コウシュの旅人
るか



 だが
 落葉の時間をへて
 絶え間ない先送と 既了の境域へ
 戻るか
 コウシュの旅人

 蒼茫の中、
 一際
 あおく、沈んで
 そこで意味の果実は
 割れ、
 残照に
 浮かび上がる頬を
 零さないように、わらう
 のです
 吐き捨てる 繭や、
 眠りは砂時計を浸して縊れ
 ぬれた足裏がはい回る
 長い廊下を、浮動スル

 一本の透明ナ浮標
 さながら、

 神秘のように
 ぬれた庭を這う 繭が
 夜明けを
 待ちきれない、
 と、
 いうようだ
 ゆるやかに血走り、
 発光シ

 その様といったら
 どうだい、
 永遠の砂のうえ
 浮かぶ
 あかるいビンから
 睡蓮の ほうへ
 草いきれのジェニー
 君の身勝手な実存が
 投じた
 その水紋が 風を
 潤すならば、

 いつか死ぬことができるだろうか
 それが信じがたいまま
 私 の残響を
 口真似し、

 弾むボールの音の予言
 路上に散逸する
 剥片の ざわめき、とか

 軍鶏のヒヅメ
 地を撥ね、わらう、わらう
 軍鶏のヒヅメ
 捻り、撥ね、
 わらう、わらう、わらう




未詩・独白 コウシュの旅人 Copyright るか 2006-12-28 00:36:57縦
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