ヤギ 2005年3月8日22時11分から2005年4月2日3時30分まで ---------------------------- [自由詩]千年硝子/ヤギ[2005年3月8日22時11分] 無限 渇望 裂けた風 知らない彼方の鉄の味 信仰 圧縮 求不得苦 熱なき砂漠の非現実 ー 何故 砂に 潤う ー 歯槽膿漏 ものもらい 爪ならとうに擦り切れた 目覚める街は千年硝子 前人未到の無回答 ---------------------------- [川柳]なんて/ヤギ[2005年3月9日1時57分] 今夜だけ 透明になりたいなんて ---------------------------- [自由詩]愛してる (スターによせて)/ヤギ[2005年3月9日7時15分] 空 色ロケット七面鳥 に っこり笑って千切れた涙 太 いラーメン噛み切れ無いニャア 陽 あたり悪い部屋の思い出 が ーがーがーってモノマネ以前! あ んまり違うと笑えるけれど る びじうむとか判らないから 限 度を知ってここでおさらば り んりん電話もここでおさらば ---------------------------- [自由詩]シグチ/ヤギ[2005年3月9日22時26分] 詩が浮かばない 強ばる心には作れないのか だとしたら「作詞」というのは役に立たない趣味だな というのは それでも詩ですか愚痴ですか ---------------------------- [短歌]何を隠そう/ヤギ[2005年3月9日22時29分] ケツの穴の話ですか ええボクは申し分なく小さいですとも ---------------------------- [自由詩]あなたの詩/ヤギ[2005年3月10日22時22分] あなたは 少し情緒不安定で まるで子どもで 自分が嫌いで泣いてばかりで 「どこが好きなの?」 と尋ねられても いつも上手くは言えないけれど 言うべきことも分からないけど 心が狭くて 出不精で 八方美人で 片付けられない あなたのことを説明するとき 短所ばっかり思いつくけど そこが嫌いなわけじゃなくって 少し涙が出てきたりして あなたは晴れた日に降る雪の匂い あなたは殻を破ったヒヨコの眼 あなたは起きられない朝思い出す夢 あなたは あなたは 「伝わらない」なんて言わないで 出来ない事は忘れよう 一緒に行ける所へ行こう 僕の見た全ての景色をあげてもいい人 巫山戯た世界で手をつなぐ人 ---------------------------- [自由詩]the light speed eater 〜亜光速で食事する男〜/ヤギ[2005年3月14日15時06分] ヤキソバ オムレツ トマトのサラダ シチュー おしんこ エビフライ 成長期でもないでしょう そんなに食べてどうするの? バカみたいに嬉しそうに 全然話は聞いてないね タバスコに漬けてやりたくなるけど 食べ終わったらこう言うの にっこり笑って「ごちそうさま!」 ビタミン ミネラル 和洋中 脂肪 タンパク 炭水化物 ドキドキするほどリズミカル 食べ物達は宙を舞って 一列並んであなたの口へ ちゃんと味わっているの? 強火で炒めてやりたくなるけど 食べ終わったらこう言うの にっこり笑って「ごちそうさま!」  そのフォークの先端は  亜光速に達し  熱を帯び  やがて青白く輝く! 成功失敗昨日の残り 二口分を一口で 月火水木金土日 ひとっカケラも残さない ---------------------------- [川柳]三月 北極星/ヤギ[2005年3月21日23時15分] 泣きつつも 飯食うヒトの 愛おしさ 好きになり 嫌いになる 心の不思議 のたうって 泥さえも 手に入らず 消えない 北極星は 消えない ---------------------------- [自由詩]冬味幻想/ヤギ[2005年3月22日18時59分] 冬 灯りを点けない夕方は 何故かどきどきする 小さいときなら遊びつかれて 夕飯まで 少し眠った ストーブ上のユキダルマ 履き替えた靴下 苛めた犬 ソリのきしみ 耳切る風の冷たさと鼻水 赤い顔して笑うトモダチ 思い出して 満足して あんなに仲の良かった人達に もう会わない不思議 どこにも残らぬ甘い幸せ 歳をとって死ぬ不思議 ---------------------------- [自由詩]真夜中バリボ/ヤギ[2005年3月23日8時54分] 遠くのタヌキと近くのノラネコ 欠けない満月すり減らし 凍った浜辺で真夜中バリボ ラインはかすれた子亀の軌跡 星屑なぞってくちなしバリボ ぱらりぱらりらぱりらりら 何度も笑った故郷の 会わない誰かの裏エール 飛んで滑れる魔法の重力 