健 2011年3月3日2時12分から2020年4月6日0時43分まで ---------------------------- [自由詩]すぎる傷口/健[2011年3月3日2時12分] 時がすぎる ひらり 舞い踊るように いくつもの掌から巧みにのがれて はやすぎる スピードで通りすぎていく 再び口を開いて何事かを囁く すぎさったはずの君の傷 ゆっくりと おそすぎるぐらいに  ゆっくりと 君を飲み込もうとしている + 休み時間が終わったのは 遠い昔の話で 窓から見える教室には 必死で思い出を書き記す大人たちの姿 顔を上げない彼らの前で 黒板が黒く塗りつぶされていく 手探りで何かを探す机の中に チョークの粉が舞う  + ごくり と 喉の鳴る音がして目が覚めた 開いたまぶたの向こう 眩しさが 何も言わずに通りすぎる 言葉を口にしようとして 傷の上にできた かさぶたに気付く 指先で触れてみると 微かに叫び声が聞こえる 小さすぎる  大きさで  声が 聞こえる + 時がすぎる ひらり 舞い踊るように いくつもの掌から巧みにのがれて はやすぎる スピードで通りすぎていく ---------------------------- [自由詩]車に轢かれる夢を見ていた/健[2011年3月21日2時11分] 音楽を聴いている 夜 街灯の下 あたりに歩く人の姿は無い 無表情な乗用車の 遠慮のないヘッドライトの光 と時折すれ違いながら ふらふらと進む 耳をふさいだまま歩くのは 危険 だから イヤホンは付けていない 街の音を聞くのは 素敵な事 だから イヤホンは付けていない けれど 音楽は流れ続ける 2時間前に交わした会話や そこにあった体温や なんとも言えない居心地の良さや 自らの笑い声 が 次々と浮かんでは すぐに消えて いかない 路上に捨てられた誰かの煙草が 燻り続けたまま 小さな光を放っている 空っぽになった空を見上げ 黒の中に溶けていった青を思う その色も いずれ終わってゆくのだろう 歌いたかった 鳴りやまない誰かの歌を 貪り食いながら 自分の中で膨れ上がっていく自分 それを吐きだすために ただ 歌いたかった 壊れてしまう前に 消えてしまう前に 歌いたかった 壊れてしまいたかったから 消えてしまいたかったから 音楽を聴いている 夜 街灯の下で 歩道を歩きながら 、 ---------------------------- [自由詩]どこかの誰かへ/健[2011年4月7日22時50分] 言葉 声に出されることはなく 音として空気を震わせることもない そんな言葉が積み重なって行く 届けたい誰かが 息をしているのはどこか いくら探しても見当もつかない 空の下でくるくると踊るばかりだ 結局のところ 「どこか」は「どこか」でしかなく 「誰か」は「誰か」でしかなかった + 言葉で頭が割れそうになる日が増えた まるで風船のように膨らんだ自分の頭を 新しい言葉で殴りつける それはそれでなかなか愉快だったが そのまま割れてしまうといろいろと面倒だ 湧き出るイメージを 湧き出るままに書き連ね 長い長い手紙として 郵便配達人に渡した あなたが読んでくれてもかまわない そう言ってみたが 届けるのが私の仕事です と言って背を向けると すぐに見えなくなってしまった きっと「どこか」へ行ってしまったのだろう + 深夜に言葉が部屋の中で泳ぎ始めて 自由形よろしく激しく音をたてている 泳ぎ疲れるまで待つのもいいが 生憎と明日は朝が早い 眠れない時間を楽しむのにも 適切なタイミングが必要だ 誰かに電話をかけて 生まれてくる言葉を片っ端からぶちまけたい そんな衝動に駆られ 携帯電話を手に取るが どんな番号も押すことができない どこか から どこか まで この小さな機器は数えきれない人と繋がっているが 「誰か」とは繋がっていない + どこかの誰かから 一通の手紙が届いた 当たり前のように差出人の名は無い 封を開け  ぎっしり書かれた文字に目を通そうとした瞬間 それは音もなく溶けはじめた 慌てて形を保とうとするけれど すぐにそれはどろどろの何かに変わってしまった しばらくその何かを見つめ 送り主に思いを馳せてみたが 言葉は 一つも浮かんでこなかった + もう見えなくなった郵便配達人の背中に向かって 大声で意味の無い言葉を叫ぶ 何一つ 届く事は無い 知っていたけれど 伝えようとすることを 続けていたかった ---------------------------- [自由詩]青くない空の眺め方/健[2011年5月8日20時46分] 虹の向こうがわのことを考えていた 蜂蜜を舐めながら歩く彼のことを いぶかしげに眺めている そんな自分も 周りからみれば奇異な存在なのだろう 滑り台から流れ落ちていく雨 水たまりを作らずに 上手に子供達の心の中を満たしてゆく 輝くのが七色だけとは限らない 青くない空の眺め方を なんとなく身に付けたのは いつ頃のことだったろう 少しの工夫によって 全く違って見えるものばかりで それはとても楽しく  とても怖いことのように思えた 雨の中で人間が流れ落ちていく街 それでも人ごみは途切れることなく それぞれの灰空を作り出してゆく 輝くのが七色だけとは限らない、けれど ---------------------------- [自由詩]発芽の後で 或いは前で/健[2011年5月10日10時40分] 無意味の中で 