◇レキ 2017年10月8日18時47分から2020年5月10日1時21分まで ---------------------------- [自由詩]剥き鮫/◇レキ[2017年10月8日18時47分] むきさめの身を冷凍庫から取り出して そのままホイル焼きにした まるで許してくれるみたいに ほどかれながら箸につままれ ほわりと小さく湯気が上がった 温かくて ふわふわでとろとろで あの人の おっぱいみたいだなぁ ---------------------------- [自由詩]旅行メモ/◇レキ[2017年10月13日21時31分] 闇は暗さにしか生きないらしい 例えば雨上がりの朝は 闇の気配を残している 貨物列車がごとり、と音を立てる その分からない程の微動で 昨晩、闇が確かにあったことが分かる 雨雲を置き去りにして 空は随分甘い色 ※ 身体ではどうにもならないものを前に人は美しい 後悔が空に溶けてる 例えばどうにもならない後悔が この絶望の行き止まりに息絶えて… ※ どうでもいいや 貨物列車が草に埋もれて 人もいないのに遠くで風車が列をなして回っている 生産のために捨てられた町の駅 なぜこんなにも綺麗な駅名ばかりなのだろう だからこそなのか雲はいぶくように空一杯に生きている ---------------------------- [自由詩]無題/◇レキ[2017年10月13日22時08分] 世界へつながる大穴が開いて 手を?んだら飲まれて心が腐った 心が腐れば ケモノは生きるだろう、と 代弁者がただ不安を配り歩いて 代弁者はなぜ自分に穴をあけながら 人の心を泣かせたがるのだろうと聞いてみたら 生きることは美しいと言い続けていたいから、だそうだ ※ 破滅の使者がやってきた 一時の虚無に食われて死ぬくらいなら ずっと虚しいままに生きなさい そういって使者は小5から始める 道徳の教科書を配りだした 世界は腐った そして生きた ただ ひなひなとよどんだ水面を飛ぶ 糸トンボが鮮やかだった ※ 平和の使者がやってきて 虚しく生きるくらいなら 血を塗り合い踊りなさい そう言って平和の使者は 生れたてに戻る尺取虫の毒を配りだした 世界は生きた そして滅びた 埃っぽい空気の中でただ呆然と空を見上げる 猫が美しかった ※ 平和と破滅が 手をつないでやってきた そして言った 私らは神様で 生きていないから完璧です 君たちは偏りで どうしたって生きれると罪だ なんて醜いんだ、と 世界に苦しみと悲しみと どうしようもない困窮が吹き荒れました 雲は壊れ、崩れ、泣き、溶け、ぶつかり、混ざり そして真っ赤に染まりました ---------------------------- [自由詩]題名なんでしょう/◇レキ[2017年10月21日20時37分] (1) 思うほどに儚い 単純な強情さで だからこそとてもとても 大切にしたいのに 光のようにわすれがちになってしまう 哀しみそのもの (2) 自身の汚れを小さく見せて それから相手も見せてくれる喜びに耐えられず また、汚れを小さく見せて それからまた、相手もみせてくれる喜びにって 最初から終りまでそうなってしまうこと (3) どうにもならないなら 殺してしまえって どうにもならないから 愛してしまえ どうにもならないなら 行きつくところ まで行って それから考えなくちゃいけないこと ※ (4) 極めて退屈でつまらなくてそのうえ維持するのが大変だけれど 何より自分の心の地位を保ち、安心を与えてくれるもの (5) 他人の訪問を許せるように 入っても苦しくないように 自分を守るために 育てるべき本心を守る空洞 ※ (6) 遠くに見る大きな幸せを 思えることの美しさと 不甲斐ない自分をどうにもできなくて サラサラ心が風にさらわれる事 (7) 外から軋轢がやってくるから 呻いて転んでまた走り それでも心がむざむざに殺されて でも生きている事 (8) 苦しみが過ぎ 心の穴の治癒 病み上がりのぼんやりした心のまま なんだか全てを凌駕した気になって 無意味にふらふら歩く事 ※ (9) すり減った 心の隙間の真空を 風がぎりぎり通り過ぎる音 (10) 悲しみに触れてみるけど 全然痛くも痒くもなくて 楽しみを笑ってみるけど 心がマジ真顔 無茶苦茶に何にもなくて 足元の土でも貪り食ってやろうか (11) 陽を浴びて 本当はきちんと立ったつもりが そのままべちゃりと溶けてしまった草 (12) 充血した大きな目で横をにらんで 小さく舌打ちするような いくら自分を殴ってみても 全く減らない五月蠅い真空 (13) 暖簾に腕押し 糠に釘 とりあえず 水面叩いて遊んでる 楽しくもないのに楽しんでいる 自分 (14) 脳から幾度も 春風たゆたう楽しみを ただ黙って心地よさげに 脳からにじみ出続ける 美味しい味噌汁を一人でずっと飲んでる ※ (15) 水面に出たいのに眩しくて 必然に流されて水中の中を滑ってゆく 振り仰いでは息を吐きだし 叫んでも届かない 叫んでも届かない (16) 変わらずここにずっとあって いくらずけずけに刺し通されても 一瞬で元の形に戻っている 現実と乖離してるのに 握りつぶしたくなる (17) いるはずなのに 真っすぐに見ても見えない 見えているのに 不思議で虚しい 確かにあるのに 忘れたりしないのに 掴めない心の光 (18) 無くなる事にすら なにも感じなくなってしまって 明日の事も知らないくせに 放心しながら歯を磨く事 (19) 美しくて触れたくなるけど不安で あけすけに笑って見せてから 太陽を眩しそうに見上げる事 ※ (20) 日がかげってゆく さよならと呟くたびに そうならないでと心が叫ぶから 中身のない会話の 後ろに輝く大きな意味 (21) 光に惑わされないように 目を細めて見るけれど すでに立っているその場所が 光で埋め尽くされている罠 (22) 自分ですらも気づかない内に 無意識の視線の切れ端に光る 歩む歩幅の小さな揺らぎに光る キラキラと散る、淡い綺麗な欠片 ---------------------------- [自由詩]題名なんでしょう2/◇レキ[2017年10月21日21時23分] (3) 瞳は無機質にも見えるのに それでいて裂けたように生まれている 一人で簡単に生きているのに 甘えるように近づいてくる すべて知っているようなのに それでいて途方もなく必然にいる 矛盾をのらりくらりと生きている 乾燥した死と湿潤な生を持ち歩く だから美しい だから寂しい だから 一人の時ほど哀しい時ほど 冷たい所作でやわらかにすり寄って来る奴らのこと (番外1) 自分では気づけない 心の湿気の充満に 差し込む陽射しが吹きこぼれ 他を思うことで生まれる罪悪感を 一緒に洗い流してくれる (番外2) 忘れたい 日々の後悔を 皆に楽しまれてしまって はにかむように 