恋文[26]
01/08 17:07
佐々宝砂

さんざ酔っぱらって目がさめたら
三人でベッドに転がってたよ
どうやら3Pやっちまったよわはは

という話を
ともかくそういう話ができる男に話してみたが
(上記三名にその男は含まれない)
どうもなんかすっきりしないので
今度はそういう話ができる女に話してみたが
(上記四名にその女は含まれない)
どうも激しく誤解されたような気がしたので
これは胸にしまっとくべきかとも思ったが
そういえば私は詩人を名乗っていたのだった
こんなネタをほっといてはいけないと考え
さてこれを詩にしてみましょうと
記憶の底を探ったら

穴があった

あなたのご想像と違って
記憶に穴があったのではない
(そりゃもちろん穴はあるがその穴ではない)
あなたのご想像と違って
身体に穴があったのではない
(そりゃもちろん穴はあるがその穴ではない)

両親のせいにしなくてはならないほど古い穴ではなかった
(私はアダルト・チルドレンではない)
まだ新鮮な血を吹き出すような新しい穴ではなかった
(私はそんなに若くない)
それは深いにしろごく小さな穴で
放っておくこともできたが

どうしても埋めることができない
埋めることだけはどうしてもできない



かなしくなって大酒呑んで

(これら事件の遠因であるその穴を開けた犯人はとうとうこの詩に出てこないまま)

冒頭に戻る
スレッドへ