ナンモナイデス 2019年6月4日13時52分から2019年11月4日19時34分まで ---------------------------- [散文(批評随筆小説等)]ハコのナカ/ナンモナイデス[2019年6月4日13時52分] 月の光の中では 命が停まる 箱を持った男が一人 長いすに腰掛けている 男は僕にプラグを貸して ほしいという ちょうど予備バッテリーを 持っていたので 「これどうぞ」 と手渡すと 男はまるで精気でも ぬきとるように 電流を吸い取った 男は箱のふたを開け 手をそっと その中へ 差し入れた 「どうです」 「さっき雷がすんなり  落ちたでしょ」 「見知らぬ女に  落ちたんですよね」 それは 《生き残された心臓》 だった 男はすでに動画サイトに 《その現場》を アップしたと言う 移植医からのメールが 数件ボックスに 入っていた ---------------------------- [自由詩]独談/ナンモナイデス[2019年6月11日13時25分] 小鳥の死なんてネタに詩を書けば、ウマイ詩は書けるかもしれないけれど、 死自体を美味く書けている詩にめぐり合うことなどそんな経験を自分は、 したことがない。 車の自動運転キャンペーンの一環としてなのかどうか・老齢化した脳がしで かす不条理事をメディアが盛りのイヌのように嗅ぎつければ手当たりしだい 不毛な原因論をたれ流す。 引きこもりってすごく仏教的な行為なんだと思う。出家する者は仏教論を、 廻って寺に引きこもるばかりである。自分にとって原始も小乗も大乗も、 乗り心地が悪かった。 ダルマは面壁九年、自分は窓篭り30年である。 「覚り」とは逃げることにある。 不条理から逃げることにある。 樽のディオゲネスは今でも幸福である。 樽を観た者は誰かが彼の逸話を語り始めるだろうからである。 精神病者と狂人に違いがあるのだろうか。老朽化した詩投稿サイトに執拗に 投稿してきては、おのれの言い分だけは別格なんだというようないいぐさを 高僧のようにクドクドと称えては嘔吐する、有名詩人になり損ねた哀れな詩 狂人・こういう奴って「サヨナラ」ってすぐ射精してとんずらする性癖があ る。 まぁどこにいても、どこにいってもイヤラシイ奴はいる。アベなんてイシン なんてハヨ消えうせろと思うけれど同時代日本国選挙権を有する皆さんの、 大半はアベでいいと開き直っている。 21世紀初頭は「独裁」や「独占」が知らぬ間に「梅毒」の如く復活した。 さて次は何が復活するのだろうか・・・ 自己批判でもしてやろうか。 「独談」とタイトルつけたくせに投稿するなんてお前も奴らと変わらぬ狂人 に過ぎないな。 ---------------------------- [自由詩]痛覚/ナンモナイデス[2019年6月12日21時27分] 気分が悪い きがつくと 背中が痛い 何かもがれたように さっきまで とりついていた トリでもあるまいに フライドチキンにされた 前世でもあるかの 要に ---------------------------- [自由詩]対岸の美に魅せられて/ナンモナイデス[2019年6月18日12時30分] ホンコンで芳しい人油の沸騰 一握りの権力のために虚構が踏みにじられようとしている 約束はとうに破綻しているというのに それでもできるか それでもできるか キミの良心に問う 五輪のごとき栄光などない ただただ しらない人のわがままのために 不自由な歴史のために ---------------------------- [自由詩]屋根を失った者の悲しみを忘却する奴らへ/ナンモナイデス[2019年6月18日18時27分] 2000年活きた思想を知る者たちよ 星雲の目でこの惨状を見よ わずか365日前に お前も お前らも 震撼した恐怖でさえ 忘却してしまう しらばっくれた態度をとる魂 屋根を失った者の悲しみが判るか 屋根を失った者の悲しみが判るか たかがG20 糞ッタレ二番煎じ万博 知者なら 真の知者なら 屋根ぐらい直してみやがれ ---------------------------- [自由詩]ある女のしぐさ/ナンモナイデス[2019年6月19日20時58分] 2リットルのペットボトル 1本はいっぱい 一本ははんぶん (しめて3000?) 2本を胸に抱きしめ ねんねんこ ねんねんこ わが子のように あやす 500億売る女 ---------------------------- [自由詩]蕩尽証券から/ナンモナイデス[2019年6月26日21時35分] DNAの98%はクズだと、 以前は思われていたらしい。 遺伝子って言うのはこの残り、 2%であろうと学者たちは、 認識していた・・・ ところが最近になって、 遺伝子をおぎなうDNAが、 クズの中に多数見つかるにつれ、 たんなるクズではないことと、 再認識された。 最近右のでん部が痛む。 症状から類推するに、 これはウチの兄がわずらった 坐骨神経痛なのではないか、 と思われる。 坐骨神経痛を起こす 補助DNAもきっと実存している はずである。 国籍は問いません。 ヤマンナカ教授にご投資を。 ---------------------------- [自由詩]未食/ナンモナイデス[2019年6月27日11時42分] カエルのタマゴが 食べたくなった ジュンサイが 涼しそうだから 窓枠の中は 梅雨の雨 暗くなる 額の流れ 食したい 女の卵巣 ---------------------------- [自由詩]再製/ナンモナイデス[2019年6月28日11時43分] 身なりに 気をつけてか 舗装されたばかりの 黒く沈み込む道を 歩けない カミナリリュウ ADAM-Y染色体はもう 消失しましたか 空窓を見ながら 新しい男は シダのプランターに 水を差した ---------------------------- [自由詩]夏ミカン/ナンモナイデス[2019年7月9日13時20分] ごつい親指 あつい皮に 食い込ませ 真夏の 昼下がり むいて 食べさせて いただきました 夏ミカン ステテコ一ちょで 煙草くわえて 簾越しに 夕立ごい 口にした 一房に スッパイ スッパイ スッパイ さじを 砂糖壺に 落とす ---------------------------- [自由詩]居留守/ナンモナイデス[2019年7月9日21時03分] 気持ちいいのは けだるいから 居留守 居留守も 幾日も 生理カップ たまったかしら ボサノバ 聴いたら けだるいよ 居留守 居留守 吸血鬼だわ あの足音 ---------------------------- [自由詩]極善人/ナンモナイデス[2019年7月14日21時40分] 極善人が死んだらしい。 きっと極悪人だと言っている奴は、 嗤っている・・・   執行人のように。 ---------------------------- [自由詩]7月のソート/ナンモナイデス[2019年7月18日11時18分] 相変わらず、音楽ソフトを立ち上げ ランダム・ソートを繰り返す。 早朝 雷鳥のから揚げを、夢中で食っていた。 突然のカミナリで、もう一個食い損ねた。 腹いせに、カミナリに怪獣まがいの 名「ザメクロン」と命名する。 ついでに検索窓で「ザメクロン」を検索する。 予期に反し「結果はありませんでした」。 ・・・ 「白い砂の少女」 加山さんらしい、すがすがしいエレキ音。 ---------------------------- [自由詩]ホンマかいな/ナンモナイデス[2019年7月23日14時01分] でもほんとうにホンキなのか レイワ新撰組 NHKをぶっ壊せ テープまわしてんのんチャウカ のあくまでもお笑い会社社長の冗談を をホンマやと思い込んだ二人のお笑い芸人 ホンマに芸人根性あるんか 売れへんネット詩人なんか辞めて 俺も車椅子議員ニナッタロケ まことしやかな公約掲げ クラウドファウンジング 2億ほどカネ集まったら 南の島へ マネー・ロンダリング ---------------------------- [自由詩]夏乞い/ナンモナイデス[2019年8月3日12時37分] 夏には何かと、ソウゾウしい何かを、 そんな何かを、心待ちにしたりして、 自分の時間を、費やしたりしたりして。        昼寝でもすればいいものを、        遠くで鳴っている雷鳴に、        夕立を期待したりして。        激しい雨なんてすぐにやむ。        そんなことぐらい知ってはいる。        でも地震後の今では、雨漏りが不安。        化粧箱の中を覗いてみた。        手足のない綺麗な娘だった。        「パタン」と男が箱のふたを閉じた。        小松左京は阪神の震災後、死んだ。        その後、「人工実存」となり、        「宇宙消滅」についてSSで執筆しているらしい。 ---------------------------- [自由詩]もぎたて/ナンモナイデス[2019年8月4日18時05分] いい臭いがする。 もぎたての臭いだ。 もいだ手も臭ってみる。 いい臭いがする。 もぎたての間、いい臭いがしている。 している間、もいだ手も臭っている。 もいだ唇をもぎりとってみる。 いい臭いがする。 もぎたてのいい臭いだ。 ---------------------------- [自由詩]反省/ナンモナイデス[2019年8月16日13時30分] 遺影などに目がとどまると、 この世の者ならぬ者となられた者の、 超自然的な力にすがりつければ、 などと虫のイイ妄想をつい抱いたりしてしまう、 事がしばし多くなってしまった気もする。 自己不安の鎮圧にのっかかろうとする、 あさましい自分の闇に辟易することがある。 ---------------------------- [散文(批評随筆小説等)]NHKニュース「パっと見」スクリプト/ナンモナイデス[2019年8月16日18時47分] 初代ネットナビゲーターの某氏が亡くなったらしい。 高校野球・第三試合が終わった後のNHKニュースで知った。 投資家で大学教授・・・著書のタイトルは平成生まれウケを狙ってか、 「僕は君たちに武器を配りたい」や「戦略がすべて」などがある。 昭和真ん中あたり生まれの自分にとっては、「あの世に命を先物投資」 して破綻でもしはったんかいな・とでも記しておきましょう。 ---------------------------- [自由詩]間読書/ナンモナイデス[2019年9月8日21時17分] 愛する相手もいないくせに フィロソフィアなんて 本が読みたくなる。 