かぜきり 2006年5月3日9時00分から2011年3月9日20時13分まで ---------------------------- [自由詩]きゃんきゃんぶるー/かぜきり[2006年5月3日9時00分] まるで まるでなにごとも なかったかのように 空をあおく塗り 海をあおく塗り 水平線もあおでひき 青い浜辺を少しだけたして 仔犬をいっぴきかきそえる 首に首輪がいくつか くびわに引き手がいくつか 名前はたぶんどこかのちぎれた過去で 隠すかのように横線がいくつか まっさおな紙の上で 仔犬はひとり ときどきくびのあたりを後足で掻き そのたびに横線が奇妙に揺れる なにごともなかったかのようま あおい世界で まるでなにもなかったのような あおい世界で 仔犬の色は 仔犬の色は あおにしか見えず 涙をこぼしたのは わたし と わたしと わたし    と わたし と ---------------------------- [自由詩]でんせん/かぜきり[2006年5月3日9時04分] ぶち ぶち と音がする いてっ いたっ と悲鳴が上がる 千切れたせんがいたいたしく 場所によっては接続部ごともっていかれており ぶち と音が聞こえるたびに 目を瞑ってしまう 奪われたものと 奪ったものと どちらに顔を向けるべきかまよいながら ぶち ぶち と 切断音に 今日も耳を傾ける ---------------------------- [自由詩]反転しても夜/かぜきり[2006年5月13日15時58分] すなのしろさにさらされてゆったりこころをけずっていたら  ゆきのくろさにとかされてのんびりからだをなくしていった   そらのしろさにおおわれてゆったりじかんをすごしていたら    くものあおさにながされてのんびりかたちをわすれていった     なみのあおさにさらわれてゆったりぬくみをこぼしていたら       うみのしろさにつつまれてのんびりひとりをなくしていった ---------------------------- [自由詩]うつす/かぜきり[2006年5月29日22時31分] かしゃり と とる ひとたび記録し 絵を覗き込み  なにを撮り落としたのか確かめる ぱしゃり と うつしている そらをうつしては そらいがいをもとめ うみをうつしては うつったせかいをいぶかしみ ぱしゃり と うつす うつっている気色そのものに 重ならない一色が 確かなそれだと いえるほどのひとときを ただこれのひとしずくを まばたきに流し込もう ---------------------------- [自由詩]ゲコゲコ/かぜきり[2006年6月7日15時15分] 雨が降っている 傘は 持っていない 濡れれば冷たかろう 止むのを待ってみようか 雨が降っている 傘は 持っていない 濡れれば冷たかろう 冷たくなるのもまたよし 雨が降っている 傘は 持っていない 濡れれば冷たかろう 明日も    雨かな 雨が 降っている 傘は持っていない 濡れれば冷たかろう          なにか傘の換わりは・・・ 雨が降っている 傘は持っていない 濡れれば冷たかろう 蛙が 鳴いている 雨が降っている 傘は持っていない 濡れれば冷たかろう やはり      濡れて帰ろう ---------------------------- [自由詩]PAST E ?/かぜきり[2006年6月9日18時13分] 紙の上 の白 筆 の下の 黒 重 ね重なる 行為ゆえにさらに かさねては文字盤の上の ほこりのよにかさかさと動いて 何度目かの憑依、幾度目の翻意よ、とろりくずれて 紙の上とどまり綴り貯めた黒の、 白いのや、やや白々い白の 白にて、よどみなき振幅 針は針のままにあるのさ、と 削り落としーの 削ぎ落としーの コチコチコチコチコチコチコチコチと 巻きとめた竜頭で 繋がった世界を 巻き戻されない夜を 上書きしよう 漂白しよう ましろな面の幼さに 皺だけ ただ皺だけ が 増えていく 増えていく 