IKBとはインターナショナル・ クライン・ブルーのこと
ロカニクス

生きてみた
一月のめでたさが溶けても
二月の雪が温まっても
三月の雛が川に流れても

ときどき白い布をめくった先の安らかだったあなたを思います

生きてみた
四月の花が散っても
五月の若葉が濃くなっても
六月の雨が枯れても

ときどきくまのプーさんを神妙な顔で読んだあなたを思います

生きてみた
七月の太陽が沈んでも
八月の蝉が落ちても
九月の月が欠けても

ときどき絵本を抱えて懐く私に満面の笑みを見せたあなたを思います

生きてみた
十月の紅葉が盛りを過ぎても
十一月の落ち葉が燃やされても
十二月の締めくくりが失敗しても

ときどき楽しすぎてたくさんの言葉を言いそびれたらしいあなたを思います



いくつものあなたがいる
近所のおばあさんは私が生まれた年にガンにかかった
手渡された形見の写真はどこへいったのだろう 知らない
物語の中最後を飾った短命の人は脳腫瘍だった
その後余生をどのように過ごしたのだろう 知らない

知らないことは思えない



イブクラインは青を描いた
「物質的なものから非物質的な空無の次元を創造しよう」
よく分からないが似てると思った
この生き方に似ればいいと思った
「角度を変えて見れば一つの青が無限の青になる」
よく知らないがいいと思った
もっと青が好きになったと思った



あなたがいればいいと感じた
失う時の流れは嫌と思う
縛られる永遠は嫌と思う

あなたをすっかり知らなくなっても会えた世界を愛しているかもしれない



あなたがいなくても幸せだと感じた
一番の願いは叶わないのだと知る
何度宇宙が消えても過去は過去のままと知る

いくつもの私が終り去っても見えた青空の向こうは真実なのかもしれない



自由詩 IKBとはインターナショナル・ クライン・ブルーのこと Copyright ロカニクス 2006-09-29 23:39:44
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