鵜飼千代子 2014年7月9日23時25分から2019年12月9日15時54分まで ---------------------------- [自由詩]交錯詩 「お酒」 長谷川忍 鵜飼千代子/鵜飼千代子[2014年7月9日23時25分] 奇数行 長谷川忍 偶数行 鵜飼千代子 時々は嬉しいこともあって 蛇の目に注ぎのぼる酒を見遣ると それでお酒を呑む 波立つおもてにやがて 習ったように同心円が現れる いつの間にか 甲斐甲斐しく取り分けられた肴を見つめ こっちに来ている 先を越されたとくすりと笑う 日本酒でも 「どうぞ」と手を添え酒を酌む ウイスキーでも 時計の針がゆっくり ゆっくりと 進んでいく ズブロッカでもよい とつとつと話をしながらだまりこむ なぜだか望んでは決して来られない 思考のゆとりを持ちながら そんな不思議なこっち 新酒、古酒でない この黄金の酒は 気がつくと来ている 純米吟醸無濾過生なのだ 奇数行 鵜飼千代子 偶数行 長谷川忍 蛇の目に注ぎのぼる酒を見遣ると 時々は嬉しいこともあって 波立つおもてにやがて 習ったように同心円が現れる それでお酒を呑む 甲斐甲斐しく取り分けられた肴を見つめ いつの間にか 先を越されたとくすりと笑う こっちに来ている 「どうぞ」と手を添え酒を酌む 日本酒でも 時計の針がゆっくり ゆっくりと 進んで行く ウイスキーでも とつとつと話をしながらだまりこむ ズブロッカでもよい 思考のゆとりを持ちながら なぜだか望んでは決して来られない 新酒、古酒でない この黄金の酒は そんな不思議なこっち 純米吟醸無濾過生なのだ 気がつくと来ている 平成二十六年七月六日 鵜飼千代子 ---------------------------- [携帯写真+詩]土に暮らす/鵜飼千代子[2014年8月9日23時12分] 五メートル×五メートル、市民農園の区画ふたつが わたしの詩の研究室 今、研究室では白いつるバラ「新雪」が咲き乱れ 萩「あすかの」がこんもりと枝を伸ばしている 土に金属の支柱を五十センチほど埋め込み ビニールをかけた雨避けハウスでは トマトもプチトマトも実をつけだした 秋に植えた、 不揃いで歯抜けて育った玉ねぎはもうすぐ収穫 土嚢袋には安納芋を植え 大根と人参は交互に種を蒔いた キュウリ、ナス、トウモロコシ、ニンニク、ニラ、 長ネギ、イチゴ、スイカ、バジル、まだまだある カナヘビが足下をすり抜けて行く アマガエルが跳ねる カマキリの卵 ナナホシテントウがアブラムシを狙っている 今年で七年目だが、手付かずの年もあった 昨年はセイタカアワダチソウが二メートルにも育ち 夫にも手伝ってもらい大除草大会となった 今年の土はふかふかで 掘る場所掘る場所、ミミズが現れる 植物と小さな生き物たちの種間競争を見つめながら ささやかな収穫を喜ぶ わたしは 土に暮らす 平成二十六年五月二十六日 初出 詩誌「焔」第100号 所収 ---------------------------- [携帯写真+詩]水槽/鵜飼千代子[2014年9月17日0時30分] 自由にのびのびと泳がせてくれる人と 長続きするのだなと今さら知る 海水魚を飼っていた時 気遣って水槽掃除をしてくれた夫が 水温センサーを水に戻さなかったので 海水魚たちはみんな煮えました。 シマリスを飼って、 少しでも自然の環境に近くと思い、 水槽に土と枯草を入れて自由にさせていました。 東日本大震災の数日前、 知っていたかのようにレモンちゃんは死にました。 インコの巣箱を2つ縦に添えたゲージの巣箱ではなく、 トンネルで繋げた水槽の片隅で。 大雪が降った日の後でした。 電気代が無駄だと、エアコンを切られていました。 「触らないほうがいいよ」 ってなに? 硬くなってティッシュや枯草の中に埋もれている レモンちゃんに、あなたは何を感じるのか。 放し飼いにした時に、 あちこち貯めた木の実が 今さら見つかるのが切ない。 愛玩動物ではない子供を 同じように殺してしまうのではないかと 怯えながら暮らしています。 夫は「普通」の人なので わたしが飼っている動物は別なのかもしれませんが。 実家で、飼っていたわんちゃんにはとても面倒見が良かったのに、なつかない小動物は、どうしていいのかわからないのかも知れない。 そんな観察をしながら、 わたしは水槽の中でのびのびと泳ぐのが 幸せなのかなと気付いたのです。 ---------------------------- [自由詩]別にリーマンしていたら/鵜飼千代子[2014年9月29日3時13分] 乳房をなぞった手のひらが 首にしばらくとどまっていることには気付いている 思想も愛も何も無い 自尊心に勝つ為の殺人予告? 迷惑なんですけれど。 キモいから触らないで。 言葉が見つからないって こんな時には、詩人でもつぶやけるのかな。 ---------------------------- [携帯写真+詩]円卓/鵜飼千代子[2014年10月9日18時45分] 上座のない、円卓で話したいね ぶっきらぼうや 口さがないのに頂いてしまっても 下座もない、円卓で話したいね ひとつ意見をしただけで 100の説教を喰らわされたのだとしても おどおどしながら意見も言えず 何かを言えば、 這いずる蛇の舌で言葉狩りをして 首根っこ抑えられるような そんな昔は終わりたい 顔を売る為に物語を作って発破をかける 何度でも懲りない そんな晩酌は酒が不味くなるのでしない 気付いてはいます 過去の本当を改竄しても 今その物語がわたしをわずかながら 被害者として 美しく映すのだとしても、 違うから。 あの時、あの場所でそれぞれが向き合ったことは 掛け替えの無いことで その気持ちをとりあげるのは 「人でなし」のすることだ わたしを庇う為、嘘を暴く為に 退会させられた、今も抱えている仲間がいるから、 わたしに都合のいい流れを作ってくれても わたしは仲良く出来ないよ そういうことじゃないんだ そんなことじゃない 自分のお金と時間を最優先に 奉仕しなければ回らないほど現実は苦しい そのことに疑問を感じない位しゃかいが見えない 自主トレで鍛えてきた、 あんなことやこんなことは 「御賛同いただけましたら」という 円卓での討論で活かしたい 誰も死んじゃいけない 未来はない 「好きだから」 出来ることを出来る分だけ 担っていただければと思います 伝説の詩人がまだ生きていたりします 生きているうちに会って 鬼籍の詩人でも近しい人に会って ご馳走になって読み解き、 次世代に繋げることはひとつの役割です 「円卓であれ」は、 商売の邪魔になるので嫌気にされましたが 仕事ならそうだろうけれど 自分の人生を差し出して 奉公する良し悪しについて考えます やればやっただけの見返りもあるのでしょうが している方には心より感謝の言葉を述べますが 最愛の息子は、 そんな捨て金のような事に人生を使って欲しくない 大切だから 渦巻くさまざまなことが それぞれの覚悟のもとに 少しずつ噛み合って 大きな流れになれたのなら わたしの処女詩集も昇華すると思うのです 後悔していません ---------------------------- [携帯写真+詩]藪蕎麦/鵜飼千代子[2014年10月24日2時56分] これだけ飲んで これだけ腹を割って 笑えているのだから 明日は明日の風が吹く 野生を奪われずに行きたいね ---------------------------- [自由詩]手をとる/鵜飼千代子[2014年11月24日3時23分] 佇んでいたのだろう あの時のわたしは 苦手なことを並べた 傷付きたくなかった それでも出会いを求めて やって来た 缶ビール片手に やわらかな言葉で話す 路上に座り込み 生活者と一緒に飲んでいる 道路使用許可について問いかけた警官に 食いついて行く、静止しようと仲間が羽交い締めにする 「ああ、そこに精霊が、、、」 と、目を泳がせ それに同調する人もいる 高校の新入生歓迎会の時に 新入生を弄るために行われた 「カトマンズ」というゲームのアレンジのような申し合わせなのか 本当に見えているのか わたしにはさっぱり見えないので 考えていた 食べ残すのが嫌で 外食する時には なかなか注文が決まらなかった 当時のわたし。 神谷バーで、 エビピラフを頼んだけれど食べきれなくて お皿を睨んでいたら 「もう、召し上がらないですか? いただいてもいいでしょうか? 大村さんいただきましょう。」 と、嬉しそうに食べてくれた。 レンジでチンした 冷凍ピラフのような味 冷凍ピラフはおいしいけれど 食べきれなかった 食べ残さずに済んでほっとしたけれど あんまり嬉しそうだったので少し気持ちが悪かった 大村さんは苦虫を噛みつぶしたような顔で付き合っていた わたしが食べていたスプーンだった 手をとる 立ちすくんでいるわたしの 手をとる 17年前 そのときわたしは30歳だった 蘇る様々なこと その時に感じていても 素直に受け止めきれなかったあれこれ しずかにしずかに 沁みてくる 手をとる あの時わたしがしてもらった温もりを わたしは誰かに手渡せるだろうか * 手をとる 手をとる 生きている確かさを 交換する 瞳を見交わす ---------------------------- [自由詩]ハンモック/鵜飼千代子[2015年1月26日2時01分] 笑顔が見たいと言われても 上手になんか笑えない ほらどうだ! と、手品みたい。 