ふく 2006年10月17日12時52分から2009年7月11日15時47分まで ---------------------------- [携帯写真+詩]そらのそら/ふく[2006年10月17日12時52分] ぼくが このそらからとびだしたら ぼくは みえなくなるのかな しろいそらにしろいくも そしてぼく そらにとけるようにそらへ ---------------------------- [携帯写真+詩]線の遺伝子/ふく[2006年10月23日17時17分] その平行線は すでに交わっているかのようで お昼のあまい空気も ゆっくり笑って降りてるようで ---------------------------- [携帯写真+詩]半分は/ふく[2006年10月24日18時36分] わたしの細胞が 半分寝息を立てています そしてあなたは その半分を優しく握る あの薬も君も 成分が似てる事に気付いてニヤニヤ そんな午後なんだ 半分が 優しさの午後 ---------------------------- [未詩・独白]対色/ふく[2006年11月1日18時46分] その 青い腕が捥がれるような感覚はいつからだったでしょうか。 青い腕は空を飛び、地を跳ね、思うように風に乗れたというのに。 オレンジの世界は、私にはまだ明るすぎてうまく泳げないのです。 息継ぎもできない。 そういえば、私は泳ぐのが得意ではありませんでした。 昔から。 青を知っていますか? 朝にも昼にも夕にも、夜にすらある青の素晴らしさを。 空気にも影にも人の中にも、青は見えるのです。 あの青をすくい上げる私の青い腕。 私は好きでした。 オレンジの世界は、私にはまだ明るすぎてうまく歩けないのです。 見えているのに振る事が出来ない。 明るければ明るいほどに、腕の影が濃い青になるのです。 平等に照り付ける。 青いコップにオレンジジュースが注がれます。 果汁は、 濃い青の影は夜に消えずに立っていました。 遠く遠く伸ばしていました。 その影を遠く遠く。 月が照らしても、青には変わりありませんでした。 ---------------------------- [自由詩]かんだちの遠吠え/ふく[2006年11月7日11時10分] 雷鳴ひとつ 雷が遠くの方で鳴きました 光るたてがみは見逃したみたいです 秋雨をきっと連れてくるのでしょう      ぽつぽつぽ      ことんことんことんことんことんことん      っちゃっちゃっちゃっちゃっ      ざざざざ ざざ ざざざざざざ ざ      ぽっつ ぽっつ ぽっつ ぽっつ ぽっつ      たたんたたた た      ざっざざざざ ざざざ      ちぴちぴち ぴち 傘と雨の音が歩いてきました 随分とにぎやかに、それはもう、      しゅーーしゃぱーーん 車は急いでるようでした 灰色の窓から聞こえてくるのは、残像と音だけのようで 牛乳越しに見る空は真っ白で 冬の準備をしているように見えました      ぴちょ ぴっちょ ぴちょ      とん とん とん とん とん と      っちゃ      しょろしょろしょろしょろしょ 雨は 秋を少しずつ連れていきました 雷も 雨だれの足跡を残していきました 暗い 白い空 ---------------------------- [自由詩]夜、星を/ふく[2007年1月8日4時43分] 星を 光らせましょうか? 月色の道路をゆきます 音も無く 声も無く ただ街灯の無い藍夜へ 灯りが少なくなるにつれ 夜の雪が薄藍に染まっていきます 雪と月が静かに まっさらな空に息を呑むような円 星たちは目を細めていました あまりにもあなたが 明るいから 星を 光らせましょうか? そんな気も無いくせにあなた 星は静かに 静かに呼吸をおいていきました 目に目無い速さで 目に見える光で 街灯の無い藍夜 月色の雪が 静かに音を立てる夜 ---------------------------- [携帯写真+詩]流れる空面/ふく[2007年1月9日12時02分] 流れる青 ゆらりと空 昼過ぎる頃 水面のはためきは穏やかです さりさりと 小さな冬は降りますが 彼はより一層 自由に空を 空と建物の切れ目 闇間にゆくまで 青はどこまでも青く とても穏やかに空 小さな冬は風に乗り 少々の穏やかさを運びました  ---------------------------- [携帯写真+詩]橙/ふく[2007年1月13日1時33分] 氷から伸びた影は 夕日に暖められて帰りました 長くゆっくり ほら長く ---------------------------- [自由詩]夜、雪に、/ふく[2007年1月18日11時39分] 雪が 雪が降ってきましたよ 小さく細く 灰色から 小さな あの小さな私は 夜と泣いていたんです 夜と 大きくしゃくり上げても 夜に飲み込まれるみたいです 雪は 夜には飲み込まれないんですね その白さは 私が欲しいのかしら ピアノは 聞こえなくなりました だってしゃくり上げてるんですもの 夜も 聞こえなくなりました 絨毯が 寒い って言っています 昨日の 涙が凍ったのね 冬だもの 雪が降っているもの 瞬きの間に どのくらい冷えるのかしら 音もなく 溶けることなく まだ冬でした 雪だわ 