パジャマの裾を翻し ヒートアップの接戦バリボ 2センチ浮かんだ落ちないボール ポイントつかずにウォーターブレイク ウォーターブレイク? そう 沖まで歩いて コップに掬う忘れない水 ー 今日という日を忘れませんように 今日という日を ー ケガニもマダコも目を瞑り そっと輪になり一度の祈り 疲れて終わりの真夜中バリボ 雪の貝殻手土産に みんな一緒に帰りましょうか ある晴れた夜のきらきらバリボ ---------------------------- [川柳]デパート 二句/ヤギ[2005年3月23日22時21分] エレベータ カメラ気づかず 鏡でポーズ 手を振った 幼児に軽く 流される ---------------------------- [未詩・独白]はい。/ヤギ[2005年3月24日18時18分] 僕の住む街を走る地下鉄では 「携帯電話は心臓ペースメイカー等の医療機器に影響を与える恐れがあるので電源をお切り下さい。」 とアナウンスされる。 僕はそれが嫌いだ。 会社を揚げて携帯電話使用反対運動でもしていれば立派な会社だと思うけど、 そうではないし、第一車内では携帯電話の広告も結構多い。 安い言い訳と思うからだ。 いつだかカテキョ先の子と雑談中、携帯電話の話になった。 「病気の人がいるんだから切らなきゃ駄目だよ。」 と主張する彼に僕の考えを言おうかとも少し思ったが言えなかった。言わなかったのじゃなく。 それはその子が本当に心臓ペースメイカーを狂わせたら大変だと考えていたから。そして僕はこの子と同じくらいの時に持っていたものを無くしてしまった、と気づいたから。 この子と同じくらいの時の自分との約束を破って、それを指摘されたかの様に錯覚しながら僕は 「はい。」 としか言えなかった。 ---------------------------- [自由詩]寂し上戸/ヤギ[2005年3月26日2時23分] 楽しかったはずなのに 別れたとたん寂しくなる ボクは全くバカですね 最後まで騒がずにはいられないのです ---------------------------- [自由詩]春曇/ヤギ[2005年3月26日20時15分] (川柳二句 短歌二首) 知らねぇよ 皆に好かれるオマエだなんて 風の強い日の空に ラッカ 苦いとか断裂面だとか伝えられない空の色 サッポログレイ 食べられる宝石がゆっくりと降る雨のように満ちてる幻視 ---------------------------- [自由詩]広い世界/ヤギ[2005年3月27日17時25分] 世界に何を恐れることがあるだろう 僕は何に怯えていたんだろう 安心しなよ 宇宙はこんなにも広い そしてあなたはそこに立っている ---------------------------- [自由詩]分子球/ヤギ[2005年3月28日17時17分] 僕の心配は むしろその力強い握手 何を込めて 支えるつもりがバカを繰り返す 遺伝子プール揺蕩う オリジナルじゃない僕ら サブリミナルなジャマイカンで これじゃイカンと空元気 空元気 浮遊 空へ消失 人は心で動いていて 心は理屈で動いていなくて 暴走したり すれ違ったり 傷つけ合うのはなくならないと思うけど 笑って生きて欲しい 枯れた桜の枝を雪に ---------------------------- [短歌]小一時間/ヤギ[2005年3月29日18時20分] 分からない回転木馬黒い陰アイダホポテト ツッコミ損なう 誘うかな誘わないかな日曜日 迷う間に 口が勝手に コチュジャンの名前に惹かれ買いながら 肉蛸胡瓜分の金無し メガンテと唱えられない現実で 浮いた立場の処理にエスケプ 好意ある君がどうやら及び腰 言葉だけでも なんのこれしき 面白い魚が昼間訪れて 小一時間後鍋を買わされ 小さいね 君の手のひら口鼻眼 背丈密度と 度量と人と ママ取って 振り向いてから思い出す 子どもいないしオレ男じゃん 深夜までパソコン見つめ御乱心 ああ、ひかないで老いたシー・ズー    (注) 一首目の意味が分からない ---------------------------- [自由詩]おっさんのニオイ/ヤギ[2005年3月31日1時11分] おっさんのニオイを嫌がるのは女の子だけじゃない オレだって嫌だ 終電でおっさん三人に囲まれた (マエちゃんが寂しがり過ぎるせいだ 今生の別れじゃないっつーの ☆コンチキショウ☆) かなり強烈だ ほんのりアルデヒド臭も混じっている 最悪だ 大丈夫、鼻で息しなきゃいいんだ ところがオレ、ちょっとハナが垂れてきたんだ だから条件反射で ハナすすった ズズッと やるでしょう? ズズッと 瞬間だ おっさんパヒューム一気吸引だ むせた むせまくった 今夜何も食べなかった自分に感謝だ そして嗚呼  後数年でオレもこのニオイを発するのだ 何という悲劇! 