苦しみ笑うこと (番外3) 誰しも 必ずほどほどに必要で しかしありすぎると心が殺される 心を新鮮に保つ毒 (番外4) 所詮はあそび道具に過ぎない 空っぽな分小さく叩いてもやたら響いておもしれえ 壊れるまで適当に叩こうぐらいの 心の片隅にたまに思い出すくらいの おもちゃ ---------------------------- [自由詩]無題/◇レキ[2017年12月23日20時34分]   心と所作と雨の答え 雨 雨 あがるな 心を砕き続けてよ 痛みを 忘れないように 鮮やかさたちには血の色も 数多の原色 心が染まる その危うさに 恐怖に飲まれ 明日の自分さえ分からなくとも 雨 雨 あがれ 陽射し 雲間に美しく 脆く崩れる無意味たちに 美しさをさり気なく まとわせて 他とのまろやかさを そして 自分の生の執着でさえ 暗闇から救うと言おう どうか 心 ちぎれ 零れ落ち続ける内側を どうか 所作 磨かれ やさしくやわらかな外側を ※   梅の実 落ちた僕らの煌めきを 吸って静かに樹が生える 土に染み込む苦しみを 滋養にわさわさ葉が茂る 霧にたゆたう寂しさに あてがうように実を付ける 泣いてるわけじゃ ないの 泣いてるのは 君かなあ なんて ほとほと落ちる 毎日落ちる 肌色の実を 鳥や虫や獣と 共に拾うの 僕ら さりげなく 轟々と生きる樹々の 転生を頂く僕らがいる 燃えながら ちりちりと生きる僕らの 儚い虚しさを喰らう樹々がある ※   日々 嘘と無さしかないこの世界に 訴え続ける一人の眼差しがある どんなに嘘で自制させても どんなに無さで埋め合わせても  本当 が唯一ここたった今目の前にいる 泣いてもいいですか 笑ってもいいですか 奪いたい思いが悲しむ 吹きすさぶ闇の嵐の中に 決して消えない小さなともし火がある 灯りを掲げると見えなくなる  本当 の小さなともし火がある 悲しいな 悲しいな ?めたら 掴めたら 状況の絡まり蠢く関係の中に 決して鏡に映らない一言がある 呟いてみると消え去ってしまう  本当 の思いがある 気にしない 気にしない 忘れよう 忘れよう 満ち満ちた緑の中に 埋もれそうな悲しみが光る 手に取ってみると霧散してゆく  本当 の一欠けらの涙がある 終えよう 終えよう 僕が透かすと 虹色に溶けて 互いの思い見つめる扉に 去らせない小さな鍵がある ただ少し指を触れ カチリと放てばいい悲しみを させないように窓の外から風が笑って  本当 は未熟な僕にとって救いだったから 代わりに小さく唄うのです  本当 は 僕の生そのものに訴え続けるのです これからも僕に溶けるのです だからそれでもいいのです 君からもらった 本当 は しなやかに形を変えながら 僕の心に生き続けます ※   後悔 靉靆と雲は流れて 壊れる方向であっても 恋は 甘やかで鋭利 靉靆とした心に にわか雨と春雷 洗いきれずに 靉靆を外して歩いた僕は タガまで外してしまったみたいだ ※ 言葉は心が生むのなら 言葉は心が生むのなら 生きている面白さが 真っ黒な顔をしていても 現実ばかりが 世界を成しているわけじゃない 言葉は心が生むのなら 見えないものもまた 世界には確かに組み込まれている 歯車を 光は動かす力を持っている 言葉は心が生むのなら ※ 必ずあり得る約束事を 踏み倒して絶望がゆく 別に大したことじゃない? ただ今日あった一日が ごうごうと後ろに去ってゆく どれほど日々が どれほど生きている今が ※ 鉈を振り下ろした 樹の断面は 一瞬の鮮やかさを時間に捨てて 忘れたように 縮こまるから 困る ※ 落ちてゆく 関係は罪を内包している 関係という罪でゆく 関係という罪が笑って 関係という罪で歩く 関係が生かし 関係が人を苦しめる 関係で人はきらめいて 関係が落とし込めて 最後に小さく微笑んで見せてよ ※ こんなに明るい朝日が笑う 時を瓦解させるほど 苦しみは心握りつぶす強さで 止まらない日々を忘れた夜明けに 世界はこれほど美しかったと知る ※ 当たり前な今日がある事が どれほど幸せなことか 叱責してくれる過去があることが どれほど幸せなことか 焦がされる未知があることが どれほど幸せなことか 思うほどに儚い 単純な強情さを持つ哀しみそのものを 忘れないように 朝日に透明な心を透かす ※ 空っぽと 変わらない乏しさは 掴めないまま慣れすぎたから 忘れた 気付けばこんなに寒い ---------------------------- [自由詩]無題/◇レキ[2018年1月7日10時57分]        砂漠と街 谷を下った 生きることは谷を下ることだった 谷底には血糊があった 谷底を下った 行き止まりかと思った 絶壁に挟まれたけど さらに進めた 景色が晴れた 小さく見える海と砂漠があった それと古い街があった 雲が影を落としていた その日は 随分陽射しが強く 一段と雲の濃淡がくっきりして ごうごうと熱風 吹きすさぶんだ あの人は あいつは どこに行ったのだろう 砂の嵐が痛くて 痛くて テントを何度 張り直したろう 沢山の人が訪れたはずなのに 小さく微笑みさえ浮かべて 決まってテントを不思議がったのに あの人は あいつは どこに行ったのだろう その夜は 風なんか全く無かった さざなみの音がただ響き 叫び声は波に溶けて ただ月が浮かんでた あの人は あいつは どこに行ったのだろう その無音が優しくて 哀しくて 煙草に何度 火をつけたろう 誰もいないや 小さく微笑みさえ浮かべて いつものように小さく咳ばらい あの人は あいつは どこに行ったのだろう あの人を探している街がある あいつを探している広さがある 絹の服をまとった あの人がいないや 喋った事などないけれど 砂漠の空気によく映えていた そっけない化粧 伏せがちの瞳 きれいな絹 つい触れたくなる絹 触れたくてたまらないあの人に ちょいと触れたりでもしたら はたはた飛んで行ってしまうような そんな、急な風が吹くものだから もう心は追いつきたくて 紺の服をまとった あいつがいないや 喋った事など無いけれど 砂漠の空気によく映えていた 金色の腕輪に 切り取るような横顔 紺の七分袖 つい目に映したくなる紺 遠くに見えるあいつに おーいと声をかけでもしたら さらさら去ってしまうような 確かに地下には水脈が とっくに心に追いつけない あの人と喋った事などないけれど 喋る時の仕草が好きだった はっきりしないで何気なかった それを見るのが好きだった あいつと喋った事など無いけれど 喋る時の表情が好きだった ぼんやりたのしく笑ってた それを見るのが好きだった 続く小さな日々を願うから 昼はたまに散歩をする 冴えわたる緑の中を たまに少しの水を飲む、木の実を拾う 茂みから聞こえる 鳥の声を軽く聞きたい 夜はたまに焚き火をする 淡く光る星々の下で たまに少しの木の実をつまむ、水を汲む 