意味を求めて言葉を書き連ねる男 技巧は太陽の熱にやられてくたばった ユーモアは強い風に軽々と吹き飛ばされた そして想いは雨に溶けながら尚も成長を続けている ペンが走る前から息を荒くしている側で ノートはその白さを誇るでもなく寂しがるでもなく ただじっと時を待っている 生み出される卵の数と 生まれてくる命の数は違う そんな思い込みが卵の数を減らしていると 遠くの砂浜で海亀が嘆く その歌声が耳に届いた気がして 男はそれに見合う言葉を探すけれど 彼は不運にも海を知らなかった 膨れ上がった無意味の中で 今日も生まれてくる命を数え 男はゆっくりと眠りに就く 雨は降る 全てが成長し 全てが枯れて無くなるまで 雨は降り続ける ---------------------------- [自由詩]鍵と人/健[2011年5月20日22時14分]  アパートの鍵を失くしてしまって以来、人と会うたびに誰かが部屋を施錠する音が聞こえるようになった。その音はどんな音楽よりも耳に残るものだったが、少し存在感がありすぎるようにも思えた。角部屋の窓は、少しだけ嘘っぽい風を、飽きることなく送りこんでくる。 +  ここしばらくは外に出ていない。誰にも会わないので鍵はかかっていないが、誰も入っては来ないので、特に影響は無い。それでも何故だろう、「その音」が聞こえない日が続くと、恐怖にも似た、どす黒い気持ちが沸き起こって来るのだった。 +  やはり出かけるべきなのだろうか。誰かに会って、誰かに会って、誰かに会って。ただそれだけを繰り返して行くために、外へ出るべきなのだろうか。風は休むことを知らず、今日も一方的な挨拶を全ての人に送り届ける。 +  鍵穴は、いつまでも見つかることはない。繰り返し繰り返し、確信に満ちた声で誰かが歌っている。歌い手の姿は、どこにも見あたらない。「誰か」の姿は、いつだって見当たらない。 +  風に誘い出されるようにして、外へ出た。日曜の午後だった。知らない誰かの間をすり抜けて歩き、数少ない友人が住むマンションへ向かう。インターホンを鳴らすと、鍵の開く音がして、ドアの隙間から見慣れた笑顔が覗いた。それと同時にやはり、どこかで鍵が閉まる音が聞こえた。「その音」はストンと胃の中へ落下して、濁った輝きを放ちながら、反響を続ける。    怪訝そうな友人の声が、遠くから聞こえる。笑って誤魔化しながら、私は部屋の中へ入っていく。「何か飲む?」と友人が言い、ドアを閉め、しっかりと鍵をかけるのが、背中越しに感じられた。 ---------------------------- [自由詩]馬鹿が微笑む/健[2011年7月21日23時04分] 馬鹿が微笑む それは見事に 芸術品の様に きらり美しく 馬鹿が微笑む そんな馬鹿を羨む 微笑むのは苦手だ いつだって苦手だ 何も感じられない と言ってはみるが 表に出ないだけだ だから馬鹿を羨む 馬鹿が微笑む それは見事に 芸術品の様に きらり美しく 何かを想いながら 馬鹿が微笑む ---------------------------- [自由詩]君の鳴る/健[2011年7月28日23時57分] うつくしい響き 何かが溶けるような うつくしい響き 風にとばされながら うたい続けている うつくしい響き 鳴るよ 君は鳴る その奥に潜むグロテスクな塊を うつくしい響きに変えて 君は鳴る 当たり前の言葉は 最初から無かった 人生を変えた瞬間が そこらじゅうに転がって 声をからして何かを叫んでいる でもきっとそれも 君の鳴る その響きの中に すぐに溶けこんでいくことだろう 君は鳴る 涙を溶かすように そうそれは  うつくしい響き ---------------------------- [自由詩]ホワイト/健[2011年10月13日3時06分] 涙が邪魔だから 瞳はもう必要ない 見ることは諦めて 耳をすます そんな日々が転がり始め ホワイトシチューの中に溶けていく しばらくこれだけを食べて過ごそう 鍋をぼんやりと見つめながらそう決意する + 国境を知らない僕は 白線の上を歩きながら ふとどこまでも行ってしまいたくなる 「この電車は当駅止まりです」 どこか気のぬけた声が聞こえる + 食べたいものが どこから来るのかも知らず 好きな音だけを選んで拾って 胃の中で溶かしていく 今日も白くはなかった 明日も白くはないだろう 不思議と黒にならない色を 毎日毎日繰り返し混ぜ合わせていく ふと 意味もなく 怒りに憧れたりしながら + 新聞と牛乳の後ろで 朝が順番待ちをしている それをあえて無視して ベッドの上で 鍋の中身に思いを馳せる 今日混ぜられるのは どんなものになるだろう 横たわるシーツはひどく汚れていて 一言では表せない色をしていた 始発列車が遠くで悲鳴をあげている + 緑豊かな景色が住む街を 修正液を持って歩いていく 涙が出るような 絡み絡まれ混ざりあった歌声を 耳の中に放り込みながら + もう必要のない瞳を シチューの中に浮かべて 転がる日々を すがるように追いかけて 食べて食べて食べて 今日も生きている 色は変わり続けている + 色は変わり続けている ---------------------------- [自由詩]大きすぎる朝/健[2011年11月26日1時57分] HBの鉛筆が発する甘い匂いに誘われて 細い線が集まり大きな夜を作り始める ラッピングされた携帯電話から漏れ出しているのは 