悲劇、なのだが、 人間のオスなら皆が出すニオイなんだから これは人間のニオイと言える筈だ 牛小屋の臭いニオイと同じ 猿山の臭いニオイと同じ 人間の臭いニオイだ おっさんは臭いが、人間のニオイなんだ 「先生、おっさんはお風呂に入っているのですか?」 「入ってます。全開で入ってます。」 「先生、あのニオイはお薬で何とかならないのですか?」 「我慢です、人間我慢が肝心です。」 「先生、ママが触らせてくれるバーってなんですか?」 「生きる糧です。そして意味です。」 ---------------------------- [自由詩]ジンジャーエールを買って飲み過ぎな男/ヤギ[2005年3月31日3時37分] なに?デカよ 「眠れないし便秘」 ナイス ナイスな憂鬱さ加減だ オマエはいつだって面白い オー おまけに目の焦点が合ってないぞ そしてここはスクランブル交差点だ 斜め横断OKだ しっかりしろデカ 確かにオレ達人生やや浮きだ Which is 明日? だ だけど目の焦点くらい合わせろ あと言いそびれたけどスクランブル交差点は知る知らないではない 判れ オゥノーウ… どちらかといえばあり得ないよ デカ 何故行きつけの床屋から女の子を紹介してもらう電話が今掛かる おばさんにモテ過ぎだ 普通に気づけ 知り合いの床屋に 無職の男を紹介してもらう25歳の看護婦は 山田まりあには似ていない デカ デカ 腹筋がひっくり返る 遠恋終わって落ち込んでると思う間に 二十歳の女の子に振り回されている? しかも千秋楽とは あれほど修羅場をくぐった経験値は何処へ行ったんだ 「ぼうけんのしょがきえました」か またか そのカセットはバグってる 交換してもらえ てかデカ 落ち着け 客観的に見てオマエはかなり不幸だが 朝の四時に携帯で1000文字のメールを送っちゃダメだ 返事が無いからって六時に再送信はあれだ 逮捕だ ちょっと周りを見ろ メイドカフェで憂鬱になるなんて良質なコメディーだ 太く短く、か 言うね デカ でも後五年は生きろ そして面白エピソードを溜め込んで死ぬ前にオレを笑わせてくれ そうしたらオレは病床にメイドを呼んでやる 制服でって頼み込んでやる 思い出せデカ 授業中に睡眠をとって アイスホッケーはそこそこがんばる それがオマエじゃないか ホレがんばれ オレ達はまだイケルゼ ところでネタとして 次に会う時もメイドカフェにしよう デカ=腐るほどCDを持っている所、くるりが好きな所、学生時代部屋に鍵を掛けずに住んでいた所、少しおかしな会話をする所が僕との共通点であり、なんのかんの言って結構モテるところが大いなる相違点である。無駄にデカい。 ---------------------------- [川柳]かくれんぼ/ヤギ[2005年3月31日23時37分] もーいーよー 許されたのはいつの日か 携帯の電源切って眠る夜 サクラチル 散った桜はゴミ箱へ 繰り返し言った所で手慰み 寂しいの そういう事は忘れたよ 公園で子どもの頃に出会えたら 飲み干した誰かのワイン 苦い味 大笑いしてる時だけ少し楽 どうしたの どうでもないから電話した 天邪鬼 嫌った所で一時的 ---------------------------- [自由詩]時差エイプリルフール/ヤギ[2005年4月2日3時30分] 朝起きると両目がハートマークになっていた しかし見た夢は思い出せない ご飯を食べているとキリギリスが大口開けて飯を食わせろという素振りをした 仕方なくレタスを詰め込んでやると礼のつもりかバイオリンを置いていった 小さすぎて弾けないので机の中にしまった 手を腰に当てて牛乳を飲む牛を見かけた 電車に乗っていた何処かの国の王子が 電車と発音できずに「テンシャ、テンシャ」とはしゃいでいた 世話役らしき老人達がハタキらしきもので車内をパタパタやるとひどく埃が舞い上がり 咳き込みながら落ちたものを拾い上げると濁点だった ポケットに入れといた (ポゲッドにはならなかった) 夕焼けがあんまり綺麗なので沈んで欲しくないと考えたとたん 太陽が少しだけ昇ってくれた その後でまた沈んだ 新しい法律が出来たために好きな人には好きと言わねば恐ろしい刑に服することとなる 世界中に嫌いな人間というのが一人もいない 隣の住人の痛みが分かる  気がする 今、誰も誰をも殺していない 両親を愛そうと思う 腹の底から幸せだと叫べる 4月1日に言え? バカだなあ 時差だよ 時差 ---------------------------- (ファイルの終わり)