ラブレター
A道化






通過電車が
高音の向こうに消え去り
どこまでも
正しいラインを描く傷跡のような
線路上の余韻を見やる


風と白線の内側に
残されたわたしは、ひとつの
丸められた紙のようにしゃがんで
届かないことを包むように
どこにも届かないことを、包むように
くしゃり、
息をしては、その度に
この肺が一通の
手紙らしくなってしまうことを包むように
ぬくい手紙になってしまうことを、包むように
くしゃり、くしゃり、
この、息を、続けてしまって


通過電車が
高音の向こうに消え去り
線路上の過剰な余韻を見やる
ああ、傷跡は
正しいラインを描いている



2006.12.14.


自由詩 ラブレター Copyright A道化 2006-12-14 07:36:39
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