ナンモナイデス 2020年5月17日21時11分から2020年11月18日21時14分まで ---------------------------- [自由詩]ひとりごえ/ナンモナイデス[2020年5月17日21時11分] ゆるやかに 五月の日もとけさって みひらいて あとずさりか いつかの希望 いくらかのプログラム 明日も言っている いいかげんに 殺せと ---------------------------- [自由詩]であること/ナンモナイデス[2020年5月18日13時40分] 光にむしばまれ 腕を失った 女神のへそを 愛撫している 孔をのぞけば 青い 青い そらが気だるい 気だるさは 笑いをこらえる しりから 尻をひっぱたく 尾骨がある あらためて サルだと わかったとき 女は 袖に腕を とおした ---------------------------- [自由詩]覗き背後/ナンモナイデス[2020年5月28日21時09分] テレビ電話がリアルになってしまった あの棺のようなディスプレイに写っている 人物の言葉より その背後のほうが多くを語っている たとえば本棚を背に選んだわけとは… いったいなんぼで落札した絵なのか… やはり目玉は覗く器官なのである ---------------------------- [自由詩]湿り/ナンモナイデス[2020年6月1日19時32分] 小さい滝が描かれている 六月のカレンダー… 誓いを契る人も もういなくて 休日を探したり することもなくて 生き残っています 36°4の世界で ---------------------------- [自由詩]五輪の塔/ナンモナイデス[2020年6月1日21時08分] ちりも積もれば 塔となる 権力者の尊大な 塔よりも 名もなき者らの 小さな塔 寝人は知るのです 私の言葉によって 九の門をくぐれば 至る・涅槃へと ---------------------------- [自由詩]気概/ナンモナイデス[2020年6月2日21時23分] 死ぬ気のない自分は、 死ぬ気で、物事を考えたことがない。 殺す気で白人警官は、黒人男の首を、 殺す気で踏んづけた。 眠らせる気で夢魔は、女の胸を、 眠らせる気で踏んづけた。 ---------------------------- [自由詩]病葉/ナンモナイデス[2020年6月5日20時43分] 世間ではまだまだだというのに、 給付金がぶじ口座に入った。 暑いので冷房入れたら、エアコンが壊れた。 ---------------------------- [自由詩]残った夢/ナンモナイデス[2020年6月9日21時15分] あじさい柄の、 日傘が咲いています。 梅雨の間の、 晴れの日の、 左目が痛みます。 ---------------------------- [自由詩]知らん間に/ナンモナイデス[2020年6月21日21時06分] 「吉良の仁吉」のことも知らんのに、 なんでひとりきりになったら、 うたいよんねんやろうなぁ… たましい、 もっとるんやな、 こんな自分でもな。 人の世はいつだってつらいわ… ---------------------------- [自由詩]ほるもん/ナンモナイデス[2020年7月7日21時05分] 水が引いたあとは、 ほるもんばかり。 「ホルモン」屋の店前には、 泥だらえの家具だらけ。 手動式、「レジスター」だけは 以前の水害でも泥だらけになったらしい。 洗って乾かせば使えると、 泥をぬぐい店主はいう。 ---------------------------- [自由詩]室内旅行/ナンモナイデス[2020年7月22日14時03分] 牛の歩いた跡が、 「段々畑」のように見える、 そんな肥後のひとつの牧草地。 地上波でなんども再放送されています。 車いす生活者の自分にとっては、 旅行は室内で十分なのです。 災害にさえ遭遇しなければ… ---------------------------- [自由詩]グラーツ/ナンモナイデス[2020年7月22日20時55分] グラーツに行ってみたい。 マッハがいたころの。 時間の自由でも語り合いたい。 ムーア川の流れを眺めながら。 ---------------------------- [自由詩]非同日/ナンモナイデス[2020年8月5日20時54分] くらしは繰り返す。 あたかもしずくのように。 ぽた、 ぽた、 いのちは繰り返さない。 昨日のくらしのように。 ---------------------------- [自由詩]反国家/ナンモナイデス[2020年8月11日21時16分] 香港の「民主の女神」ちゃんも逮捕されちゃって… うなぎのぼりに気温も上昇 夜でも30℃だとよ それでも自粛しろというのかい それでもカネを落とせというのかい 開戦も 終戦も 自分のような戦後反戦教育を鵜呑みにさせられた者 にとっては「平和」こそ善であり 国家間における「戦争」は悪なのである その意味において 自分は反ソクラテスとなる 自由でもない自民党よ 破滅せよ ---------------------------- [自由詩]お盆の夜/ナンモナイデス[2020年8月14日13時38分] 青い陶磁器に 蜜豆かぞえ 星屑流そう 還ってくる 両親が 自転車は 二人乗り ああ 怖 ---------------------------- [自由詩]悪政の一応終焉/ナンモナイデス[2020年8月28日20時51分] 総理在位最長記録達成記念  たとえば「アベノオムツ」 なんていいんじゃないか なんてね 最後の最後まで いいかげんな政治屋でした ---------------------------- [自由詩]居場/ナンモナイデス[2020年8月29日12時55分] けだるい過去の一日 汗だるむ体の誘引にくらむ 性とは「力」か… あいかわらず 空虚に居る ---------------------------- [自由詩]再帰する秋/ナンモナイデス[2020年9月15日13時27分] やっと 眠れぬ 暑苦しさも 終わったらしい 空は ひたすら 秋です 鳥肌です 風が吹けば ページを めくれば 忘れられる 苦しさなんて ---------------------------- [自由詩]ラム、ふたつ。/ナンモナイデス[2020年9月25日21時10分] 肉の焼ける、脂のかおり。 喉が焼ける、酒のかおり。 胸を焦がす、秋のラム… ---------------------------- [自由詩]秋/ナンモナイデス[2020年10月14日20時40分] 英語おんちでよかったよ。 なによりもアメリカ人でなくてよかったよ。 柿をたべましょう。 秋晴れでよかったよ。 なんにもない一年でよかったよ。 ---------------------------- [自由詩]予感/ナンモナイデス[2020年10月16日20時40分] たぶん、この秋にも、 たいせつな、なにかを、 書き忘れ、 なにも気づくこともなく、 日々を削り、抜けてゆくことだろう。 ページもめくれやしない、 錆びたナイフじゃぁ… ---------------------------- [自由詩]渋った風/ナンモナイデス[2020年10月17日20時55分] 渋った風が吹き込む。 自分の肺はよいよ疲弊する。 謙遜や寛容を排した言葉などもうたくさんだ。 一服の茶を濁す豪華さなどいらない。 ---------------------------- [自由詩]純粋無我/ナンモナイデス[2020年10月19日21時03分] いつ寝入ったのだろう… インフルエンザの注射をうけに行った、 うちの者が帰宅している、ことに気が付かなかった。 いったい自分の自我は、持続していたのであろうか。 一時間半の奥域は無我であった。 ---------------------------- [自由詩]ひさしぶりに/ナンモナイデス[2020年11月5日21時13分] ひさしぶりに ぶたまんたべました 白い皮に 黄色いねりからしぬりました ふと小さいころが 再現されたようです 一口するほどに ほどほどに 時が過ぎていって くれればいいのに 幸せは小さくていい そう肩越しに 聞こえました ---------------------------- [自由詩]未明の解約/ナンモナイデス[2020年11月10日21時19分] なにかを始めようと 手続きしたわけではない   そうだ   終わりのことなど   誰も   かんがえるものか   だから   俺の終わりのことなど   知ったことか 新生児のごとき 未使用な キャッシュカードを 裁断すれば完結する WOAAaaa 空虚な吐息… ---------------------------- [自由詩]空腹/ナンモナイデス[2020年11月12日21時02分] 蒸しパンたべました 空いたフクロのなかへ いっぴきの 蠅が入りました うふふ なぜか腹の底から わらっていました ヒトがいう ≪命の尊さ≫の 危うさを ---------------------------- [自由詩]過記憶/ナンモナイデス[2020年11月13日21時01分] 昨夜の夢で、「文政四年」だけが、 あざやかに目覚めたのちでさえ、 記憶に残ってしまった。 ---------------------------- [自由詩]こころに詩/ナンモナイデス[2020年11月14日21時06分] 名声をえたとしても、 人類はほろびるだけである。 子孫なんて残せやしない。 親と同じく死ぬだけである。 詩を書けるのは自分だけである。 いい詩が書きたい。 こころに。あなたのこころを出せ! ---------------------------- [自由詩]希望/ナンモナイデス[2020年11月16日13時26分] いつか未来の空の下で、 人の生という事象を、 回顧してみよう、 などとおもっています。 多分何事も選ぶ世界など、 ということは忘れられ、 明るみの中で、 精神と環界が融合されて、 いるような、 もはや世界を意識せず、 開示されている自分。 復活・輪廻・進化など、 ただの言い訳に過ぎなかった、 のだと嗤う自分。 ---------------------------- [自由詩]民間製/ナンモナイデス[2020年11月18日21時14分] 民間製ロケットが無事、 宇宙ステーションにドッキングできたらしい。 ついてみたら定員がひとりオーバーしていたらしい。 地上はコロナ渦で目まぐるしく回っている。 宇宙飛行士たちは大丈夫だろうか… 『ソラリス』でもみようか。 ---------------------------- (ファイルの終わり)