イズミナツキ 2006年2月3日20時10分から2008年1月30日22時15分まで ---------------------------- [自由詩]ポケモン(コイキングにて)/イズミナツキ[2006年2月3日20時10分] 一番弱いとか 使えないとか 言ってるけど コイキングなんだ コイキング コイの王様だよ 鯉か恋かって? 鯉に決まってんだろぉぉぉ 全てのコイよ! 彼の前にひれ伏せ! 鰭(ヒレ)を伏せろ! 彼こそがコイの中のコイ コイキングだ よく見ろ この点の目をした アホみたいな(ていうかアホ)顔した彼こそ 王なのだ 嘘じゃない、マジだ! 嘘みたいなほどアホ面だけど、マジだ! 拝め!叫べ!奉れ! 我こそは王なり! しかし釣り人にはそんな事を思われず なんだコイキングかと海にかえされる コイキングはギャラドスになり ギャラドスは強いというが コイキングの大群も強いと思う 本当は さぁ彼の名を! 偉大なる王の名を! コイキング!コイキング! コイキング!コイキング! (フェードアウト) そんなコイキングを応援します。 ---------------------------- [自由詩]ポケモン(ベロリンガにて)/イズミナツキ[2006年2月5日20時05分] グル グル グル グルメ! グル グル グル ベロリンガ! 大きな舌でぐるぐると 食せんものは一つも無い 食についてはうるさいが その長い舌は本物だ(ベロリンガ!) 言いたい事は遠慮なく ズバリ言うわよ美食論(あんた死ぬわよ!) 食を誰より知っている(食の王!) 三大珍味はもう飽きた(俺の腹を満たせぇぃ!) (「おい!カレーにふくじんづけは必須だろっ」) 食物連鎖が崩れゆく それは勿論あいつのせい(ベロリンガ!) 彼は食の専門家(ベロリンガ!) カビゴンよりも大食らい(ベロリンガ!) (「甘い香りが口の中でとろける〜〜るるる)」 食いしん坊万歳 狙ってる 食いしん坊探偵 狙ってる 長い物には巻かれとけ! 長い舌には巻かれるな! 細木数子もびっくりの ベロ・ベロリンガの美食論(あんた死ぬわよ!) グルメ界に危機があり 食物連鎖に危機があり 奴は美食王(グルメ)のベロリンガ グル グル グル グルメ! グル グル グル ベロリンガ! ---------------------------- [自由詩]ポケモン(ラフレシアにて)/イズミナツキ[2006年2月12日20時17分] 酔いしれてGOOD NIGHT(グッナイ) 魅せられてDoKin!(ドッキン!) 恋の花粉よRAFFLESIA(ラフレシア) 鼻が邪魔にならないかしら 花が邪魔にならないかしら 誰が為に鐘が鳴る ヘミングウェイも魅せられて 綺麗な赤色BEAUTIFUL(ビューティフル) 黒い身体はWONDER(ワンダー)☆LAND(ランド) 揺れて踊って花粉漏れ 心に近寄りチラリズム 花に痺れて動けない 花に意識を奪われて 恋の毒を鼻から吸って 全ては花粉のせいなのよ 酔いしれてGOOD NIGHT(グッナイ) 魅せられてDoKin!(ドッキン!) 恋の花粉よRAFFLESIA(ラフレシア) ---------------------------- [自由詩]ポケモン(コイルにて)/イズミナツキ[2006年2月21日17時12分] 私、S極 恋の電磁誘導切ないね ケンカしちゃって 出てってよって 怒鳴り散らした わたし、N極 あなたが出てってから わたしは泣きじゃくった すぐに後悔しちゃうんだ 戻ってきてよ わたし、S極 心では逢いたいって叫んでも 口からは反対の言葉が出る 昨日の事を思い出して 素直にごめんって言えないの わたし、N極 ようやくあなたに抱きつけたの 勢いだったけど謝れた 涙と心があふれ出して やっぱりあなたはあったかい 誘導電流それが恋 くっついて離れての繰り返し でもちょっと違うのは 繰り返す度に磁力が増すってこと ---------------------------- [自由詩]魔王と出逢った/イズミナツキ[2006年2月26日10時47分] 