恋文[507]
2006 05/14 05:30
佐々宝砂

空が白みはじめるころ
きみはようやく眠りにつこうとする
酒を飲み過ぎた頭はきっとぼんやりしている
安っぽいその他の雑酒の空缶が
ベッドサイドの袋にいっぱいで
その横には誰かがいるかもしれないし
いないかもしれない
私は知らない
どっちでもいい
空が白みはじめるころ
私はようやく今夜のきみをあきらめる
コーヒーを飲み過ぎた身体は少し熱っぽい
あくまでも少しだけ
私には火がついてない
火がついていない
誰も火をつけてなんかいない
幾度も繰り返した言葉を繰り返すだけ
幾度も繰り返した行為を繰り返すだけ
ときおり訪れるやさしい瞬間を
たいていはきみに届け損ねて
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