街の端から聞こえる 人の声を遠く聞きたい 甘く裂ける不安と共に 鮮、とした自由と共に 僕は確かに柔らかい糸で水筒の紐を編んでいる 虚空に対しながら 変わらぬ堅さで ※    丘と少年 これまでの寂寥 場に溶けず消えたがる自身の妬み これまでの破壊 刹那に消えてしまう色の無い虚しさ 絶望に諭されてようやく穏やかに 小さな意思になる 小さな勇気になる かさぶたみたいだ 少年から地下まで裂けた埋まらなさに 花から溶け流れ 生まれた小さな丘 美しい悩みに柔らかに日は射し 悲しい約束事で樹木は茂り 愉快な煩わしさで土を豊かに 吹く風に 影をつくる雲に 泣き声の根源の全てを明け渡し 人生は美しく 生きるに値すると表明し続ける 風景に馴染んでゆく小さな丘 少年は 花と鬼に明日への導きを乞う 初めて身の丈の自分を見つめる ぼんやり丘を眺める 少女にささやかな秘密を託す そして願う 切実に 切実に 明日も生きていたい、と… ---------------------------- [自由詩]無題/◇レキ[2018年3月11日11時17分]   お爺ちゃん   真っ昼間 海辺の無人駅に一人座った 何のために来たのかも分からないまま 海が見渡せる方の端っこの古びたベンチで昼寝をした 陽が傾いて折れたような首元に柔らかい光が当たった 見飽きた、大事に育てた花の蕾を軽やかに摘まれる夢を見た 悲しいとも思わなかった 風が少し冷たくなって 空と海の境界線に死んでゆく、鯨のような雲を見た それは繰り返される陳腐な日常に成り下がっていると知った 雲から生まれた結晶はそれぞれの中にしか咲かないのだと知った つまらないとも思わなかった 誰もいない 流れ星を見た それは涙がつい、と頬に零れる速さの様だった きっと忘れると思った 2018/3/11   お兄ちゃん ほら終わりと、情が優しく微笑みかける しくしく泣いてもいないのにって 死の手招きをしているみたい ほら日常と、情が優しく爪を立てる 壊れて千切れてもいないのにって 拳で叱りたがっているみたい ここにもいないのに どこにも行かない どこかに行くこともせず どこにも行けない振りすらできず 無いように隙間にもぐりこむから 毎日が陽だまりに死んでいる 残ってしまった空っぽの生 力むことも諦めることも忘れてただ世間を浴びている 反転してゆく感情を噛みちぎればしたたる事からも逃げ ただ呆然と光に目を眩ませる (でも生きているなら) 例えそれが正しい悪意の残骸でも疲労した錆びた優しさでも 朽ちる事なく情はあるから生きてゆけ 2018/3/11   お姉ちゃん ほら先に見えるよ すっぴんの幸せ どんな関係の煩わしさや自身のもろさにも それはいつもある毎日に過ぎないから めんどくさいな 決まり事ばかりの丁度よさなど ばらまかれた水しぶきの全てを許せよ 枯れている事だって美しい お日様の情にもたれ、枯れたから けれど春の陽気に あなたの思えるお日様色で花は咲くのよ 2018/3/11 ---------------------------- [自由詩]無題/◇レキ[2018年3月25日23時42分] 分からないというそれ自体に ふたをしたら死んでしまうよ 分からないというそれ自体を 叩いたら底が抜けるよ 分からないというそれ自体の 美しい 美しい 上澄みを 猫が小さくなめている 2017/6/28 ※ 言葉から逃げれない 辻褄を合わせようとすると 逃げてゆくそれ自体がある 泣いている人がいる 何も変わらなくてもこまごまとした日常たちは 簡単に日々を積み立てる いとも 簡単に 忘れたように 2017/6/11 ※ 一瞬で切実な感情が叫んでは遠くさらさら溶けて あの実感も この実感も 嘘だったみたいに僕の見えない一部になる 裂け目から広がってゆく 原色の鮮やかさを忘れたくないのに 2017/6/10 ※ 心と現実との掴めなさに詩があるなら 表面になんの意味があるだろう 溶けて溶かしてゆけたらいいのに 掴めなさを現実の力に変えて 過去が崩れていってるのだろうか 2017/10/13 ※ 人は空っぽの 真っ白ペラペラ素材のカラーボールだ 大波小波ざあざあと泣き崩れるように様々に 染め抜いてゆく感情が僕 2018/3/25 ※ 夏の海辺の町中のにわか雨の夢を見た 寂しくてたまらない 後悔を忘れたいのは惨めな思いになりたくないから (唯一感情で形作られる僕なのに) 確かに無から生まれる感情は、ただの波だったのさって 大事なもの全部かっさらって腰砕けに散り果てる 寂しくてたまらない 寂しさは一人じゃ生まれない 誰かに会える予感のようなもの 例えば過去に、その消え去った感情に 置き忘れた人がいるのなら きっと寂しさの様なもの 寂しさもまた、すぐに忘れる 下らなくも綺麗な感情 そんな儚い時間を 閉じ込めれたら いいのにな よかったのにな 2018/3/26 ---------------------------- [自由詩]泡のお風呂/◇レキ[2018年4月14日13時37分] 「あ」 と言われたら 「にゃ」と言いたいのかも でもフツーは「へ」らしいから 「へ?」と言わなきゃいけないのかな それともいいのは「にょ」かな うむ、そうかもしれないな はたまた 「へにょ」とか言っといて 何も言ってないみたいにするのがいいのかな いやいや、もしかしたら「あ」の人には 「そ」の人成分が含まれているのかも 「そ」と言われたと言う事は 「ねぇ」でいいのかもしれない しかしあますぎるかもしれないし 「あ」の人はずっと「あ」の人で 「そ」の人、というのは僕の錯覚かもしれない だから「あ」の人でも「そ」の人でも自分が崩れないように… 「あ」 「ひょ」 ……… (え?) ……… ……… ……… (しゃべるって、むつかしーなぁ) ※ にゃにゃんがにゃーん 大人になった振りをしてるよ くすくすくすくす 溶けちゃうよ わんわんわんわん 泣いちゃうよ そっと そっと もたれかかるよ ※ ぽんぱぽん ぽぽんぱぽん ぁ、ふふ、ふりゅり しっくりさっくり すこししっとり さわる ぱちぱち、さらさら ちいさいためいき (ほんとはもっとなんだ) まみむめも ちりっ 人 とすとす ねえ、ねえ (ぼくはここだよ) 人 とすとす ねえ、ねえ (きみしかみないよ) かしゃん… ぽーん ぽーん あれ あれ きみしかみないのに ぐぎ 下見る ぎゅって目になる ぼく、サンダル (きみしかみないよ…) 明日に逃げるなよ ぎゅ! さらさらさらさら さらり 「お疲れ様でした」 スタスタスタスタにげるね ずたっ アイス食べよう やわやわ これくらいなんてけろけろさあ (ざあざあ) (ざあざあ) 夕陽 かーん、かーん かーん、かーん かなしいな むなしいな 本当は、もっとなんだ 2017/04/26 ※ バキバキ ぽややんもあったっけ ないねないね 漠々と景色だ 砂粒拾えば 砂粒拾えよ そこにきみがいないから どこにいるのかな 空気のきしみにそう言っている さ、さ、さ、さ しゅうしゅうしゅう が、が、、、が! 