増えていく 増えていく PAST E ? ---------------------------- [自由詩]夜空の同系/かぜきり[2006年6月11日11時55分] 夜の眩しさを拭って 時に沿わずにこころみる 陽の束飲み乾すその刻に えにかお映さぬ線をなし 最に煌くその時間に ついをもとめずはなちゆく 夜に焼けた肌の色は とても とても 夜に似た色のともし火 ---------------------------- [自由詩]無色の鏡像/かぜきり[2006年6月20日17時23分] さぁ これをあなたに そういって わたしにわたしてくれたものは 色のとどかぬキレイナかがみ あかない闇がすすけてみえる 硝子のまんまのかがみをひとつ 粟立つような言葉と共に 手渡しにしてわたしにくれた うつっているわたしもわたしの いだいているわたしもわたしの すいてとおったすけないかがみ 無色透明白痴の乱麻 がらすのままの 観えない かがみ すすけてうつる逆上せたあちら 何がみえない? そういわれ 黙らぬ私は 目を凝らす 言葉を凝らして スキトオル ---------------------------- [自由詩]ななめよんじゅうごど/かぜきり[2006年6月24日18時41分] 壊れかけのてれびが 忌々しげに点滅している 壊れかけの昨日を語り 壊れかけの明日を報じる 映りが悪いねと 一緒にみていたBちゃんが 実に神々しい角度で でたらめを醸し出しているてれびに ずびし と 攻撃した てれびは テレびは テレビは 何時もをまっすぐ映すことに返り咲く 直ったね と訊ねる そうだね と応える 何をしたのか気になったので そのように訊ねてみると 少しはみでていたから 押し込んだだけさと 右手を直角に振り下ろすポーズ 人にも効くのかな 効くさね だからたまに叩くんだね そうかも、ね。 ---------------------------- [自由詩]つぼむ/かぜきり[2006年6月30日19時29分] 咲いてる花なんて ほんのひとにぎりのはずだったのに 世界が閉じてゆく 世界が綴じてゆく 狭くなったのは 世界ではなかったのかな 咲いている花が 綺麗なりゆうを思い出せない が閉じてゆく が綴じてゆく 集めてしまえば 楽に過ごせるとおもったんだ 楽しく楽に 近くて しんぷるで だから 集めて おなじものを てきとうに 咲いている花だけ とじて しまおうと 甘い香りだけが いまのわたしの・・・ ---------------------------- [自由詩]夏に似たもの/かぜきり[2006年7月1日12時31分] 西瓜を    ノートで割って    ペンで食べた                  残っているのは 種と     皮と       僅かな食べ残しの              表記だけだ                    ---------------------------- [自由詩]わんぴーす/かぜきり[2006年7月12日9時59分] 拾ってきた 捨て猫 が 目を放した隙にじぐそうぱずるを完成してしまいそうになっている いやしかしどちらかといえば 最後のいっぺんを今まさにはめ込もうとしている いやしかしどちらかといえば その瞬間 である その瞬間 どうでもいい瞬間 ジグソウパズルはほぼ完成しているのだし そこにあるべき絵姿は もう何度も確認している もう何度も そんな風にあるべく 幾度も確かめてそのようになるべく はめ込んできた ほぼ出来上がりの静止 ほぼ完成している切っ先 残してあった1ピース それ以外 それ以外は いややっぱりまずい 捨て猫がそれをやっちゃ不味い 不味いです 不味いよ まずいっす いやもう 拾われ猫なのだが 拾ってきて3日目なのだ 2日目には洗ってしまったのだ 勢いあまって刈り込みなどトライしたわけなのだ 餌が食べるにはきわどくなってしまったカリカリの食パンで そのパンくずさえ喜んでいるような顔を捨て猫(拾われ猫一号、名前は検討中) がしているというような 偶像化をすでに完遂しつつ・・・ 偶像化 偶像かなのか あ、こっちじゃないね(方向指示器を右から左へ) そ そうか ここはひとつ頼むべきなのかもしれない そのパズルはめ込むの待った! 