駅・五反田
たりぽん(大理 奔)

ビジネスホテルの一階の
回転寿司屋で黒人さんの握った
トロのしゃりがあまりにも真っ白くて
私は奥歯で笑いながら
虎を溶かして作ったバターを思い出す
たしか、色素の抜けた太めのコックが
伝統的に不味く焼いたイギリスパンに
塗って食べるのが正統なのだと
東印度会社の中国人に教えてもらった
虎が溶けたバターの使い方がわからなくて
日本人は傷口に塗ってたらしい
トマトもトウガラシもポテトもトウモロコシも
聖典には載ってなかったけど
海を渡った浮浪者達が
新しい聖典に教書と名付けてから
伝統的な欧州料理になったと
移民帰りのおじいちゃんに教えてもらったな

そんな まぬけな夢から
目覚めると、 五反田だ

改札を抜けると
時計は昼の二時だったので
まだ牛丼はあるだろうかと
私は奥歯で笑いながら
オレンジの看板を探す





未詩・独白 駅・五反田 Copyright たりぽん(大理 奔) 2006-12-10 22:52:57
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