恋文[584]
2007 06/08 02:59
佐々宝砂

きみのギターはまだ静かにすすり泣くのかい
と尋ねてみたけど
きみが弾くのは生憎ギターではなくベースだった
ぼんぼん、ばん、と
単調に続くベースライン
結局ところそれがきみの生き方さ
そしてわたくしは機械で音を出す
打ち込みでね
もうわたくしの指は昔みたいに動かないから
鍵盤をすばしっこく叩くことはできないから
機械的に算出されたわたくしの音と
単調なぼんぼんばんのきみのベースと
それでまともな音楽ができるとは到底思えないんだけど
なんとかパーカッションまで担当するからさ
きみはメロディーを奏でてみてよたまにはさ
他の誰が聴いてるわけじゃないもの
きみとわたくしだけさ
今夜はセッションをしようよ
他のどんなことも要求しないから
ベースとキーボードだけで
ふたりだけで
静かなセッションを
スレッドへ