ゆりかごのようなサプライズに にっこり身を委ねた ありがとね ---------------------------- [自由詩]あなたがいる有り難さ/鵜飼千代子[2015年4月10日23時45分] あなたがいる有り難さ こころのままに いつものようにして 喜ばれて嬉しくて けれど好きな人に わたしよりもっと好きな人と一緒の気持ちで 感謝されたよ あなたがいる有り難さ ささやかな嫉妬の気持ちが宿る けれど あなたがいる有り難さ 来年も桜は咲くでしょう? そして、散るでしょう? 子供が先生に言われ 手をつないで歩いている そんな風なふたりだけれど 居てくれてありがとう 春の日差しの中で こころが芽吹く そばにいてくれてありがとう ---------------------------- [自由詩]コロポックル/鵜飼千代子[2015年5月29日3時46分] そうだったよね くねっとすること ぺとっとして もぞもぞして 変な感じがそのうち分からなくなる それって変態じゃない? とわたしが言うと とてもすまなそうな顔をしながら 胸に顔を埋めた とにかく青空の下が好きで 変な人に見られたら強姦されますよ というのに、 それすら憧れているのか 人に見られるということへの 警戒心も羞恥心もない むしろ見せびらかしたい そのくせ、 近所の寿司屋を開拓しに行くと 「お忍びでもいいですね」なんて言うけど 有名俳優や有名作家じゃないので 「誰も知りませんからお忍びも何もありません。」 とわたしは言って、 ちんまりとした沈黙に憩う 街の人が 詩人の名前や顔を見てわかるのって よっぽど詩や文学と親しい人なのではないでしょうか わからなくて普通 であるのなら、 本人もわかっているのなら 子供とするように ごっこ遊びをしてあげるべきだったのか 普通の書店では売っていないって 大型書店限定販売書籍とアダルトショップ限定販売書籍と マニアック度はどう違うの? どちらも普通の生活者は出会わずに一生を終える書籍だから 芸術家の支援者も今はなかなか見つからない 支援者がいない表現者は、 タレントほどに人目につかない それならそれで書いておけが わたしのスタンス 何をするにでも自分の持ち出しで 団体の理事をしても時間とお金の持ち出しで そういうことが出来る人が選ばれて みんなの為に尽力をしているのですが 詩で食べていくことが出来ない そのことに 詩人は悲しまなくていい 詩をお金にかえることは こちらがしようとしてどうなるというものではないこと どこかのプロデューサーに拾われたらめっけもの 気分で、 もぞもぞ書いているのがいいのかな お金にしたいのなら 芸人でも、シンガーソングライターでも もっと近い道があるし その道への努力をした方がいいように思う それでもまったく詩が好きで他のこと考えられませんって わたしみたいな人は あちこちの色々に勉強させていただきながら出向き 短い人生楽しみましょう。 みんな死ぬから それが普通で 平等なんです。 ---------------------------- [自由詩]センベロ/鵜飼千代子[2015年6月15日23時00分] そんな気持ちになったので センベロしてみた 千円でベロベロになるほど飲ませてくれる店が下町にあるらしい 「たきおかとカドクラ、ハシゴするけど来る?」 とツレに聞いたら 空腹を我慢できないツレが来るという 小銭千円出して と わたしが仕切る 「好きなものなんでも頼んでいいですから」と言い合い お腹をかかえて笑う つけまつげバリバリの女性店員が てきぱきと仕事をこなす ああ気持ちがいいし 習いたい立ち飲みカオスの店 千円でベロベロに酔わせてくれる立ち飲みにやって来て わたしは仕事を習っている 酔っていてもアンテナは立っている 何言っているのだか、 その為に外飲みするのでしょう?