佐々宝砂

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勝手に題詠11

101酸　　　　　暗室に酢酸匂ふ春うれひ

102十指　　　　レタス切る十指に足らぬ傷の跡

103休　　　　　初雲雀（ひばり）今は休むを知らざるを

104思想　　　　螻蛄（けら）鳴けば我の思想のごときかな

105呆　　　　　春雨に今日も遅刻の阿呆かな

106庭師　　　　庭師なき庭の主かも桑芽吹く

107イタリア　　目刺食ふイタリア映画の血を見つつ

108あこがれ　　あこがれと空に書くなりつばくらめ

109水炊き　　　会話途絶え水炊きをただかき混ぜる

110ラーメン　　ラーメンの伸びるはやさよ目借時

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