2006 04/16 09:51
松岡宮
上手宰さん主宰?の同人誌「冊」2006年2月号のかんそうです。特集は清野裕子さんです。
詩はいろいろですが、この同人誌の特色としては、表現が比較的分かりやすい、日常的で、あと家族ものの詩が多いです。わたしもそういう作品はスキですが。
印象に残ったものをかきます。
★閉じられないノートPC/上手宰
> ノートパソコンを閉じると
> 今まで私を見つめていた画面が
> わっと泣き伏して
> 机に顔を埋めてしまったように感じる
という始まりの詩、なるほどノートPCがわたしを見ているというのは新鮮な視点でした。それを物理的に閉じる、というのも、いつもしていることなのに、詩になると新鮮ですね。
★ふとん/北村 真
> 朝 はように
> 霜 降りとう田んぼで
> おじいちゃんのふとんを燃やしたんや
(中略)
> ようさん見た夢も 燃えてんのちゃうか
> 大工のおっちゃんが
> 酒のみながら いうた
基本的にはおじいちゃんのふとんを燃やしたという描写なのですが、上記の描写とか、あと細い煙が空に登ってゆく描写とか、ガソリンくささとか、なんともいえぬ切ないというか、なつかしい気持ちとか、そんな気分になりました。子供が死を体験するような、なんともいえぬ気持ち。
★子守歌/伊東唯
> な・が・と・ご・う・つ・ま・つ・え
> まっ・と・う・と・や・ま・の・う
>明日をも知れない病床で父が歌った子守歌
この部分がキャッチーでした。駅名列挙ってのは詩的で、また人々の心にも残るものなんだなと思いました。病んだ身体ってのは、いろんなところを旅するんだなあと実感します。
松岡宮