変なのって、つーん きらきらはどこって、違うかな さっす、がっす! 変なのって、つーん 嘘じゃない? 嘘かなあ つごー!ってなんか ぶつかってきて 風強そうだ つごー!つごー!つごー! ああ しっくりだ 悲しいかな しっくりだ 2017/04/27 ※ 心の溝がカチリと合う こんなに身近にあるものなんて 互い ほぐれて温かいのに 互い 愛の触手を伸ばすのに (最後にちょっと、手を握ってよ) 僕の 開ききらない翼の その空白分の虚しさに 君は離れる 悲しそうに笑うのに 手を振ることしかできないのに (最後にちょっと、キスをしようよ) 僕の 開ききらない翼の その空白分の虚しさに 心の空白をそっと抱き合えたなら 感情をここに忘れてしまいたいから もう会えない寂しさを せめてもこの一時の 心の芯まで出会えた幸福で浸らせて 2018/3/26 ※ 不安が消えた空白に あなたがいないから 少し怖いよ 桜は散るのに咲くように 満ちる分は必ず風にさらわれる でも忘れようとしなくてもいいらしい 嬉しいと笑えばいい 楽しいと叫べばいい どうせ どっちにしたって 桜は散るのに咲くように 満ちる分は必ず風にさらわれるのだから 樹はもしかしたら何度でも 死に続けて年輪を太らせる その命を内に閉じこめて 同じ様に 温かさに花を咲かせるために 2018/04/13 ---------------------------- [自由詩]無題/◇レキ[2018年4月24日22時46分] 誤解に勝てない ほらまた どこかで 僕の知らないところで へったくれもなく 僕が焚きつけられて ぼうぼうに燃やされている 心がぎりぎり絞り千切られて ぼろぼろになって水分なくなって かき集めようにもぐちゃぐちゃで 何よりの強さは 暴力や見下しや 誹謗中傷とかじゃない とかじゃない ずるさ 2018/04/16 田んぼ トラクタは 草 跳ね 飛ばして進む 人も 樹々も 空も 雲も 空気も 初夏を整え始めてる 2018/04/16 雨上がりの朝は少し冷たい 端から順にハウスを開ける もわりとした 枯葉や稲藁の 少しずつ発酵してゆく 優しくて 暖かい匂いの空気は 小さな苗たちの羊水みたいだなぁ 2018/04/16 昨日の雨がおいしかったね 今日の朝日が嬉しいね だって 覚めるような新緑の 樹々からぽたぽた 垂れるしずくは 空の淡い水色に透かされて とっても甘そうだもの 2018/04/16 1日の終わり 雀達がそろそろ ねぐらに帰る相談してる カエル達が だるそうに鳴き出した 藤がふと 風にほのかに香らせて たった一人で 静かに散ってる 夕方には何故か 誰もがたった一人になる 瞬間があるような気がする 2018/04/21 いつもの今日 悲しいね おはよう 青空だね 今日も日常に肉付けされて 触れ合えぬまま 今日に埋もれて行くよ 無さに消え去る今日に 2018/04/22 滞って 澱んだ心を 熱い湯船で溶かそう 湯気と一緒に気化して行けよ まるで心だけになって 重心を失いながら ほつれるように 歩くみたいだ 2018/04/22 何にも 生きる事に関係ないのに レースのカーテンが 魅惑的に風に揺れている 何にも 生きる事に関係ないのに カーテンの隙間から 誘うように光が吸い込まれてくる 何か 悪い事 したかな 2018/04/22 ---------------------------- [自由詩]無題/◇レキ[2018年5月11日5時26分] だって ほら もうすぐそこに いきるたのしさ みつけてしまったんだもの いきなくちゃ かなしくて かぜのみこむないしゅけつに たくさん おらなくっちゃ いきること いいよってそっと てを ほほにふれてくれるせけんに ここにいなって ごうごうにわらってくれる このじごくに 2018/05/08 海に向かって歩いてみれば 星々は落ちてゆくようで 行き止まりだな 諦めたくもなってしまうよ 燃やし尽くされた言葉達 深い無に 力みも忘れて立ち尽くす 絞って雑巾 空を拭こうか けれど 飛沫の 底からどこまでも湧き出る 力に圧倒されながら ちっぽけな 僕の丸めた日常のレシート 飲み込んだ 波 浴びていいんだ 何にもなかったなんて 思い違えて帰るけど ふと 楽になった心は 波に何を預けて 何を頂いたんだろう 2018/05/11 ---------------------------- [自由詩]後悔/◇レキ[2018年5月11日5時31分] 満ち満ちて 無くなって しまいそうです 転がるように 天が笑うのを 僕は地面ばかり 青々とさせてしまって 満ち満ちて 弾けそうです そっと掌開いたように 木漏れ日は ざわめいて 僕は触れてしまった 気分なんです ---------------------------- [自由詩]/◇レキ[2018年5月13日15時15分] 茜色の雲だらけ たゆたうように飛び交うの あなたと一緒に お天道様にまた明日 緩めて泣くの そっと産毛が触れあうようね 離れる距離はどこまでも 言葉の光に抱きしめられた 散ってゆく 光の唄を 心にとどめて 絡めた唇 あら 微笑んでいるのね ---------------------------- [自由詩]つかの間/◇レキ[2018年6月6日16時24分] 詩っつうのは無意味なのかなぁ (今日はいい詩、読んだんだ) 虚空を掴んだ握力は そのまま真っ黒なレモンになって 僕は無力に口開けて 高濃度の滴る宇宙を頂く なんつう痺れる感覚なんだ もうびりびり僕は全裸になって 目から鱗がぼろぼろ落ちて 突然身体は腐っていって 全部境目無くなって 死んだみたいな 途方も無い快楽なんだ 詩っつうのは無意味なのかなぁ ああ 腐りまくって たまらない ※ その人が言葉に宿るのは 言葉が疲れたりしない証拠じゃないか 何度でも踏み越えて 実感に根を張って ほんの一瞬の感情の「本当」に身震いをしながら ※ 理解が瓦解し続けること お日様の光が当たれば僕はじゅくじゅくに溶けた 何にも言わずに幸せじゃないか それは絶望とよく似ているが 例えばそれは自身を 折り続けた血しぶきで 引きちぎった快楽で 握りつぶした髄液で 幸せとは(あるいは絶望とは) きっと途方も無い脱気にあるんだ きっと瓦解し続ける前提にあるんだ 知識への欲望は 思考頬張る快楽は きっと全部壊れることに住んでる ※ 詩は書くその人自身 肉塊のまんまじゃ見えない 目の奥に宿るその人は 突っ立ってたって見えやしない ついでに言えば 服脱いでも髪引きちぎっても 肉削いでも骨粉々にしても見えやしない 詩よ死ぬな 詩は究極の露出狂 