題名だけのスレに詩をつけるスレ[25]
2016 10/29 11:16
水菜

あっくんさまの「詩のような生活」頂きました。少し、夢見がちに纏まっていたらすみません。素敵な題名に思わず飛びつきました。

*****

『詩のような生活』

とめどなくながれる滝のような宝石のような鳩の波が
僕の目の前で宝石を啄んだのは
僕が白い銅像に成り果ててからだった

『おいおい、ぼくの大切な宝石をどこに持って行くんだい』

鳩は啄むだけでぼくの問いかけに答えようとはしない

夜明け前のブリュッセルの美しい町並みは、まだ密やかに薄闇のベールが張られ甘やかな空気が静寂を包み込んでいる

流れるように美しい鳩の波が、思い思いに僕から持ち去ったサファイヤやエメラルドやオパールの宝石の煌きを足元に留めながら美しく僕にひと時の夢を見せた

様々な美しい幻影的な空の上のダンスを彼らは僕の前でまるで秋空の下、枝から振り落とされる木の葉のようにそれが全く当たり前ですよとでもいうかのように容易にやってみせた

徐々に色味、明るみを増してくるブリュッセルの美しい町並みの中、朝焼けの色がまるで画用紙の上に絵の具を落としたかのように広がっていく

僕は、そのあまりにも絵画的な蕩けるような幻想的な鳩たちのダンスに声を失った

ひと時の夢を僕に見せた鳩たちは、美しくベールのような列になって、僕の前に整列すると、すっと頭を垂れて

僕の宝石を大事にまた僕の身体に埋め込んだのだ

僕は、途中から理解していた
鳩たちは、僕の下で口をあんぐりと開けて、上を見上げている鳩にご飯をあげる僕が名前も知らないおじいさんの為にこの夢のようなダンスを計画したのだろう

少し切なくなるような薄着で、可愛らしい毛糸の帽子を被ったおじいさんは、少しだけ涙ぐんでいたんだ

それから僕は、あの鳩たちを見かけてはいない
ねぇ、あれは、さようならの言葉の代わりだったの?
きっと、鳩たちは答えずに頭を下げるだけなのだろうけれど
スレッドへ