時の経過
田島オスカー


夕方です

一段と窓ガラスの汚れが目立つという
そんな悲しい時間です

あたしにはもう何もないの、と言った時
あなたは
ふっと顔を伏せて泣いてしまいました
いったいどちらが悪かったのだろう

夜です

寒くなったから
星がとても綺麗に見えるという
そんな悲しい時間です

もう全部忘れたいの、と言った時
あなたは
あたしの手をとって口を付けました
いったいどちらが悲しかったのだろう

朝です

いつまでたっても朝もやが
あたしを責めたててしまうという
そんな悲しい時間です

あなたに何がわかるというの、と言った時
あなたは
あの腕時計を置いて部屋を出てしまいました
いったいどちらが決めたのだろう

すべて一からやりなおせるなら
あなたに出会う前まで巻き戻して
そしてもう一度出会いなおす
そうすればきっと
悲しい時間ももうなくなって
朝日の美しさに涙できるあたしがいてくれるはずなんです




自由詩 時の経過 Copyright 田島オスカー 2006-11-28 23:21:46
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