いつまでもその無意味な快楽に酔っていて 僕はそれを眺めているから… ---------------------------- [自由詩]風景/◇レキ[2018年6月13日11時10分] 方向や統率を取るために、生まれた隠喩は つまりは説明の為の隠喩だ しかしこと細かく説明すると隠喩は ぐちゃ味噌に溶けて「それ自体」に近づいてゆく それ自体とは説明ではない なぜなら風景を風景と言っているだけだから(言葉が対象に溶けすぎるのだ) 詩作の肝は溶かし具合なのか 固すぎても、やわすぎても、見えない(しかし何故か、青いと見えたりもするような) しかしそれは錯覚なのかもしれないが 方向こそが人に決める力を与え、生かしてゆく より深い場で決めれるならば、浅いよりも生を豊かにするような 隠喩という固化させる道具は水風船の様にそれ自体を区別する 綺麗にくるくるそれ自体を膜で包み沢山の粒にしながら(そんな詩) 最後の最後に空に全部ばら撒いて彼方にどこまでも飛ばしてゆく(それは小さな一文に宿ったり) ※ その境を知りたい 人の内側においての生の力の強さ(楽しさ)は「そう決める」事がどれだけ出来るかだ どれだけ確信を持って出来るかだ 他の見方、批評によって「溶ける」事がある それは実質的な世界で苦しい 生の軸を失うから それは感受性にも近い 時にそれは、毎日がこびりついた煤けた体を ばりばりと剥がし、新鮮な色を自覚させる事がある (それはつかの間の至上の快楽かも) 感受性とは他によって自分の心が破壊される事だ 心の内側にあった生暖かさを、その断面を 改めて実感として感じる事だ その、治癒の過程の涙の事だ ※ 人は「より正しく」世界を見ようとする性を持つ 何故ならより見えている方が優れている設定になっているからだ しかしより深く見ることは、決める、という固定を溶かす より正しく見ようとする性、と 決めることで人は生きること、は拮抗する (人にはある程度の無知が必要なのか) (どこまでも正しく見ようとした時ある一点で穴が開いて決めることが出来なくなる) (結局風景は風景になり) 一つの在り方 自覚しながら、色を纏うこと、役に徹することなのかもしれない 一人一人が「それ自体」という「無限に葬られ続ける正しさ」に焦点を遠くで合わせながら 隠喩を超えた(?)そう主張する人として決めることを自分(人)によって固定させ 沢山の「様々なそう主張する人」によって正しさ(決めること)を保持させる かつ、それぞれの主張によって「出し尽くす」(それ自体を覗かせる) のがあるいはその境に何か、近いのもしれない (主張は常にそれぞれ個人の利益に帰着しがちな中で 溶けがちな性質を持つ「詩人」はやはり弱いのかな) ---------------------------- [自由詩]愛/◇レキ[2018年6月19日18時53分] Q. 何故私があなたを大事にするって言うか知ってる? それは、私があなたを大事にしない事はあなたが私を大事にしない事への過大な可能性を持つからなの だから私はあなたで遊ぶの可能な限り でもそれはあなたを大事にしないことなの 私はあなたにずーっと大事にされたいの 私、本当はただ、それだけなの。本当に、それだけなの 私はあなたを大事にしたいって言うけれど 私、本当にあなたを大事にしたいって思ったこと、たったの一度も無いのよ? そんな思いなんて今にも風に飛ばされそうな電柱に張り付いた広告、快感への言い訳みたいなものよぉ? あなたが無知である限り、私はあなたを大事にしないの だって馬鹿にするの、とっても楽しいじゃない 本当は、だから可能な限り馬鹿であると、知らないでいると、私嬉しいの 私がどれだけあなたを馬鹿にして、コケにして、みんなでゲラゲラ笑い合っていたか、知らないでしょう、 どれだけあなたの利益貪り漁ったか、知らないでしょう? それでね、あなたが無視したり、怒ったりし始めるとそれは、 あなたが私を大事にしない方に顔を背けることでしょう? だから私、そんな時だけ言うの。あなたの方向いて。甘い甘い、それは優しい声で。 「私は、『本当は』あなたが大事なのよ」って。 愛は死でしょう? 死から逃れる言い訳で、私は愛をばら撒いて、生き続けようも試みるのよ。 それからね、私殺意を待ってるの。 あなたのその、私が産ませた理不尽さへの殺意ってとっても美味しいのよ? ほら、おいで? A. 1「ざんねーん!鈍器で後頭部どーん!」 2「お前なんて、お前なんて、…うぇーん!…あんっあん…」 3「にゃあ…」 4「電源、プチッとな…はぁ、やっと消えた。綺麗な青空だなぁ…」 5 その他 … あれ、答え出ないの? というかそもそもあなたに何の力があったんだっけ…。何もないのね。 ふふ、でも、今振り向いたよね?こっちを振り向いてくれたわね よかったぁ。じゃあ、あなたのその、足りないぶん、あなたを餌にして、食える人全員食べてくるね じゃあね?? あら、お父さん、あら、弟さん、あらご近所さん、あら、あら、… (フムフムなるほど。これが本当の愛ってやつか…) ---------------------------- [自由詩]幸せ/◇レキ[2018年6月21日14時31分] 最初から 何も始まってなんかないんだ 何も始まったりしないんだ 別にそれでいいんだよ 最初から 何も求めてないんだよ ただ生まれるから捨てるだけ 本当にただそれだけなんだ どんなに空間裂いたって 無意味 人はいつでも 果たされなさに息をする どこにいても止まり木を借りる様に生きている 何かを失ったような気がしてからずっと 意思など虚言のようなもの 言い終えるうちに飽きている ※ 骨折り損に立ち上がってた 最初から終わってるのに 僕は積んでる腐り続ける生ゴミの様な過去たちだ 全部 全部 底抜けて 実はもう何でも楽しい 死にたいくらい幸せなんだ まともに生きれる気がしない ※ ばら撒きまくった感情が 海の藻屑になって消えた なんだかとても幸せな気分 世界が無意味と知ったから 陽の当たる柔らかな一面のお花畑でさ、 みんな、死んじまえばいいのになぁ そしたらきっと幸せだろうに 幸せだなぁ 何て幸せなんだろう もう、一生分の幸せだ ※ ただ笑ってればいい仕事があればいいのに 幽霊みたいにどんな場所も取らずに 風の色をだらだら見続ける感じで えいえんにぼーっと出来たら それは幸せだろうなぁ ---------------------------- [自由詩]無題/◇レキ[2018年6月29日18時08分] 色々と、忘れて淀む 沢山の核心が稚樹のまま死んで土に還ってゆく 僕は毎日夢を見る 何もかもが分からない 自分が在るという事以外存在するものがない 人は僕を何と呼ぶのだろう まとわないものに 削がないものに 目を向けずにいる配慮に 痛々しい強がりに ※ それはあなたの乏しさ それはあなたの美しさ それはあなたへの諦め それはあなたへの緩やかな肯定 それはあなたの瓦解と預けた悲しみ それはいとも簡単なあなたへの情 それはきっと自身への正しい不信感 人にはピントがあるらしい 周りがあなたを見て思う あなたは周りを見て思う まといもせずに全部壊れてしまったんだな 僕はさっぱり訳分からない ---------------------------- [自由詩]瓦礫 2/◇レキ[2018年7月21日7時07分] 完全にすりつぶせ 火種完全にすりつぶせ もう燃えたりしないように 全部壊せ 変わらず際限無く水銀が蛇口から出るから ※ これはもう毒ですらない ゴミ 臭いだけのゴミ の不快感 生ゴミで埋まればいい ※ 食うだけ食い散らかして 楽しむだけ楽しんで 金奪うだけ奪って その上 帰って文句垂れ流して ああ、いい人生だろうなぁ… ※ もう会えません 会えるようになるまでは 極寒のような毎日がいとも簡単に口を開けている 言葉なんか臭すぎて生ゴミだ 全員絶望して自殺すればいい 僕だけ生き残るから ※ 僕をだませてよかったね みんなでいたぶり遊べたね おいしい光をたっぷり浴びたね 優越感に浸れたね 僕をだませてよかったね 素直をむさぼり食いまくりだね 金を奪うだけ奪いまくり 安心をありがとう 蹂躙という安心を もういい加減 にやにやした上目遣いで 近づいてこないでくれないか、心の底から屑たちよ ※ 生きているということ以外に 在ることは存在しない 全部霞のようなもの まとうものも地位も これまでのあらゆる蓄積も 皆唯一ある 生きている を 必死こいて滑稽に狡猾に  生きている している 人は一瞬にしか住まないのだから… なんてしていると ぷー太郎の僕はある日ぽっくり撲殺されるなぁ ※ 乏しいほうが幸せだなぁ 欲望とは追い立てられるということだ ※ 思い違いじゃない 人の関係は価値観の違いが成立させる 個々人の様々な納得が成立させる 関係とはそれぞれが利益があると思うから生まれるものだ 時に互いの利益によって関係が生まれ 関係を持つために形式的に互いが利益を作る… ※ しらねーけど 互いが認めるだとか 空気に合わせるだとか そんなんじゃねーの 獣は別に変身じゃない グラデーションみたいなものだろう 別にみんなやってるし ※ 青さの魔法は 知らないことによる憧れと 特有の異常な熱と 過度な空想なのかも あるいは知らなさを、そのあるはずの無い壁を思い切り振り切ることができることか 要は無駄なエネルギー エネルギーの無駄遣いが青さの美しさ ならば、命を全部無駄遣いしたら、そんな美しさはないなぁ… ※ そいつは何も生まない ただ拾って捨てるだけ いっちょまえの顔はできるけど やってることは何も無いくそ ただ自分を立たせることしかできない 人の脳みそを 子ねずみちゃんの様に うるうるしたかわいい目を 尊敬と嘲笑入り混じりながら微動だ燃せず見続ける ※ そいつはただ 狂ってプログラミングされた衝動と あまりに幼稚な感情を思い切りはじけることをするだけの道具 そいつに実感は無いただの快感に反応する道具だ だからそいつに何を言おうがそいつは何も聞いていない ただ会話というていで反応すべきことを反応しているだけだ そいつにはなんの実感も無い 反応すべきことを反応するだけ そいつにあるのは快か否かのみだ 決められた物事の上面をはぐようにしかそいつはいない そいつは空っぽの快に反応する道具でしかないのだから そいつはどこにもいない そいつは存在すらしていない ※ どこ行ったって一緒だな 書くことすら力ない どこ行ったって一人だな 何したって変わらんな 乳母車の車輪をずっと一人でくるくる 回しながら遊んでいた頃と 着替える事は出来たって 自分からは逃げれない 適当なこと言ってはぐらかすんだな 生まれた時から一緒だね 仕組みが欲しいな 生きてゆくことの仕組みが ※ 僕を蹂躙することで 生まれ、回り続ける関係が いつもやさしく微笑みかける ゴミで重くなってゆく 背負うほど 僕はどんどん痩せてゆく ※ 「 この ちょっとした 赤い 赤い熾火は少し前に頂いた ぼろくそに燃やされた僕の残り火よ ほら 目の前の 君を殺意で温めてあげる 「 ありがとう この火をほんの少しづつ ジョーロでお花に水やるように 陽射しが今日も ぬるくてごめんね ザアザア消せよ きらめく残った内臓は 生の狂気に隠されたまま 見えないな 力の明暗 僕にとっては 今日は随分風が強いな 「 貧弱に 何で見せなきゃならねえんだよ どうせこの世の行き止まり 勝手に触ってんじゃねえ 勝手に満足してんじゃねえ ほら お返しに 屑みたいに燃えやすい お前を鼻で笑いながら 焼却炉でチンしてあげる どうせ糞ほど面白くねえけれど 暇だし 2018/5/5 ※ 関係は罪を内包している 生きる事の狂気は絶えずこんなにも守り抜いている 生きる事の面白さはいつも真っ黒な顔をしている 夕方の 燃やし尽くしたような虚しさは お礼言って 終り じゃないのね 次の餌箱 探しに 行くのね 前 向いて生きるって きっとこういうことなのね 2018/5/5 ※ 周りをくるくる 許されない ちょっとだけちくっと 壊れそう 笑う事すらしてくれない 絶望 こんな誇りに こんな誇りに 2018/5/5 ※ 隠喩に生きる住人は マッチ一本で火事のもと お互いナイフ持って にこにこ笑うの たまに自分刺して笑ったり 我が子刺して笑ったり 生が余りあるせいなのね 暇で 暇で 仕方がないのね 2018/5/5 ※ 忘れてしまいそうになる 忘れたら消えてしまうのに 忘れてしまいそうになる 忘れる程に重たくなるのに 忘れる程に苦しくなるのに 死にたくないよぉ 死にたくないよぉ  って 僕の精一杯のやさしさも さくらんぼ ぷちって潰すみたいに 絶望 教えてください 絶望 2018/5/5 ※ 許され方を教えてください  悲しみを教えるから 苦しみなんて屁の河童 ああ 死んじゃいそう 死んじゃいそうって あっけらかんに笑っても こんな絶望 受け取り切れぬ 両手からこぼれる どうかどうか落ちないで 数えるように 飲み込むからさ 2018/5/5 ※ ふらん ぷらん ほら火ばさみで ぎゅっと握ってみせてよ なんて弱々しく歩いているうち こんなに暗くなってゆく やわらかすぎて 生きていたいのよ ウフン バカン? 2018/5/5 ※ 通用しないよ 若さの言い訳 黙殺されて  広げて 温めて あったかい っても 痛快に蹴り飛ばされる 明日が見えない 隠れて ごめんね ぎりぎり笑って 歩こうよ ぎりぎり笑って歩こうよ 死んじゃうよ 2018/5/5 ※ こんなにも 僕の見えてる世界が全部 だったなんて 愛は死で  愛を犠牲に 死を どうにかはねのけたいの 美しい内面だ 人の美しい内面だ なんて美しい内面なんだ こんなにも 