たまご 2004年9月8日0時48分から2004年10月27日22時49分まで ---------------------------- [自由詩]ヤツデ/たまご[2004年9月8日0時48分] 冬の間  じっとしていた玄関前 夏になると 手がいっぱい  青々と 生き返り  軽やかに おいでおいでをしている 風がそよいでいる 手の形がたくさん にぎやかな木だ1本で たくさんの笑顔つけて まるで 学校のようだ ひとつの社会のようだ 元気なく下向いているのも 反発して動かないのも 一同に ひとつに集まって にぎやかな玄関前 おいでおいでをしている ---------------------------- [自由詩]優しい水源/たまご[2004年9月14日10時41分] 冬でもないのに心の中に雪が降っている 言葉にならない想いが 雪のひとひら ひとひらとなり舞っている (これ以上激しかったら前が見えない) この雪はどうなるのでしょう? 地面についたらすぐに融けてくれますか? それとも暫く積もりますか? 重みにたわみ耐えたなら 時期がきたならば その一滴が山中の水琴をうち 静けさに共鳴しますか? 浄化されたせせらぎとなって 小さな光をきらめくことができますか? 鼻腔の奥をつめたく通る苔むす緑の記憶となって いつのまにか 切なさが透明な空気になり 満面の笑みをたたえた ひっそりと    優しい水源にしてくださいますか この想いよ 積もったならば 融けて流れよ いつか嵐の過ぎた穏やかな 鳥たちの憩う水源となることを ---------------------------- [自由詩]やさしい涙/たまご[2004年9月29日18時20分] 泣けるなら 泣いたほうがいいのです いっそ 泣けたらいいのです 冷静に閉じたココロ ふたたび泉が溢れるのなら 泣けるほうがいいのです 清らかな水が こころを洗い流してくれるから 何も動かず ただ泣いていていいのなら 清らかになるように いっそ 泣いたほうがいいのです やさしく 流してください ---------------------------- [自由詩]私はしばらく無口になる/たまご[2004年10月3日0時50分] 私はしばらく無口になります しばらく何も話さないでみようと思います 私の口から出るものは 欲望のまま流れる 迷い者 方向をもたずに あたりを漂っています とめどなく 空間をうめているのは 濁った水 しばらく無口になってみます 清らかな上澄みができるまで 私の中で じっくり何かを沈殿させなければなりません ---------------------------- [未詩・独白]きれいな形に/たまご[2004年10月11日9時05分] 次から次へと 浮かんでくる 悲しい思いを 言葉にしないで 静かにそっとしておきます 息を吹きかけたら どんどん膨らみ 動きまわりそうだから おとなしくしてなさいね しばらく そっとしておきますよ 今に 落ち着きますからね 落ち着いたら その時 ほろほろと きれいな形にして 表してあげましょう ---------------------------- [自由詩]夕日が見える/たまご[2004年10月13日22時43分] 山と田んぼを切り裂いた直線道路 東から西へ進行している 開通したばかりの道路を わき目もふらず 流れに沿った大勢に混じって 移動している 大きく夕日が見える はるか遠くへ けれど近くのように ポッカリ大きな目的地のように 夕日が目に飛び込んでくる 少し横を見れば 積み木細工の家々が カラリと並んでいる その上は大きな空で繋がっている 横から後ろは天体ショーへと続く前奏の 夏の終わりの焼き付く思い出 夢のように美しい色彩 ピンク オレンジ 紫・・・ まるで空の美しさを表す為に 絵の具が作られたように 東側の空は雲さえも彩られていた 目的地はどこだろう 何故急がなければならないのだろう 私たちは何に向かって急ごうとしているのだろう 流れに沿っていた一台の車は 速度を 緩め 始めた 夕日が見える 赤く大きな哀愁だ 来し方を振り向けば まぶしく感動的な風景だ 路肩に小さな花が ほっとするように咲いていた ---------------------------- [自由詩]雨雲の向こう側/たまご[2004年10月23日13時20分] どんより湿った空気に覆われている ずいぶん長い間抱えていたんだね 中途半端に吊り下げられた悩み事を 私は離れたところで 見ているだけの立場だ 手に触れることはできない 求めれば求めるほど 焦れば焦るほど 解決策は遠のきそうだ 迷路に閉じ込められた糸口は 時の流れだけが取り出すことができるのだ 時期というものがあるんだね 雨雲よ 私にできることといえば ただ時が過ぎるのを待つだけだ 『時を過ごすこと』(=生きることだ) それ以外になにがあろうか 気持ちは薄暗い濃霧を彷徨っている いつになっても先が見えないのだ 手探りでときを過ごすだけだ けれども  やがて・・ 目前の光に気づいたならば 意識は切り立つ山頂を登りきり 突如開ける視界の広さを発見するのだ さわやかな残像になり きれいな空気が心の襞を撫でる時 雨雲よ 私はその時を 向こう側にあるものを はればれと自然に笑みが零れてくるように 君たちと一緒に見てみたいのだ ---------------------------- [自由詩]何かをするために生まれてきたのなら/たまご[2004年10月27日22時49分] 何かをするために生まれてきたのならば その何かを知りたい 何かひとつ たくさんのことはできないから 何かひとつ 重要なひとつ 重要な一番大事なひとつのことを 教えて欲しい 重要な何かひとつ 使命があるのなら それをやらずに死ねないだろう それは もう手がけていることなのか これからすることなのか 自分のことさえできていない 自分のことをしなければ 未熟な自分をなんとかしてからでなければ 重要な一番大事なひとつのことに 出会うことは出来ない 重要なひとつの使命 私の使命はいつになったら出会うのか もう手がけているのか いつになったら確信できるのか いつまでもできないものか 何かをする前に 自分をなんとかしなければいけないのだが・・ ---------------------------- (ファイルの終わり)