ピアノ未満
A道化



秋の風の宙へ
何処か遠い指のピアノが示す
美しい階段を、わたしの指は
駆け上がることが出来ず
小さく折った、愛しくて、


そうね、耳があればピアノは聞ける、けれど、
つたない指を折ってこそ感じられる
痛み、のようなピアノが、確かに
ええ、確かに、あって


わたしのこの指を、小さく
わたしが小さく折る、愛しくて
ああ、
ああ、愛しくて


2006.9.8


自由詩 ピアノ未満 Copyright A道化 2006-09-08 02:52:35
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