しりとりの詩 2nd[163]
2006 02/16 23:12
蒼木りん

燃え上がる炎は
すでに牛小屋の屋根を舐めており
それはもう
ほどこしようがないことを認めさせていた
藁の敷かれた柵の中で
焼かれた牛の悲鳴を
黒焦げの柱が幻を見せる
忘れかけた
煙草の落ちた灰の中の火種
ぱちりぱちり燻り
炎が這ってゆく速さ

サイレンは山を越える
犬の遠吠え
炊き出しと
近火見舞い

風呂焚きさえ
大風の吹く日は
ためらうのさ
火の粉が
裏の林を火事にしないかってね
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