恋文[294]
2004 08/24 04:03
佐々宝砂

抽象ではきっと受け取ってもらえないけれど
かといって具体派などとゆーものの真似も難しく
しかたないので情をガスの火で炙って黒焦げにして
感は塩にしてから酢が馴染むまで冷蔵庫にいれておき
そのあいだに何をどうしたらよいかしらとあたりを見回したら
青いカビに覆われた嫉妬が床に転がっていたので
つまみあげてハイターで消毒しさらに電子レンジで殺菌し
愛など残っているとまずいのでいちいち楊子で取り除き
なんでこんなことしてるのかしらとついた溜息が混じると
さらに味が落ちるのでそれも大急ぎで取り除いて
悲しみは腐るゴミなので生ゴミと一緒に裏の畑へ
寂しさは不燃物だから毎週月曜日に出すこと
怒りはもちろん燃えるゴミで
焦りは再生ゴミなので毎週水曜日に分別して出す
なのだけれども
さっき楊子で取り除いた愛をどこに捨ててたらよいかわからない
愛なんて抽象的なものあのひとはきっと受け取らないのに
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