待って おくれよ と懇切丁寧に心を込めて しかし しかし相手は猫であって 人語を解するわけでなく たまに心を通じての猫パンチがちょっと痛い くらいのことだし そう くらいのことだ よし たがいちがいの髭におののきつつ私は声をかけた お願いです そのワンピースだけは 堪忍してください にやあ パズルは完成してしまった 通りすがり猫は笑っていたように思える そのわんぴーすをもう一度はめなおす愉快さは 私には無いものだし 私にも無いものだし とりあえずの青ざめた顔で 猫の髭を引っ張りつつ こう考えたのだ また終わらなかった と これはやすらぎ ---------------------------- [自由詩]まことしやか/かぜきり[2006年7月18日23時17分] 。 こっそりとなみだを ぬぐう けしてないているわけではなくて ほおはぬれてはいないのだから かわいたままのかぜと われのままに せめぎあうだけで からからの けれども ぬぐう ので やさしげにうつろうあいまいななみだを なくことをつぶしたあのひととともに なみだがここにふれることは いまからもこれよりも ずっと ないのだけれど しょさはなみだを つたっていてさ したたるほどにうるんでいるのはこういで うみにつづくほどに あふれるように たわわ でも ダカラ、 でも ぬぐう ぬぐうのかな ふれられないよと つげられて いたとしても なみだのあとが ほんとうのことで ないとしても ---------------------------- [自由詩]名前をどうぞ/かぜきり[2006年8月6日13時06分] 名前だけで結構です そう告げられて、少しだけ、面食らう。 ほんとうに名前だけで いいのだろうか ほかにも必要では ないのか 私には 他にも様々な付着物があって それらをあなたに 告げなくてはならないのではないか 名前だけでいいんですか。 思わず聞き返してしまう ほんとうは全て知っているのだろうか 名前を聞くだけというのはそれだけで確認ができてしまからだろうか 私と 私に纏わる全ての縁をあなたは握っているのではないか 名前だけで一致してしまうのではないか 名前だけで大丈夫ですよ。 大丈夫、なにが大丈夫なのだろうか 私は不安そうに見えるのだろうか 名前だけしか聞いてくれないあなたに不安を覚えているのだろうか 他は私からいわなければだめだということだろうか あの、他のことも一応・・・。 いえ、名前だけで結構です。 少し詰まった ほんの少しだけ詰まった そして  名前だけ 名前だけを 告げた ---------------------------- [自由詩]いただきます。/かぜきり[2006年8月24日11時58分] ごちそうさまでした。 ---------------------------- [自由詩]夕やみ、ということ/かぜきり[2006年8月27日15時22分] この空は似ているな、   と感じること 風と風の間がこすれる音を 意識すること どこかで電化製品に力が流れ込んでることに通じる こと 向かいの家の扉が 閉まる音を拡大解釈すること     雲を数えること まぶたの 裏に自分の瞳が映ってるなと思うこと暗闇で 自分の手のひらの色を確認すること 夢の中で 夢を相殺する意識を 感じること意識しない意識を否定しないことくうはくをうめるおとのあいだをかきむしっ ていること そんな 瞬間が あること 決して重なることがない瞬間ということ 星を考えること タマも星なんだよねと思えること 落ちていく砂時計の砂が実は粒ではないこと 再びもとの位置に戻るようなことは起こしても笑えないということ ありふれたことが 薄く淡く紅いこと 葉っぱの葉脈が悩ましげなこと 落下するものを眺めていること 膨らんだことがつまらないということ 落下するものから見られているということ つまびらかな時間が特に敵ではないということ 明日は明日でないということ 沈んだ夕日もひとつだと数えなおすこと ゆうやみに解けながら すわれてにじんでいく意識は今も空 ということ ---------------------------- [自由詩]ひくことの四度というせかい/かぜきり[2006年9月3日11時30分]  感触は 千切れていて 触れていたころを 思い出し 思い出していたころに 触れていて またはらはらと舞い上がる 途切れなかった重さに しーそぅを繰り返し 匂いはてんでばらばらに わたしのなかへとしみこんで、 望んだものを受け取ることなんて とてもじゃなくて できるもんじゃなくて 受け入れられるものは 残さずわが身へと焼いて ふらっしゅ リズムのない閃滅 ふらっしゅ メトロノームがわずらわしい・・・ つながっていないのが 私の世界という・・・ ふれられたいっときが わたくしのまったき ココはここハここわ ここはここはっこは ここは、 こここここここここここここここkk こここここここ こここおっここここここ こここここ こここ こ 、 ここ こ コ こここ 此処。 それが 彼方の一とき 甘すぎ なんて煩い 辛すぎ なんて静か あーーー   もう ぢれったぃ抑揚 そして膨大なこしょうを頬張り 熱量は予測を裏切りて・・・         ぽちゃりと冷たし。 ・・・ああ もったいない。 私の記憶へ 額と額の間 旋毛と背筋境 意識の外へと広がった 閉じないもんのつづらへと こぼれずに残っているだろうか こんなにぐしゃぐしゃのトマトにも似た ・・・酸っぱくない しかしなんともいえず苦く・・・ 閃明に閉ざされていくものが 私の指先とも 爪の上のもうひとつ だからなにもわすれえず だからなにもこころえず 不鮮明なこの断続を つなぎあわせてくれる よれた温みに 大きくまたたく謝意を少し ほんの少しだけ 負わせて    繋がらない言葉にまばたきをあわせて ぱちり ぱちり、 と ほんのすこしの涙を其処へ  くわへつつつ ---------------------------- [未詩・独白]タイトルオンリィ/かぜきり[2006年10月11日13時46分] 「脂肩脂」 「タンブラーに落ちた虻。」 「ほくろくび」 「語尾夢中」 「じだんだだんす」 「ポイットポイント」 「味蕾日記」 「ステテコステレオ」 「うなぎとさめ」 「三つ折りなまけもの」 「五日記し」 「ときどき、せつな、そしてドキドキ」 「ひたむきなたぬきのためいき」 「狐つづりのこんさーと」 「鰐噛んでキッス」 「ふらいんぐばたふらいおぶらいふ」 「だんさぶるぶる」 「らっぱの実」 「当番じゃん?」 「独楽蜻蛉ノ百色眼鏡」 「天灯虫のサンバ」 「拝 拝 拝 拝 拝」 「落ポひろい」 「ぜんまい式図書館」 「こんぺいとうのむれ」 「鴉羽根蜃気楼色」 「風見鶏のぴぼっと」 「はめ殺し携帯窓」 「空翔ぶ冷蔵庫」 「西日の羊羹」 「緑色にナトリウム」 「おとおしおんりぃ」 「砂場の飛行場」 「背泳ぎの視界で」 「扇風機のうなづき」 「たらこ味の明太子スパ」 「陽色のわっか」 「苺ショートはいなめない」 「スポンジの中のトライバル」 「案山子並木でかくれんぼ」 「かげぼうしのこうらぼし」 「キリンの孫の手」 「大気という名の海のそこにて」 「りゅうのみみもちしひと」 「受話器から降る雨」 「脳半球の自転を」 「西瓜柄の傘をさして」 「寒がりな太陽」 「稲光の素麺」 「その広さはぼくらの時間」 「夏の夕立と濡れた前髪のわかめ具合」 「ヨク眠るのは砂の語り部件のたとえ導き足るのは乱れたにっし 思いつぐのは三日後夕刻猫の前」 「いるかのてまねき」 「日持ちしないエコスフィア」 「刃なき剣もちて舞う人の歌声」 「液体硝子に沈む霹靂」 「猫とかんぱり」 「ひとはだレストラン」 「百々祭り」 