長い長い休み時間の喧騒 大人と子供と そのどちらでもない者の声が聞こえる 記憶のような濃度の室内で 黒板は真っ白に塗りつぶされていた 途方にくれながらも 気丈に黒のチョークを探す教師達の影 それがなんだか笑えて仕方ない からかうように次々と手が挙がる気配に 答えを知りながら俯いたままの「あの頃」 机の中に隠した言葉が 徐々に腐り始めているのに 気づかないふりをしている やがて夜がほどけ始め 黙ったままの窓をすり抜けるようにして 無味乾燥な光が集まり小さな部屋を照らし始めた 遠くで着信音が鳴り響く 誰も出ない 出ることができない 着信音 鳴り続ける 誰か  誰か 誰も 出ない 大きすぎる朝は 既に出来上がっている ---------------------------- [自由詩]食卓/健[2012年2月11日5時00分] 海が壊れていた 卵を殺す そんな思いを込めて 卵を割り 殻を捨て 気味の悪い液体を調理して 美味しそうな料理を生み出す それが人という生き物だと テレビの中に並べられた書物が言う 知識がもたらした豊かさの中で 背中のかゆみに耐えかねて  考えるのをやめる二月の午後 その全てを包み込むようにして 海は壊れていく 泳ぐのが死ぬほど嫌いであるのに 波間に漂う自分を思い浮かべてしまうのは何故か 空腹が  仰向けになった体を浮かす 遠くの島からは  親鳥を失った卵が いくつもいくつも もがきながらこちらへ向かってくる 何匹も何匹も 鳴き声を殺したまま向かってくる 気が付けばそこには この午後を焼き尽くすかのような夕日 今夜は薄味のサラダが食べたい ぼんやりとそんなことを思いながら 背泳ぎで元居た場所を目指し始める 泳ぐのは死ぬほど嫌いであるが 食べなければ生きてはいけない + あなたはもういらない と 誰もが声に出さずに言う 言い返す気力すら無いまま ただそれに頷く あなたを食べたいです と 誰かが声に出して言う 聞こえないふりすらせずに ただそれを無視する + 夜が来て 朝が来る 朝が来て 夜が来る カーテンの隙間から 壊れた海を覗く 台所でゲーム機が 玄関で携帯電話が 廊下で目覚まし時計が それぞれやかましく音を立てている ベッドにはフォークとナイフ やがて来る眠りのことを考えながら 会いたい誰かを思い浮かべようとする それを滑稽なことだと 誰が言えただろう 浮かばない顔の向こう側 空っぽになった腹の底から 間抜けな音が鳴った ---------------------------- [自由詩]一粒の私/健[2012年3月14日3時01分] 一粒の私を 順番に潰していく 一粒の私は 潰れるたびにまた現れる 一粒の私は いつまでも一粒の私でいるつもりらしい あの日 真っ逆さまに落ちていく景色の中で 言葉にできぬほど美しいものを見た そんな気がするのだけれど + 一粒の昨日が 潰されることもなく 淡々と増え続けている 少し 笑っている ---------------------------- [自由詩]きっとそれは塗ったように青い/健[2013年8月15日1時57分] 空っぽを積み上げて 空っぽを積み上げて 空っぽを積み上げて 空っぽを積み上げて 空っぽを積み上げて 空っぽを積み上げて 空っぽを積み上げて やがて積むものもなくなって 疲れ果てて 横になり 見上げれば からかうように どこまでも続く 空 ---------------------------- [自由詩]とびたい/健[2013年8月16日23時09分] とびたい という言葉に対して どういう思いを抱くかで その人がどんな人物なのか おおよそのことはわかる そう言って おおよそどんな人物なのか 長い付き合いを持ってしても 未だにわからない あなたが笑う 世界がどんな形か見当もつかなかった頃 あなたは形のない空を縦横無尽に飛び回っていた 世界が穴だらけで今にも崩れ落ちそうだった頃 あなたは震えるわたしの横で無邪気に跳びはねていた そして世界がとても騒がしく言葉を放ち始めた頃 あなたはどこか遠い窓の向こう側へととびたって 世界が再びとても近いところまでやってきた今 白いベッドの上で静かにわたしに語りかけている その目に何が見えているのか わたしにはわからない けれど 手を握ろうとすれば消えてしまいそうな おおよそ不確かなその笑顔を見ていると 思うのだ 世界がどんなに歩きづらくとも あなたがどんな人なのか いっこうにわからなくとも きっとわたしたちは とばなくていい とびたいと 思わなくていい きっと   ---------------------------- [自由詩]逃げるために/健[2013年9月4日21時17分] 進むためでなく 靴を履き 学ぶためでなく 本を読み 守るためでなく 傘を差し 愛するためでなく 言葉を交わして そうやって 逃げるために 生きてきた 私の目の前には まだ  うんざりするほどの新しい道が無数に広がり どこへ逃げればいいのかわからずに 私は ただ 途方に暮れるのだった 或いは の その選択肢を  ぎゅっと握りしめた拳の中で  殺し続けながら ---------------------------- [自由詩]ここにいる/健[2013年9月5日21時23分] 死に続けている人を 思い出したり忘れたりしながら 生き続けている人を 遠ざけたり近づけたりしながら ---------------------------- [自由詩]優しい葬列/健[2013年9月9日22時55分] その花の残り香を 私は憎む 枯れて捨てられた今も尚 微かに 確かに 残るその存在を 私は憎む その花はとても美しく それでいて派手さの無い落ち着いた面持ちで 場の暗く重たい空気を少しだけ和らげていた いつもそう 花はそんなふうに 哀しみの中をきれいに泳いでいく + 人々が集まり 奇妙に笑顔と涙顔を使い分けて 誰かの群れと語り合っている 辺りには 優しい言葉が溢れかえり ぽっかりと何かが抜け落ちた時間が 静かに流れていく やがて それぞれの表情を抱えて それぞれの場所へ 人々は帰って行った 沈む日の光を斜めに受けながら それぞれの無表情で こちらを眺める花の姿が 私の目に焼き付いて ずっとずっと 離れなかった + 水をやることを忘れている間に 時はすぎて やがて優しさも忘れられていった その自然な成り行きに ふと笑みをこぼしながら そんな自分に戸惑い そして思う + 私は花を憎む 花を憎んで 生きていく ---------------------------- [自由詩]夕暮れが突っ立っている/健[2013年9月13日0時40分] 赤く染まっていく電信柱の向こうに 夕暮れが突っ立っている 突っ立っているその背中めがけて 君が思い切りボールを投げつける 力の限りの全力で 見渡す限りの赤空へ 思い切りボールを投げつける 電信柱を追い越して 高く高く飛んでいくボールは しかし どこにも届かない どこにも 誰にも届かない 夕暮れの背丈は子供の用に伸びて ボールからゆっくりと遠ざかっていく それでも君はボールを投げ続ける どこにも 誰にも届かない キャッチボールを続ける やがて夕暮れは 月と挨拶を交わして帰って行った そして今 夜に染まる電信柱の下に 君が突っ立っている まだどこにも 会話を終わらせるきっかけを見つけられずに 君が一人 突っ立っている ---------------------------- [自由詩]ない/健[2013年10月5日21時11分] あまりにも何もない それを描く画家もいない ---------------------------- [自由詩]卵を割ろう/健[2013年12月15日22時22分] 卵を割ろう 明日へ向かって 気持ちよく朝を迎えるために 思いきり 卵を割ろう 大きくても小さくてもいい それぞれが一つしかない かけがえのない そんな卵だ 空を飛ぶためでなく 食べられるためでもなく ただここに存在している そんな卵だ そんな卵を 考えられる限りの表情を作って ありとあらゆる感情をぶつけて あなたの存在を主張するように割ろう 何もかもが砕け散り 黄身と白身が空中で踊り あなたの今日を少しだけ汚していく きっとそれは何の意味もなく きっとそれは何も生み出さず きっとそれは今日のまま 昨日になることもないだろう 開け放たれたままの冷蔵庫が 火がついたままのガスコンロが しきりに何かを訴えている けれどそんなことは 全く気にする必要はないのだ 空が青くあるように 夜が夜のままいられないように そんなふうに 卵を割ろう 明日へ向かって 気持ちよく朝を迎えるために 思いきり  卵を割ろう ---------------------------- [自由詩]朝起きると嘘が生まれていた/健[2013年12月16日22時36分] 青空が全てを飲み込んで 見渡す限り空っぽになったような そんな日々が続いて 生まれた街を離れられずに 過ぎ去った人達の事ばかり考えている 未だそばにいる誰かの声を 自らの歌声でかき消しながら 歌はいい どこまでも優しい 悲しい歌も 辛い歌も 憎しみの歌も 全てが同じように優しい ずっと響かせていたい 例えそれが嘘しかないファンタジーであっても ずっとずっと響かせていたい 「そんなに嘘ばかり重ねていたら 君の存在そのものが大きな嘘になってしまう」 何の本に書かれていた言葉だったか 今はもう覚えていない その言葉は今も 擦り切れたレコードが奏でる歌のように 繰り返し繰り返し鳴り響いている けれどそれは嘘だ いつまで経っても嘘になれずに 青空のことばかり考えている それが今の自分だ それこそが本当の自分だ   朝起きると母が壊れていた あの朝から何年が経っただろう 母が動かなくなったその後も ずっと修理の仕方を探し続けているのだ 思い出したくない記憶を 壊さないようにそっとそっと抱えて 自分への言い訳をなくさないように そっとそっと握りしめて どこへ向かうというのだろう どんな朝を歌うというのだろう 見渡す限り空っぽになったような そんな嘘が続いて 生まれた街を離れられずに 過ぎ去った人達の事ばかり考えている 全てを飲み込んだ青空が 笑ってしまうような表情で こちらをじっと見つめている ---------------------------- [自由詩]侵食する、それ/健[2013年12月21日16時59分] 立ち止まる 私の中に 暮れていく 背中の中に それは広がる  そっと広がる 枯れて枯れない樹木のように 許されないあの嘘のように 追いかけてきて そっと広がる 見上げたのは 夕暮れで 見下ろしたのも 夕暮れで いつもそう 空、空、空 逃げても尚 空、空、空 焼き尽くされて 夜が来る 食べ尽くされて 朝が来る 青の部品は 壊れたままで 青の絵の具で 塗りつぶされる それをやめさせられたなら 壊れた青を見れたなら 嘘で固めずすんだだろうか 朝を憎まずいれただろうか そんなわけ、ない。 