか? そこに何らかの哲学を感じるか? んなわきゃない どうでもいいことを大袈裟に書きたがる ここまできたら立派な中毒 物書きの抱える悪い癖さね だけどおかげで面白い作品が出来上がる ---------------------------- [自由詩]卒業式/1486 106[2008年6月17日18時56分] 朝早くから草刈に呼ばれた 今日は僕の卒業式なのに 学校前の畦道は背丈ほどある植物が生い茂り 車で左折することさえままならない状態だった 僕は見るからにやる気のなさそうな いわゆる今時?の女の子とペアを組まされた 最初はお互い無口だったけれど 道が綺麗になるにつれて会話が芽生えていった 彼女は仕事の喜びを感じたのか 笑顔で仕事に精を出していた 僕も仕事に没頭していると 遠くの校舎から森山直太朗のさくらが聞こえていた 腕時計に目をやると時刻は11時を過ぎていた しまった、卒業式が始まってしまった! 体育館はゲストのテレビタレントにヒートアップ 卒業生在校生一丸となって盛り上がっていた 今から参加するには微妙な空気だったので 押しボタン信号の前で立ち尽くしていると 後から軽トラックにクラクションを鳴らされた なんでも角材が邪魔で通れないということで アルバイトで培ったスマイルで 丁寧にそれをどかしてあげると 横山剣に似たおじさんは 小さな紙袋をくれた 中を見てみると 卒業を記念して色々な友達からの手紙が入っていた ノートの切れ端に書いたようなもの 食堂の献立などのくだらない情報 そんなものだって後で読み返してみれば かけがえのない思い出に変わっているんだろう 近くのラーメン屋は27日限定で225円セールをやるらしい 二次会の会場はどうせそこだろうから 打ち上げから参加してみようかな ---------------------------- [自由詩]喋る猫/1486 106[2008年6月18日7時33分] とある町に喋る猫がいた 人間の言葉を流暢に喋ることが出来た 人間の言葉を理解することも出来たので 世渡りがとても上手だった 人間はみな猫に優しくしてくれた ただ言葉を喋れるというだけで 食べ物や住みかを与えてくれた 噂を聞いた人が遠くの村から 猫に会いにくることもあった だけど猫は幸せじゃなかった 猫は人間の言葉が分かるから 人間が猫を利用しようとしているのが分かった 物のよう扱っていることも だから猫は何度も逃げ出した お金で売られてしまわないように 見せ物として繋がれてしまわないように いくつもの町を渡り歩いた いつしか猫は姿を消した 人々は次第に喋る猫のことを忘れていった ある少年がかくれんぼの途中 森の奥で小さな洞窟を見つけた 小さな音が聞こえたので中に入ってみると 年老いた喋る猫がいた 横には小さな猫が三匹 少年は喋る猫のことを絵本で読んでいたので 目の当たりにしてもさほど恐がらなかった 好奇心が先行したんだろう 喋る猫は少年に話し掛けた 「私はもうじき死んでいくだろう  この子猫達は私がいなければ生きていけない  どうか私の代わりに育ててやってくれないか?」 そう言い残すと喋る猫は動かなくなった 少年は猫をニワトリ小屋のそばに埋めてあげた 少年は遺言通り三匹の子猫を連れ帰った しかし親や大人達は誰も子猫を引き取らなかった 子猫は喋ることができなかったから ---------------------------- [自由詩]中野アンダーグラウンド/1486 106[2008年6月18日19時55分] ビル前の長い階段を下りていると 劇団員の声出しが目に映った 軍服のようなものを着た団長は 大きな声で団員を叱っていた スキンヘッドの若い男の子は 特に何度も注意を受けていた 他よりも努力しているように見えたが サングラスのセンスから見れば主役にはなれないだろう それにしても東京で生きるというのは そんなに厳しいものなのだろうか 巨大スクリーン前のスクランブル交差点 行き交う人の群れはみな駆け足 そもそも私が中野に来たのは 路地裏に隠れたアートを探すためで 若手が描き上げた作品とはいえ 中には目を見張るようなものもある 