路地でしくしく泣いてる人がいた 黒いマントに身を包んだ 綺麗な銀色の髪をした人だった 気になったので声をかけてみたら 彼は自分を魔王と名乗った 私は魔王を家へと招待した 縁側に座らせてお茶を出すと 魔王はそれを美味しそうに飲み 老人のように話し始めた 「神に好いてる人を取られた」 私が最初に驚いた事は 魔王にも恋心があるという事と 神とそんな奪い合いをしているという事 しかし路地で泣く事もないだろうに 「恋とは難しいものだな」 私もちょうど好きな人がいたので その気持ちはすごくわかった 魔王だろうと神だろうと 恋はするものなんだと知った 「神は昔からああいう奴だった」 そうして魔王は 神の愚痴をこぼしはじめた 私はその愚痴に耳を傾けて 魔王の恋心を知った 「その気持ちわかるよ」 魔王と私は意気投合し 友達になった 恋に生きる儚さと 恋に苦しむ憂鬱を 溜息にして空へと放ち 一緒にお茶をすすった ---------------------------- [自由詩]魔王と出逢った(空の色と涙)/イズミナツキ[2006年2月27日19時48分] 魔王が言った 神にできない事はない 神と対極にある私も できない事はない 「恋愛は?」 私がそう訊くと 魔王のお茶に涙が落ちた しまったと思って 私は魔王を慰めた 「空は青いな。私の心も青い」 確かに魔王の心もブルーなんだろう でも空の青とは違うと思う それでも魔王は思い込む 私は何も言わなかった 魔王から色んな事を聞いた 地獄は意外と楽しいとか 勝利の女神はアテにならないとか 神とは幼馴染だとか 「よく居酒屋に飲みに行くんだ」 魔王の呟きを聞いていると 空の色はオレンジ色に染まり 太陽はさよならを告げようとし 月がゆっくりと目を覚ました 「私の心もオレンジ色だ」 それは再び恋に燃えようとする意気込みだった 失恋を紛らわす言葉だったのかもしれないけど 私の憂鬱を吹き飛ばすには十分だった 私は立ち上がり 「ご飯食べよ。手伝って」 そう言って 魔王を台所へと連れて行った 「料理か。それなら私に任せろ」 そう言った魔王は 指を切ったり 玉葱の皮を向いたりで 台所では殆ど涙を流していた ---------------------------- [自由詩]魔王と出逢った(箱庭に在る恋)/イズミナツキ[2006年2月28日21時17分] どうやら魔王は 縁側が気に入ったらしい 老人みたいにお茶を啜り 箱庭を眺めて溜息を落としている その光景は絵になりそうで 私はそんな絵の中に入り込んで 魔王の隣に座った 魔王の銀髪はとても綺麗だ 「よく手入れされている箱庭だ」 そんな感想を漏らしてお茶を一口 魔王が何を言いたいのか 私にはわからなかった 魔王は勝手に教えてくれた 「愛に箱庭に収まらない」 私に言ったのではない ただ呟いただけだった 「己を箱庭に収めていてはいけない」 好きな人に想いを告げられない私 そんな私を励ましてくれているのか ただ自分を励ましているのかはわからない でも私は前者だと思いこんだ 「さて、一緒にテレビを見よう」 魔王に誘われたのは初めてだった ちょっと嬉しくなった私は 差し伸べられた手を取って ドキュメンタリー番組に涙した ---------------------------- [自由詩]ポケモン(パルシェンにて)/イズミナツキ[2006年2月28日21時23分] 殻にこもれば防御は完璧で そのまま突進すれば攻撃になり 恐れるものなんて無い でも 君に出逢ってからは 身体を駆け巡る電流には勝てず 君を失うことを 恐れてる もしよろしければ 僕の殻の中で Shall we dance? ---------------------------- [自由詩]魔王と出逢った(笑顔の必要)/イズミナツキ[2006年3月2日20時10分] 最近魔王はテレビを見ている テレビの前で「武勇伝!武勇伝!」と言ったり 「フォー!」