2008 09/21 10:22
「ま」の字
おちてゆく
おちてゆく
おちてゆく
改革を叫ぶものも
自己の利害を訴えひとの話は聞かないものも
そらをみあげ
「もう君たちの事は関心がなくなった」とつぶやいた僕も
その前夜、世界の多様性は、さよう、すこし悪い表れ方をしていたのだった
滝壺に落ち込んでゆく灰色の膨大なもの
それがそのときの世界だった
とけて おちて すべてが波打って崩落に向かっていった
世界とはそうしたものだった こんどは
何千万人だ？
ぼくは なんとしても生き残ろう
妻と子の顔が浮かんだのだ
その呟きが
正しかったか正しくなかったか
俺が生き残っていたら訊いてくれ
誠実に答えよう そのとき
生き残っていたら できるだけ誠実に
おそらく体も利かぬ
老人になっているだろう
訊いてくれ
生き残っていたら
今は誰も吐けない
知恵の言葉が吐けるかもしれない
そうしたら 次の崩落には
少しの役には立つだろう