ソーダ
田島オスカー
君が正しかった
涼しい顔で言い放つ声は
激しく震えていて
あたしは
泣いてしまうしか術が無かった
どうしてもっと早くから
前を見ることをやめなかったのだろう
あたしはいつまでも独りだと
きっと認めたくなかった
指に挟まれたマルボロの薄荷の香りが
いつまでも人を辱めてゆく
そんなことはわかっていたのに
泡がいくつも生まれては消えてゆく
君が正しかったと
声だけで言うようになってしまった彼の
振動だけでも
指先で掴みとってしまえたらよかった
今日は雨
また泡が生まれて
あたしの爪先だけを狙っている
自由詩
ソーダ
Copyright
田島オスカー
2006-09-05 00:22:13