雪が降ってるのね 夜は 夜は静かに オレンジ色の四角になりました 冬は 雪を降らせていました ---------------------------- [携帯写真+詩]ほら/ふく[2007年1月19日8時10分] 月がでているよ 青と夜の間にいるんだよ 赤は明日のじゅんび 巡るように運ぶじゅんび ---------------------------- [自由詩]ティシュー/ふく[2007年1月22日18時54分] 空が 暗く暗く暗く ティシューをつまみました そして空へ 空は白くはならず 私の頭にゆっくり落ちようとするだけでした お客様、番号は何番でしたでしょうか? あら、 私の番号は、 何番だった かしら カーテンをすり抜けられないように 私はこの夜をすり抜けられない あなたが夜で 私がティシューだったの 私の番号は 雪と一緒だったのね ---------------------------- [自由詩]買い物帰り/ふく[2007年1月24日0時30分] しまうまがいました 冬の夕方に現れるしまうまです 縞模様は、冬の夕方の青と電燈のオレンジ わたしはその背に乗って、冬の夕方の匂いを嗅ぐのが好きです 小さくひかりました 冬の夕方にいた三日月です 私の目とあなたは、点と線で結ばれたようにゆらゆら 冬の息が線をぼやけさせても、私はあなたが好きです 立ち止まりました その線をとっておこうと思ったのです 携帯を、斜め上50度くらいに掲げ、腕をピンと伸ばす 夜になろうとしている空は、あなたを小さく高く見せました ---------------------------- [未詩・独白]轢かれる白の音について/ふく[2007年1月25日17時56分] 今 車のタイヤが雪を ぎゅう と踏む音が聞こえて それはあなたの 今の気持ちの音 なんじゃないかなんて勝手に考えて いつもは気にしない時計の 針の音が 良く 聞こえました 希薄 ハサミは向けちゃいけない ね やっぱり切れてしまうと思うから ら ---------------------------- [自由詩]廻り方の話/ふく[2007年2月6日17時32分] 水音、雪の降る体 その白い音、針の先です 柔らかさのデフォルト 時計が降る 音が降る 針が みみずは濡れたままだまっていました そうすることしか、できなかったのです 水は降りました みみずめがけて そうすることしか、できなかったのです みみずくは受け取りました 命を こうしてまた水に戻るのです そうすることしか、できなかった また、静かに針が降ります。時が、 繰り返すのでも、 なぞるのでもなく、 また、降るのです。 繰り返すのでも、 なぞるのでもなく、 また、降るのです。 ---------------------------- [自由詩]いちごのような空/ふく[2007年2月8日10時21分] いちごのような空です つぶつぶしています あのつぶつぶは、何でできているんだろうね つぶつぶは、やがてゆっくり落ちてきて 見えないように、頭の上に降り立ちました 「静かに。今種を植えるよ。」 つぶつぶはやがて、いちごを植えました その人の心がいちごになるように植えました 植えたらつぶつぶはさようなら とけてまた、風になる 空になる いちごのような空です 春はまだだけど いちごのような空です つぶつぶしています ---------------------------- [未詩・独白]降る歌/ふく[2007年2月8日15時12分] 優しい歌は誰にでも降る って 空が言ってました 本当? なら、 あの子にも降りますように 今の空は水色で すぅと雲が流れてる この歌も降るのかな 水色と白の音 日はやがて陰り、夜になりました あの子はぴかぴか星の上 にっこりぷかぷか月の上 ---------------------------- [自由詩]連想カーテン/ふく[2007年2月27日11時30分] 風が落ちた音がしたので 私の目は窓をみました 窓には装飾が施されていて モザイク調の風が白く見えました 白く見えた風は ただの空のかたまりでした かたまりはしばらく白色になると 灰色になって南に行きました 南は春ですか? 私は雪の中にいます 私の雪は白く濁っていて そう、ミルクティーのようです ミルクティーは好きです だって風が好きなものですから 風が落ちた音がしたので 私の目は窓をみました 窓には装飾が施されていて モザイク調の風が白く見えました 白く見えた風は ただの空のかたまりで かたまりは南に 春は私の雪の中に 私はミルクティーのようです 濁り具合が風に似ているから ---------------------------- [自由詩]月ジャム/ふく[2007年2月28日19時12分] ある夜 それはカリカリに焼けたトーストを頭に乗せていた夜のこと 私の足の周りには とてもざわざわ緑の海 私の頭の遠くには とても大きなお月さまが光ってた たまたまパンを見つけたお月さまは 私の頭めがけてジャムをおとしたんだよ 味はものすごい月味で ざわざわ海は笑っていたよ マーマレードのような 月のような 月のような マーマレードのような ジャムのレパートリーが少ない私は 色ならそれしか思い浮かばなくて ざわざわ海は笑っていたよ 