恋文[285]
08/09 04:49
佐々宝砂

嫉妬、
というものが理解できない。

私にわかるのは薄い青灰色した感情だ。
そんなものは嫉妬じゃない嫉妬の色は紫なんだと
昔むかし恋人に言われた。
私はそのときとても傷ついたけれど
傷と嫉妬は別物だ。

薬のせいでうまく勃たないものを
懸命のボランティア精神で維持している私に
彼女が嫉妬している。
嫉妬と快感でこんがらがっているのがわかる。
顔にそう書いてある。
うまく勃ってないしろものは
いままさに彼女のなかに入っていて。

なんでこんなことやっとるのかなあ。
ようわからん。
嫉妬もわからん。
最近じゃ恋もようわからん。
わかんねえわかんねえと呟きながら
彼女のやわらかくて大きな乳首をくわえてみる。

彼女がうめいて
彼の名を呼ぶ、

薄い青灰色の感情が
ふいと
私のこころに生まれる、

彼ではない、
彼女ではない、
名を呼ぶことすら今の私にはできない、
そのひとのことをかんがえるとき、
そのときだけ、
薄い青灰色の感情が私のこころを流れてゆく。
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