猿の惑星
蒼木りん

あした
死刑を待つような気分の夜をあきらめて
もう死んでもいいやと
睡魔に身をゆだねる
いくつも死んでいるはずなのに
あしたも
そのあしたも生きている

分厚い小説の
だらだらとしたくだらない説明文のような頁が
これでもかと続いた後に
思いもかけないことが起こると
期待している所為か

たとえば
UFOがわたしを浚っていって
気が付けば
一面の麦畑の中
猿の惑星でないことを願って

かすかに残る記憶を
こんどは生きがいにしたりして
深く詮索もせず
なぜなら
断片はいつも哀しげな味がするから

いっそ
殺してくれと
思う日が来るのだろうか
ただ胸が苦しいだけなのに
楽になれば
死んでたまるかと
思うくせに


未詩・独白 猿の惑星 Copyright 蒼木りん 2006-06-01 23:59:27
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