僕の見えうる世界だけが 僕の全部でしかないなんて 死を前にして それでも僕はきっとやわらかすぎる 無力に笑う事しかできない 行き止まりに ふわふわ笑う 2018/5/5 ※ 気付いたら 畳が頬に食い込んで 死にかけのようなあまりに苦しい夢にいる どこにいるのか分からないけど 起きてみるのよ 絶望のここ ---------------------------- [自由詩]瓦礫/◇レキ[2018年7月21日7時26分] 瓦礫 ぬくぬくの 肌のにおいの子守唄 あきらめにぬるい血が満ちてゆく とっくに腐ったぬるい血が ビニール袋に穴開いて ぴゅーぴゅーこぼれる腐った血 ずっと ただ、謝りたかったんだ ※ 気持ち悪いという壁を 何度超えなきゃならないんだろう 主張という全ての気持ち悪さを 生かす何かは無いのだろうか 転んでいる人間を ただで笑っている人がいる 誰が決めた常識だろう 何によって決まったのだろう 気持ち悪いというのなら そのドロンドロンを愛で包むよ ※ 気を止める事すらできなかった マトモにしゃべることができないだとか 壊しすぎて訳のわからなくなった常識だとか 人と関わるスキルの無さをようやく知った とても悲しいことだったんだ 僕はどうにもならない穴を持つ それは途方も無い絶望だ ※ 僕が人として終わっているという自覚からは何も始まらない ただ人として終わっているという日々があるだけだ 誰も僕を望んでいないという自覚から何かが始まったりする訳じゃない ただ誰からも望まれていないという日々があるだけだ 人がそう決めたなら、そう決まるのだ… ある日評価が波のように外からおしよせて僕は薄味になる 常識的な日々が僕を固定しようとする くそのようにぼけぇと白昼を漂う贅沢さを思い知る 僕は平均台を歩けない 谷底でほうけったように泥んこ遊びを続けよう死骸のように 世界の美しさを失わず行こう 僕は最初から終わっているから… ---------------------------- [自由詩]無題/◇レキ[2018年7月21日8時02分] 無意味に星が光ってる 無音の中に光ってる 無意味に地球がぐるぐる回る 特に変わらず回ってる だから無駄にブルブル言わせて走る 無駄にでかい声でしゃべってる にいちゃんねえちゃんにがんばれって思う だから同じ値段でどっかの子供100人救える煙草を買って 無駄に煙にすることには意味がある だからなんか生えてる緑を見ていたい だからサグラダファミリアは未完成であればいい だから沢山死人が埋まってる地蔵だらけの塚に小便をする だって僕らは生きているんだもの ※ 僕は一番星をそっと見るんだ 空が突き通ったようにどこまでも広がっている 薄雲がなだらかに空を支配してゆく… 僕は一番星をそっと見るんだ この果ての無い空を地べたから そっと見る 食い尽くされた体だなぁ 一歩も動けず動かせないで あまりに広がりすぎた 過去の肉達は そこいらじゅうに散らばる空気に溶けて… この途方も無い絶望に この途方も無い飢えに 柔らかに風が去ってゆく このたった一人の幸福は 世界からの賛美じゃないの あまりに広がりすぎたからなの… ※   煙草の煙が尽きるまで 世界がさぁ おいしいかいって聞くからさぁ 殺したいって小さく呻くの 世界がさぁ ふふふってわらうからさぁ あははって笑い返すの 世界がさぁ 嘘みたいに在るからさぁ きりきりと歯を食いしばるの ねぇ これは 僕だよねぇって聞いてみた 遠くに見える 風景を掴んで そしたらさぁ 世界はさぁ 馬鹿みたいって風景を ころんって転がして、消しちゃうの えぇっそうかって苦笑いするでしょ? そしたら世界はちょっと窮屈そうにざわめいたりしてさぁ… 甘い 甘い おしゃべりの時間 きっと沢山の不確定が君で 僕が見たとき君は僕以外になれないのさぁ だって、僕が見ている君だもの ※ 久しい木漏れ日見上げれば 他の人を呼ぶ声がする 奥に見える青空に もうないね もうないの もうないの? ごう と風 木漏れ日揺らせよ ---------------------------- [自由詩]無題/◇レキ[2018年11月9日22時52分] うそと なさに 溺れるんだよ ぼく〜世界 みんな みんな 嘘なんだ 底のないプリンを すくうように会話する みんな 生きるための嘘のみ喋る それ以外喋らない 本心とは ちょっと意固地になった嘘 見えない 見えない、と すくっていると見えてくる 無さ が あら、こんにちわ 無 ふふふ、凄い絶望 ※ 悪とは 何も持てない人にとっての 最後の抵抗手段でのみあるべきはずだと思うが 面白さによって人は歯止めを失う しかし僕は悪の行為(憎しみ合い)には 終わりがないことを知りながら 同時に生きて行かなければならない その矛盾に無呼吸感を覚えて 立ち尽くす、これは生きていく事だろうか ともすれば悪の行為こそが生きて行く事にも思えてしまう 行動がある限り 縦の関係は決して終わらない この世に「解決」は存在しないが 争う事は 唯一、その、ありもしない解決への 過程に足を踏み入れる事である このどうしようもなさを 生きる事には何の意味もない という一言が全て片付けてしまう 僕らは殺しあうか ごまかして生きるふりをするかしか 選択肢がないのだ 生き物の仕組みに乾杯 ※ 未来よ本当に 分からなくてありがとう だからこそ今生きる事が出来る、のなら 何故人は明日を想う力を持ったのだろう 今しか存在しないと言うのなら 絶望という世界を小窓越しに見ると突き通った空に星 小窓には僕の生と言う汚いシミがこびりついていて 今という風が、小窓をカタカタ言わせている ※ 詩を一言で代弁するなら 「生きるのが苦しい」だろう 擦り切れて、千切れでボロボロに 果てしなく果たされない、その余剰に雨が降る ※ 詩は例えば 生きることと優しさの 間のどうしようもない真空に 願うように生まれるものなのかもしれない 世間には「情」があり 沿うように 行き届いた「うまさ」によって 人はどうにか生きて行く 悪とは粗悪な「うまさ」であり 道徳による自殺もまた、粗悪な「うまさ」である 「うまさ」によって人は死に 「うまさ」によって人は生きて行く ---------------------------- [自由詩]総称/◇レキ[2018年11月9日23時12分] どうしようもなく 僕らは果てのない過程に生きる 欠損しながら生きている 全力で力むよ 今を、誤魔化すために 生きる事の苦しみ ※ 生きる努力の対価に 人は意味を求めたがる 思い込む 思い込む まるで意味があったかのように 虚しさで震える心を鎮めながら 声が 届いて 染み込んでいるよ すごいよ、あるよ、意味 ※ 虚構や優しさを語るのならば 虚構や優しさに在らなければならない (足元をすくわれる程どうしようもない…) 僕とは 