「軒下の七葉樹」 「皿の上の胡瓜」 「詩練の砂渉り」 「きりきりまい竜頭の一日」 「羊が止んだ日」 「ミルククラウンをかぶった日」 「掛け声の三段活用 ちぇすと編」 「私的で詩的で素適な指摘」 「曲がる色のさわりかた」 「甘い涙のながしかた」 「言葉によるひざかっくんのすすめ」 「おとしあなセット(類似品にご注意ください)」 「二色の切先微速のはなし」 「嵐に贈る蜩の叢話」 「全自動選択詩」 「麦藁帽子観察日記」 「遠投する薬のはなし」 「ドロップキック風アプロンプチュ300円(税込み)」 「台風よけ案山子 秋用」 「やあどぎー。なんだいまぎー?」 「そーいや君、パンダだったよね?」 「そこにてホロー たわんでスロー わらわらナローでメローなダンス。」 「用法、用量を守って正しくお読みくだ・・・(文字がかすれて最後まで読めないようだ)。」 「遠近法で雷をきゃっち。」 「かるがもる。」 「風爪弾く琴のごとくに」 「心透するのはひょっとして」 「まだらにしゅわっとぷろろーぐ」 「蝶々調波」 「鏡に栞」 「微苦笑の、び。」 「風塊乱打の夜天劇」 「天底歩行の深天魚」  「トロイチカイメライヒロイニライウマイカナイヤスイ」 「三毛猫とハイファイブ」 「足跡の横断歩道」 「東京あみらーぜ」 「立て板ミスルトゥ。」 「焼きそばパン座見つけたよ」 「蕨餅すぅいーとでいず」 「ラジオコンパスの針は鈍 色」 「ボケッと無闇にリフレイン」 「寝小町時雨」 「ほわほわにてござ候」 「水割り月色エノコロ草」 「非時限式目覚まし時計(全自動)による起床とその可能性」 「如雨露日和」 「卒業鞄」 「消鍍金スタンプ」 「終点夢雑炊」 「来週につづく」 「@インコ色のインク inc」 「鉛筆跡の焦げた匂い」 「ローストリーフドポテト」 「みーむる避雷針」 「40億の根っこ」 「パンダだって踊るのさ」 「螺旋律の花束」 「哲学の都」 「猫の囁くエスペラントに」 「炬燵が母艦」 「えれめんたる収斂」 「ぽえむとらべる」 「偽人草」 「掠れた目盛」 「円周率を最後まで」 「ぷるぷるでずるずる」 (題名だけのスレ4より。 ありきたりから意味不明までいろいろと。 しかしなんですね、自分の傾向がよくわかる。) ---------------------------- [自由詩]後に、/かぜきり[2006年11月27日11時24分] ひとつ巨大な老木にぼそぼそと 語りかけるそれはわたしか あなたはいのちですか ひとつ巨大な老木がひそひそと 語り返すそれはわたしか おまえはいのちか 返してとどくそのことば なんのことだかよくわからずに いろんな言葉をよりあわせ 似せた言葉つむぎなおし しかし 再度の問いは許されず 老木はそこで佇みて 唯只管にいのちはみ 私はそれを眺めては その葉の青さに・・・ ---------------------------- [自由詩]羽根のある庭/かぜきり[2006年12月15日22時26分] いつもの学校 深い夜染みた校庭にて 人影はふたつ 月影はひとつ 答えに問うは羽根の無いほう 問いに答うは羽根の在るほう そう 片方には在るんだ 片方には無いんだ そして  問うているのは無いほうで(羽根は生えている) 答へているのは在るほうで(羽根はもともと無いぞ) 深夜の校庭 浅い闇の溜まる場所 蒼さ積もった 不在の庭で 明かり色の羽根巨大に広がり 鏡色の輝きとても綺麗な白銀 意味無くとも広がり続ける広大な ただその翼だけ 翼だけが儚くうきあがる四角い場所で 学校の制服だろうか よくみる絵姿を纏い 二人は話していた 対比すれば白と黒もしくは浅薄灰と灰 どちらがどちらか 二人の話している内容はここには届いてこない 周囲を取り巻く風だけがその言葉をつないでいるようにみえる 答えている方は椅子に座っている 尋ねている方は椅子に立っている 校庭は静まり返っていて たまに小さな羽音が聞こえる 話し声が聴こえてこない 二人は本当に話しているのだろうかと 怪訝さは反響してきた蒼のせいか 座っているほうが 立っているほうの 足首を握っているのが見える たまの突風は二人を一人にしている 大きな羽音にどちらかが顔を歪める 少しの間 雲の群れが流れてきて 月明かりは途切れていた いよっと。 