そんなわけ、ない。 壊れたものは 壊れ続けて 過ぎ去る時は 進み続けて それ もまた 広がり続け 息をする それ はただ 私と共に 息をする 泣きやまない赤子のように 降りやまない小雨のように 濁ったままで死んだ虹 空に憎まれたあの虹 虹は それ を見おろし 虹は それ を見上げて 青を、思っている 鈍く、光っている ---------------------------- [散文(批評随筆小説等)]もうすぐ現代詩フォーラムがができて11年経つという事実と11のレコメンド/健[2013年12月22日22時31分] 2003年4月に今の形の現代詩フォーラムが稼働し始めてから、後3か月ちょっとで11年になります。 自分は2005年頃から参加させてもらっているのですが、 思わず「え?」と声に出してしまいそうになる月日の経つ早さ。 ちょっと信じられないところです。 厳密に言うと、パソコン通信のニフティサーブ上で、 現代詩フォーラム(片野さんシスオペ)が生まれたのは、1997年ということなので、 それを含めると、さらに長い長い歴史がここにはあるということになります。 そんなわけで、フォーラムにはせっかく古い作品も残っているのだから、 埋もれさせることなく多くの人に読んでもらいたい… ということで、自分なりに印象に残っている作品を11選んでみました。 だいたいが5年以上前の作品です。 10年経った時やれば良かったとか、あと3か月待てよとか、 脳内であれこれ声が聞こえますが、今このタイミングで レコメンド欲が湧いてきたのだから仕方ないということで。 一応感想みたいなものをつけてますが、 そんなのは放っておいて、まずは詩を読んでもらえれば幸いです。 きっと心に残る作品があるはず。 (何人かの方は、作品発表時とはハンドルネームが変わっていますが、 ここでは今の登録名で紹介させていただきます。) それでは。 * 「おはなし 1〜50」 /  MONKさん  http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=10872 短い短い文章の中に生まれる物語の数々。 思わず吹き出してしまうようなものから、しんみりとした余韻の残るものまで、 どれも吸引力が半端ではなく、50篇一気に読めてしまいます。 その力強さを引き出す発想力と語りのうまさに感服するばかり。 MONKさんが生み出すアイデアの洪水、という点でいうと、 「君に充てて」もおすすめ↓。未読の方は是非2作合わせてどうぞ。 http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=47350 * 「スチュワーデス・ケイコ」 / たもつさん http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=18269 たもつさんの作品は自分の中で候補が多すぎて悩みましたが、印象の強さでこれを。 中盤からラストにかけて、頭をわしづかみにされたまま飛んでいるような感覚。 ともすれば破綻しそうな危うさがあるのに、最後は胸の中にすとんと落ちてくる、そんな心地よさがあります。 * 「花を植えたい」 / 霜天さん http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=66110 霜天さんの詩を読むと、いつも目の前に特別な風景が浮かび上がるのを感じます。 この作品は特にその色が鮮やかでした。鮮やか、といっても白なのですが。 いつまでも眺めていたい景色がここにあります。 * 「せかいをいきる」 / 吉田ぐんじょうさん  http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=167266 日常を描かせたら右に出る者はいない、と勝手に思っている吉田さんの作品。 誰もが頭の片隅に抱えているような心情が、思いもよらない視点から浮かび上がってきます。 ゆっくりとカーブを描いて到達する、その着地点がたまらなく好きです。 * 「上海された」 / 石畑由紀子さん http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=11699 冒頭から一気に持っていかれます。 「上海された」のフレーズを強烈に印象付けながらも、 周りの言葉たちが決して死んでおらず、むしろ生き生きしているのが凄いところ。 特に最終連は胸に残ります。 * 「腕」 / アンテさん http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=30157 好きすぎるとかえって語りづらい… ありきたりな表現で申し訳ないですが、ひどく優しくてひどく残酷な童話のよう。 これが気に入った方は、是非アンテさんの他の作品も目を通して、 その物語の世界に浸っていってほしいと思います。 * 「チカテツの日」 /  ---さん http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=61853 タイトルからは想像がつかない言葉の広がりに、 緩急つけたスピード感が相まって、 はっとするようなエネルギーを生み出しています。 