『ヨコハマ買い出し紀行』14巻
芦奈野ひとし
価格：￥520（税込）
レビュー：原口昇平
マッキが大人になって勤め人になって子どもサエまで産んで連れてきてアルファのもとを訪れる。タカヒロが思いつきで名付けたらしいサエッタという名はイタリア語のsaetta（＝「矢」）を思わせる。そしてマッキが子どものころ会ったミサゴと、サエも同じように会ったりしてる。ミサゴは気に入った子どもにしかほんとうに時が経ったんだなって実感する。先生はたいせつなペンダントをアルファに渡す。このシーンがとてつもなくせつない。このひとは決して具体的に死や終焉を描かないのだけれど、代わりにメタファーとしての夜へゆっくりと向かっていく風景やひとびとがよく描かれている。12年間かけてひとみを閉じたまんが。