ああ、ちょっと疲れたので 小 休 止/ そんな間にも二人の問答は続いているのだろう 月影が薄くなると実はあの場所にいるのが 二人だけではないことが見て取れるのだが 私は小休止しているのでそんなことは わかりはしない 見えていないことを知っているわけが・・・ ふぅ。 さて/ 月影がもどり 二人がまた二人となって どうやら二人の 掛け合いは終わらない 月はいつまでも表に無く 陽光の裏での翼はどうするのだろうか のんびりともどってきているのは このような 答えている方は立ち上がっていた 尋ねている方は座っていた 椅子はそのままで 二人は 少し翼の方に目をやって 流れる空気は  そろそろ色を潰す色がさが滲んでいる 誰にでも届くこの色は 夜の終わりに届くこの色は どれだけなのか やがてぞろりとつれてきゆ 互いに互いをひきながら 翼だけがそのままに よくある風景のこの校庭で 二脚の椅子の片方の 上空へと大きく広がった この翼だけが このままに 羽ばたきを続ている ---------------------------- [自由詩]天を仰がぬようにして/かぜきり[2006年12月25日10時20分] ほんやりはらはらつもるゆき こえをおさえてへいけいす たたたんたんとふりつもる ゆきのかさえをみつつける たれもかとけて たれもかこおる たたたんたんとふりしきる くうきのつうろにあいたほら うみはらいろをけんししなから そっくりそのままみつつける あかいいろはあかのゆき あおいいろはあおのゆき みどりいろはみどりゆき くろいいろはくろのゆき しろいいろはしろのゆき はるかかっしょくはいいろしらへ のうたんしみてゆれもなく しんふくかさねてにしみなし こていにしすむそのなまえ わすれてたのしよのかなめ こえてつつますのみこみて こくりのおとにわれをよふ しん しん しん      とゆきかふる わたしのことはの ゆきはふる にこらぬゆきは なせしろい しろいゆきはなせあらぬ ---------------------------- [自由詩]あんしんせぇ/かぜきり[2007年1月9日14時25分] 峰打ちじゃ 安心せぇ峰打ちジャ そうじゃ峰打ちじゃ峰打ちじゃ 心配する必要はない峰打ちじゃ あれもこれも峰打ちじゃ だからしっかりこころもてぃ なにもかもが峰打ちじゃ 真剣でさぇないのに峰打ちじゃ 打たれていたくなかろうとも峰打ちジャ だからといっても峰打ちジャ しからばどなたも切れぬよのぅ だれもがふれあうことかなわぬのう 峰打ちじゃ峰打ちじゃ いつまでたっても峰打ちよ ---------------------------- [自由詩]忠犬ハチ公シンドローム/かぜきり[2007年1月30日13時40分] えーぼたん びーぼたん じゅうじきー せれくと すたーと ・・・・ おろ、これ逆だわ ばっくすぺーすよりいーえすしー すぺーすよりえんたーきー てんきーはなんかかくかくだぞ ・・・・りせっとしちゃうか 只今2時ですよ はい いいえ えらぶ 説明文 すたーと? という概念。 まぁ、なんというか。概念です。 そういうようなきまりごと    お や く そ く 右手じゃないとね ばーちゃるりありてぃの るーる ひとさしゆびがじぇいからはじまる ひとさしゆびがえふからはじまる 手を開いて上へ 手を閉じて下へ ほーむからおーばー ほーむからあんだー という接合 ソリッドとくっつけて りりあるばーちゃるりある 説明書読んだ? いいや? 何で読まないのさ。 ? めんどうじゃん。つかってりゃわかるよー。 あの星座の名前は忘れられない 147* 2580 369# これどうするの? 説明書読めよ えー。