と奇声を発したりしている どうやらバラエティ番組が気に入ったみたいだ 「笑わなければ始まらんぞ」 魔王の憂鬱は晴れたかは知らないが 私が未だに憂鬱であることには変わり無かった 魔王にすら成し遂げられない恋を どうやって私が成し遂げられると言うのだろう 「お前は可愛いし美しい」 憂鬱の再来した私に魔王は言った それは慰めか気休めか どっちにしたって 今の私には効果が無い 「少なくとも私はそう思う」 魔王は頬を赤らめて 目を反らして言った こうして見ると 普通の人にしか見えなかった 「ありがと」 それでもやっぱり彼は魔王だった 効果が無いと思ってたのに その言葉は魔法みたいなもので 効果てきめんだった 「とりあえず、笑おう」 魔王はそう言って またテレビの前で大笑いした 私も隣で笑って 憂鬱を吹き飛ばした ---------------------------- [自由詩]魔王と出逢った(マントの開店)/イズミナツキ[2006年3月3日19時40分] 恋って苦いもんだ 良い意味でも 悪い意味でも 胸が痛む 思い切ってあの人に告白してみたものの 結果は言うまでもなく玉砕 当たって砕けろと言うけれど それは他人事だと思ってるだけ 悲しみに暮れる 恋に敗れた人は誰もが思うかもしれない もう恋なんてするもんか そして涙を流すだけ 顔は夕日を浴びず 影で顔を真っ黒にしながら家に帰ると 銀髪マントの男が―― 魔王が迎えてくれた 「おかえり」 魔王に心配かけたくなかったので 私は泣くのを止めて 精一杯の笑顔で家に入った 声が震えて「ただいま」が言えなかった 「今さっきマントが開店した」 魔王はわかっていた 私が泣きたいってことを 魔王はマントを広げ 優しい声で言ってくれた 私は魔王の胸を借りて 近所迷惑になりそうなくらい泣き喚いた 魔王はマントで私を覆い 優しく頭を撫でてくれた 「苦難を乗り越えてこそ強くなれる」 魔王は小さな声で言った 私には聞こえなかったけど 魔王は独り言のように 私に声をかけてくれていた 「よくやった、勇者。レベルアップだ」 いつか必ず あの最強の敵に打ち勝ってやる そして私は魔王と共に 次の旅に出た ---------------------------- [自由詩]魔王と出逢った(出逢いの理由)/イズミナツキ[2006年3月4日16時57分] 魔王が消えた 何も言わずに消えた 縁側には魔王がいない まるでそこは別世界だった 家中探しても見当たらなかった 外も探した それでも見つからなかった 魔王が消えてしまった 元々魔王は地獄の人だから もしかしたら帰ったのかもしれない それでも何も言わずに帰るなんて ひどいよ 縁側に座って 私は溜息を落とした 縁側はすっかり 溜息の落とし場だった 「別れは悲しむことではない」 魔王の声が聞こえた でも姿は見当たらない 驚く私の頭に 魔王は言葉を続けた 「出逢い、別れ、出逢うのが恋だ」 たまらなく 魔王の姿が見たかった あの銀髪マントを 人間臭い魔王を 「私との出逢いと別れも、そのひとつだ」 わかっていた 出逢いがあれば別れがあることを だけど こんな別れ方はあんまりだ 「勇者、いつか私を倒しに来い」 魔王はそう言って 最後に呟くように言った 「また会おう」 そして魔王の声は聞こえなくなった 今まで隣にいた魔王が居ない縁側で 私はひとつの真実を見つけ ひとつの溜息を落とした ---------------------------- [自由詩]ポケモン(ドククラゲにて)/イズミナツキ[2006年3月5日19時01分] ついつい毒を吐いてしまう ほんとは「好き」の裏返し それでも君は気付いてくれないから 距離は縮まるどころか離れるばかり 気付いてくれとは言わないよ 僕が悪いだけだから この毒だって吐き続ければ いつかはからっぽになるだろうから その時にはちゃんと接して 君に振り返ってもらおうと頑張るよ ---------------------------- [自由詩]魔王と出逢った(縁側の記憶)/イズミナツキ[2006年3月5日20時13分] 