恋文[45]
01/22 22:41
青色銀河団

[硝子の街で]

夕刻になると
硝子の街は
淡い色につつまれる

とくに今日のような
刷毛でさっさっと刷いたような灰白色が
うすむらさきのスクリーンに映ると
街全体はぼうっとすみれ色に発光する

そんなとき君は
兎の眼よりも赤いくちびると
生まれたばかりの悲しみみたいな瞳をして
僕をじっと見るもんだから
なんだかこっちまでせつなくなってしまい

僕は
君の手を
ぎゅっと握ることしか
できなくなるんだ
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