月の毛色を映しながら ---------------------------- [自由詩]ある小夜曲/ふく[2007年3月2日23時28分] 透き通った黒に、私は何の用意もしていませんでした 立春の冬はまだ夜にあり、凍えるには充分 涙 それはそれは同じような線を辿り、胸まで達する程の 音は この夜があまりにも深いので、音まで飲み込んだ様 涙は無くならないのね とめどないからかしら 昼の優しい顔 夜は煌々と 白くて眩しすぎて、ごめんなさい 目の前の景色すら 涙が伝い落ちるのは 身体があるからなのね 私を、思い出させてくれるのね 曲が 曲が聞こえてくる 濡れた髪は涙の匂いがしました 凍える風は、知らぬふりでした ---------------------------- [未詩・独白]白い道/ふく[2007年3月29日17時42分] 涙が流れる 横に伝う 耳の手前で止まる 涙が乾く 道になる 白い白い道になる 道は砂漠になる 白い白い砂漠になる 足が取られる 空はない 涙が代わりになろうとする が 涙は道になる 足が涙に取られる 足が涙に取られる ---------------------------- [自由詩]カツコツ/ふく[2007年6月13日18時10分] 空から 空から靴の音がしました 夕焼けの網戸から避雷針が見えます そしてカラスも 夕陽を見るでもなく 色のない私を見るでもなく カラスは行きました 靴の音がしました ---------------------------- [自由詩]タラッサ/ふく[2007年8月20日22時00分]  海だ 群青の腕で絡めとられた僕の右足は ゆっくりと沈む 息はもう随分前からできなくなっていた気がする でも、 このしばらく使わなくなっている口からは相変わらず ため息だけは出るらしい 泡は揺れる天井へダンス 煙草の煙をまとって  海だ 白い布の海だ 起き上がれない 今日も世界という水圧に負けて 僕は溶けるように夕方に流される  海だ 天井は見えていた 明るくきらめく水面 深海はよく見えない でも色は見える気がする 僕の右足を掴む手が、そんな色をしているから 奥の色 奥 いろんな僕が混ざり合って 黒っぽい 群青に見えたのは気のせいか とっくに灰でできていたと思ったのに  海だ 箱の中で息だけ吐いていく いつ吸えばいいんだっけ 煙草の吸い方は知っているのに  海だ ---------------------------- [携帯写真+詩]めのめ/ふく[2007年8月21日10時38分] 切れ端 オレンジ カーテンから半分の太陽 ゆっくりとぬるい水を飲む 翻って 絨毯は平行四辺形の窓を作る 風はくもり 今日を伸びる 今日も ---------------------------- [自由詩]高架下のピアノの下/ふく[2008年5月16日3時43分] 空の 高架下のピアノの下 ストレートの風が駆け上がる シャツの中を駆け上がる 緑の思い葉が揺れながら海 夢見てる海 ピアノは相変わらず同じ曲しか トラトトトン タラタタンタ キラキラサラッサ トン キララサラ タラッタタン 空の 高架下のピアノの下は今日も 同じ風と音で揺れて、静かでした ---------------------------- [携帯写真+詩]マッチ/ふく[2008年5月16日4時12分] 夕陽が僕をマッチにする もうすぐ君が帰る 足をすっと擦って灯す 僕を灯して、夕焼け 君を待つ ---------------------------- [自由詩]天井の雨/ふく[2008年5月20日14時41分] 雨 音がする 沈みこむベッドの斜め上 伝い、叩くしろの音がする 煙草を吸う 天井からぶら下がる電気コードには 僕の息は微塵も届きはしない  ふー      ーう ゆうくりと天井に雲ができていく  ふー      ーう 雨は 朝から話が絶えない よく、絶えない 走る雨 低気圧のベッド 天井は、いつ雨を降らせてもおかしくない空 雨をよけて毛布にくるまる ---------------------------- [携帯写真+詩]灯りのつく頃/ふく[2009年7月4日1時51分] 夕青 黒に向かう時間 パパッパー 足元に小さな影 あなたを待つ 夕青 ---------------------------- [自由詩]不規則銀河/ふく[2009年7月4日9時56分] 目をつぶって、崩れる その暗い暗い そこに 不規則な時計の針の音がして 落ち着かない夜 いつまでも一定になる事の無い、秒針  カチ カチ カチカチカチ カチ カチカチ     カチカチカカカカ  カ あぁ これが生きてるって事かしら 不規則な秒針 散りばめられて集まるおと そこは暗く暗く、いつまでも出口はなく 針の音だけが 私が ---------------------------- [携帯写真+詩]傘影/ふく[2009年7月11日15時37分] 照り返す夏 傘が歩く季節 ---------------------------- [携帯写真+詩]リズム、イエロー/ふく[2009年7月11日15時47分] 青の空気 風を連れて歩く 歩くリズム 黄色の残像は 目に鮮やかに ---------------------------- (ファイルの終わり)