知ってるんでしょ? おめーがわかんないと意味無いよ けち こっちがテレビのリモコン こっちがDVDね。 そっちがケーブルテレビで・・・ ぼたんがたくさん うちの空はね。ねばねばしてるのさ いっぱい でも すべてが ち が う 机上の感覚 この受話器の向こうに誰がいるんだっけ? 通信相手のパソコンの前には誰が? メールはほんとは誰がよんでるんだ? 郵便ってほんとはとどいてないんだよ 電気ってみえるんだ 地球は丸い?いいや。地図の上だけで丸いんだ。 月が綺麗だ 押すと つくよね ひっぱっても ねじっても ひねっても あげても さげても やっぱつくよ かちゃかちゃかちゃかちゃかちゃ たん つきまでは歩いていけるぞ かちゃちゃ。 たん。 かちゃ り   たん。 ててん、てん。と点く灯り。 ねぇ、 今思ったんだけどさ 人間って 引けないよね。 ずっと足してばかり。 ・・・・・概念にはなれないんだ? ・・・?そうなのかな。 生きてるからね。 生きてるからなの? そだよ。多分。 いいきらないの? 数字じゃ、ないものな。 そっか。 間違えてたのかな? かもね。 ・・・月までは歩いていけないぞ。 試したの? うむ。ずっと以前に。 ・・・暇人。 やっぱ引けないや。 そだね。引けない。これだったのかな なにが? 私がみようとしなかったもの。 ものって。まぁ、あろうとなかろうと、ね。 ううん。 ぱちん と つけた。 めっちゃあったかかった。 これはなにか。 それはなにか? おしえてくれるの? おしえないよ。 わたしはわたし? いいや。きみはあなただ。 わたしがきみだよ。 ひとりふえた? いいや。最初から「 」人だよ。 えええ。 共通事項ってこと? いいや。引けないってことだよ。 足していってることだね んーちがうな。 そだね うい。 つらなってるってことだな ---------------------------- [自由詩]魔法の杖/かぜきり[2007年2月1日13時52分] 形状は杖だ ステッキだ 傘でもいいかもしれない 扇子とか杓文字  もしくはお玉なんかでもその効力は絶大である 指輪でもいいのだし手鏡でもよろしいのだ 姿見であってもかまわないし 果てには空手であっても問題無し まぁ 結局のところ なんでもかまないのだろう そのようなものだよ と やつはそういっていた 欲しいと言ったのはわたしだ あげられないよと言ったのは奴だ 杖は杖だから 杖ならいくらでもあげるけどね と そのようにいっていつものようにひらひらと手を振っていた 欲しいのは魔法の杖であって杖ではないのに あのひらひらと振られていた手が 忘れられない 後日杖だけが私の手元に届けられた ごく普通の杖で どこから見ても木の棒で 私の手に妙に馴染んだ。 ---------------------------- [自由詩]かけたたましいあずかります(株)/かぜきり[2007年3月22日12時51分] 魂がかけちまった ちいっと過ぎてしまっただけなのにな 入り口の無いあの島で 出口の無いあの塔で 乾いた喉がうったえる みずがほしいみずがほしい 訴えているのは喉ではない そんなふうにあのひとはそのことをはなす 日々がそこにはあるのだろうか キーコードに埋もれたゲートのある庭で 合言葉は数字の羅列 そこにあるのは見せかけの日常 すでにかけたものは 返してはもらえず あさ 自分のくしゃみで目を覚ます 気がついたら手首から先が落っこちていた 僕が誰だかわかっていても でてくることばはべつのもの ぼくが彼で 彼が僕で 僕がかれだから ことばは意味がなしてもいなくならずに メガシパシパ     する     ただただかゆい でかけちまった日常は 太陽が昇っても誰も帰してはくれず 今日もでかけていったらしい 実に乱暴な態度でご飯を食べさせている姿がすごくまぶしい すごくやさしいのだけれどうつしみがやめなさいといっている ・・・見えないのかな うどんがおいしかったそうだ ぼくにはとても不味かった 不機嫌さがおそってくる だからか だからか 非常に痒い あそこに詰まっているなにかは でかけてしまったかたまりそのものか /順不同 実際は何者がかけてもおらず ただただ詰まっているだけの状況であり そこにあるのはただなまぬるいだけの 金と時間があぶれだしてゆく糸でつながった ぷーる。 