私は縁側に座り お茶をすすって あの時のように 溜息を空へと放った 魔王が消えて私は思った なんてことはない 魔王の正体は 「恋」だったのだ 私は「恋」と出逢った わかりづらいけど そう思い込んだ その方が納得できるから そもそも こんな不思議な出来事を 言葉で表せってのが 無理な話なんだ 「また会おう」 魔王は言った それは 私はまた恋と出逢えるということ 私はまた魔王と出逢えるということ 今更だけど私は 魔王に恋していたのかもしれない でも気付く前に魔王は消えてしまった でも後悔はしていない これでさよならなんかじゃないから また逢えるんだから 結局は全て私の想像であって 魔王の正体はわからないし もしかしたら幻だったのかもしれない それでも私は歩む勇気を手に入れた いや、幻なんかじゃない あのマントの中の温もりは 確信を持って言える 幻なんかじゃない 私は 私達は 魔王と戦う勇者 恋と戦う勇者なんだ 私は縁側に座り お茶をすすって あの時のように 溜息を空へと放った 待ってて、魔王 いつかあなたのもとへ 私は あなたを倒す勇者だから ---------------------------- [自由詩]たちつてと/イズミナツキ[2006年3月16日21時03分] た 絶えず繰り返される ち 血で知を覚えぬ愚か者達 つ ツバを吐き散らして て 手は決して取り合わぬ と 時がどれだけ過ぎても 親愛なるmikoさんへ贈る。 こんなのでごめんなさい(泣)。 ---------------------------- [自由詩]かきくけこ/イズミナツキ[2006年3月16日21時23分] か 母さんが言った き 今日はシチューよ、と く 久遠の幸せは け 結構近くに こ 転がっている 再びmikoさんへ贈るあいうえお作文。楽しい。 ---------------------------- [自由詩]ポケモン(カイリキーにて)/イズミナツキ[2006年6月19日20時22分] 四本の腕の理由は 一本は 何かを取る為 一本は 何かに触れる為 一本は 何かを掲げる為 一本は あなたを探す為 そして 想い募る度 この 四本の腕は すべて あなたの為になる ---------------------------- [自由詩]創書日和「流」/イズミナツキ[2006年10月25日21時56分] 電車に揺られて ちゃんと見えない景色 この電車は 終点に着けば もう一度 同じ線路を走る あの駅で 降りるはずだったけど もう 次の駅を降りる気もしないや 昨日は もうやってこない 歩いても 歩かなくても 明日は 流れてくる 水の流れのように 昨日が流れてくればいいのに そしたら もしかしたら あなたの涙は 流れないかもしれないのに 振り返っても 昨日は来ない ただ 手を振って 記憶に流れ込む だけ ---------------------------- [自由詩]創書日和「白」/イズミナツキ[2006年11月18日22時45分] 人が死ぬ時 その人には 何が見えているだろう もしかしたら もう 何も見えないかもしれない 世界の時間 が ゆっくりになって 身体が ゆっくりと 倒れていく 数々の記憶が甦り この記憶の果てに 私は死ぬのだと おてだまで遊んだ あの人を愛した そして最後に 望んでいない不幸を 死の瞬間を 呪った 思、う 神か 悪魔 か 誰かが 記憶の果ての死を 私におしえている 死後の世界は きっとない 何もない 無 そこが ゆっくり、と そして 区切られてゆく 時間 の、 ように 真っ白だと、 良い 何も見えなくなった先は 真  っ   白     だ          と                、 ---------------------------- [自由詩]創書日和「紙」/イズミナツキ[2006年12月16日23時23分] 紙ヒコーキの飛距離はそんな大したものじゃないから 