2006 09/17 23:11
松岡宮
Tongueを読む日曜日。Tongueとは、片野晃司さん&沼谷香澄さん二人で出していた、12冊組小冊子+ハコ付き、です。とはいえかなり「手に取りやすい」です。
片野さんの詩は「舌状大地」がテーマにあるということですが、くずおれる地層というのか、消えて行く城とか大地とか、人の営みよりはもっと地球レベル?の、大いなる喪失と記憶というのか、そんなイメージで読んでおりました。わたしの印象に残ったものは以下のフレーズ。
そしてわたしたちは老いる
苔生した石切り場跡の
方形に欠落した垂直の岩肌に沿って
ゴンドラはゆっくりと落ちていく
(中略)
ゴンドラをそこに留め
記憶は方形に欠落してゆき
この詩は語り手を失ってしまう
・・・あ、なんか「そこで中略するなよ」ってところで略してしまいましたが、この最後の一行は「やられたよ」という感じです。関係有りませんが、昔はお墓なんていらない、散骨でもしてくれと思いましたが、いまはお墓も、あるいは古墳を作ってもらうのもいいかなあと夢想しています。死後のことも、考えてみると、ちょっとたのしい。
沼谷香澄さんは短歌を中心として書いておられます。12号(最終号)の「貝塚」は、なんとなく「あの世」的な雰囲気が漂っていて、上で書いたようなことと符丁しますね。
歯の無きは拷問の痕 頚無きは刑死 骨無きは−−笑止
人の身体は水の風船水出して死ぬでなければ水入れて死ぬ
なんか本道でないかもしれないけど、これらの短歌は・・・笑ってしまいました。からだぐにゃぐにゃ。ほんと、たかが身体。わたしはあまり短歌を読むのに慣れていませんが、内容というよりは言葉の響きとかのどごしを楽しむのが、沼谷さんの作品の場合にはいいのかなあ、と思いました。
松岡宮