ページのはじめあたりには 著者のモノクロ写真が あったりもしたりする 最初にあとがきを読む 人名索引を名簿がわりに 利用したりして 自分は目でもある 自分は単に切り出された 物体としての脳ではない 生き者として生存している 不可思議な脳に過ぎない たとえ脳がデジタル化しても それは自分ではない 自分は不可思議な自由 として現象している 自分は今二つの眼球で 一匹の小さなクモを観ている それは決して二重ではない クモの目は8つである ---------------------------- [自由詩]新しい未来/ナンモナイデス[2019年9月10日12時01分] 特異点と言っても2045年ごろらしいけど 人工知能が人類の知能を凌駕しちゃうだろう と言うある未来学者のこれって予言なのよね その頃まで自分はまだ生きとるんかいな お陀仏点に引っかかったら自分の知能は 永久に無くなるんやろうけどな そこは東洋思想の深遠さよ 忌まわしき輪廻も使い方しだい 転生点に企投するのです 不可思議な自我の目覚め 新しい未来を開示するために ---------------------------- [自由詩]手計/ナンモナイデス[2019年9月13日20時49分] 手で計る 針二つをあわせたら 手首の傷にあわせたら 鈴の鳴く 辻の門に 風を捨てました 供養は茄子 ---------------------------- [自由詩]彼岸でもまた台風/ナンモナイデス[2019年9月23日11時59分] お供えの花を供えても、 同じことです。 強い風の日には。 同じ時間という、 事象はありません。 自分が周っていなくても、 地球は周っている。 白い塩をまきましょう。 姿を失った者のために。 やがてそうなる、 白骨と化する、、 自身のために。 ---------------------------- [自由詩]ハ・ガ・シ・テ・/ナンモナイデス[2019年9月30日21時28分] 骨まで、 はがしてほしいのです。 偽りでもいい・・・ 愛が知りたいのです。 ちぎれた月に、 照らされている間。 白い布で、 顔を覆われ、 私の細動が止まってしまう、 お別れ・・・ イヤ、イヤ、 そんなの、いや・・・ ハ・ガ・シ・テ・ 皮膚という、 オ・フ・ダ・ ---------------------------- [自由詩]令和元年の秋/ナンモナイデス[2019年10月9日18時48分] 秋が廻ってきた。 炊事をする兄の掌が楓になる。 母の一年忌ももうすぐ。 ---------------------------- [自由詩]怪談 純粋経験/ナンモナイデス[2019年10月9日19時34分] 恋と愛はヒトツか―― コガレ コガサレ モヤサレテ ヒトメ シッタガ ユエニ コロサレテ ミハ シカバネ トカスモ ココロハ コイ コイ ジゴクユキ 純粋な あまりにも 純粋な 知 と 愛 の 未分化・・・ ---------------------------- [自由詩]泥/ナンモナイデス[2019年10月15日19時06分] 手をと、指をと、爪をと、 下弦の、琵琶の、定めの、 触れ合う、意識の、明証は、 我になく、汝にもなく、 流れゆく、雲にさへ、なく、 今しがた、潰した、蜘蛛の、 糸に、指が絡まれて、 内蔵された、かの世界の、 追憶が、 免れた、幸運の、 引き裂かれた、終焉の、 乾けば、ただの、 肌色の、 ---------------------------- [散文(批評随筆小説等)]近況/ナンモナイデス[2019年10月17日21時18分] 台風の奴が過ぎ去っちまえば、 我が意識はまた、パソコンあさりを再演し始める。 母の一周忌が過ぎてからでいいと思うのだが。 6万ぐらいで、メモリーを16gbにしてとか、 hdは、1tでいいかとか、ssdなどという妖怪を、 どうするか、などなど。消費税アップもなんのその。 我が三大持病のひとつが再発したとなれば、パッケージ・ あの箱を拝むまでは疾風は止まりそうにない。 ---------------------------- [自由詩]手持ち首/ナンモナイデス[2019年10月28日18時55分] 蜥蜴の紙の吹きさらし。 光見たもの消えうせて。 果たし果たされ闇の回。 ピーピー嗤う二頭の鳶。 ---------------------------- [自由詩]非同一/ナンモナイデス[2019年10月30日19時45分] ドラえもんのシャツなんて着ちゃって セワシなく早くも半世紀生きました ドラえもんの連載開始は1969年 四次元ポケットで1968年にいけるでしょうか? それはいけません 空想される以前の世界には 存在する以前の世界にはいけません ドラえもんのカップ敷きコースターなんて敷いちゃって 洗いもせず換えもしないで汚れたままで使っています 何時まで使うのでしょうか? 何時になれば捨てるのでしょうか? それはわかりません 葬られた以後の世界のことは 存在していた世界にはいけません ---------------------------- [自由詩]秋になると思い出す断片/ナンモナイデス[2019年11月4日19時34分] ア、気息が冷たくなった。 夕空のコゲが美しい。 このダイダイの空腹。 迷子になった記憶はいつも鮮明。 まちがえ人が話しかける。 身内のだれかにするように・・・ 「オナカスイタ」 分かれ道: まちがえ人は右折し、 自分は左折し・・・ 帰宅する。 家にはもう誰もいない。 ゆをを沸かす。 カップめんでも啜ろうか・・・ ---------------------------- (ファイルの終わり)