僕の「手に取った世界」の連なりの総称である 人は染まる、人にも染まる そう言えば今日、僕は人づてに 君に会った(気でいる) ※ 「人」は生きる 詩とは一瞬の私の煌めきを〆たものだ 読み手の吐息でひらひらといつでも生まれ直る 詩は書き手を如実に語る 詩はその人のようなもの 人は染まる、人にも染まる それは不可抗力に、無意識に 僕はあなたを取り込む 「在る」というたったそれだけで ふとした表情に 語り終えた口元に 「人」は生きる 互いに感染り、伝わりながら「人」は生きて行く ※ それは全く形にも 何にもなっていないけど 優しい世界であればいいと思う 例えば 赤茶けた荒野の 雨に打たれる無慈悲の世界だ 文句無し無秩序で 真実に人が殺されてゆく それは全く形にも 何にもなってないけれど 多様な世界であればいいと思う 例えば 無骨過ぎる仕組みの 太刀打ちできぬ事実の塊達だ 世界の仕組みに人がいて 一部でなければ排斥される いつもどこかは誰かの場所で 誰かの役に立つ事で 人はどうにか居場所を得る 寸分の余裕もなく至極当たり前 でも多様で優しい世界であればいいと思う 例えば「本当の意味」が 不可欠からの余剰であるなら それは一見無意味な顔して 隅の方でその鮮やかさを隠しながら 佇んでいるかもしれないのだから ---------------------------- [散文(批評随筆小説等)]ある詩集を読んで/◇レキ[2018年11月10日6時49分] 痛みに何故これほどあなたの詩が光とともに染み渡って楽にするのでしょうか。僕は貴方が詩を遺してくれた事を感謝します。それは、単純に、ただあなたから吹きこぼれたに過ぎない代物ただそれだけだと言うのだとしても。ただ僕が、誰かを俯瞰する事で、心が楽になる脳みその仕方ない仕組みに食われ、当て付けるように読むと言う行為をしているだけだとしても。 僕は確かにこの眠れない、苦しみの夜、あなたの詩に救われています。 僕は食い意地を張っていて、非常に汚い食べ方をしますが、心はそっと美しく、あなたの詩の光の粒子を吸い込み、静かに咀嚼をします。それはあなたの詩が美しいからなのです。美しい、とは冬の奥山の切り立った氷山のような、きっぱりとした寄せ付けぬ高潔さではない、陽だまりに咲く、ぷよぷよ風に揺れている暖色のちょっとした、しかし繊細で緻密な背の高い野花のような、そんな美しさなのです。 何故心の痛みが溶けるのか、それはきっとその瞬間を切り取る性質を持つ詩というものが、かわりに崩れて泣いているからなのです。それは「今」ではありません。しかし文字は生きたままそこに「その瞬間」で在らせ続けるのです。 心の砕きや、途方も無い虚脱、死に死を続けた心の、ふと溢れるようなしわぶきが、苦笑うように微笑んだ時の小さな頬の皺が、誤魔化すような欠伸が、思い出したようなくしゃみが、あなたの詩なのです。 僕は、あなたの詩集を全て読み終えてしまうのが怖い。この一冊は、もう半分を等に過ぎてしまいまいました。この、陽だまりは再度読んだ時薄れずにやって来てくれるのか。 なのでちまちまと一詩一詩海獣が息継ぎするように、僕はこの世間を息を止め歩き、詩に小さなため息を吐いています。 僕らは一瞬に、また、その時の感情にしか住まないのに、しかし長い時間生き延びるための沢山の方法が必要で、この世間に詩はもろいです。しかしそのもろさこそが、今の僕をどうにかつなぎとめるのです。 僕はあまりに脆弱で、その上生きる上でどうしようもない、沢山の救いようのなさをもちます。 しかし、瞬間とは常に救いようなんかない部分を持つんだと、詩は教えてくれるのです。…それが、何の救いにもならない。横目で僕のことを見る天日に干されているアジの開きのように。 しかし、向き合ってはくれないですが、同じ方を向いて、何の抵抗もなく、一緒に海や夜空を見てくれる、定年退職した無口な道化師のようでもあるのです。それはほんの小さな同情を寄せて。 詩が無ければ僕の心は、僕は等の昔に崩れて、霧散していた事でしょう。 詩は微熱の時、寝起きにそろりと飲むぬるいポカリのように、あるいは休日のよく晴れた昼間、木陰のベランダでペロリと飲む日本酒みたいにそっと体に馴染みます。 詩とはこの生きるという地獄を過ごす魂の、束の間の休息地でしょうか。 詩とは 真夜中薄ぼんやりした三日月の中 素っ裸で海で水浴びをしている人がいて それを防波堤の端のテントから這い出て 生暖かい風を浴びながら 少し離れた所で その無防備さの気配をそっと感じる事 でしょうか そう言えば つらくて、つらくて、 助けて!と叫んだら 詩は少しこちらを向いて、水塊のように崩れ去ってしまいました 僕は一人です 2018/9/10 ---------------------------- [自由詩]もう一つの/◇レキ[2020年1月15日0時54分] アダムとイヴは キラキラ光るアキラメを バケツ一杯ぶちまけた そうして星ができたんだって 大切な不安を食いつぶして やっとこさ残ったのは空っぽの心 何もない 今二人は骸骨になって 空っぽのままポカーンと海を見ている もちろん二人並んで座ってね ---------------------------- [自由詩]かなしいしょうねん/◇レキ[2020年4月15日23時28分] 少年は 慈愛に満ちた柔らかな陽射しに包まれている 前は苦しみに溺れていたけれど それも 振り絞った心が燃やし尽くしたらしい 少年の持っているモノは 膿も栄養も無い空っぽな心と こびりついて取れない 生ゴミみたいな過去 だけ 少年は今日も 食って糞して寝るだけ やらかしちまった過去達を ぼんやり眺めて1日が終わる ---------------------------- [自由詩]きたないしょうねん/◇レキ[2020年4月26日4時02分] 狂った腐ったゴミ 少年の人生は始まりもせず終わった なのに少年は生きている 陽の光を知る事もなく 穴ぐらでたった一人 隅っこでまるくなる栄養失調の体は 過去の変えようのない罪で汚れている 何にもなれない彼という燃えない生ゴミ どうしろというのだ ただ彼は老いてゆく ---------------------------- [自由詩]心は/◇レキ[2020年5月10日1時21分] 心は枯れ井戸みたいに空っぽ 溢れるように湧いていた苦しみがなくなったのだ 逃げた過失が残った 心は軽い灰みたいに、無い ごうごうに盛っていた苦しみが燃え尽きたのだ 悶え暴れた悲しみが光った 心は宇宙ごみのようにあてがない 狂った地軸に立ち続けた苦しみから解き放たれたのだ 機能しない僕は漂う 心は雪解けしたばかりの地面みたいにまっさら 一生続くかのように重く積み重なった苦しみが溶け去ったのだ 新芽はきっと目を覚ます ---------------------------- (ファイルの終わり)