と 言われるのかな ---------------------------- [自由詩]そうがいいと言われて/鵜飼千代子[2015年9月30日3時28分] いない人だからちょうどいい ---------------------------- [自由詩]ケンケンパ/鵜飼千代子[2015年11月25日23時15分] ケンケンパ ケンケンパ 道路にロウ石で丸を描いて ケンケンパ ケンケンパ まるまる転がるよ ケンケンパ ケンケンパ 見上げてね ほっとしてまた下を向き ケンケンパ ケンケンパ ケンケンパ 外しちゃいけない ケンケンパ ケンケンパ また見上げてね ほっとして また、 ケンケンパ ---------------------------- [自由詩]勝てない/鵜飼千代子[2016年1月28日19時02分] 勝てない その勝負には勝てない 自分より劣っているから安らぐ その気持ちには勝てない 劣っている人に寄り添って 生意気な態度を取られて腹立たしく思っても やっぱり劣っているから 泣き言をいうと可愛いと思うのでしょう? 勝てない その勝負には勝てない わたし あなたより劣っていることを 泣き言に出来る可愛げはないから 出来なくて良かった 勝たないよ 生き方というのもあると思うし 清貧でも身を惜しむというのもあると思う 勝てない 勝負しない 行き先が違うのだと思う ---------------------------- [自由詩]桂花?/鵜飼千代子[2016年12月31日18時26分] 金木犀の花を瓶に入れ ホワイトリカーを注ぐ ひと月ほどして 香りも色も酒に移った頃 金木犀の花を引き上げる その酒は 甘い香りをたぎらせ 口に含むとふくよかな広がりを持つものの まだ角のある若い味だ 時間が育ててくれるのをしばし待とう 焼酎漬けの花は変色せず 鮮やかなオレンジ色のままだった 捨ててしまうのは切なく淋しい そうだ 蜜煮にしよう グラニュー糖に金木犀のお酒を少し入れ  熱してシロップを作る すっかり砂糖が溶けたところに 焼酎漬けの金木犀の花を入れ 少し火にかけたら火を止め 自然に冷めるまで待つ 肉厚の花びらにほんのり甘味が入る そのシロップに ほんのちょっぴり塩を入れる そこんじょそこらのジャムじゃない ジャムに塩は入れないもの 香りはあまり感じないが ひと匙すくい口に含むと プチプチと金木犀の花が口の中で弾ける いや、プチプチと噛みながら 舌の上で味わっている 桂花?(ケイファジャン) 中国では塩漬けの金木犀の花を塩抜きし 蜜煮したものをそう呼ぶという 我家の蜜煮は 後から塩を少々 金木犀の花善哉(ぜんざい)になった 2016年12月28日 初出 うろこアンソロジー2016 ---------------------------- [俳句]焔俳句 1 金雀枝(エニシダ) 10句/鵜飼千代子[2017年5月19日22時03分] ミモザかなレンギョウじゃなしなんだっけ エニシダの花あふるるデイケアの窓 施術台ホットパックして昼寝して デイケアで居残りをしてバカンスや お帰りの体操曲は白樺だって さぶちゃんに白樺って曲あったっけ 南風な曲ですよねでも曲名出てこない 味が濃い味覚障害か田舎飯 昔から10年早いがここでまた 窓全開ど田舎クーラー風薫る 焔 自由句1 所収 ---------------------------- [俳句]焔俳句 2 風船葛(フウセンカズラ)10句/鵜飼千代子[2017年7月27日18時12分] 華奢な花 ひらひらひらり 風に揺れ 薄っぺら これからふうと 膨らます くるんとね 巻きひげ しれっと寄り添って まだ開けない 緑の袋 ハッピーハッピー 内緒だよ 風船の家 ハートのお猿 競い合う 風船葛と朝顔のツル 開けたらね ハートの種(ともがら) みっつ入っている カルディオスペルマム ギリシャ語由来ですと 心臓の種 蒔いたら 真心育つかな 花言葉 プロポーズ用 植物かも。 ---------------------------- [俳句]焔俳句 3 栗おこわ10句/鵜飼千代子[2017年10月2日21時51分] 栗おこわ祝いの膳や敬老日 柿食べて今年の秋よこんにちは 野分晴銀杏拾いの人集う 臭うから踏むのはやめて銀杏の実 避けながら歩くのキツいからいっそ銀杏拾いかな うろこ雲恋しやしふねき残暑去れ まだ鳴くか油蝉が道に転がって 転がった蝉を杖でつついたら飛び立つのかな?諦めるな。 ヘルプマーク貰ってきてもらったよ赤十字かスイスの国旗か可愛い ヘルプマーク知られていないんだってならわたしも持ってきっかけ作り <「焔」 自由句>3号2017年10月20日発行 ---------------------------- [自由詩]良かれと思って言わせてもらえば/鵜飼千代子[2017年10月15日3時06分] 中学に入学して初めての定期テストの順位は、中間だった。 