公園のような広場に人だかりが出来ていたので 覗いてみるとワンピースの女性が弾き語りをしていた 声は島谷ひとみに似ていて 私は上手いとは感じなかったが 聴衆は何人も涙を浮かべていた それにしても東京で生きるというのは そんなに悲しいものなのだろうか 誰しも胸に傷跡を秘めて それを撫でてくれる人を探している 家に着いたのは夜十時過ぎで 夕飯を買いにそのままスーパーへ出掛けた 3割引の惣菜を温めようと 電子レンジに並んでいると 前にいた四十歳くらいの女性が 店内の休憩スペースで弁当を食べはじめた 何故家で食べないのだろうか 家に帰っても誰もいないのか 家で一緒に食べたくないのか 余計な詮索が頭を過る それにしても東京で生きるというのは そんなに淋しいものなのだろうか 人は溢れるほどいるのに 繋がりあう術を知らない ---------------------------- [自由詩]サヨナラ/1486 106[2008年6月19日7時53分] 光と闇が交ざり合う瞬間 セピア色の記憶がフラッシュバックして 時間が止まったような気がしたけど 変わらずに月は夜を連れてきた アイツがいなくなっただけなのに この町がいつもと変わって見える 交差点でしばらく立ち尽くした後 乗り遅れないようにバス停へ急いだ サヨナラは繰り返すほどに なぜだろう上手に言えなくなっていく 関係無い話はいくらでもできるのに その一言がなかなか出てこない 時間を戻した所で無駄だよ どこかでまた別れを選んでしまう 性格や趣味が似すぎていたから 嫌いな部分が目立ってしまったんだろう アイツのために流した涙なんて あの時一つだってありはしなかったよ そんなものが残っていたなら 離れることなんて選ばなかった 違うかい? サヨナラは繰り返すほどに 何故だろう不器用になっていく 言いたいことは胸に秘めたまま 今更いい顔したってしょうがない 「またね」なんて言うのは無しだよ 守れない約束はするものじゃない 「サヨナラ」これですべてはおしまい また新しい毎日の始まり ---------------------------- [自由詩]独り言/1486 106[2008年6月19日20時09分] 強い人になりたいってみんな言うけど 強い人って一体どんな人? 優しい人になりたいってみんな言うけど 優しい人ってなりたいと思ってなるもの? 僕の性格のことについて 明るいとか優しいとかみんな言うけど それって個性が無いのと一緒だよ 無理して良いところを探さないでよ 探さないと出てこないものなんて はじめから無いのと一緒だよ これはただの独り言 知らない人が殺されれば悲しいと思う 知らない犯人には怒りを感じたりする だけどみんな普段から日常生活の中で 冗談だとしても死ねばいいとか殺したいとか 口癖のように話しているくせに 本質は何一つ違わないんだろうな テレビのタレントが悪口を言っている デブやブスやバカやハゲを罵り暴力を奮っている それを見た観客はみんな笑っている 人間って最低な生き物だと思った その考え方も危険だって分かっている これはただの独り言 文句はいくらでも出てくるのに どうしてほしいか誰も言わないんだね 戦争も政治も環境もみんな同じ 関係無いと思っていれば 生活は苦しくなるだけなのにね てゆうか別に何でもいいんでしょう 税金が上がっても誰が首相でも 小さなニュースで簡単に意見が変わる 自分の言葉に責任を持たないで 言論の自由なんて言って欲しくない 顔の見えない相手なら 威張れるし偉そうなことが言えるけど 多分情報化社会の中なら どんな風に悩み傷付いているかなんて 相手が死んだって気付かないんだろうな これはただの独り言 希望は未来にあるんじゃないよ 最初から探す場所が違うんだよ 過去は消せないし捨てられないよ そう簡単に人は変われない 今さえあればどうなってもいいの 今だって既に手遅れなのに これはただの独り言 出来れば聞いてほしくない メッセージでも何でもない 伝わらない言葉は記号と同じ 考えることに疲れたよ 明日にはどうせ忘れてしまうんだ これはただの独り言 誰も聞いていない だからただの独り言 言いたいことはもう何もない もうなにも言いたくない ---------------------------- [自由詩]リンク/1486 106[2008年6月20日2時45分] 帰宅と同時にパソコンを開いて お互いの近況を報告しあう なんてことない平凡な出来事だって それを聞いただけで安心できる 遠距離って大変じゃない? 