恋文[538]
2006 06/24 19:47
ふるる

五月雨(さみだれ)の鼓動を聴いていた
音もなく沈むような鼓動

震える鼓膜は
心臓をも
震わせる

あなたの流れる髪は
黒い河のように見える
ぼくはそこに小さな船を見ていて

翻弄される流れに
五月雨はなだれ込む
シーツに乱れるあなたの髪
そこに鼓動は絡まって

首筋から
あなたの心臓を探り当てても
震えてはいない

震えているのはぼくの鼓膜
ぼくの心臓
小船に乗せられ
翻弄されるまま

あっと叫ぶけれど
音もなく沈むような鼓動に
飲み込まれ 後は
五月雨て
乱れるまま
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