わたしたちはただ 長くしらけた棒で かきまぜているだけです・・・ ---------------------------- [自由詩]りんご似のあなざーへぶん/かぜきり[2007年6月14日18時14分] りんごの皮を剥いていると こんなことを聞かれたのです それってさ どっからりんごなん? 絶句しました。 応えをいろいろ考えたものの どうにも私には答えられないということに いきつきました。 またもや絶句。 まぁ単純なところで、これ、まるまるひとつ。 この紅い皮を纏ったちょっと気を抜くと酸化して しょげちゃうこの酸っぱくてほの甘い物体が りんごである と思いはするのですが、そのことを告げると 私に どっからりんごなん? と問いやがったあんちくしょうは、 にやにや とするのだろうとわかっているのでどうにも くやしいのでやはり絶句するのです どこまでりんごなのでしょう ---------------------------- [自由詩]とケ欠けたかたまり/かぜきり[2008年11月7日13時30分] はい が さかな になった  さかな が たべた になった    たべた が そうだね になった      そうだね が ごはんまだ になった ゆうべ が かけた    いいえ が おそら になって   うんち が わんこ になって  よぞら が きのう になって      あした が こけた    それ が日じょう           それ が日び   いえすは             いえす じゃない になった でもでも       いえす はいえす になった   だから手をにぎる だからにっこりワラう それら がわラう ではなくても               きょうのひ は くれない ---------------------------- [自由詩]ちょうのはかなげに・・・/かぜきり[2008年11月24日20時51分] そのまま に そのまま で 手はそこに あった そのまま に そのまま で 足はそこに あった 白い殻の向こう のすぽんじ物質 ちょっといいにおいがして はしでつまんであげて・・・ かさり    とおとした。 なみだはとまらなかった きのうもとまらなかった きょうもとまらないだろう そのまま に そのまま で 髪はそこに あった そのまま に そのまま で 唇はそこに あった こっそりひかれた紅 そっとなでつける白髪 触らないぼくだったけど  ただ     ただ ありがとうだけが かさなる ことば こんどあうときも めがねははずしてゆきます ---------------------------- [自由詩]こねくと/かぜきり[2010年7月10日10時52分] よるのあいだ またたくほしを見上げて そのひとは言う あいつらが ここまでくるのに どれだけのじかん かかったかしらないけれど ぼくらが ここまでにくるのに どれだけのじかん かかったのかしれないけれど そのあとは てをつないで むごんで といきを つないで ときを つないで ---------------------------- [自由詩]卒業おめでとうございます。/かぜきり[2011年3月9日20時13分] 近 々   戦 地 へ 発 つ と 聞 き 及 び ま し た 渡 し た い も の が あ っ た の で す が    間 に 合 い そ う に あ り ま せ ん で す の で 一 言 だ け で も と 思 い 至 り 手 紙 を 認 め た 次 第 で す 卒 業   お め で と う ご ざ い ま す ---------------------------- (ファイルの終わり)