友達はよく聞いてくるけど 仕事も私生活も満たされているから そんなに寂しいとは思わない それでも月一ぐらいしか会えないと ふとした瞬間に思い出してしまうよ 隔てあった画面を超えて 二つの心はリンクする 会えない時間に負けたくないから 君の前では弱音は吐かない 髪の毛を切ったと連絡があった 写メも同時に送られてきた 静止画は確かに綺麗なんだけど 本当は直接確かめてあげたいよ 休みの日がお互い違うから 会えるのはせいぜい夜くらい だからこそ時間が大切に思える もっと君のことを愛しく思える 隔てあった画面を超えて 二つの心はリンクする その距離が近付くほどに 胸の鼓動は高らかに鳴り響く 会えない時間が蓄積すれば 嫌な部分だって浮かんでくるけど それだけで別れを選ぶほど もう二人は子どもじゃない 隔てあった画面を超えて 二つの心はリンクする 遠く離れても忘れないで 帰る場所が此処にあること ---------------------------- [自由詩]テロメア/1486 106[2008年6月20日15時19分] アポトーシス 聞き慣れない言葉だけど つまり僕達の体は最初から 死ぬために作られてるってこと テロメアが段々短くなって 細胞が徐々に脆くなって すべての力を使い果たしたあと 永い永い眠りにつくんだ 心では生きたいと願っても 体は死ぬことを望むなんて これ以上皮肉な話はないね だけどもし 一連のプログラムが解読できたら 永遠の命も生まれるんじゃないかな 僕が死んだずっとあとの世界で ---------------------------- [自由詩]KISS/1486 106[2008年6月21日4時29分] キスするなら公園がいいな 初デートの朝そう思った 静かな散歩道を歩いていれば 手を繋ぐように自然にできそう だけどベンチに座ったきり アイツは格闘技の話に夢中 ジョギングしてる人に連れられた犬が 小憎たらしい顔でこっちを見ている まぁまだデートは始まったばかりだから こんなことで挫けたりしないさ! キスするなら映画館がいいな 一番後ろなら誰も見ていないから 感動的なラブシーンに便乗して ロマンティックな空間を演出したいな だけどアイツは最初のうちから 画面そっちのけでポップコーンに夢中 そのうちに居眠りまでして いつ起きるのかずっと見ていたら いつの間にか映画が終わっていた なんでこんな目にあうんだろう だけど最後まで諦めないぞ! キスするなら自宅がいいな 二人きりの部屋でそう思った やり方が多少強引だったとしても すべてお酒のせいにできるから だけど私は本気で潰れて ずっとトイレで介抱されたまま 今日は初めてのお泊りなのに 何も起こらないまま夜が明けた 結局散々なデートだったなぁ 帰りの車でそう思っていたら アイツが急にサイドブレーキを引いて切り出した 「キスしよっか。」 「えっ?今何て言っ…」 ---------------------------- [自由詩]テレビ/1486 106[2008年6月21日18時04分] 気持ちのいい朝なのに新聞の壁に遮られて会話が届かないね こっちから散々質問しても同じ返事ばかりで会話が続かないね 首輪も付けないで私がどこにも逃げ出さないと思っているの? 