伊藤透雪 2006年7月25日0時46分から2007年11月8日2時38分まで ---------------------------- [自由詩]異常回路/伊藤透雪[2006年7月25日0時46分] 冴える。 こめかみから鋭くなる。 加速していく思考の連打、逸脱する前進。 眉間を貫く鈍い痛みが 異常と知らせるけれど、 スピードは止まらない。 私はどうなるのだ? どこへ向かうのだ? 灼ける網膜、 張りつめる鼓膜、 頭の中は激しいサーキットで 今にもはじけて割れそうだ。 静かに眠らせて欲しいのに、 耳を被い目を閉じても 侵入する刺激で 冴える脳はいっぱいに膨れ上がる。 痛い、 痛いから止めたいのに サーキットに加担している。 雨が鼓膜から脳へ侵入し 私は少しずつ崩れていく。 ---------------------------- [散文(批評随筆小説等)]モーヌ。氏 鎮魂の文/伊藤透雪[2007年11月8日2時38分] モーヌ。氏へ誠心より哀悼の意を表します。 ライトニン http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=128900 実は彼の存在を私は知らなかった。 というよりも、この現代詩フォーラムという膨大な海に、 私は恐れを成してあまり読まない方が多かったからである。 しかし彼は逝ってしまった、若い才能が一人、常世へ。 遺された作品群を是非読みたいと思い、すぐこの「ライトニン」で 私は呆然とするしかなかった。 見つけた、空のような詩を書く人を、と思ったのに、彼はここにいないのだから。 彼のウェブサイトにアップロードされている、その方が美しいと私は思うので、 あえてそこをご紹介したい。 http://members3.jcom.home.ne.jp/sentimental-fool/poem/poem04/lightnin.html 他の作品もこれから、じっくりと読んでいきたいと思う人である。 たとえ命が尽きようとも、こうして作品は形となる。我々を導く。 若々しく瑞々しい感性は、早逝したものに老成を教えないけれど、それだけに この瑞々しさは失われることがない。 言葉がこうして残っていく、その事を深く考えさせてくれる。 詩という言葉の、共通項で集まったこの場で、あなたは生き続けて欲しいと思う。 御魂よ安らけくありませ、魂鎮まりませ。合掌 ---------------------------- (ファイルの終わり)