わたしが中学生のころもゆとりのお兄ちゃんが中学生のころも学年順位は知らされなかったように思うのだけれど。 わたしが夏に入院するので、検定のテキストを7月から使い二学期の定期テストの対策をしていた。 「お母さんにつべこべ言われながらやっていたけど頑張ったじゃない」って夫に言われたけれどトータルの順位は1学期より20位上った。 仲の良いお友達は何をしても凄くて、お兄ちゃんも何でも出来て、なんでわたしだけって思うのね。 生きているだけで嬉しいから高校も大学も無理に行かなくていいというお父さんは優しいけれど、 良かれと思って高校も短大くらいはいってみたいあなたの本音を支える嫌がらせじゃないけど、良かれと思ってプチスパルタしてみるよ。 学ぶ流れの家庭と、そうでない家庭ってあるんだよね。 良かれと思って今わたしが思い付く事をするよ。 外れていたらやりなおそう。 それなく無い?って一緒にね。 ---------------------------- [自由詩]シルバーカーと一緒にね/鵜飼千代子[2017年11月27日20時49分] シルバーカーと一緒にね まだ51歳なのに色気ないけど それがすっぴんのわたし シルバーカーと一緒にね 会いに行くよ 冥土の土産に もう、余生だよね ナイフとフォーク使えなくて わたしのお皿にサーブ ケアしてもらった 離乳食用のお出かけカッターとか 持参していたんだけど ありがとです 巧く助けてって言えなくて 自分でしようとすることで かえって面倒増えたかな? と思いながら 姫様扱いしてもらいました 昔からそうだけど この余生 あと何をして終えようか 去年 死にぞこなったから 今がある 何か遺したいね 大きな事でなくていい 誰かの 個人の心に どっかり居座れるようなことあったら いいね 冥土の土産 ありったけ それだけのことが全部 いいじゃん それが幸せ 生まれた意味でも。 初出 うろこアンソロジー2017 ---------------------------- [自由詩]ねぇ チャッピー/鵜飼千代子[2017年12月23日18時39分] 大学に居着いた野良猫のチャッピー 理系の癖に高校の全国実力テストで現国全国1位だった君 わたしの事も野良猫のチャッピーの事も書かないよとあなたは言った 結構繊細だよね。 わたしはあなたを書くことにしたよ それがわたしのパッケージでいいや 中身の秘密は独り占めしてね 思い出はふたりだけの秘密じゃなくなっても 生きているから続きがある 見せびらかしちゃる(*?????*) ---------------------------- [俳句]焔俳句 4 千代の春 十句/鵜飼千代子[2018年1月8日22時05分] 命日に入院 成功祈願 墓参り 開頭術 縫合ホチキスって わたし文集? もう出来ないね 畑返還 支度に出掛け 十歳(ととせ)越え 冬バラ萩を 掘りあげて 故郷の庭 移植するのさ 生命よ続け シルバーカー 愛車 ベンツと 日向ぼこ 寮暮らし 嫡男帰宅 年の家 続いてよ 爺婆子孫(じじばばこまご) 晦日蕎麦(みそかそば) 千代の春 倅眺めて 美酒一献 明けの春 一点買いです 中学生 ---------------------------- [俳句]焔俳句 5 永年勤続 十句/鵜飼千代子[2018年3月27日22時14分] 永年勤続 祝い旅行に 花疲れ ハムスター わたしのツレだよ 麗らかに インコちゃん ハムスターとも 春来たる 息子がね 結婚しようかって 春の風 そうなんだ 見れたらいいね あれやこれ 朧月 終わっていたら 無い今生かす 伝えたよ 何十年とか 今もそう 水温む 頬も緩んで 春爛漫 あるのはね たったそれだけ 菫草 風光る また会えたなら 縁側で ---------------------------- [自由詩]ただ悲しい/鵜飼千代子[2018年6月28日2時10分] 先輩死んじゃったの 同窓生だと聞いてAmazonで古本買っていたけど誰かわからなかった。 先輩死んじゃったの ネットで本名を検索して誰だったのかわたしの中で一致した。 生きている時に先輩がそうだと知っていたら、わたし自慢の我が家ゴミ屋敷を「ちー、これダメ」ってばさばさやってほしかったな。 それないし、しか意見ないです。 