気紛れな私はいつだって心動かす刺激を探しているんだ テレビばっか見てないでもっと話をしようよ 作られた娯楽なんかより面白いものが世界には溢れているよ 単純明快なストーリーでも奇想天外な演出はなくても 写真にも映らないささやかな瞬間を私は大切にしていきたいんだ 最近のアニメは正義が勝つって分かっているから面白くないよね 最近のニュースは悪い部分しか映そうとしないから面白くないよね だけど聞き逃すような場面で核心を突いてくる 君の瞳に気付かされるところがたくさんある テレビばっか見てないでもっと話をしようよ 世界中の悲しみよりも目の前の相手の気持ちに気付いて 理不尽な現実に苛立ちを覚えてもありきたりなコメントに嫌気が差しても 見ているだけじゃ何もできないそれだけは忘れちゃいけない 日常生活に感動的な展開はなくてもそれなりに楽しめるよ 要は脚本よりもキャストが大切ってことなんだ テレビばっか見てないでもっと話をしようよ 作られた娯楽なんかより面白いものが世界には溢れているよ 単純明快なストーリーでも奇想天外な演出はなくても 君さえいれば何もいらないそんな毎日を送っていきたい ---------------------------- [自由詩]公営住宅/1486 106[2008年6月22日1時40分] カラオケ帰りの深夜二時 車を止めてエンジンを切ると 無音の空間が一面に広がり 取り残されたような気分になった 駐車場から歩いていると 自分の足音がはっきりと聞こえた その時僕は思い出したんだ いや初めて知ったのかもしれない 遠くで響くサイレンや クラクションや暴走族のマフラー 普段ならうるさいと感じるものも こんな時間なら安心できる ドアを開けても誰もいない時 真っ暗な部屋のスイッチを点ける時 シャワールームで目を瞑る時 不意に孤独が襲い掛かる こんな時は誰かと話したい だけどただ電話が鳴るのを待つだけ 久しぶりにパソコンを開いたら マイミクが一人減っていた 整理するとか消去するとか 人間だと思っていないんだね すっきりしたって笑っているんだろう どんなに相手を傷付けるかも知らずに 最近ベッドに横になると 胸のあたりがズキズキ痛くなる 朝目覚めても誰もいない時 不意に孤独が襲い掛かる 都会から離れた公営住宅には たくさんの人が暮らしているけど 助けてなんて言えるはずないよ みんな我慢して生きているんだから ---------------------------- [自由詩]ポイント/1486 106[2008年6月22日19時40分] 今までたくさんの詩を読んで そこからいろいろなことを感じて 詩を書いてみたいと思い立ち 様々な詩を書いてきました 書いたからには 読んでもらいたい 認めてもらいたい そう思うのはいけないことですか? ポイントが欲しい それは確かに動機の一部 一番にはなれなくたって 貰えれば素直に嬉しい 評価なんていらない そう感じる人もいるとは思いますが ある意味それは無責任ではないですか? 書いた詩に対して失礼ではありませんか? 0ポイントでも好きな詩もあれば 50ポイントでも嫌いな詩もあるでしょう 確かに詩の価値はポイントで決まるわけじゃありませんが 人気も価値を表す指標の一つではありませんか? 不順な動機で生まれた作品でも それを読んで得たものや感じたものは すべて紛れもない真実なんです だって文字は文字でしかないから 詩が動かせるのは心だけだから 受け手との対話が生まれて初めて 詩は意味を成すのでしょう ---------------------------- [自由詩]青春時代/1486 106[2008年6月23日18時34分] 数学教師の話を子守歌に 退屈の海に浮かべた夢の船 教室の窓から飛行機雲をなぞって 誰よりも高い空を見ていた 放課後はバスケのフリースローで 誰がジュースを奢るか賭けていた 方程式や歴史の年表は苦手でも 遊びならいくらでも思いついた 授業よりも経験を大事に 哲学よりも仲間を大事に 自分の気持ちに正直に生きた 目に映るすべてが輝いていた いつかは終わるのが青春時代 それなら途中で投げ出したりしない 後悔だけは残したくない 二度と戻らない瞬間だから いつも思い浮べていた未来 白紙のページに並べた落書き すべてをこの手で掴み取るために 動き出すことを恐れたりしない ずっと好きだった二組の鈴木さんが 受験勉強を始めたと聞いて 同じ塾や大学へ行こうか 一時期真剣に悩んだ そういえば自分の夢はなんだろう 一体将来何がしたいんだろう ずっと後回しにしていた課題が ツケを払えと催促している 