おいで!からの怒涛の流れが圧巻。もっと読まれてほしい。 *  「黒い海」 / 真山義一郎さん http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=248717 かなり個人的な理由もあるのですが、自分には強烈に刺さりました。 同じように感じる方も少なくはないはず。 「零れ落ちていった」ものと、「いつか」のことが、頭の中で揺れ動きます。 *  「神保町にゆきたい」 / ZUZUさん http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=65917 神保町に行ったことがあろうとなかろうと、 この詩を読めばもうそこへゆきたくなってしまう、そんな熱量。 ラストの「神保町なら」がいい味出してます。 * 「砂原に」 / リーフレインさん http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=115313 語ることが無いということが物語っているもの、その大きさを感じます。 じっくり噛みしめるようにして、何度でも読み返したい作品。 * 「食べてきたものたちへ」 / k o u j i * i k e n a g a さん http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=3286 単純な言葉の羅列が、どうしてこうも雄弁なのか。 心地よいリズムの中で、 食べてきたものたちへの想いが積み重なっていきます。 消化したものもしきれなかったものも、この中にある。 そんなことを感じます。 * 以上です。 一つでも、良いと思える作品に出会っていただけたなら幸い。 ついでに、各作者さんのページやポイント順リスト、レコポエ、ランダム機能なんかを使って、 自分で過去詩を漁るきっかけにしてもらえればさらに喜ばしいです。 宝の山↓(ランキングが月間制だったころのものは、良くも悪くも上位が目立ってます)(右上で年度切り替え) http://po-m.com/forum/menu_p2003.htm レコメンドの山↓ http://po-m.com/forum/threadshow.php?did=87976 http://po-m.com/forum/threadshow.php?did=15390 ランダムの海↓ (ブラウザリロードしたら次の詩に飛べるので、けっこう使い勝手良いです。) http://po-m.com/forum/randdoc.php ---------------------------- [自由詩]燃え残る声/健[2013年12月27日17時47分] 空を目指して 山道をゆく 土を踏みしめ 前を見据えて  太陽を背に 進みゆく 蹴り飛ばしたのは 昨日の言葉 放り投げたのは 明日の行方 崖下は遠く落ちていく中 あのいつかだけが 消えずに残る 立ち止まっては 風が吹き 歩き出しては 夕暮れて 太陽の光 消えないうちに 下りなければと 下りなければと 頂上にさえ つかずに思う この先は あまりに遠く この場所は あまりに脆く 落ちていく 逆さの空へ 落ちていく そんなイメージだけが頭に 浮かんでは消え 浮かんでは消え  そして最後に 消えずに残る そして突然に それはそう 突然に 頂上が 降ってくる あわてて頭を守る私へ たくさんの頂上が降り注ぐ 手を伸ばそうか迷う間に 頂上は皆 転がり落ちて どこまでも 私から遠ざかる 逆さに遠ざかってゆく 途方に暮れて 空を見上げて 見事なほどに 何も無い のに そこに確かに残った距離に 何故か安堵し じっと見つめる じっと見つめる そしてその空が 未だ変わらず 夕暮れたまま 横たわり 息をしていることに気付いて ありったけの声をかき集め 叫ぶ  そうしていつかが過ぎ去って 木霊は答えることもなく 私の声は燃え残り 夕暮れの中 溶けてゆく 明日を待たずに 消えてゆく 私は空をもう一度 確かめた後息を吐き ゆっくりとそう 足元を見る 擦れて傷んだ 爪先を見る 下りの道は 上る道より 険しいものと知っているけど 早く帰ろう あの待つ場所へ 早く帰ろう 出発点へ そう 未だ燃え続ける 太陽の光が 消えないうちに ---------------------------- [自由詩]そんな世界で/健[2013年12月29日9時12分] よく わからない 人が 街が 景色が 過ぎた時が よく わからない あの日の嘘が 私の中で 歌い 踊り そして笑っている そんな日常も それ自体 嘘のように思える 友人が 人の群れが それぞれの方法で 私に語りかけてくる その言葉が 私には よく わからない あちらこちらで 電話が鳴っている 誰も出ない 私しか居ない 誰も出ない よく わからない 父が 姉が 家族が 粘土細工を続けている 見よう見まねで 私も後に続く 不恰好で醜い 名前のないものが 泣きながら 生まれて ゆっくりと増えていく 母は作り方を間違えて やり直せないまま 慌てふためいて死んだ そして今も死に続けている そんな世界で 人が生まれ 街が生まれ 景色が生まれ 時が過ぎていく 遠い 遠いこの場所で 私は明日も よく わからずに 息をする 