紙ロケットをつくった そんなに難しいものじゃない 簡単につくれるもの だって紙だから ロケットは宇宙へと飛んでゆく 宇宙旅行ができるんだ それってまさに浪漫飛行 これなら 月に居る君のもとへとゆける 一緒に冥王星に会いにゆこう 僕らは仲間だって そしたら銀河に旅立とう 紙ロケットから降りて 紙銀河鉄道に乗ろう さよならお日サマ 刹那よりも一瞬で 那由多よりも大きい そんな矛盾した想いを分かつ僕らに 時間は必要無いんだ ---------------------------- [自由詩]創書日和「雪」/イズミナツキ[2007年1月13日0時01分] 助手席に座って流れる景色を眺めていた 運転席では母が久しぶりの運転をしていて トンネルをくぐると そこには雪が積もっていた 途中から 空から雪が降り出して こうでなければ冬でない なんて思ったりしていた 次の日の朝には 今年小学生になる従兄弟を連れて公園へ行き 雪だるまをつくった 大きな雪だるまは作れなかったけど 小さな可愛らしい雪だるまを作り 家へ持ち帰ることにした 帰る途中に 氷柱を取って食べて 冷たいけれど美味いと思ったり 実は雪は汚いんだとか従兄弟に言いながら それでも雪は 命のように降り注ぎ 人のように積もり 綺麗でもあると思ったりしていた ---------------------------- [自由詩]創書日和「炎」/イズミナツキ[2007年2月17日23時10分] 揺れる灯火を包んで 続く日々に身を揉まれて、君はどこか 溢れる言葉は加速するけど 消える日々に道を失い、君はどこか 溶ける蝋のような焦燥を零し それすら熱を持ち 心、燃える 溢れる言葉は加速するけど 消える日々に道を失い、君はどこか 真夜中 その向こう 小さな星にも似た 探して、探した 弱く輝く君を 何もかもが歩く原動力 悲しみも切なさも 燃やし尽くして 夜を照らし 明日へ 君へと繋ぐ 真夜中 その向こう 小さな星にも似た 探して、探した 弱く輝く君を 手探り、がむしゃら 僕の小さな灯火 照らして、探した 必ず見つけるよ ---------------------------- [自由詩]創書日和「歌」/イズミナツキ[2007年3月9日22時44分] 未来に向かう 一人歩きする夢の歌 消える、そのさまを見た 過去を憂う 引きずっている君の歌 消える、そのさまを見た 心をずっと 暗闇に閉じ込めた 微かな光にさえ 目が眩んだ まぶたの奥に焼きついた残像が笑っている 全て失ってしまったけど 記憶は虚しく此処にある 世界をずっと 自分勝手に回した それでも君は 見つからなくて まぶたの奥に焼きついた残像が笑っている 此処から始まっていくけれど 積もる記憶が腐りゆく 今も歌えずに ---------------------------- [自由詩]創書日和「縁」/イズミナツキ[2007年4月13日22時17分] たぐり寄せた糸を めちゃくちゃに結んで ほどけなくしたつもりだったけど あまりにもあっけなかったね ハサミでぷつんと切られてしまった 縁があったらまた逢いましょう 空虚だ 君は 別れの言葉のつもりだったのだろう わかっている それでも空虚を信じている 勝手に想うよ ひとりで待っている 来世で逢おうって そう言う意味でしょ? 後悔と悲哀をぶら下げて 死んでも、生まれ変わってからも 決して失くしたりはしない 永遠の記憶を得る方法を探している だって 君でないと ---------------------------- [自由詩]創書日和「風」/イズミナツキ[2007年5月11日23時01分] 木々は揺れてざわめき 雲は流れて、太陽が見え隠れしていた 放り投げたボールは 狙った所とは全く違った方向へ飛んで行った 花びらが舞い散り 砂っぽい空気で汚れていた 鳥はどうだろう 僕の心をかき乱して 君を見失ってしまう風を その両翼で切り、飛んでいるのだろうか その両翼で空を拓き、飛んでいるのだろうか 風を掴めるなら 