天鳥そら 2018年6月10日10時45分から2018年7月18日11時17分まで ---------------------------- [自由詩]赤ちゃん/天鳥そら[2018年6月10日10時45分] あかいほっぺを見て笑う ぷっくりほっぺをつっついてみる 黒いおめめは透き通り はじめてをしっかり眺めてる ---------------------------- [自由詩]ひとりブックカフェ/天鳥そら[2018年6月21日17時17分] ぺらぺらめくる。 さらさらめくる。 どんどんめくる。 ぴたりと手をとめ顔をあげ、ぼんやり何かを思ってる。 次はどこへ連れてくの? 架空の世界を大冒険、今日のお供はおしゃまな少女。 目にとまった、テーブルの上のティーカップ。 手に取りこくんと一口飲んだなら、今度はケーキを頼もうか。 メニューに躍る甘やかな、誘いを「NO」と断って、ぱらりぱらりとまためくる。 ---------------------------- [自由詩]あと一歩/天鳥そら[2018年6月27日17時21分] あと一歩が届かない あと一歩が踏み出せない あと一歩が遠い距離 たった一歩が憎らしい あと一歩 あと一歩 あと一歩で君が振り向く ---------------------------- [自由詩]だんまり/天鳥そら[2018年7月9日11時12分] 怒っているわけじゃない。でもだんまり。 二人の間を風が吹く。 私もだんまり。でも怒っているわけじゃない。 隣の彼をちらりと見て、だらりと下げた左手にそっと右手を滑り込ませる。 カンカンカンカンけたたましい。 地面が揺れて大きな音が駆け抜ける。 遮断機上がり、やっと言える。 おはよう。 左手が右手をぎゅっと握った。 ---------------------------- [自由詩]ぽっかりと/天鳥そら[2018年7月12日17時19分] ぽっかりと空いた時間に何をしよう 流れる雲はいつもよりちょっと忙しそう 吹く風は私をちっとも気づかってくれないし 花はまたねとゆらゆら揺れている 石ころはちっともこっちを見てくれない 大きなあくびをひとつして こっくりこっくり船を漕ぐ 「ただいま」と大きな声が響いたら 騒々しい時間のはじまりだ ---------------------------- [自由詩]時/天鳥そら[2018年7月18日11時17分] チクタクチクタク時計の針が チクタクチクタク前へと進む チクタクチクタク 決して後ろに戻らない 戻るとしたら進みすぎ だんだん古くなってきて とうとう壊れて時止まる チクタクチクタク時計の針が チクタクチタク音がなくても チクタクチクタク前へと進む 決して後ろに戻らない 誰にも等しく訪れて 歩んで歩んで歩んでく ---------------------------- (ファイルの終わり)