☆現代詩フォーラム古典部☆[78]
2007 05/29 00:03
佐々宝砂

我、心して、様々なる人々の様々なる言の葉を読み続け、かつ読みて思ひしことはそのまゝ言はぬと自らを戒めて来ぬ。この場にても我が悪癖たる「お節介」を胸の奥なる櫃に納めて置かむとすも、心苦しうなりて、網戸を開けて戸外に出でぬ。月あらず、星もあらず、我が煙草の火のみ明るき、と思ひたるに、青芒の中ふと小さき光を見出しぬ。蛍の光なりき。何ゆゑか知らねど、かなし、とふ旧き物言ひを思ひ出したり。蛍の灯、悲しきにあらず、哀しきにあらず、かなしき光なりき。

ほうたるのただ一つゐてただかな
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