晩夏
フユナ


曇天の空に
はりつめる夏気の
清らかなうとましさ
そして
むらさきのむくげ


気付くなという忠告
それが聞こえる胸のうち
そう、もう気付いている
それでも気付くなという忠告


曇天の空に
はりつめる夏気と
むらさきのむくげ
を見上げるその眼


手を伸ばしていた
さとられることはのぞまず
手を伸ばしていた

といういはあまりにも停滞し
うずくというには
あまりにも凝密としすぎた
よ、
なあ


ゆきて
かえらず


曇天の空に
むらさきのむくげ
を見上げるその眼
を見つめるこの手






未詩・独白 晩夏 Copyright フユナ 2006-09-08 20:56:54
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デッサン