恩寵の梯子
杉菜 晃


人は
たつた一つの
幻を見るために
生れてきたやうなものだ


幻はきまつて
この地平とは切り離された
はるかかなたにある


とても手で捉へることなど
できないほど隔てられて


けれども
その不可能に
すがりついていかうとするとき
思ひがけずするすると


恩寵おんちょうの梯子が降りてきたりする





未詩・独白 恩寵の梯子 Copyright 杉菜 晃 2006-10-20 17:16:44
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