息をする それだけが いつかまで 続いていくこと よく わかっている ---------------------------- [自由詩]優しい人の手/健[2014年1月21日23時20分] 優しい人の手を拾った 深夜だった 路上の片隅に転がるそれは 少し青白く 何だか寂しげに 落とし主が戻るのを待っていた ひんやりと冷たく 落とせば砕けそうな手だった それでいて重たく 確かに血の通った手だった 見渡せば 無言で話す電信柱 排水溝が飲み込む光 交番に届けるべきか 少しだけ迷った後で 元の場所に置き去って 真っ直ぐに家に帰った 暖房の無い冷たい部屋で 一人入れて 一人飲んだ インスタントのコーヒーは 人肌のように 温かった ---------------------------- [自由詩]小さな生き物/健[2014年1月30日19時56分] 見晴らしの良い青い野原に 中身をなくした弁当箱が転がり 子供たちは それぞれに 昆虫採集を続けている カマキリが キリギリスが モンシロチョウが それぞれのやり方で息をしている そんな世界で 虫取り網を片手に 手に入れるための ありとあらゆる努力をする 大人たちはそれを それぞれの笑顔で見守っている 楽しげに 悲しげに ゆっくりと夕暮れる景色の中 手に入らないもののことを想っている 小さな生き物は そんな彼らを草陰からじっと見ている 虫でもなく 人でもなく 小さな生き物として ありのままの風景に 少し斜めに溶け込んで  息をして 生きている 小さな生き物は 壊さない 手に入るものも 手に入らないものも 目の前にあるすべてを 壊さない 小さな体の中に 雲一つない空を抱えて いつ降るかわからない  激しい雨のことを想っている そして誰にも聞こえないように 零れ落ちそうな歌を そっと響かせる 歌声が空に溶けだす頃 誰もいなくなった青い野原で 空っぽの弁当箱と 空っぽの虫籠が 競う合うように 宙を舞い そして悔しげに 落ちていった それを照らし出した 薄く冷たい月が 雨になれない雲と共に 静かにため息をつく 小さな小さな歌声を 拾い集めるように 耳を澄まして 耳を澄まして ---------------------------- [自由詩]冷えた歌声/健[2014年2月21日21時01分] 透明な 冷蔵庫の中で 君が冷やされている 寒くはないのだろうか 君は楽しそうに歌を歌っている ひんやりとした歌声が 暖房の効いた部屋に広がる このまま冷やされ続ければ その歌声も失われる気がして 僕は必死で声をかけるのだけれど 君は知らぬ顔で  我慢強く歌い続けている やがて日は落ち 窓を静かにすりぬけて 夜の群れがやってくる 彼らが部屋を訪れたからには 僕は眠らなければならなかった 僕は再び冷蔵庫の中を覗き込む 身体を燃やして歌っているのだろう 君は肌の上に汗を輝かせている けれど 君が冷やされていることに変わりはないのだ 僕は透明な冷蔵庫を 一番温かい毛布で包み込む 君の姿は見えなくなり 歌声だけが響き続ける 僕は眠らなければならなかった 明日の準備を整えて 暖房を消し 布団へと潜りこむ 夜の群れは静かに 僕と君のすき間に佇んでいる ひんやりとした歌声が 柔らかく ゆっくりと 温かい布団にしみこんでくる その冷たさを感じながら 僕は眠った  とても深く 眠った ---------------------------- [散文(批評随筆小説等)]現代詩フォーラム11周年記念 私的レコメンド11選/健[2014年4月1日0時01分] 去年の12月末、唐突に詩のレコメンド欲が湧いてきた自分は、以下のような文章を書きました。 「もうすぐ現代詩フォーラムがができて11年経つという事実と11のレコメンド」 http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=283829 早いもので、もうそれから3か月余り。現代詩フォーラムは11周年を迎えました。そしてこのタイミングで、再び自分のレコメンド欲が湧き上がってきたわけです。 前回は、読んでくれる人のことを意識して、どちらかといえば多くの人に受けが良さそうな作品を選びました。 今回はそれとは違って、完全に自分の趣味で自分の好きな作品を選んでいます。(とは言っても、半分くらいは前回選んだ作品と同じ作者さんのものとなっていますが。)このコンセプトは、大覚アキラさんの「極私的レコメンド:11人の詩人による11編の詩」 (http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=284507 )に刺激を受けて生まれたものです。 今回も一応感想みたいなものをつけてますが、変に先入観を持たれても困るので、まずは作品を読んでみてほしいと思います。好み全開で選んだ分、ツボにはまれば存在感の大きい作品ばかりになっているかと。一つでも、琴線に触れる作品に出会って貰えたなら、それ以上に嬉しいことはありません。 それでは。 * 「空飛ぶ肉男(フライングミートマン)」 / k o u j i * i k e n a g aさん  http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=13100 いやーたまりません。何ですかねこの不思議な高揚感と温かさは。