秋から冬へ
まほし

その歌のはじまりとおわりを
わたしは知らない


空を見上げたとき
耳元で起きた風が
どこから来て どこへ行くのか
わからないまま
歩き出してしまったように


それでも歌は
足元を流れるので
進まずにはいられなかった
髪を束ね 耳飾りを外し
両脚の内側でジーンズが
規則正しく擦れるのを聴きながら


やがて空は蒼さを
風は寒さを累乗して
木々はいっせいに葉を散らす


むきだしになった宇宙に
次々と枝をさらす木々も
果てしない流れにアンテナを立てている







自由詩 秋から冬へ Copyright まほし 2006-11-07 22:48:13
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