25年後 新聞記事より

中国がアメリカを越えた。
最も基本的な「資源の消費量」で中国がアメリカを上回った。
具体的には食料(穀物や肉類)とエネルギー(石油や石炭)の消費のことだ。
特に肉の消費は2倍近いそうだ。

中国が現在の経済成長を続けると25年後つまり2031年には、中国の人口は14億5000万人になり、全世界の食料の3分の2を14億5000万人の中国が消費することになるそうだ。
紙類の消費は現在の2倍になって森林は確実に消滅に向かうらしい。
国民の個人所得はアメリカ並みになるらしい。

それだけ豊かになると中国の人々は車を持つようになる。アメリカ人の4人に3人は車を持っている。それを中国に当てはめると3億台になる。
現在の世界の車は8億台。それを動かす石油は日糧8400万バレル。3億台増えると石油は日糧9900万バレル必要となるそうだ。
現在の状況ではこれ以上の石油の増産は不可能らしい。

提言として、社会の基盤を再生可能なエネルギーにして、多彩な交通手段を持ち
リサイクル経済への移行を挙げている。有効な代替エネルギーとしては風力発電を挙げている。
具体的には環境回復と人口安定のための貧困根絶だ。
環境対策費として年間約9兆3000億円、貧困対策費として6兆8000億円、合計16兆1000億円が必要だとしている。
想像もつかない金額だ。

世界の軍事費は年間97兆5000億円。その約半分の49兆2000億円はアメリカ。
アメリカが年間軍事費から16兆1000億円を環境・貧困対策にまわしても中国、ロシア、NATO諸国を合わせた軍事費をまだ上回っているそうだ。
アメリカの軍事費の異常さがよくわかる。ブッシュ大統領の政策は完全に的をはずしている。しかも最近では3兆円を日本に負担してもらうなどと言っている。

もうひとつの脅威がある。
インドだ。
25年後にはインドの人口は中国を上回るそうだ。




石油パニックはもういつ起こっても不思議ではない。
しかし起せないのだ。
中東では即戦争へと直結する要素があまりに多く、複雑になり過ぎて収拾がつかないのだ。(戦争後の利権も含めて)

中国の工業発展はすごいものがある。
しかし中国の環境汚染対策は以前の日本よりひどいと知人は嘆いて、絶対に中国産のものは食べるなと私に忠告した。
外務省の幹部はある人に、中国国内での暴動は去年だけで10万件以上起きているが、それを一切外に出さないで鎮圧している、という情報を提供している。

中国が日本海沖で採掘を始めたり、資源外交を始めたのは偶然ではない。
中国の指導者層はもう充分認識しているのだ。
今から手を打たないともう間に合わないことを知ったからだ。
官僚の賄賂が常習化しイデオロギーはもう崩壊寸前だ。
経済の段階的開放というアメと粛清というムチでかろうじて体制を保っているが、
もうじき、どうにもならない理由が発生するだろう。

もちろん中国だけが悪いのではない。
アフリカや南米にも閉ざされた人々が存在する。


核爆弾を保有したり、テロ行為で市民を殺したり、宗教の違いで紛争を起したり、アジアの平和のためという名目で巨額な軍事費を使ったりしている暇はない。
北朝鮮の指導者にも飢えた人々にも被害は等しくやってくる。

人類の歴史上、自分とその家族が生存できるかという問題以上の課題があっただろうか。
地球の環境危機と人口増の脅威に比べれば宗教上の違い、軍事的な脅威などちっぽけなものだ。つまり戦争以上の恐怖ということだ。

25年後と予測しているが、環境破壊と人口増による被害が25年後に突然訪れるわけではない。
その前に少しずつ少しずつ確実に、10年後、15年後いや5年後にも自然界からの痛烈なしっぺ返しが贈られてくるだろう。
私たちの未来はそんな予定でいるのだ。

25年後---
5歳で七五三のお祝いをした男の子が30歳になる。
大学を卒業した社会人一年生が47歳になる。
コラムの筆者は最後に言っている。
「もっとも不足している資源は時間である」

自分が大好きな日本人はいつまでこのことに知らない振りをするのだろう。
多くの日本人はどうしたらよいかさえわからなくされて育った。
そういうことは自分ではなく政治家とか学者とかがやることだと。
少なくても自分ではないと。自分だって毎日大変なんだと。


散文(批評随筆小説等) 25年後 新聞記事より Copyright  2006-05-18 03:36:26
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