得体のしれない感情が湧き上がってきます。あんまりあれこれ語らずに、ただただ余韻に浸っていたい作品です。 * 「空の子」 / ヤギさん http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=43762 個人的に非常に思い入れのある作品です。かなり説明的な部分があったりするのですが、それを補って余りある、思いの強さ。訴えかけてくるものがあります。そしてとにかくラストが素晴らしい。これ以上なく胸に突き刺さります。 * 「夜明け」 / たもつさん http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=92256 浮かんでくる情景のイメージが鮮烈。短い詩ですが、どこまでも広がって行くような感覚があります。 * 「メロディールーション」 / りくさくさん http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=131464 流れるような言葉に寄り添って、遠くから、けれど確かに響いてくる音色。文字だけで「歌」を感じさせてくれる作品です。そのメロディーがまた心地良い。ずっとずっと聴いていたくなります。 * 「回廊」 / アンテさん http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=11148 これはもう…大多数の人に置いてけぼりにされそうな作品ですが、自分にとっては心の奥の奥まで染み渡る内容でした。ひどく痛切で悲しいけれど、人間味に溢れた物語。 * 「思い出しメロディー」 / なかがわひろかさん http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=187365 これもかなり個人的思い入れから選んだ作品。今まで自分が抱いていたけれどうまく説明できなかった気持ちが、これを読んだことですっと自分の中に溶け込んでいったように感じました。 * 「傘をささずに歩く勇気を私はもたない」 / uminekoさん http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=70907 ありふれたテーマかも知れませんが、とても心を動かされました。丁寧な描写と柔らかい視線が凄く好きです。 * 「涙と魚の相関関係」 / 吉田ぐんじょうさん http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=93877 淡く透明ですこし不思議な世界。一瞬でその光景が浮かび上がります。他の人には真似出来ない語り口。 * 「re*birth」 / 大覚アキラさん http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=45175 出だしからの吸引力と、ラストの潔さがとても良いです。言葉の力と眩しさを感じます。 * 「恥ずかしい街」 / コーリャさん http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=228564 バラバラなものが繋がって、じわじわと滲み出てくるような魅力があります。この作品もまた最終連がツボでした。 * 「途方へ」 / 若原光彦さん http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=199402 比喩の一つ一つに想像力をかき立てられます。一連ごとに異なる余韻があって、それがどれも心地良いです。 ※ 以上です。 改めて見ても、思いっきり偏った選び方になってしまいましたが、面白がってもらえたなら嬉しいです。 各作者さんのページやポイント順リスト、レコポエ、ランダム機能なんかを使って、自分で過去詩を漁るきっかけにしてもらえればさらに喜ばしいです。 宝の山↓(ランキングが月間制だったころのものは、良くも悪くも上位が目立ってます)(右上で年度切り替え) http://po-m.com/forum/menu_p2003.htm レコメンドの山↓ http://po-m.com/forum/threadshow.php?did=87976 http://po-m.com/forum/threadshow.php?did=15390 自分は2009年から2013年にかけての作品はそれまでの年に比べてあまり読めていないので、おすすめがあれば教えてもらえると嬉しいです。 今後も現代詩フォーラムがいろんな人にとって大切な場として存在していきますように。(ついでに、退会する人が減りますように 苦笑) それではまた。 ---------------------------- [自由詩]水やり/健[2020年4月6日0時43分] 花が咲いていた 透明な花だった 不安げに 宙を見つめて 静かに淡く咲いていた その花を殺すために 私は今も生き続けている 毎日を 拾い集めて 私は今も生き続けている 音楽は鳴りやまない 花はいつまでも枯れない ららら らららと 雨が降り 毎日が積もっていく ベッドの中で 水をやりながら 私はその時を待つ 花を殺すために 私は今も生き続けている ---------------------------- (ファイルの終わり)