最近親の態度が変わってきた 最近友達の顔付きが変わってきた なんだか体の奥がムズムズする 自覚の芽が花開こうとしている いつかは終わるのが青春時代 それなら最後まで逃げたりしない 後悔ならいくらでもすればいい そこから得られる強さがあるから いつも思い浮べていた未来 白紙のページに並べた落書き 現実という壁にぶつかっても 自分から書き換えたりしない 嫌いだった体育の担任が 卒業式の壇上で流した涙 ウザったい説教に込められた意味が 一つ一つ頭の中を駆け巡る 初めて校歌で感動した日 屋上から見下ろした薄紅の町並み 助走を付けて走りだしたなら フェンスを越えて飛べる気がした 親を殴った拳の痛み 迷惑かけた先生の悩み すべての汚れを背負ったなら また一つ僕は大きくなれる いつかは終わるのが青春時代 それならここで泣いたりしない 後悔なんて残していない すべて自分で選んだ道だから いつも思い浮べていた未来 白紙のページに並べた落書き やがて悲しい過去に変わっても 描いた日々を消したりしない いつまでも色褪せはしない かけがえのない青春時代 思い出のタイムカプセル開ければ 18才の少年がよみがえり 教室の奥でロッカーに座り 箒をギターに歌っているのさ ---------------------------- [自由詩]ピエロ/1486 106[2008年6月24日1時12分] さっきの話は聞かなかったことにして 君を悩ませるつもりはなかったんだ 僕のことは気にしなくていいんだよ 君は君の幸せを選べばいい ピエロの仕事は笑わせること 泣いてる姿は見せちゃいけない 悲しみを隠して踊るよ 君の喜びが僕の喜びさ さっきの話は聞かなかったことにして 深い意味は無いんだよ多分 僕のことは気にしなくていいんだよ 君は君のために笑えばいい ---------------------------- [自由詩]傘/1486 106[2008年6月24日18時46分] 公園のブランコが濡れている 灰色の空が水溜まりに映っている 飛沫を上げて走り去った車に 靴下の中までびしょ濡れ 今頃君はなにしているのかな あれは確か去年の6月 ちょうど今日のように雨の日 傘を忘れた君のために 近くの駅まで迎えにいったね 電車から降りてくる君を驚かそうと 改札の前で待ち伏せしたんだ だけど君の分の傘を忘れて 仕方なく同じ傘で帰ったね 一人で歩くには少し広い 二人で歩くには少し狭い はみ出した肩に水滴が落ちても あの時は少しも寒くなかったのに 降りしきる冷たい雨の中 僕は一人で家路につく 今頃君は遠くの町で 誰かと手を繋いでいるのかな 少し狭い傘の樹の下で ---------------------------- [自由詩]君のためなら死ねる/1486 106[2008年6月25日7時34分] 命が二つあればいいな 他人より先に死にたくないとか そういうズルい理由じゃなくて 危険な罠から身を呈して 恐ろしい奴に体を張って 君のことを守りたいんだ もちろん今のままだって 君のためなら死ねるけど 君が悲しむだら意味無いんだ 君を泣かせるなら問題外なんだ だから僕は長生きするんだ 二つの命を守るために その分負担は増えるけど 君が笑ってくれたらすべて帳消しさ ---------------------------- [自由詩]スキー場/1486 106[2008年6月25日22時49分] 大学の友達とスキーに来ていた 中学の頃は滑れなくていじめられたけど 大学の友達は下手でも平気だと言ってくれるから 自分のペースで滑ることができた 練習のためにみんなと別れて 初心者コースを滑っていると 高校の友達を偶然見つけた 滑れなくていじめてきた奴らだ 僕は不安になって逃げ出した だけど下手だから何度も転んだ そのうち後ろから追い付かれて 人気の無い場所に連れてかれて 雪を口の中に思い切り詰め込まれた もうインタビュー出来ないだろうと笑っていた 再会した大学の友達には何も言わなかった 帰り道は押しボタン信号がずっと赤のままだった ---------------------------- (ファイルの終わり)