同盟
ならぢゅん(矮猫亭)

 寒い夜のことだ。

 男はコートのポケットの中でこぶしを握りガッツポーズを作った。小さく、しかし強く。自分だけの、ささやかな勝利を確認しているかのようだった。手のひらに四つの爪跡ができた。うっすらと血がにじんでいた。

 見上げると薄赤い三日月が冷えきった夜空に浮かんでいる。五つ目の爪跡のように。

 男は満足げに歩き出した。ひと気のない夜道を。
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 超短篇(Sudden Fiction あるいは Micro Story)の試みです。このまま永久に「詩ならざるもの」に終るかもしれません。

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未詩・独白 同盟 Copyright ならぢゅん(矮猫亭) 2004-03-15 19:00:22
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