やわらかなあさ
まほし

あ、
あさごはんが
きょうもやわらかい


そしゃくされた
いのちが
おなかに熱くしみとおる


やわらかくなって
この手に
とどくまで
いったいどれほど
かみくだかれたのだろう


あさの
ひかりに
ゆげをたてる
白いごはんを
すかしてみると
青い苗から
金の稲穂になるまで
どろにまみれて育んだ
おじいちゃん
おばあちゃんの
手、が
うかびあがって
ふたりも
そのまた
おとうさん
おかあさんの
手、に
育まれて
どんどんさかのぼって


こうして
めぐらせる
この言葉さえ
遠いとおい昔から
かたい土をたがやすように
手をかけられたのだと
思うと


やわらかく
かみくだかれた
ものものには
たしかな芯がとおっている
と、感ぜずにはいられない






自由詩 やわらかなあさ Copyright まほし 2006-12-31 08:16:02縦
notebook Home 戻る  過去 未来