風に乗れるなら 明日という日は憂鬱でしかないだろう 昨日は闇に閉ざされていて 今日は居心地が悪かった 教室の窓はがたがたと音を立て カーテンは何度も翻った 声はかき消されて 見上げれば 雨が降りそうな灰色の雲が流れていた 届けたい心は 想った所とは全く違った方向へ飛んで行った 花びらが舞い散り そして僕の心は 砂っぽい空気でざらついて、乾いていた ---------------------------- [自由詩]創書日和「窓」/イズミナツキ[2007年6月25日22時37分] 波の音 潮風 優しい朝日に目をつつかれて目覚めた 窓の向こうには 現実と夢が 空と海を駆け巡っていた そこには 空飛ぶ魚 羽のはえた魚 でも空と海は交じってなかった 羽と尾ひれをぱたぱた、ぱたぱた 魚ぱたぱた 窓という額縁に収められた絵に 妙な好奇心と不安を覚えた 空飛ぶ魚はまだ飛んでいる 「空と海も交じればいいのに」 ああ、そしたらきっと… それでも… 羽と尾ひれをぱたぱた、ぱたぱた 魚ぱたぱた ---------------------------- [自由詩]創書日和「星」/イズミナツキ[2007年7月9日21時46分] 遥か遠くの星が 時を越えて輝いている 闇に呑まれないように やさしいつながりを 目に映るのは消えた光 それでも心をうるおすもの いつかは燃え尽きて いつかの朝をもたらすのだろう 夜の丘で 街の空気に抱かれた心は なぜだか澄み切って 今なら、と思い それを空へと投げた ---------------------------- [自由詩]創書日和「砂」/イズミナツキ[2007年8月9日23時36分] 水で泥にしてお山をつくろう そこで僕らは暮らすんだ 僕らの城をつくろう トンネルをつくろう 僕らの城は何でもありだった 掘り合ったトンネルが開通したとき、僕らの手が触れ合った 帰り道に手を繋いでいるときとは違う、不思議な感覚 泥で少しザラついたからではない なぜか顔が赤くなった 空はオレンジ色に染まり 僕らはまた、手を繋いで帰った そのときにわかった気がした ずっとこいういう日が続けば良い おとなになっても続けば良い 僕らの城をつくろう そこで僕らは暮らすんだ 当たり前のように 乾いて崩れてしまった砂の城 僕らはもう会えないのかな こんな歳になっても 僕らの城をつくりたいなんて思ってるけど ---------------------------- [自由詩]創書日和「酒」/イズミナツキ[2007年10月15日22時58分] むずかしい言葉を使うのはもうやめたよ 酔ってるからろれつも回らないし はっきりしている気持ちだけを 今ならとびきり素直で純情だよ 大好き! ---------------------------- [自由詩]創書日和「指」/イズミナツキ[2007年11月25日23時23分] 手と手合わせて通うのは体温だけじゃないよ 繋がったよ、すべて 絡まるのは指と指だけじゃないよ 見えたよ、すべて 今日を思い切り生きた 明日は死ぬかもしれない それでもいい その方が笑っていられる 疲れなんて知らない だから僕は差し伸べるんだ その指の指す所へなら何処にだって行くよ あなたのすべてが指先から伝わるから 今日を思い切り生きた 疲れなんて知らない 明日はどうでもいい だから僕は差し伸べるんだ その指の指す所へなら何処にだって行くよ ---------------------------- [自由詩]創書日和「靴」/イズミナツキ[2008年1月30日22時15分] 見据える力などないから 靴底には昨日を詰めて歩き出した 心を閉ざしたくなる要素は山ほどあるし どれもこれも涙腺を刺激するけど 歩き続ければすり減るかな そうやって 無理することなく したを向いて心をこぼした 乗り越える力などないから 靴底には涙を溜めて歩き出した どこへでもゆける気がした ---------------------------- (ファイルの終わり)