淋しい哀しい困ります。 ---------------------------- [自由詩]終活/鵜飼千代子[2018年7月11日23時53分] 2年前に脳出血で死にぞこなって 子供の都合に出掛けるために 生き延びたのだと幸せを実感して 今このままの宝物ハウス 別名献本たっぷりゴミ屋敷 わからないから わたしが死んじゃったら。 ならね、 昔から10年早いとは言われていたけれど 終活はじめるよ 詩集は古本で引き取って貰えなかったりするから 処分(捨てる)する事になったりするんだけど 読みたいカモな人は私信して下さい。?(?????)? ---------------------------- [自由詩]ホワイトタイガー/鵜飼千代子[2018年10月9日17時35分] 好きすぎて噛んじゃったのかな? 鹿児島市平川町 平川動物公園のホワイトタイガー お兄さん死んじゃったよ 死んじゃうとね、もう遊べないの ホワイトタイガーのリクくんは殺処分されないのね ねえ リク 明日からお兄さん居ないんだからね だから、噛んじゃダメだったんですって リクは生きていくけど お兄さんが居ない生涯は生殺しかな? だから、噛んじゃダメだったんですって お兄さんと遊べなくなって 一番悲しいのは リクだよね ねえリク、 お兄さんの分まで生きて お兄さん、お空でリクと 沢山遊んでいるよ お空に行くまで ちょっと待っていてねだね うろこアンソロジー2018所収 ---------------------------- [自由詩]満月/鵜飼千代子[2019年8月31日21時55分] 今日の月は電気みたいにピカピカ お月様ははね 宇宙なんだ 君が言うから見上げてみる 眩しいなあ 今日の月 光が丸におさまりきれないよ そうかぁ ピンホールカメラなんだ あちら側には何があるの 逆さまの世界? 1997.07.28 ---------------------------- [自由詩]ダメだから/鵜飼千代子[2019年9月6日20時48分] あっきーの冷たいマクランも、あっちゅのしまちゃんはなちゃんもえすけ、抱き枕サイズのファミちゃん、みんないなくちゃダメだから。 あっちゅは中3になって、東京にだってひとりで電車に乗って行けるようになったけれど、幼児みたいじゃないんだ皆んなは家族だから。 ヌイグルミ愛着体質について、検索すると色々あるけど、かまわれるよりかまいたいタイプの人はあるあるなのかな。 「ライナスの毛布」のような愛着物持っていること、あること、恥ずかしくない、普通だよ。?(?????)? ---------------------------- [自由詩]糟糠の妻/鵜飼千代子[2019年10月29日2時42分] ゆーくんが演技を終えて高得点を出して 馴染みのくまのプーさんのティッシュカバーにポンポンする姿カッコイイ。 昨日と同じゆーくんでほっとした。 ---------------------------- [自由詩]低温火傷/鵜飼千代子[2019年12月9日15時54分] デイサービスをやめて 寒くなってきて身体が硬くなってキツいから 寝る時に貼らない簡易カイロを左肩に敷いて寝た。 低温火傷していたなんて気づかなかった 次の日の夜背中が痒くて孫の手で掻いたらヒリヒリするから 家族に見てもらったら 火傷していて皮剥けて汁出ているって 土曜日の夜だし家にあった火傷の軟膏で対応して月曜日の今朝病院に行った ホームドクターで、脳出血起こすまでパートしていたクリニックだけど 「火傷は深夜でも急患で病院に行け 低温火傷は深くまでいっているから、カイロの直付けはいけない」 って、センセは言うけど 「変な外科に行くよりセンセに診てもらった方が火傷きれいに治ること経験しているから、月曜日の朝イチで来ました」と治療してもらったけれど、センセも「それはそうだ」と センセからみて可愛いわたし、かわいげに慣れているけれど、センセがいなくなっちゃったら次に火傷した時どうしたらいいの?と不安。 だってインスタントラーメンを作った鍋からの熱湯をかぶって足に大火傷ズルムケ治療、この度はホッカイロで水膨れな火傷って、頭硬いDr.なら、いい加減にしてだよね そろそろ老年仕事仕舞になりそうで頼りっぱなしのわたしは今後の人生に脅威すらかんじるのだわ センセ、わたしを不安にさせないで 頼りにしています 「うろこアンソロジー」2019年版 所収 ---------------------------- (ファイルの終わり)